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プロツアー『ラヴニカのギルド』
プロツアー『ラヴニカのギルド』メタゲームブレイクダウン:1日目
2018年11月9日
『ラヴニカのギルド』の導入とともにスタンダードはローテーションを迎え、ギルドが織り成す多色の世界とそこで登場した金色カードの力に注目が集まった。以来、Magic Onlineでもグランプリでも、その他のプレミアム・トーナメントでも毎週のように勝ち組デッキが変わる環境が築かれ、今回のプロツアーへ挑むプレイヤーたちの手には数多の選択肢があった。
彼らの決断は、以下の通りだ。
アーキタイプ | 使用者数 | 使用率 |
---|---|---|
ゴルガリ・ミッドレンジ | 113 | 22.2% |
赤白アグロ | 81 | 15.9% |
イゼット・ドレイク | 66 | 12.9% |
赤単アグロ | 64 | 12.5% |
ジェスカイ・コントロール | 56 | 11.0% |
ボロス・天使 | 19 | 3.7% |
ボロス・アグロ | 18 | 3.5% |
青単テンポ | 16 | 3.1% |
セレズニア・トークン | 13 | 2.5% |
ディミーア・コントロール | 9 | 1.8% |
グリクシス・コントロール | 9 | 1.8% |
ターボ・フォグ | 9 | 1.8% |
セレズニア・ミッドレンジ | 8 | 1.6% |
白ウィニー | 8 | 1.6% |
エスパー・コントロール | 5 | 1.0% |
アブザン・ミッドレンジ | 3 | 0.6% |
ジェスカイ・ミッドレンジ | 2 | 0.4% |
レインボー・リッチ | 2 | 0.4% |
ビッグ・レッド | 1 | 0.2% |
黒赤アグロ | 1 | 0.2% |
緑白アグロ | 1 | 0.2% |
ジャンド・ミッドレンジ | 1 | 0.2% |
ナヤ・天使 | 1 | 0.2% |
ナヤ・ランプ | 1 | 0.2% |
赤緑恐竜 | 1 | 0.2% |
スゥルタイ・コントロール | 1 | 0.2% |
スゥルタイ・ミッドレンジ | 1 | 0.2% |
最も多くの使用者数を集めたのは「ゴルガリ・ミッドレンジ」だった。そこへアグレッシブな戦略がいくつも迫る形だ。
- 「ゴルガリ・ミッドレンジ」が環境全体の22%を占めた。《採取 // 最終》は《貪欲なチュパカブラ》や《翡翠光のレインジャー》といった呪文のように機能するクリーチャーとの相性が良く、クリーチャー偏重の戦略を《ビビアン・リード》が支えている。また、《殺戮の暴君》はコントロール・デッキが対処しにくい脅威であり、《ラノワールのエルフ》はアグレッシブなデッキに対してより大きなクリーチャーを素早く繰り出すのに寄与している。
- アグレッシブな戦略は、白をベースに赤をタッチした形と赤単色のデッキに分かれた。「白赤アグロ」は、《不屈の護衛》や《軍団の上陸》から《アダントの先兵》、《ベナリア史》へとつなげる強力な動きを持ちながら、《英雄的援軍》や《正義の模範、オレリア》、さらに少量ながら採用された《稲妻の一撃》や《裁きの一撃》によって、厚みのある攻勢を仕掛けられる。古典的な白単アグロ戦略を強力な赤絡みのカードで補強した形だ。
一方の「赤単アグロ」は、こちらも《遁走する蒸気族》や《ゴブリンの鎖回し》、《ギトゥの溶岩走り》、《魔術師の稲妻》などを駆使してさまざまなデッキ相手にライフ・レースを有利に運ぶことができる。両者の最も大きな違いとして、「赤単」が「最速」に全力を尽くすのに対し、「赤白」は《正義の模範、オレリア》や《英雄的援軍》で少し重めの構成になっている点が挙げられるだろう。
- 「イゼット・ドレイク」が高く舞い上がった。このアーキタイプにはさまざまな構築が見受けられるが、どの形でも《弾けるドレイク》と《弧光のフェニックス》を(さらにほとんどのリストが《奇怪なドレイク》も)採用し、《選択》や《航路の作成》、《大将軍の憤怒》といった軽量呪文の力を最大限に引き出している。軽量呪文がさらなる呪文をもたらし、対戦相手は飛行クリーチャーへの対処を迫られるのだ。
以上の上位4デッキで全体の3分の2を占めるに至ったが、この週末に持ち込まれたデッキはもちろんこれだけではない。
- コントロール・デッキの中では、「ジェスカイ・コントロール」が最も人気を集めた。打ち消しや除去呪文の選択はさまざまだが、どのデッキも核となる部分は《ドミナリアの英雄、テフェリー》、《轟音のクラリオン》、《残骸の漂着》、《中略》で構成されている。繰り出される脅威を止めるべく《イオン化》を採用するものから《発展 // 発破》を採用してより長期戦を見据えたものまで、まったく同じ形は一切ないが、盤面を一掃して《ドミナリアの英雄、テフェリー》を生かすというゲーム・プランは共通しているようだ。
- アグレッシブな戦略にはもうひとつ、「教導」を持つカードで理想的なボロスの動きを実現する「ボロス・アグロ」が存在する。《ボロスの挑戦者》から《軍勢の戦親分》、《軍勢の切先、タージク》という動きは、人気を集めた白や赤をベースにしたアグロ・デッキの動きに比べて難しいものの、それが実現したときの威力はどのデッキの初動よりもはるかに強く、狙う価値がある。無論、《稲妻の一撃》のようなカードも採用されており、他のアグロ・デッキと同様にしっかりとした形に仕上がっている。
- コントロールに比べて非常に少ない使用者数に留まっているものの、ジェスカイにはミッドレンジの形もある。同じく《ドミナリアの英雄、テフェリー》は採用されているが、「ジェスカイ・ミッドレンジ」ではコントロール系の呪文ではなくクリーチャーでこのプレインズウォーカーを支えている。《黎明をもたらす者ライラ》、《再燃するフェニックス》、《トカートリの儀仗兵》など、頼りになるクリーチャー揃いだ。さらに、それらを支援する除去呪文を活かせば、《ドミナリアの英雄、テフェリー》が登場するまでもなくゲームを終わらせることもできるだろう。
- グランプリ・ニュージャージー2018でスポットライトを浴びた「ボロス・天使」が、この週末も輝きを放った。《正義の模範、オレリア》や《輝かしい天使》、《黎明をもたらす者ライラ》などの素晴らしい天使の数々と、《ベナリア史》などの強力なカードが詰め込まれた「ボロス・天使」は、地上から見上げる対戦相手を尻目に悠々とライフレースを進めることができる。
- 「青単テンポ」も存在感を見せ、素早く攻撃的な戦略が赤と白に限らないことを示した。このデッキは《セイレーンの嵐鎮め》や《霧まといの川守り》といった対戦相手が用意したブロッカーを乗り越えるクリーチャーで攻撃し、《執着的探訪》や《潜水》、《魔術師の反駁》で攻撃の手を補充したり守ったりすることで、対戦相手が体勢を整える前に勝つことが可能だ。
- 「セレズニア・トークン」も直近のイベントから引き続き姿を見せ、他にはないカードを活かしている。白絡みのデッキと赤絡みのデッキは、アグロ戦略もミッドレンジ戦略もコントロール戦略も、その多くが一部の強力なカードを共有している。だが「セレズニア・トークン」は、その大部分が他では採用されていないカードで構成されている。《協約の魂、イマーラ》は《茨の副官》や《苗木の移牧》とともに序盤のクリーチャー展開を推し進め、その後《不和のトロスターニ》と《豊潤の声、シャライ》で広く展開された軍勢を強化していく。もちろん、他のデッキにも採用されている強力なカードの姿も見受けられる――《軍団の上陸》や《ベナリア史》は決して無視できない優秀なカードだ。
ここまでで10個ものデッキが並んだが、残る10%にはさらに驚くべきデッキの数々がある。
- 「ターボ・フォグ」は健在だ。《運命のきずな》や《根の罠》は、《ドミナリアの英雄、テフェリー》の力を背に受けて無限ループの脅威を見せつけている。
- コントロール戦略の幅を広げる「エスパー・コントロール」と「ディミーア・コントロール」。これらは《ヴラスカの侮辱》のような強力な黒のカードに注目し、また警戒が緩んだ相手に対する《破滅の龍、ニコル・ボーラス》という脅威も持ちあわせている。
- トークンと暴君と天使が組み合わさった「セレズニア・ミッドレンジ」。「セレズニア・トークン」と同様に《大集団の行進》やトークンと相性の良いカードが採用されているが、「セレズニア・ミッドレンジ」には《黎明をもたらす者ライラ》や《殺戮の暴君》、《ビビアン・リード》のようなカードも採用され、優れた中型クリーチャーの力が活かされている。
- 古典的な白アグロ戦略を思い起こさせる「白ウィニー」。このデッキは、「赤白アグロ」から赤を抜いてさらにマナ基盤を安定させたものだ。だがその代わり赤を使うことで採用できたボロスのカードを手放すことになるため、今大会でアグロ戦略を用いるプレイヤーの多くはその選択に至らなかった。
- 今大会で最も異質かつ最も面白い「レインボー・リッチ」。《リッチの熟達》は、まったく新しいプレイ体験を切り開いた。このカードがあれば、《栄光の好機》でゲームに敗北することなく《Time Walk》をも超える強力な効果を活かせるのだ。《楽園の贈り物》や《アズカンタの探索》から《残骸の漂着》や《発見 // 発散》まで使用するこのデッキは、多くの色を駆使する上に扱いも難しい。だがすべてのパーツが機能したときの強さは、目を見張るものがある。
それぞれの結果は明日を待つことになるが、今大会にはスタンダード部門初日全勝を記録し得るデッキが満載だと言えるだろう。
(Tr. Tetsuya Yabuki)
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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