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プロツアー『久遠の終端』

プロツアー『久遠の終端』メタゲームブレイクダウン
2025年9月26日
デッキリストの提出が締め切られ、データの分析も完了した今、2025年3回目のプロツアーが開幕する!
プロツアー『久遠の終端』は、9月26日から28日にかけてMagicCon: Atlantaで開催される。この大会には、世界中のトッププレイヤー300名がモダンデッキを持ち寄り、賞金総額50万ドル、世界選手権の招待権、そして栄誉あるプロツアートロフィーをかけて競い合う。
出場者には、地域選手権の上位入賞者、オンライン予選突破者、そして経験豊富なプロツアーベテランが名を連ねている。まさにエリートぞろいのフィールドである。
大会は金曜と土曜の午前に『久遠の終端』のブースタードラフトでスタートし、午後にはモダン構築戦の5回戦が行われる。そして日曜には、トップ8プレイヤーたちによるモダンでのシングルエリミネーション方式の対戦が行われ、プロツアーチャンピオンが決定することになる。
この大会の様子は、マジック英語公式TwitchチャンネルまたはPlay MTGのYouTubeチャンネルにてライブ配信される。配信開始時刻は、金曜と土曜が米国東部時間午前11時、日曜が午前10時となっている。詳細については、観戦ガイドを参照してほしい。(訳注:日本ではマジック日本語公式YouTubeチャンネルにて配信されます。放送情報はこちらから)
モダン・メタゲームブレイクダウン
モダンはマジック:ザ・ギャザリングにおける主要な競技フォーマットのひとつである。このフォーマットでは、第8版以降に発売された拡張セット、基本セット、そしてモダン向け製品に収録されたカードを使用できる。
モダンは、22年以上にわたる歴史を持つ非常に広大なカードプールを有し、複雑なカード間の相互作用や、多様な戦略を特徴としている。
ここでは、本プロツアーにおける使用デッキの内訳を紹介する。
| アーキタイプ名 | 使用者数 | 使用率 |
|---|---|---|
| 1.エスパー御霊 | 50 | 16.7% |
| 2.タメシ・ベルチャー | 45 | 15.0% |
| 3.ボロス・エネルギー | 41 | 13.7% |
| 4.エルドラージ・トロン | 22 | 7.3% |
| 5.イゼット親和 | 20 | 6.7% |
| 6.エスパー・ブリンク | 17 | 5.7% |
| 7.アミュレット・タイタン | 15 | 5.0% |
| 8.シミック・ネオフォーム | 13 | 4.3% |
| 9.ドメイン・ズー | 12 | 4.0% |
| 10.エルドラージ・ランプ | 12 | 4.0% |
| 11.アゾリウス・コントロール | 8 | 2.7% |
| 12.イゼット果敢 | 8 | 2.7% |
| 13.アゾリウス・ブリンク | 6 | 2.0% |
| 14.グリクシス・リアニメイト | 3 | 1.0% |
| 15.ディミーア・ミル | 3 | 1.0% |
| 16.ジェスカイ・チャント | 3 | 1.0% |
| 17.エスパー・ミッドレンジ | 3 | 1.0% |
| 18.緑単繁殖鱗 | 2 | 0.7% |
| 19.ゴルガリ繁殖鱗 | 2 | 0.7% |
| 20.サムワイズ・コンボ | 2 | 0.7% |
| 21.ジェスカイ・コントロール | 2 | 0.7% |
| 22.ゴルガリ・ヨーグモス | 1 | 0.3% |
| 23.ジェスカイ・ブリンク | 1 | 0.3% |
| 24.グリクシス・ミッドレンジ | 1 | 0.3% |
| 25.ディミーア・ミッドレンジ | 1 | 0.3% |
| 26.ルビー・ストーム | 1 | 0.3% |
| 27.イゼット・ウィザード | 1 | 0.3% |
| 28.グルール繁殖鱗 | 1 | 0.3% |
| 29.オルゾフ・ブリンク | 1 | 0.3% |
| 30.隆盛コンボ | 1 | 0.3% |
| 31.ジェスカイ親和 | 1 | 0.3% |
| 32.エスパー・コントロール | 1 | 0.3% |
本トーナメントのモダン全デッキリストは、9月26日(金)第4回戦開始時(米国東部時間で午後2時前後)に プロツアー『久遠の終端』のイベントページにて公開される予定だ。それまでのあいだ、今大会で使用率の高いデッキ群を以下に詳述する。
エスパー御霊(50人)
エスパー御霊は、《偉大なる統一者、アトラクサ》を《超能力蛙》や《信仰の繕い》で捨ててから《御霊の復讐》で戻し、大きな打撃を与える動きを狙う。さらに《儚い存在》を用いて追加の《偉大なる統一者、アトラクサ》を誘発させつつ、ターン終了時に追放されないようにする。コントロール寄りの戦略に切り替えるために《孤独》や《否定の力》を搭載する構成もある。最近は、《量子の謎かけ屋》をブリンクできる変則的カードが加わり、可変性が増した。
かつてこのアーキタイプは優勝者たちのメタゲームの5.7%を占める程度だったが、多くのプロツアー参加者がその強さを認識しており、今大会では16.7%もの勢力を占め、最多となった。
タメシ・ベルチャー(45人)
このデッキには実質的に土地カードが入っておらず、《ゴブリンの放火砲》を一度起動すればその場で勝利となるデッキだ。起動に必要なマナを得る手段として《睡蓮の花》を利用し、それを《発明品の唸り》でサーチ。また、モードを持つ両面カードを活用する構成を採ることもある。
バックアッププランとしては、《現実の設計者、タメシ》と《睡蓮の花》を組み合わせて大量マナを生成する動きも可能だ。
ボロス・エネルギー(41人)
《魂の導き手》と《電気放出》を駆使しエネルギーメカニズムを活かして盤面を支配する構成となっている。《オセロットの群れ》や《ナカティルの最下層民、アジャニ》といった猫たちの群れを中心に展開する。《ゴブリンの砲撃》で猫・トークンを生け贄に捧げてアジャニを恐るべきプレインズウォーカーへと変身させる動きも可能だ。終盤では、《火の怒りのタイタン、フレージ》を《栄光の闘技場》によって速攻を与えて決定打にすることができる。
エルドラージ・トロン(22人)
3種のトロンランドに加えて《エルドラージの寺院》や《ウギンの迷宮》を活用して大量の無色マナを生成し、《大いなる創造者、カーン》《コジレックの命令》《運命を貪るもの》《嵐の目、ウギン》といった強力カードを展開する。
ほとんどのリストが無色カードだけの構成だが、中にはウギンを最大限に活かすため《災厄の先触れ》のような色を持つカードを投入する構成も試されている。
イゼット親和(20人)
アーティファクト・シナジーを主軸とするデッキ構成だ。アーティファクトが一定量揃うと破壊力が飛躍的に高まる。《オパールのモックス》でマナが加速し、《河童の砲手》が止められない脅威に育ち、《物読み》は効率的なドロー呪文として機能する。『久遠の終端』での追加カードである《ピナクルの特使》は、トークンを一挙に展開し、1ターン目の《河童の砲手》を可能にする。
エスパー・ブリンク(17人)
エスパー御霊と似た動き方をするが、こちらは《量子の謎かけ屋》と《儚い存在》のシナジーに依存する。《孤独》をブリンクし戦場に残す動きも強力で、キーカードである《溌剌の牧羊犬、フィリア》に依存する構成が多い。フィリアを採用しない構成は、代わりにエスパー・ミッドレンジやエスパー・コントロールとみなされることが多い。
アミュレット・タイタン(15人)
《精力の護符》と《シミックの成長室》のようなバウンス土地の相互作用を軸に構成されている。《精力の護符》によって土地はアンタップ状態で場に出て、2マナを生成できるため、早い段階で《原始のタイタン》のプレイが可能となる。《ハンウィアーの要塞》をサーチして速攻を持たせる動きが基本軸となる。《原始のタイタン》で勝てなければ、《風景の変容》を使って《睡蓮の原野》や《事件現場の分析者》《変容する森林》を絡めたループコンボもある。
シミック・ネオフォーム(13人)
2枚の緑のカードを追放して《アロサウルス乗り》を唱え、それを《新生化》や《異界の進化》によって生け贄に捧げ、強力なクリーチャーをサーチする。サーチ先の筆頭は《暴走暴君、ガルタ》で、盤面を一気に制圧できる。《フレイアリーズの信奉者》や《歓楽の神、ゼナゴス》を絡める構成も見られる。
ドメイン・ズー(12人)
《縄張り持ちのカヴー》や《ドラコの末裔》を活かす強力なアグロデッキだ。2色や3色の土地を駆使して強力なクリーチャーを展開しながら、《頑固な否認》という信頼度の高い打ち消し呪文で支える。《ギルドパクトの力線》によりマナ基盤からのダメージを少なくすることができ、《ドラコの末裔》は味方クリーチャーたちに警戒、呪禁、絆魂、先制攻撃、トランプルといった能力を付与する強力カードだ。
エルドラージ・ランプ(12人)
エルドラージ・トロンに似た動きをするが、トロンランドは使わず、代わりに《森》を多く採用しつつ《楽園の拡散》を絡めた構成が多い。目標はできるだけ早く《約束された終末、エムラクール》を唱えること。《邪悪鳴らし》によってさまざまなタイプのカードを墓地に捨ててコストを下げる動きもみられる。
かつては《火の怒りのタイタン、フレージ》や《魂の導き手》が支配し、今プロツアーでもボロス・エネルギーが最有力と見られていたこのフォーマットにおいて、新たなカード群が注目を集めている。最大の驚きは、プロツアーに出場した300のデッキにおいて、土地以外で最も多くメインデッキに採用されたカードが《孤独》《量子の謎かけ屋》《儚い存在》の3枚だったという点だ。
これらのカードは通常セットで使われる。《儚い存在》はクリーチャーを繰り返しブリンクしてアドバンテージを稼ぎ、《孤独》は除去手段として機能しつつ手札を減らすことで《量子の謎かけ屋》の追加ドロー効果を誘発させる。
この3枚のパッケージを採用したデッキを登録したプレイヤーは合計78人で、全体の26.0%を占める。その内訳はエスパー御霊が50人、エスパー・ブリンクが16人、アゾリウス・ブリンクが6人で、他にも少数のブリンク系、コントロール、ミッドレンジ系のバリエーションがメタゲームに散見される。なお、依然として《記憶への放逐》は最も採用率の高いサイドボードカードではあるものの、この3枚セットがモダン環境の中心的基盤として浮上してきたことは間違いない。
このプロツアーでは、アグロ、ミッドレンジ、コントロール、コンボ、ランプといった多様なアーキタイプが存在感を示している。エスパー御霊、タメシ・ベルチャー、ボロス・エネルギーといったデッキが上位のシェアを握っている一方で、全体としてメタゲームの多様性は維持されている。平均すると、同系対決は10.9卓に1度しか発生しない計算となっており、これは過去10回のモダンプロツアーのうち半数以上よりも高いメタの多様性を示している。
最近のカードセットで最も採用されたカードたち
『モダンホライゾン3』以降に発売されたセットは、このフォーマットに大きな影響を与えてきた。以下の表は、前回のモダンによるプロツアーからの15ヶ月間にリリースされたセットの中から、プロツアー『久遠の終端』において最も使用された25枚のカードを示している。
| カード名 | セット名 | 合計枚数 | メインデッキ | サイドボード |
|---|---|---|---|---|
| 《量子の謎かけ屋》 | 『久遠の終端』 | 311 | 309 | 2 |
| 《稲妻罠の教練者》 | 『ブルームバロウ』 | 169 | 169 | 0 |
| 《洪水の大口へ》 | 『ブルームバロウ』 | 111 | 46 | 65 |
| 《勝利の楽士》 | 『タルキール:龍嵐録』 | 94 | 94 | 0 |
| 《ピナクルの特使》 | 『久遠の終端』 | 87 | 87 | 0 |
| 《嵐の目、ウギン》 | 『タルキール:龍嵐録』 | 84 | 83 | 1 |
| 《鳴り渡る龍哮の征服者》 | 『タルキール:龍嵐録』 | 79 | 0 | 79 |
| 《ベイルマークの大主》 | 『ダスクモーン:戦慄の館』 | 72 | 72 | 0 |
| 《声も出せない》 | 『ダスクモーン:戦慄の館』 | 60 | 10 | 50 |
| 《氷耕しの探検家》 | 『久遠の終端』 | 49 | 37 | 12 |
| 《七つの死の種父》 | 『ファウンデーション』 | 46 | 44 | 2 |
| 《食糧補充》 | 『霊気走破』 | 46 | 13 | 33 |
| 《コーリ鋼の短刀》 | 『タルキール:龍嵐録』 | 36 | 36 | 0 |
| 《星間航路の助言》 | 『久遠の終端』 | 28 | 25 | 3 |
| 《除霊用掃除機》 | 『ダスクモーン:戦慄の館』 | 22 | 0 | 22 |
| 《炎魔法》 | 『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』 | 21 | 0 | 21 |
| 《災厄の先触れ》 | 『ブルームバロウ』 | 20 | 20 | 0 |
| 《忌まわしき眼魔》 | 『ダスクモーン:戦慄の館』 | 20 | 12 | 8 |
| 《スパイダーセンス》 | 『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』 | 18 | 0 | 18 |
| 《星原の番人》 | 『久遠の終端』 | 17 | 17 | 0 |
| 《光に導かれし者、ハリーヤ》 | 『久遠の終端』 | 17 | 16 | 1 |
| 《殲滅戦艦》 | 『久遠の終端』 | 17 | 0 | 17 |
| 《スーペリア・スパイダーマン》 | 『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』 | 15 | 13 | 2 |
| 《暴力的衝動》 | 『ダスクモーン:戦慄の館』 | 14 | 13 | 1 |
| 《新たな夜明け、ケトラモーズ》 | 『霊気走破』 | 14 | 2 | 12 |
数字上最も大きな影響を与えた新戦力は、《量子の謎かけ屋》と《稲妻罠の教練者》の2枚だった。《量子の謎かけ屋》は《儚い存在》や《溌剌の牧羊犬、フィリア》と抜群の相性を誇る。ワープした《量子の謎かけ屋》をブリンクすれば、カードを1枚引くだけでなく、除去が困難な4/6飛行クリーチャーとして場に戻る。
《稲妻罠の教練者》はタメシ・ベルチャーに必須のパーツというわけではないが、大半のリストでは採用されており、《ゴブリンの放火砲》を安定して探し出し、《拒絶の閃光》の代替コストも支援する役割を果たしている。
これら2枚のカードがなければ、エスパー御霊とタメシ・ベルチャーが今大会で最も使用された2大デッキになることはなかったかもしれない。
他にも、最近登場したカードの中で特に注目すべきものが3枚ある。ボロス・エネルギー において、《勝利の楽士》は自分のターン中に呪文を守りつつ、1/1の戦士トークンを生成する。このトークンは《魂の導き手》の能力を誘発させたり、市民の祝福の条件を満たしたり、《オセロットの群れ》によってコピーされたり、《ゴブリンの砲撃》の弾薬になったり、《ナカティルの報復者、アジャニ》のための赤のパーマネントとして数えられたりする。
一方、《ピナクルの特使》と《嵐の目、ウギン》は、それぞれイゼット親和とエルドラージ・トロンにおけるデッキの核となるカードだ。
『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』は、モダン環境においては控えめな影響にとどまった。
最も多く採用されたカードは《スパイダーセンス》で、イゼット親和やアゾリウス・ブリンクのサイドボードに見られる。幅広い呪文や能力を打ち消すことができるうえ、《思考の監視者》や《孤独》のような価値あるクリーチャーをバウンスする際には、その「ウェブスリング・コスト」が逆にメリットになることもある。
2番目に多く使われたのは《スーペリア・スパイダーマン》で、エスパー御霊のリストに1枚採用されている。これは、4マナの《偉大なる統一者、アトラクサ》として機能するか、《御霊の復讐》の新たなトリックを可能にする。
他にも、何枚か『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』のカードがプロツアーのデッキリストに名を連ねている。エルドラージ・ランプの1つは、《スパイダーパンク》をサイド後の《記憶への放逐》対策として採用していた。ドメイン・ズーのプレイヤーの1人は、《ドラコの末裔》との相性を評価して《高慢な襲撃者、クレイヴン》を採用している。さらに、ある風変わりなイゼット親和のリストでは、《ドク・オックの触手》を《ウルザの物語》から呼び出す対象として使い、《河童の砲手》や《思考の監視者》、《記録の守護者》に装備させようとしている。最後に、いくつかのサムワイズ・コンボでは、《サイオニック・ウィーバー、アラクネ》《スパイダーハム、ピーター・ポーカー》《ウェブ紡ぎ、シルク》といったカードもツールボックスの一部として採用されている。
これらの新戦力が、週末の終わりまでに上位卓へと駆け上っていくのか、注目したい。
いざ準備完了!
《量子の謎かけ屋》がモダンにおける最も影響力のある新カードの1つとしての地位を確立したことで、数多くのアーキタイプが栄光を競い合う舞台が整った。誰がトロフィーを手にするのか、戦いの模様を一瞬たりとも見逃さないようにしよう。
プロツアー『久遠の終端』の中継は、現地9月26日からスタートする。
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