EVENT COVERAGE

プロツアー『久遠の終端』

観戦記事

「プロツアー『久遠の終端』」決勝戦

Corbin Hosler

2025年9月29日



 シーズン最後のプロツアー。第31回世界選手権の前に開催されたこのプロツアーは、今年唯一のモダンを採用したプロツアーであった。マイケル・デベネデット=プラマー/Michael DeBenedetto-Plummerとフランシスコ・サンチェス/Francisco Sánchezの決勝の舞台のライトが灯り、「プロツアー『久遠の終端』」は期待していた以上の結果を見せてくれた。

 300名ものプレイヤーが参加資格を得て集まったこの大会では、誰もが知る、多様性に富んだモダン環境が再び広がっていた。 会場で最も使用者が多かった2つのデッキ―、「エスパー・御霊」と「タメシ・ベルチャー」はどちらも環境を支配する成績を残すことはなく、トップ8は7つもの異なるアーキタイプが顔を揃えていた。

 

 そして準々決勝と準決勝の全試合が最長の5ゲームまでもつれ込むという長丁場を経て、2人が残った。アーキタイプとしてのベルチャーが苦戦を強いられていたにもかかわらず、マイケル・デベネデット=プラマー以上に完成されたリストやサイドボードプランを用意していた者はいなかった。「Team Serious Player Only」の一員であるマイケルは、ここまで他の挑戦者を退け続け、スイスラウンドでは9勝1敗という戦績を収めた。そしてノエ・オフマン/Noé Offmanのネオフォーム、ミッコ・アイラクシネン/Mikko Airaksinenとのベルチャー・ミラーマッチで勝利を手にし続けていた。

 だが、ここで立ちはだかるのがフランシスコ・サンチェスだ。彼は革新的な《一日のやり直し》コントロールデッキを操り、初日と2日目を難なく突破。トップ8ではメイソン・ブオナドナ/Mason Buonadonnaのアミュレット・タイタン、堀内真のエスパー・ブリンクを跳ね除け決勝に駒を進めていた。

 

 今から始まるのはコンボデッキ対コントロールデッキ――まさにマジックの歴史あるマッチアップだ。しかも懸かっているのは並外れた報酬だ。「プロツアー『久遠の終端』」チャンピオンの称号、そしてごく限られたモダン・プロツアー優勝者の一人としてその名を歴史に刻む機会である。

 第1ゲームは、その「駆け引き」を余すところなく見せつける展開となった。マイケルは呪文を緻密に組み立て、サンチェスの妨害をかいくぐろうとした。しかし彼の《睡蓮の花》は《オアリムの詠唱》に阻まれ、さらに《現実の設計者、タメシ》には《対抗呪文》が突き刺さった。

 だが《発明品の唸り》は通り、マイケルは《睡蓮の花》を戦場に出すことに成功した。さらにサンチェスが自らのマナを《星間航路の助言》での手札補充に費やさざるを得なかったことで、2枚目の《睡蓮の花》も着地。必要なマナをすべて揃えたマイケルは、《ゴブリンの放火砲》を通す手段を見つけるだけだった。

 第2ゲームでは、サンチェスも自身の「コンボ」を成立させようとした。《オアリムの詠唱》を《等時の王笏》の下へ刻印したのである。これはレガシー・フォーマットに古くから伝わるコンボであり、《オアリムの詠唱》が『モダンホライゾン3』に収録されたことでモダンにも姿を現したのだ。ソーサリー・スピード主体のデッキにとっては、これはほぼ突破不能のロックである。だがマイケルは運よく《対抗呪文》でその運命を避け、そして自らの《睡蓮の花》を通すことに成功した。この好機を最大限に活かすべく、彼は勝負に出る。《ゴブリンの放火砲》をスタックに置いたのである。

 しかしサンチェスには《否定の力》があり、ゲームを繋ぎ止めた。その直後には《覆いを割く者、ナーセット》を送り、能力を起動した。だがナーセットの能力は完全な空振りとなった。結果として、次のターンに再びスタックに乗った《ゴブリンの放火砲》を止める術がなく、そのまま決勝戦の最初の2ゲームはマイケルが制することとなった。

 そしてサイドボード後のゲームが始まる。メインデッキではマイケルのコンボの冗長性に押しつぶされたサンチェスにとって、サイドボードからの援軍は必要不可欠だ。

 《時を解す者、テフェリー》の着地は好調な出だしであった。だが、マイケルも自身のサイドボードからプレインズウォーカーを手にしていた――《老練の学匠、タミヨウ》である。

 確かにこのゲームは最初の2ゲームとは違う様相を見せていた。そして展開は、週末を通してマイケルが繰り返してきたサイドボード・プランに沿って進んでいた。すなわち、ベルチャー関連を減らし、強力なカードを使用できるミッドレンジへと寄せるプランである。この週末、ベルチャーの多くの勝利は、1/4や2/3のクリーチャーの攻撃で掴まれていたのだ。

 今回もその一例となるかに思われた。サンチェスがナーセットとテフェリーを戦場に並べたのである。すぐさまマイケルは長考に入り、ロックが完全に決まる前に抜け出す道を探し続けた。だが複雑なターンの果て、彼は多くのマナを失い、《時を解す者、テフェリー》、《現実の設計者、タメシ》、《睡蓮の花》が戦場に残ったまま、勝ち筋を見出せずターンを返すことになった。

 これによってサンチェスは再びマナにアクセスできるようになり、妨害を続けることができた。ゲームは延々と続いた。そしてついに、マイケルはデッキ内の「土地」カードの表面をすべての観客に読ませる事態を招いた――普段はめったに使われない第1面を唱えることで、である。

 その象徴的なカードは《鎮圧光線》であった。それを唱えることは、《老練の学匠、タミヨウ》の奥義を解き放つ鍵となった。そしてタミヨウの奥義こそが、この試合の鍵であった。それはマイケルに実に16枚ものカードを引かせたのである。数ターン後、彼が再び《ゴブリンの放火砲》をスタックに置いたとき、すでにデッキ名の由来たるこのカードを守るに足る十分すぎる打ち消し呪文を保持していた。

 サンチェスは《狼狽の嵐》をコストを支払って唱えたものの、2枚目に対抗する術は残されていなかった。そしてサンチェスは手を差し伸べ、マイケルの「プロツアー『久遠の終端』」優勝を祝福したのであった。

マイケル・デベネデット=プラマー、「プロツアー『久遠の終端』」優勝おめでとう!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

サイト内検索