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プロツアー『久遠の終端』

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プロツアー『久遠の終端』トップ8ラウンド 注目の出来事

Corbin Hosler

2025年9月29日



 世界選手権を前にした今シーズン最後のプロツアーは日曜日、ジョージア州アトランタで引き続き開催され、これまでにない姿を見せたモダン構築によるトップ8が展開された。プロツアー『久遠の終端』と、再び開かれたモダン環境の戦いが終息しようとしている今、300人の出場者の中からたったひとりだけがトロフィーを掲げ、「モダン・プロツアー第11回王者」の栄冠を手にすることとなる。

 トップ8には7つの異なるデッキが並び、モダンが誇る多様性を存分に示した。一時期は《有翼の叡智、ナドゥ》や《一つの指輪》による支配が見られたが、今回のモダンメタゲームは予想を覆す結果となり、唯一2人がトップ8に進出したのは復活した《ゴブリンの放火砲》コンボだったが、全体としては期待ほどの成績は残せなかった。出場者の使用デッキがあまりに多岐にわたっていたため、「その他」カテゴリが全体でも有数の高勝率を記録する事態となった。

 プロツアー『久遠の終端』のトップ8プレイヤーたちは、すでに世界選手権への出場権を手にした状態で最終日を迎えたが、真の目標はまだ残っていた――プロツアーチャンピオンの称号である。

 

準々決勝

 トップ8にはスピードも戦術も異なる7種類のアーキタイプが集結し、4つの準々決勝はモダンというフォーマットの多様さを存分に示す幕開けとなった。まず注目を集めたのは、今大会で最も人気の高かった2つのデッキによる対決――ジョニー・ガットマンによるエスパー御霊と、ミッコ・アイラクシネンによるタメシ・ベルチャーであった。

 テスト段階では、アイラクシネンのチーム(Team Vents)はエスパー御霊を「不戦勝(bye)」扱いしていたという。しかし大会本番でタメシ・ベルチャーへの対策を整えてきた御霊プレイヤーたちとの対戦を重ねたことで、その見解は大きく揺らいだようだ。

 両者は1勝1敗とテンポよくゲームを取り合った。ガットマンは《偉大なる統一者、アトラクサ》を墓地に落とし、それを再活性化したうえでブリンクさせるという展開。一方のアイラクシネンは、単純に《ゴブリンの放火砲》を戦場に出して起動することが目標だった。

 第3ゲームでは、アイラクシネンがサイドボードから《求道者テゼレット》を叩きつけ、これに対してガットマンは《神秘の論争》で対抗。しかし続けて《時を解す者、テフェリー》を通し、《ゴブリンの放火砲》に対しては《否定の力》で応戦した。しかしその後ガットマンは数ターンにわたり何も引けず、勝負はアイラクシネンに軍配が上がった。

 しかし、第4ゲームでは再びガットマンが巻き返し、白熱の展開に。互いにリソースを使い果たし、次のドローで勝敗が決まる中、ガットマンがトップから引いたのは《偉大なる統一者、アトラクサ》。対するアイラクシネンも次のターンで《ゴブリンの放火砲》を起動できる状態だっただけに、まさにギリギリの勝利だった。

 これで試合はこの日最初の第5ゲームへ突入。アイラクシネンは再びサイドボードから《海の先駆け》を投入し、ガットマンに大きな圧力をかけた。SolitudeでHarbingerを除去し、数ターン後に《ゴブリンの放火砲》へのカウンターも成功させたが、すでに守備体制は崩壊していた。

 そし現れたのは《求道者テゼレット》。この2008年の『アラーラの断片』登場以来の老練なプレインズウォーカーは、ライブラリーから当然のように《ゴブリンの放火砲》を探し出す。ガットマンは回答を見つけられず、アイラクシネンが準々決勝最初の勝者となった。

 他の3試合もすべて第5ゲームまでもつれ込む接戦続きだった。デベネデット=プラマーとオフマンの対戦は、フォーマット内でも最速クラスのコンボであるタメシ・ベルチャーとシミック・ネオフォームの激突。勝敗を分けたのは、デベネデット=プラマーの一手だった。

 サイドボードの《知りたがりの学徒、タミヨウ》で数ターンかけてリソースを蓄えた後、《狼狽の嵐》2枚による打ち合いに勝利。スタックが解消された後、彼の手札に残っていたのは1枚――当然、それは《ゴブリンの放火砲》であり、これを起動して準決勝進出を決めた。

 最後に行われたのは、堀内とシェイベルによるエスパー・ブリンク対イゼット果敢。インタラクション満載のこの対戦は、互いにゲームを取り合いながら迎えた第5ゲーム、シェイベルは土地が少ないものの攻撃的な初手でゲームを開始した。

 しかし堀内の除去は尽きることがなかった。シェイベルは徐々に守勢に追い込まれ、初期の手札を使い切ってしまう。一方堀内はライフ15点を維持しつつ、盤面には《緻密》を展開。爆発力が売りのイゼット果敢だが、初動が止められると手札の補充は困難だ。

 堀内の手札も尽きたが、対するシェイベルの戦場にあったのはパワー1の《僧院の速槍》と数枚の土地、そして使い切った《溶岩の投げ矢》だけだった。プレッシャーをかけられず、堀内が試合の流れを完全に掌握し、勝利を収めた。

 こうして最後の準々決勝、ブオナドナのアミュレット・タイタンと、フランシスコ・サンチェスがスイスラウンドで8勝1敗1分を記録したアゾリウス・コントロールが激突した。アミュレット・タイタン側はデッキを深く掘り進めながら、アゾリウス・コントロールが構築したロックパーツを突破しようと奮闘していた。

 だが、《ウルザの物語》のトークンがバウンスされたとき、すべては終わった。ブオナドナは、サンチェスの後半戦における「コンボ」――《時を解す者、テフェリー》《覆いを割く者、ナーセット》《ガイアー岬の療養所》の組み合わせによって完全にロックされてしまった。サンチェスが想定していた形通りではなかったかもしれないが、勝ちは勝ち。彼は準決勝へと駒を進めた。

準決勝

 最初の準決勝はタメシ・ベルチャーのミラーマッチとなり、デベネデット=プラマーとアイラクシネンが「青いが島は入っていない」戦争を展開した。両者とも大量の打ち消し呪文を備えており、相手の防御が崩れた瞬間に即座に勝負が決まるような緊張感に満ちた対戦だった。しかも、どちらかがキルに向かった瞬間にそれに応じて決着することすらある。5ゲームにも及ぶ準々決勝を戦い抜いた二人にとっては、非常に厳しい展開だった。

 第1ゲームは予想通りの展開となった。両者がいくつかの準備呪文を交わしたのち、アイラクシネンがいち早くコンボを通し、1勝を先取。第2ゲームはデベネデット=プラマーが先手となった。

 第2ゲームでデベネデット=プラマーは、《水蓮の花》を2枚時間経過で設置し、4〜5ターン目のマナ爆発へ備える展開に。嵐の予感を感じ取ったアイラクシネンは、《ファラジの考古学者》でライブラリーを掘り進め決着の準備を試みる。続けて《稲妻罠の教練者》、そして引き込んだばかりの《現実の設計者、タメシ》を手にし、迎えた運命のターン……。

 だが、どれだけ準備していても足りないこともある。アイラクシネンは干渉手段を見つけられず、デベネデット=プラマーが次のターンにコンボを成功させて1勝1敗に持ち込んだ。

 サイドボード後のゲームは、よりインタラクティブで見応えのある展開になると予想されていた。タメシ・ベルチャーはしばしばコンボ要素を削り、インタラクションを増やす傾向があり、デベネデット=プラマーは《知りたがりの学徒、タミヨウ》を唱えてその傾向を示した。両者は盤面に準備用のクリーチャーを素早く展開し、その結果、アイラクシネンはカウンター呪文1枚分の優位を得て先手でゲームを取った。決勝まであと1勝に迫った。

 負けじと、デベネデット=プラマーは次のゲームで先手を活かし反撃。激しい攻防が続いた4ゲームを経て、この準決勝のミラーマッチは最終第5ゲームに突入した。

 第5ゲームは最も長引く展開となった。両者とも必要な2マナの展開パーツを揃えたものの、すぐにコンボに入ることはなかった。互いに牽制しながら好機を伺う。そんな中、アイラクシネンは《ギラプールの希望》を展開し、自身のコンボを通す鍵を握る1枚を確保していた。

 これにより、デベネデット=プラマーは積極的な行動を迫られた。手札には打ち消し呪文が並び、さらに《発明品の唸り》も構えていた。終了ステップに《発明品の唸り》でマナ基盤を整え、勝負をかけて《ゴブリンの放火砲》を唱える――驚きと安堵の中で呪文は無事解決され、デベネデット=プラマーの顔にようやく大きな笑みが浮かんだ。

 これにより、決勝進出者の1人が決まり、残るはあと1人となった。もう一方の準決勝は、サンチェスが操るアゾリウス・コントロールと、堀内が使用するエスパー・ブリンクの対戦となった。両者はサイドボード前の2ゲームを分け合い、互いに相手の戦略を意識して調整されたリスト同士の対決となった。観客は、このトーナメントでも最も洗練されたプレイヤーたちによる、「2本取れば勝ち」という状況の真剣勝負に見入った。彼らはコンボ全盛のメタゲームに背を向け、2025年における「フェア」なマジックの象徴とも言えるアーキタイプを選択していた。

 第4ゲームでは、《鳴り渡る龍哮の征服者》が主役となった。サンチェスのプレインズウォーカーに対してこれを展開した堀内は、この空飛ぶ「ヘイトベアー」でゲームを掌握した。厄介な飛行クリーチャーを処理できず、サンチェスは1回につき3点ずつライフを失っていき、堀内がゲームカウントをタイに持ち込んだ。そして、この対戦もこれまでのトップ8の例にもれず、最終第5ゲームにもつれ込んだ。

 その第5ゲームでも、《鳴り渡る龍哮の征服者》が再びプレインズウォーカー2体と対峙する形で登場した。今回はサンチェスが《覆いを割く者、ナーセット》を一度起動することには成功していたが、それでも状況は厳しかった。《鳴り渡る龍哮の征服者》に続いて堀内が展開したのは、極めて柔軟な役割を果たす《溌剌の牧羊犬、フィリア》。この流れで、堀内はコントロールデッキを打ち倒す道筋を見つけたかに思えた。

 しかし、その道は崩れ去った。《鳴り渡る龍哮の征服者》は追放され、《時を解す者、テフェリー》が《溌剌の牧羊犬、フィリア》をバウンス。空いたタイミングでサンチェスは《星間航路の助言》にキッカーをつけて唱え、ライブラリーを大きく掘り進めた。それによりさらなるカウンターと除去を引き込み、盤面を再び一掃。今度はサンチェスが優位に立った。続けて《覆いを割く者、ナーセット》を展開し、堀内の手札だけが尽きるよう仕向ける。《一日のやり直し》がスタックに乗ったところで、堀内はサンチェスに握手を差し出し、勝利を称えた。

 これにより、ついに決勝戦の舞台が整った。フランシスコ・サンチェスによるアゾリウス・コントロールと、マイケル・デベネデット=プラマーによるタメシ・ベルチャーコンボの対決である。

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