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プロツアー『久遠の終端』

プロツアー『久遠の終端』2日目の注目の出来事
2025年9月28日
世界選手権を目前に控えた今年最後のプロツアーは土曜日も続き、188名のプレイヤーがプロツアー『久遠の終端』に戻り、トップ8とそれに付随するすべての栄光を目指した。もちろん目先の勝敗も重要だったが、それに加えてポイントによる世界選手権への招待もかかっていたため、2日目の順位に関わらず、どのマッチも非常に重要な一戦となった。
この日はプロツアー『久遠の終端』の最後の3回戦のドラフトから始まり、定義しがたいほど多様なモダンフォーマットの5回戦で締めくくられた。そこには、超攻撃的な親和から、爆発的なマナ加速を見せるエルドラージ・ランプ、そして解くのが困難なパズルのようなアミュレット・タイタンまで、あらゆるデッキが揃っていた。
このマラソンのような一日は、初日を無敗で終えた中村修平が親和で快進撃を続けるところから始まり、14回戦で彼に勝利したジャスティン・シェイベル/Justin Schabelがトップ8一番乗りを確定させたことでさらに盛り上がり、そして最後のマッチで堀内真がトップ8最後の座を手にしたところで幕を閉じた。
以下がプロツアー『久遠の終端』のトップ8だ。
- ジャスティン・シェイベル/Justin Schabel(イゼット果敢)
- マイケル・デベネデット=プラマー/Michael DeBenedetto-Plummer(タメシ・ベルチャー)
- ミッコ・アイラクシネン/Mikko Airaksinen(タメシ・ベルチャー)
- メイソン・ブオナドナ/Mason Buonadonna(アミュレット・タイタン)
- フランシスコ・サンチェス/Francisco Sánchez(アゾリウス・コントロール)
- ジョニー・ガットマン/Jonny Guttman(エスパー御霊)
- ノエ・オフマン/Noé Offman(シミック・ネオフォーム)
- 堀内 真/Makoto Horiuchi(エスパー・ブリンク)
こうしてトップ8の顔ぶれが出揃った。
ヴィンテージ級の価値
2025年にカードが強いとされる基準とは? 1995年に刷られたカードと比較されることだ。そんなかたちでこの日のドラフトが始まった。プロツアー『霊気走破』のトップ8入賞者であるルーカス・デュコウ/Lucas Duchowが、《巨大な神核、ウスロス》を含むリミテッドデッキで注目を集めた。「デュコウはヴィンテージ・キューブをやっているようなものだ」と評されたこのコンボ。理想的な数のアーティファクトは引けなかったものの、《巨大な神核、ウスロス》によって8マナ以上を安定して出力し、2日目のドラフトでは2勝1敗の成績を収めた。
この週末、もう一つ1995年のカードと比較された存在があった。それが、モダンで躍進を遂げた親和デッキだった。半分はヴィンテージのようで、半分は《メムナイト》で攻撃しているようなデッキだと評されたこのアーキタイプは、中村とアレックス・フリードリクセン/Alex Friedrichsenをトップ16に押し上げ、会場でも最高クラスの成績を収めたモダンアーキタイプの一つとなった(詳細は後述する)。
CLAWS of Gix? More like CLAUSE of Gix says "Shuhei Nakamura is good at Magic"
— PlayMTG (@PlayMTG) September 26, 2025
nailed it pic.twitter.com/uKCrR99oUr
ギックスのかぎ爪(CLAWS)?というよりもギックスの条文(CLAUSE)が「中村修平はマジックがうまい」と言っているようです。完璧な爪痕
『久遠の終端』の終わりに
『久遠の終端』最後のプロツアーにふさわしく、この週末は数々のビッグプレイが飛び出した。今回のリミテッド環境は、出場者全員が十分に準備して臨んだため、これまでのイベントほど大きな差がつきにくい環境だった。新セットのリリース直後のように、練習時間が限られ、オンラインからの正確なデータも乏しい状況では、優れた準備体制を持つプレイヤーやチームが大きなアドバンテージを得る。しかし今回は、理論上よく理解されたセットをドラフトするという点で、最も経験豊富なプレイヤーたちにとっても挑戦的な内容となった。
「このリミテッド環境は、数か月経ってから挑む形になったのが自分には合っていたと思う。自分は学習には向いているけど、直感はあまり当てにならないから」とTeam Handshakeのジョニー・ガットマン/Jonny Guttmanは語った。「みんながすでに100回以上ドラフトしてる環境では、唯一の差はプレイングに出る」
実際、ガットマンはそのプレイングの差を活かしてドラフト6勝0敗という完璧な成績を記録し、ジャスティン・シェイベル/Justin Schabelやダニエル・ゴーツェル/Daniel Goetschelと並んだ。
「事前のチーム戦略は、最初の5パックではベストなカードを取り、その後にシグナルを見るって方針だった。最初のピックに固執すると、後で絶対に痛い目を見るからね」
長期的な環境が続いたことで、意外にもチーム内の意見の一致が難しくなるケースも見られた。数十、あるいは数百回のドラフト経験が、それぞれに異なる信念や好みを生み、結果としてドラフトの場には今なお緊張感が漂っていた。そしていくつかのチームは大きな成果を収め、この『久遠の終端』のドラフト環境は最後の週末にして再び新鮮な熱気を生んだ。
その環境を「解明」したのが、ミヤジ・ソーン/Miyaji-Thorneが率いるWorldly Counsel Heavy Playである。彼らはリミテッドの試合において驚異の勝率71%を記録し、17人中16人を2日目へと送り込んだ。
Round 16: Our incredible run with 2 players in top8 contention has come to a very bitter sweet conclusion
— Worldly Counsel Heavy Play (@worldlycounsel) September 27, 2025
On the bright side we will have one in top8… but only one and now we have to battle for the slot!
GOOD LUCK BOTH OF YOU @CordoTwin & @Nowayh_pic.twitter.com/EOTeZ3MK6h
16回戦-トップ8争いに2人のプレイヤーが残る素晴らしい戦績でしたが、非常にほろ苦い結末を迎えました
明るい話題としては、トップ8に1人が残ります…しかし、1人だけで、戦わなければなりません!
お二人とも頑張ってください @CordoTwin & @Nowayh_
トーナメントの情景と熱狂
セドリック・フィリップス/Cedric Phillipsは、10年以上にわたりマジックの実況解説を務めてきた経験豊富な人物である。その間(多くの時間をパトリック・サリヴァン/Patrick Sullivanと共に過ごしながら)、数々の記憶に残る名場面を生み出してきた。そして今回のプロツアー『久遠の終端』を経て、そのリストに新たな名場面がまた一つ加わることとなった。
その騒ぎのすぐ隣でも、こんな騒ぎがあった。
If you're going to play Amulet Titan, you need to come prepared. Very, very prepared. #PTEOE@_pg8_ @dominharvia pic.twitter.com/IbeVkBHtw9
— PlayMTG (@PlayMTG) September 27, 2025
アミュレット・タイタンをプレイするなら、準備万端で来る必要があります。本当に、本当に準備万端で。#PTEOE
@_pg8_
@dominharvia
週末を通してアミュレット・タイタンが圧倒的な活躍を見せ、メイソン・ブオナドナ/Mason Buonadonnaがトップ8入りを果たしたことにより、ドミニク・ハーヴィー/Dominic Harveyの指南書には新たな章が必要かもしれない。《原始のタイタン》を軸に据えたこの古き良きデッキは、セットが出るたびに変化しており、今回は《氷耕しの探検家》の加入によって墓地を活用する新たな角度を得た。
アミュレット・タイタンはモダン環境で健在であり、ドミニク・ハーヴィーは文字通りその指南書を執筆した存在だ。このペースでデッキが進化し続ければ、かつて《噴出》の唱え方だけに焦点を当てた有名な本を超える日も遠くないかもしれない。
戦場では、モダンフォーマットはその名に恥じぬ爆発力を見せつけた。シェイベルがイゼット果敢でトップ8入りを果たし、ブオナドナがアミュレット・タイタンで巨大なコンボターンを決めるなど、見どころに事欠かなかった。
リードの猛追撃
大会の注目がトップテーブルに集まるのは当然のことだが、実のところ勝敗にかかわらず常に意味のある試合は行われている。その最たる例がリード・デューク/Reid Dukeだった。彼は2日目での好成績によって、世界選手権の出場権を獲得しようとしていた。殿堂顕彰者ならそれぐらい簡単にできそうだ、と思うかもしれない。
リード・デューク/Reid Duke
だが、どんなプレイヤーでも不運なドラフトからは逃れられない。デュークにとっては事態が悪化し、気付けば1勝4敗と崖っぷちに追い込まれていた。この展開を予想していた者はいなかっただろう。
とはいえ、その後デュークが怒涛の連勝を見せることは、誰もが予測できたはずだ。そして案の定、デュークはこれまで幾度となくそうしてきたかのように見事に勝ち続け、9連勝を果たし、最終的には堂々の10勝6敗で大会を終えた。
So how did @ReidDuke win round 6? Why, with three Ocelot Prides and twenty cat tokens!!!#PTEOE pic.twitter.com/BO6COi297G
— ChannelFireball (@ChannelFireball) September 26, 2025
じゃあ、@ReidDuke はどうやって6回戦に勝ったのか? なぜなら、3体の 《オセロットの群れ》 と20体の猫・トークンでだよ!!!
#PTEOE
モダン・メタゲームの大混戦
プロツアー『久遠の終端』を前にして、モダンのメタゲームはその長い歴史の中でも最も自由度が高い状態に見えた。土曜日に会場へ持ち込まれたデッキのうち、使用率が17%を超えたものは存在しなかった。実際、トップメタのデッキよりも「その他」カテゴリのデッキを選んだプレイヤーの方が多かったことは、出場者にとってどれほど多くの選択肢があったかを示している。
戦いが終わったあと、メタゲームはさらに広がっていた。ジェスカイのようなリストを使用したイーライ・カシス/Eli Kassisやラジャ・スライマン/Raja Sulaimanのようなコントロールデッキは、少数ながらも高いパフォーマンスを発揮した。一方、ボロス・エネルギーや、《超能力蛙》《量子の謎かけ屋》の有無にかかわらずエスパーベースのリストは苦戦した。
主要なデッキの中では、アミュレット・タイタンがトップ8入賞と堅実な勝率を記録し、複雑すぎて使いこなすのが難しいと多くのプレイヤーに考えられていたにもかかわらず、健在であることを証明した。
ベルチャーは今も現役で、青のカウンターをふんだんに積んだ新型に生まれ変わっていた。このデッキは《ゴブリンの放火砲》の起動で一撃を狙うだけでなく、今週末に複数のプレイヤーが見せたように、《水力発電の検体》で殴り勝つこともできた。
モダンらしく、独自の道を歩み、結果を残したプレイヤーもいた。ベントン・マドセン/Benton Madsenは《日を浴びる繁殖鱗》コンボで7-2-1という成績を挙げ、総合18位に入賞。ポール・ツァオ/Paul Tsaoはサムワイズ・コンボで7-3を記録した。彼のデッキには、《サイオニック・ウィーバー、アラクネ》と《ウェブ紡ぎ、シルク》という新戦力も採用されていた。
プロツアー 『久遠の終端』で使用された注目のモダンデッキリストはこちらから閲覧可能。
トップ8 アーキタイプ内訳
- 2 タメシ・ベルチャー
- 1 アミュレット・タイタン
- 1 アゾリウス・コントロール
- 1 エスパー御霊
- 1 シミック・ネオフォーム
- 1 エスパー・ブリンク
- 1 イゼット果敢
トップ16 アーキタイプ内訳
- 2 タメシ・ベルチャー
- 2 アゾリウス・コントロール
- 2 エルドラージ・トロン
- 2 イゼット親和
- 1 エスパー御霊
- 1 シミック・ネオフォーム
- 1 エスパー・ブリンク
- 1 イゼット果敢
- 1 アミュレット・タイタン
- 1 エルドラージ・ランプ
- 1 ボロス・エネルギー
- 1 アゾリウス・ブリンク
トップ16に12種類のアーキタイプが登場したことで、今回のモダンによるプロツアーはまさに歴史に残る多様性を誇るものとなった。
今後の展望
トップ8が決定し、世界選手権への出場権を手にしたプレイヤーも出揃った今、残されたのは第11回となるモダン・プロツアーの優勝者を決めることだけ。決勝ラウンドの配信は、9月28日(日)午前7時(PT)より開始される。配信はMagic.ggおよびTwitchでご覧いただけるので、お見逃しなく!(日本の放送情報はこちらから)
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