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EVENT COVERAGE
プロツアー『タルキール龍紀伝』
準々決勝: Thomas Hendriks(オランダ) vs. Adrian Sullivan(アメリカ)
Craig Jones / Tr. AOKI Chikara
2015年4月12日
トーマス・ヘンドリクス/Thomas Hendriks(緑信心) vs. エイドリアン・サリバン/Adrian Sullivan(青黒コントロール)
プロツアー『タルキール龍紀伝』は8人の参加者を残すのみとなった。日曜日の最初にフィーチャーされるのは、青黒コントロールのエイドリアン・サリバンと、緑信心に強力な《龍王アタルカ》のための赤をタッチしたトーマス・ヘンドリクスだ。
試合の前に彼らとそのチームメイトに話を聞いたところ、このマッチアップはサリバンのコントロールデッキに分があるらしい。ヘンドリクスのチームメイトのオランダ人とフランク・カーステン/Frank Karstenはテストプレイでは五分だったと主張するが、彼自身は青黒側のドローが良くなかったからと感じていたそうだ。
サイドボード前は青黒コントロールが長期戦で有利である。そこまで生き延びられるのであれば、であるが。ゲーム中盤の焦点は信心側がマナランプからの強力なカードでコントロールを振りきれるかどうかにかかっている。ここでの鍵は、カードをライブラリから直接戦場に出す能力でサリバンの打ち消し呪文を回避する《起源のハイドラ》が握る。
サイドボード後は信心側もプレインズウォーカーで反撃する。特に《世界を目覚めさせる者、ニッサ》が4/4にした土地は《精霊龍、ウギン》と《危険な櫃》をかわせて有効だ。
カーステンはそれでも青黒側が有利と考えており、サリバンもそれに同意する。彼はベスト8の中でも信心デッキは一番やりやすい相手だと感じていた。
サリバン側にはさらなる利点として、スイスラウンドをより高い順位で終えたことにより、1ゲーム目の先手を選択できる権利がある。これは《解消》や《雲散霧消》でヘンドリクスの強力な呪文を打ち消すマナを準備できることになるので、非常に重要である。
これらの利点にもかかわらず、予想したようにならないのがマジックというゲームなのだ。
ゲーム
第1ゲームは、サリバンが《雲散霧消》でヘンドリクスの《クルフィックスの狩猟者》を打ち消すという、紹介したとおりに始まった。
ここからコントロールプレイヤーは小さな悲鳴を上げる。ヘンドリクスはマナクリーチャーを連打すると、X=6の《起源のハイドラ》で《囁きの森の精霊》を戦場に送り込む。後者は《信者の沈黙》で除去されたが、6/6の《起源のハイドラ》がサリバンが5マナ目を手に入れるまで2度攻撃する。
サリバンはプレッシャーにさらされている。《起源のハイドラ》を対処するためにタップアウトしてしまうと、なんでも素通しすることになってしまう。サリバンが《胆汁病》を使ってダメージを3点減らしたところで、ヘンドリクスは勝ちに行くために《高木の巨人》を戦場に追加するが......
それはサリバンの《命運の核心》に突っ込んだだけとなった。
古典的な全体除去トリックだ。コントロールプレイヤーの「死んだふり」を決して信頼してはいけないのに。
ヘンドリクスを擁護するなら、彼があとでこぼした通りに「デッキにたった1枚の《命運の核心》なんて引けないはずでしょ。」だ。
サリバンがタップアウトで戦場を一掃した直後、ヘンドリクスにはなにかをプレイするチャンスがあったが、トップデッキは彼の願いを聞き入れてくれず、コントロールデッキが、コントロールを始める。ヘンドリクスが自分のターンに何かプレイしても、サリバンは打ち消すか除去してしまう。ヘンドリクスが何もしなければ、サリバンは《ジェイスの創意》か《時を越えた探索》で手札を再供給する。
この時点でゲームは終わっており、ただ勝ち手段を待つのみとなった。今回は《悪夢の織り手、アショク》によって奪われた《世界を喰らう者、ポルクラノス》が決着をつけた。
第2ゲームはサリバンの打ち消し呪文の用意が整わないうちに、ヘンドリクスが素早く動き始めた。
サリバンが3マナを揃える前に《クルフィックスの狩猟者》が戦場に出される。ヘンドリクスは《起源のハイドラ》で小さな幸運を得た。X=2で《森の女人像》しかめくれなかったものの、シャッフル後にライブラリートップから《クルフィックスの狩猟者》の能力で《山》を引き当てたのだ。
現状、ヘンドリクスにはサリバンの防御を突破できるだけの十分なマナがある。サリバンは《英雄の破滅》で《失われた業の巫師》を除去することしかできない。
サリバンが5マナを揃えて、ゲームは非常に面白くなる。ヘンドリクスは実質戦場に何を出してもよいフリーハンドが与えられているような状態で、2体の《クルフィックスの狩猟者》とサテュロスを呼び続ける《歓楽者ゼナゴス》を擁し、サリバンのライフを少しづつ削っている。これはお互いのデッキリストが公開されているからこその大幅なゲーム展開の変更だ。ヘンドリクスはサリバンのデッキに《霊気渦竜巻》が入っていることを知っているので、もし、よりアグレッシブに攻撃したときにサリバンがこれを持っていると、彼の戦線は一掃されてしまうだろう。
ゲームは慎重なものとなる。ヘンドリクスはフルアタックすれば一撃でサリバンを葬れる十分なクリーチャーをコントロールしているが、用心しながら攻撃を行った。これはサリバンに《信者の沈黙》で余分にクリーチャーを取り除く時間を与えることになったが、抵抗はここまで。《霊気渦竜巻》を持っていないサリバンは、次の攻撃で最後のゲームに進むのだった。
第3ゲームは第1ゲームと似た展開になった。ヘンドリクスは《エルフの神秘家》と《森の女人像》で加速して、最初の脅威となる《囁きの森の精霊》を送り出すが、ターン終了ステップの誘発前に《英雄の破滅》で墓地へ送られてしまう。
4枚目の土地により、《思考囲い》で《再利用の賢者》を捨てさせつつ、次なる《囁きの森の精霊》を《解消》できたサリバン。
このゲームはサリバンの《危険な櫃》を巡る戦いになっている。ヘンドリクスがサイドインした《再利用の賢者》のうち、1枚は対処してある。それを考慮して、サリバンは《危険な櫃》を置いて、次のターンの起動を待つことにした。
ヘンドリクスは難しい問題に直面した。サリバンが《危険な櫃》をコントロールしたままアンタップすると、ターン終了時に起動されて、圧倒的優位に立たれてしまう。彼が下した決断は《起源のハイドラ》をX=9で唱えて、ライブラリーの上から9枚に最後の《再利用の賢者》があることを望むことだった。
ライブラリーからは《世界を目覚めさせる者、ニッサ》が呼び出され、土地を《危険な櫃》の起動に耐えられるクリーチャーにする。だが、これではいけない。サリバンが《危険な櫃》を起動するためにタップアウトしたのだが、そこでは何も脅威を展開できず、遅れてやってきた《歓楽者ゼナゴス》は《軽蔑的な一撃》されてしまう。
4/4になっていた土地も《霊気渦竜巻》で戦場から退場させられてしまった。
今一度、ゲームはコントロール側が勝ち手段を待つ展開、つまりほぼ終わりかけていた。ヘンドリクスがもう必要ないマナ・クリーチャーで攻撃するあいだに、サリバンはドロー呪文で手札を補充する。《悪夢の織り手、アショク》と《精霊龍、ウギン》のタッグが現れて、サリバンにマッチの勝利を呼び込んだのだった。
エイドリアン・サリバンがトーマス・ヘンドリクスを2-1で破って準決勝へ!
10 《森》 4 《ニクスの祭殿、ニクソス》 4 《奔放の神殿》 4 《樹木茂る山麓》 1 《山》 -土地(23)- 4 《エルフの神秘家》 4 《森の女人像》 4 《旅するサテュロス》 4 《クルフィックスの狩猟者》 4 《起源のハイドラ》 2 《失われた業の巫師》 4 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 4 《囁きの森の精霊》 1 《高木の巨人》 3 《龍王アタルカ》 1 《女王スズメバチ》 -クリーチャー(35)- |
2 《歓楽者ゼナゴス》 -呪文(2)- |
2 《再利用の賢者》 1 《スズメバチの巣》 1 《大地の断裂》 4 《ナイレアの信奉者》 2 《歓楽者ゼナゴス》 3 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 1 《高木の巨人》 1 《精霊龍、ウギン》 -サイドボード(15)- |
4 《陰鬱な僻地》 4 《汚染された三角州》 4 《沼》 4 《欺瞞の神殿》 3 《島》 3 《光輝の泉》 2 《華やかな宮殿》 1 《啓蒙の神殿》 1 《疾病の神殿》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(27)- -クリーチャー(0)- |
4 《胆汁病》 1 《究極の価格》 4 《解消》 4 《英雄の破滅》 2 《悪夢の織り手、アショク》 1 《雲散霧消》 1 《悲哀まみれ》 3 《危険な櫃》 2 《信者の沈黙》 2 《ジェイスの創意》 1 《霊気渦竜巻》 1 《命運の核心》 1 《リリアナ・ヴェス》 1 《龍王の大権》 3 《時を越えた探索》 2 《精霊龍、ウギン》 -呪文(33)- |
2 《思考囲い》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《否認》 1 《頭蓋書庫》 1 《ファリカの療法》 2 《悲哀まみれ》 1 《悪夢の織り手、アショク》 1 《霊気渦竜巻》 1 《啓示の解読》 1 《黄金牙、タシグル》 1 《真珠湖の古きもの》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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