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プロツアー『霊気走破』

プロツアー『霊気走破』初日の注目の出来事
2025年2月22日
シカゴへようこそ!外は凍えるような寒さだが、マコーミックプレイス・コンベンションセンターでは、MagicConで開催されるプロツアー『霊気走破』が熱く盛り上がっている。2025年シーズン最初のプロツアーには、300人以上のプレイヤーが参戦し、熾烈な戦いを繰り広げている。
すでにシーズンはせわしなく進んでおり、2月の終わりが近づくにつれ、まるで《ホーントウッドの大主》の時間カウンターがカウントダウンをしているように感じる。しかし、今回のプロツアーは特にエネルギーが高まっている。今シーズンはまずマジック・スポットライト・シリーズがアトランタで開幕し、その後地域チャンピオンシップシリーズが世界各地を巡ってきた。
しかし、すべての焦点はこのプロツアーにある。347人のプレイヤーが入念に調整したスタンダードデッキを持ち寄り、3つの主要なデッキとその他の強力なアーキタイプが入り乱れる環境で戦っている。
今年の世界選手権の出場枠はすでにいくつか埋まっているが、シーズン最初のプロツアーはプレイヤーにとって年間を通じて飛躍するための貴重で大きなチャンスだ。優れた成績を残せば、賞金や名誉だけでなく、次回や次々回のプロツアー出場権を獲得する「プロツアー・トレイン」に乗ることができる。これは、プロツアーの常連プレイヤーが次の大会への出場権を得る仕組みのことを指す。また、今大会は年間最優秀プレイヤー(プレイヤー・オブ・ザ・イヤー)レースのスタート地点でもあり、プレイヤーたちは各大会での勝利を積み重ねていくことになる。
世界選手権や年間最優秀プレイヤーの話題に関連して、2度世界王者に輝いたハビエル・ドミンゲスが、最初のドラフトブースターをカメラの前で開封し、プロツアー『霊気走破』の公式な開幕を宣言した。
初日というひと段落、8ラウンドが終了した時点で、2人のプレイヤーが大会の第一段階をリードした。マット・ナス/Matt Nassとベン・スターク/Ben Starkの2人だ。彼らはどちらも古豪マジックプロプレイヤーであり、リミテッドと構築の両方でその実力を発揮した。
彼らがトップの座についたものの、その差はごくわずかであり、1敗のプレイヤーが10名も後に続いている。その中には、アレン・ウー/Allen Wuやリード・デューク/Reid Dukeのような有名プレイヤーも含まれている。

比較的大規模な参加人数となったことで、トップ8への道のりは最近のプロツアーよりも長くなり、わずかなミスが命取りとなる状況となった。『霊気走破』ドラフトが大会前半のフォーマットとなったため、リミテッドの準備が万全なプレイヤーがその実力を発揮する絶好のチャンスとなった。そして、その結果は見事に表れた!43人のプレイヤーがドラフトラウンドを3-0で突破し、その中には殿堂入りプレイヤーや、過去2年間のプロツアーで活躍したドラフトの名手たちも含まれていた。
43 players went 3-0 in the first #PTDFT draft! They drafted:
— PlayMTG (@PlayMTG) February 21, 2025
RG 2
RG +splash 2
UG +splash 6
BG 5
BG +splash 1
BR 5
GW 2
GW +splash 2
UR 7
UR +splash 1
WB 3
UW 4
UB 1
RW 1
43人のプレイヤーがプロツアー『霊気走破』最初のドラフトで3勝を達成:
赤緑2
赤緑タッチ2
青緑タッチ6
黒緑5
黒緑タッチ1
黒赤1
緑白2
緑白タッチ2
青赤7
青赤タッチ1
白黒3
青白4
青黒1
赤白1
It's four 3-0 drafters and their winning decklists at #PTDFT!
— PlayMTG (@PlayMTG) February 22, 2025
Luna Eason – best card: Aatchik, Emerald Radian
Simon Nielsen – best card: Voyager Quickwelder
Matt Sikkink-Johnson – best card: Boommobile
Andrea Mengucci – best card: Agonasaur Rex pic.twitter.com/9s2AdabQJX
#PTDFT4人のドラフト3勝者とデッキリスト!
ルナ・イーソン -ベストカード:《翠色のラジアン、アーチック_Aatchik, Emerald Radian》
サイモン・ニールセン-ベストカード:《ボヤージャーの急速溶接機》
マット・シッキンク=ジョンソン-ベストカード:《爆弾車》
アンドレア・メングッチ-ベストカード:《アゴナサウルス・レックス》
(ブースター)パックをリードする者たち
プロツアー『霊気走破』は、近年記憶にないほどに特別な大会だった。セットの発売からわずか1週間後に開催されたこのプロツアーでは、各チームがかつての大会では一般的だった「情報の秘匿」という戦略を再び採用することになった。公開情報によれば、『霊気走破』 ドラフトでは緑が最も強い色 だとされていたが、トッププレイヤーたちは「このフォーマットにはまだ学ぶべきことがある」と考え、徹底的に研究していた。
まるでガレージにこもるエンジニアのように、戦略を調整し、最適解を模索し続けたのだ。
「短期間での調整が必要だったので、まずはスタンダードの準備を早めに終わらせて、それからドラフトに集中する計画を立てました」そう語るのはTeam Worldly Counsel Heavy Playに所属するデリック・デイビス/Derrick Davisだ。「このチームに参加したのは、彼らがリミテッドに強いからです。自分にとってはその部分が課題だったので、チームの力を借りたかった。以前所属していたチームでは、ここまで体系的にドラフトの練習はしていなかった。でも、今回は毎回スケジュール通りにドラフトを行う、非常にストイックな調整環境でした。17人が同じハウスに集まり、完全にリミテッド中心のテストができたんです」
そして、この努力は見事に実を結んだ。デイビスはドラフトラウンドで全勝し、Team Worldly Counselの対外試合の勝率は63%を記録。限られた時間の中での調整が、大会での結果に直結した。
「1パック目で最初に青のカードをピックしましたが、その後は完全に迷走しました(笑)。でも、早い段階で届いたシグナルを見て、黒に入るべきだと判断したんです。最終的に、デッキは非常に良い形になり、負けたのはたったの1ゲームでした」
トッププレイヤーは、弱点を強みに変える方法を知っている。
デイビスの快進撃は、まさに「『霊気走破』発売後のすべての時間をリミテッドの練習に全力を注いだ者の理想的なスタート」となった。
経験豊富な強豪がプロツアードラフトで目指す理想形は何だろうか?
「自分は少し青寄りのデッキを組みたいと考えていたんだけど、1パック目の時点で緑青が完全に空いていると分かったんだ。2パック目で《開拓者、おたから》を開封したことで、そのままデッキの方向性が決まった。しかも、2枚のカードで迷っていたら、1枚がそのまま後巡で回ってきたんだ。まさに完璧な展開だったね!」もう1つの成功例となったのはアンソニー・リー/Anthony Lee。彼は的確にシグナルを読み、見事ドラフトトロフィーを獲得した。
Anthony Lee Deck pic.twitter.com/B9KeHmvnsA
— Team Cosmos Heavy Play (@CosmosMTG) February 21, 2025
アンソニー・リーのデッキ
リーは、新しく結成された Team Cosmos Heavy Play に所属している。このチームには、現世界チャンピオンのハビエル・ドミンゲスをはじめ、現在のマジック界のトッププレイヤーたちが多数集結している。このチームを率いるのは、Magic Onlineの名プレイヤーとして知られるショーン "The Beekeeper" ゴダードだ。彼らは、『霊気走破』 ドラフト に対して非常に慎重なアプローチを取り、発売からわずかインターネット上では見落とされていた独自の戦略(発売後わずか数日にもかかわらず)を徹底的に研究した。「最も驚いたのは、『最高速度』メカニズムが必ずしもゲームを高速化するわけではない、ということだった。むしろ、この能力の影響でブロックを選択するインセンティブが大きくなるんだ」と彼は語る。
When you have @_SeanGoddard_ to lead your Limited meetings it's a lot more possible to 3-0 even a Pro Tour draft! Happy to start strong at #PTDFT
— Anthony Lee (@mtgbentcard) February 21, 2025
@_SeanGoddard_がリミテッドのミーティングをリードしてくれるなら、プロツアーのドラフトですら3勝できる可能性はグンと上がるよ!#PTDFTで力強いスタートを切れて嬉しい
After a rough 1-2 draft, I went 5-0 in Standard to finish 6-2 at day 1 of #PTAetherdrift
— Sean Goddard (@_SeanGoddard_) February 22, 2025
Omniscience is a powerful Magic card
荒れたドラフトで1勝2敗。からのスタンダード5勝0敗で#PTAetherdrift初日6勝2敗。
《全知》は超強いマジックのカードだね
スタンダードへのドリフト
プロツアー『霊気走破』のスタンダード環境では、3つの強力なデッキがメタゲームの中心となった。その中でも、過去半年間で最も強力とされてきたグルール・マウスが圧倒的な存在感を放ち、19%という高い使用率をもってリードした。このデッキは、《心火の英雄》、《熾火心の挑戦者》、《多様な鼠》というクリーチャー群に加え、《巨怪の怒り》や 《亭主の才能》 といった呪文を組み合わせたアグレッシブな構成になっている。それに続いたのがエスパー・ピクシー(16%)と版図大主(15%)の2つのデッキ。この3つのデッキが プロツアー『霊気走破』のスタンダード環境を形成する主要な勢力となった。
この3つの主要なデッキに加えて、プロツアー『霊気走破』のスタンダード環境には30種類以上の異なるアーキタイプが存在していた。参加者の1人、ブラム・メルダース/Bram Meuldersは2018年以来となるプロツアーへの出場を果たし、独自のスパイスの効いたデッキの構築に取り組んだ。
「ミラーマッチがあまり好きではないので、メタ上位のデッキ以外で戦える選択肢を探していた。正直、エスパー・ピクシーを一日中プレイするのは無理だと思ったんだ。他に組めるデッキはないか、とね」とメルダースは語る。「最初は《奇怪な宝石》を試したが、最終的には主要な選択肢からは外れた。その後、ボロス・クレンコに挑戦したけど……その話はやめておこう。最終的に、マーフォークか《鑑識の研究者》+《深根の巡礼》の無限コンボに注目したんだ。」
メルダースのデッキはまだ調整の途中だったが、最終的にDay2へ進出した219名のプレイヤーの一人となった。
3巨頭デッキを使ったプレイヤーの中にも、新たな工夫を凝らした構築が見られた。ベン・スタークは、環境から姿を消していたオルゾフ・ピクシーというバージョンで参戦し、見事無敗の成績を収めた。このデッキは《一時的封鎖》を活かしながら、スタンダードの「定番」だった《不浄な別室 // 祭儀室》を再び採用する形となっている。
マット・ナスもまた版図大主の改良版を持ち込み、構築戦でゲーム10勝1敗という驚異的な成績を残した。
刺激的なデッキ構築のエキスパート、フランク・カーステン/Frank Karstenは、メタゲームの中で際立っていた一風変わったデッキについて以下のようなコメントを残している。
- ディミーア・エンチャント(ディミーア・バウンスに似た構成だが、《魁渡》や《永劫の好奇心》の代わりに《精体の追跡者》を採用)もまた9勝3敗の好成績 を記録したイゼット・アーティファクトは2名のプレイヤーの使用に留まったものの、合計7勝3敗の成績を達成。
- 《再利用隔室》や《光輝の睡蓮》を愛用するプレイヤーにとっては朗報。
- アゾリウス系のデッキ《全知》を軸としたコントロール系デッキが、環境の平均よりも高い勝率 を記録。
全体的に見ると、リーダーボードのトップに目立った傾向は見られなかった。グルール・マウスとエスパー・ピクシーは中堅グループに落ち着き、版図大主は3つの主要デッキの中では最も好成績を残したものの、圧倒的な支配力を誇るほどではなかった。つまり、スタンダード環境は依然として混沌としており、覇権デッキが確定しているとは言い難い状況だ。
プロツアー『霊気走破』初日が終わり、明日のDAY2ではさらに多くのプレイヤーが巻き返しを狙うことになる。シカゴに集まったプレイヤーの多くは、スタンダードには「明確な最強デッキが存在しない」と考えていた。そして金曜日の構築戦の結果を見ても、その予想は変わらないままだった。
Can Paul SEE THE FUTURE???#PTDFT @HAUMPH @MatthewLNass pic.twitter.com/zsWi1LUHXe
— PlayMTG (@PlayMTG) February 22, 2025
ポールは未来を見出せるか???
#PTDFT
@HAUMPH @MatthewLNass
今後の展望
1周目は終了したが、土曜日には200人以上のプレイヤーがプロツアー『霊気走破』の続きに参加する。『霊気走破』ブースタードラフトが3ラウンド行われ、その後スタンダードが5ラウンド行われる。
twitch.tv/Magicで生中継される、トップ8が決まるまでのすべての展開にご注目を!
