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プロツアー『霊気紛争』
決勝:Lucas Esper Berthoud(ブラジル) vs. Marcio Carvalho(ポルトガル)
Tobi Henke / Tr. Tetsuya Yabuki
2017年2月5日
ルーカス・エスペル・ベルサウド/Lucas Esper Berthoud(マルドゥ機体) vs. マルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalho(マルドゥ機体)
ついにこのときが来た。16回戦にも及ぶ予選ラウンドを終え、3回戦にわたる決勝ラウンドを終え、423人のプロツアー参加者たちはあとふたりを残すのみとなった。この場にいる両名はこれから優勝トロフィーを懸けた最後の戦いに挑み、勝者は50,000ドルの賞金を手にし歴史の1ページにその名を残すことになる。
観戦者たちからひと際大きな歓声が上がった。彼らはここまで、この決勝の舞台で戦う両者がそれぞれ勝つたびに、ポルトガル語で陽気な歌を歌ってきた。そして、応援してきたふたりが――ポルトガルのマルシオ・カルヴァリョとブラジルのルーカス・エスペル・ベルサウドが――決勝で相見えることになった今、どちらを応援すれば良いかわからず、「どちらも応援することにした」のだ。
カルヴァリョとベルサウドの両者は、ただ母国語が共通しているだけではない。カルヴァリョはチーム「DEX Army」、ベルサウドはチーム「DEXThird」とふたりとも「DEX」の一員であり、また今回使用しているデッキも共通している。両者とも「マルドゥ機体」に青をタッチする選択を取らず、より多くの1マナ域を採用した。この形を組み上げたのは、他ならぬ殿堂顕彰者フランク・カーステン/Frank Karstenだという。彼いわく、「私とペドロ・カルヴァリョ/Pedro Carvalhoでシェアしていた75枚を、ルーカスが火曜日から使い始めたんだ」とのことだ。
最近は競技マジックにかつてほどの時間を割かないことにしているというカーステンだが、共有したデッキリストが結果を出していることには喜びの声を上げた。「いや、正直ここまで勝てるとは期待していなかったよ」
少なくともカーステンの意志は、決勝のテーブルにまで至っている。テーブル上に広げられたメモには、「ありがとう、フランク」と書かれていた。
そしてベルサウドとカルヴァリョの両者には、共通していない点もある。カルヴァリョにとって、決勝を迎えるのは今シーズン2度目だ。世界選手権2016で準優勝を果たしてからというもの、彼は今シーズンのプレイヤー・オブ・ザ・イヤー・レースを牽引する新たなリーダーとなっており、「プラチナ」レベルもすでに達成した。
一方のベルサウドはグランプリ・トップ8入賞の経験はあるものの、今シーズンのプロ・ポイントはここまで文字通り0点だった。プロツアー地域予選を抜けて今大会へ参加している彼は、現時点ですでに「シルバー」レベルに達するポイントを確保した。それでも彼は優勝トロフィーを求める。それを手にすれば、「プラチナ」レベルが付いてくる。
ゲーム展開
いくつかクリーチャーと除去の交換が行われた後に、ゲームが動く瞬間が訪れた。カルヴァリョが《無許可の分解》によるダメージと合わせてベルサウドの《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を退場させたのだ。しかしカルヴァリョもベルサウドによる《無許可の分解》を絡めた反撃を受け、残りライフを12点まで落とされる。
それから2ターン後、ベルサウドは《スレイベンの検査官》を繰り出し、これが決定打となった――騎士・同盟者・トークンと合わせて《キランの真意号》へ「搭乗」し、さらに生み出された「手掛かり」を生け贄に《ピア・ナラー》の能力を起動。カルヴァリョのブロックを阻害する。超高速の第1ゲームが決着したのだった。
第2ゲーム、ベルサウドは土地3枚と「機体」3枚、そして《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》という手札をキープ。カルヴァリョは《屑鉄場のたかり屋》、《スレイベンの検査官》、《キランの真意号》と展開し、ベルサウドの序盤の遅れを突こうとした。
しかしベルサウドはすぐにクリーチャーを立て続けに引き込み、《キランの真意号》と《霊気圏の収集艇》の操縦者を確保するとゲームを膠着させることに成功した。やがて《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の「紋章」によって強化された《キランの真意号》と《霊気圏の収集艇》が、長く続いた膠着状態に終止符を打ったのだった。
2ゲームを落とし後がなくなったカルヴァリョだが、それでも彼は為すべきことをした。次の戦いに向けてシャッフルをする彼の顔には、厳然たる決意が表れていた。
そして第3ゲーム、両者の動きは鏡写しだった。《ショック》と相討ちで互いに最初のクリーチャーを失うと、続けて《経験豊富な操縦者》から《ピア・ナラー》と繋げる。その後カルヴァリョは《キランの真意号》を繰り出し、最序盤に失った《屑鉄場のたかり屋》も戦場へ戻した。一方のベルサウドは早くもガス欠を起こしており、《鋭い突端》を起動して攻撃するのみだった。ターンを終了時には《ピア・ナラー》が《ショック》に撃たれ、状況はさらに悪化した。カルヴァリョが攻勢に出ると、勝負が決まるまでに時間はかからなかった。
第4ゲームは激しい交換で幕を開けた。カルヴァリョの《キランの真意号》は《グレムリン解放》を受け、ベルサウドの《キランの真意号》には《断片化》が差し向けられる。両者とも《ピア・ナラー》を繰り出し、《ショック》が互いのクリーチャーを焼いていった。そして激しい応酬のすえに残ったのは、カルヴァリョの《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》だった。2/2の騎士・同盟者・トークンの軍勢がベルサウドを包囲し、決戦は最終第5ゲームへもつれ込むことになった。
そして迎えた最終ゲーム、ベルサウドはここにきて2ターン目《経験豊富な操縦者》から3ターン目《キランの真意号》、4ターン目《無許可の分解》、5ターン目《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》という動きを見せる。この時点でカルヴァリョの盤面には《スレイベンの検査官》と、除去された《ピア・ナラー》が残した飛行機械・トークンのみ。劣勢は明らかだった。
しかし飛行機械が《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》へ攻撃に向かい、ベルサウドが《キランの真意号》でそれを止めようとすると、そこへ《無許可の分解》が刺さり《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の忠誠カウンターはすべて失われた。さらにカルヴァリョは続くターン《領事の旗艦、スカイソブリン》を繰り出し、盤面は一転――突如としてカルヴァリョの優位になった!
しかしそれも長くは続かなかった。ベルサウドの手にはまだ、最高の切り札が残っていたのだ。《グレムリン解放》が《領事の旗艦、スカイソブリン》と飛行機械を破壊し、そしてもちろんグレムリンが2体「解放」された。カルヴァリョの敗北が決した瞬間だった。
カルヴァリョは大きく肩を落とした。この試合を通して何度も逆転を許したのだから、悔しい気持ちは特に強いはずだ。それでも彼は、ベルサウドの勝利を心から喜んだ。
響き渡るハイタッチの音。飛び交う「プラチナ」という単語。そして、「ふたりとも、最高の試合だった!」という声が、ポルトガル語で聞こえてきた。
ルーカス・エスペル・ベルサウドがマルシオ・カルヴァリョを3勝2敗で撃破! ベルサウド、プロツアー『霊気紛争』優勝おめでとう!
3 《平地》 3 《山》 4 《感動的な眺望所》 1 《鋭い突端》 4 《秘密の中庭》 1 《凶兆の廃墟》 1 《燻る湿地》 4 《産業の塔》 2 《霊気拠点》 -土地(23)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 3 《発明者の見習い》 4 《屑鉄場のたかり屋》 4 《経験豊富な操縦者》 2 《ピア・ナラー》 1 《異端聖戦士、サリア》 -クリーチャー(22)- |
2 《ショック》 4 《無許可の分解》 4 《キランの真意号》 2 《霊気圏の収集艇》 3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(15)- |
1 《発明者の見習い》 2 《無私の霊魂》 1 《致命的な一押し》 1 《断片化》 1 《空鯨捕りの一撃》 2 《グレムリン解放》 1 《耕作者の荷馬車》 2 《領事の旗艦、スカイソブリン》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 1 《鋭い突端》 -サイドボード(15)- |
4 《平地》 3 《山》 4 《感動的な眺望所》 1 《鋭い突端》 4 《秘密の中庭》 1 《凶兆の廃墟》 4 《産業の塔》 2 《霊気拠点》 -土地(23)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 2 《発明者の見習い》 4 《屑鉄場のたかり屋》 4 《経験豊富な操縦者》 2 《ピア・ナラー》 2 《異端聖戦士、サリア》 -クリーチャー(22)- |
3 《ショック》 4 《無許可の分解》 4 《キランの真意号》 1 《霊気圏の収集艇》 3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(15)- |
2 《無私の霊魂》 1 《大天使アヴァシン》 1 《致命的な一押し》 1 《断片化》 1 《ショック》 1 《空鯨捕りの一撃》 2 《燻蒸》 2 《グレムリン解放》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 1 《鋭い突端》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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