- HOME
- >
- EVENT COVERAGE
- >
- プロツアー『霊気紛争』
- >
- プロツアー『霊気紛争』1日目ドラフト全勝者たち
EVENT COVERAGE
プロツアー『霊気紛争』
プロツアー『霊気紛争』1日目ドラフト全勝者たち
Tobi Henke / Tr. Tetsuya Yabuki
2017年2月3日
今大会も出だしの3回戦を終え、54人のプレイヤーが全勝で切り抜けた。彼らは新たな『霊気紛争』/『カラデシュ』ドラフト環境にてひと際優れた無敗デッキを組み上げ、本日のドラフト部門で最高成績を収めたのだ。当然、彼らのデッキや戦略、好みの色の組み合わせやシナジーに興味が湧くというものだ。
初日全勝のドラフト・デッキで最も多く採用された色は緑だった。54人のうち26人がメイン・カラーとしており、続けて白、赤、青、黒の順に使用された。
全勝者たちの中で最も人気を集めたアーキタイプは「緑白『紛争』」であり、「青赤『即席』」がそれに続いた。緑をメイン・カラーに据えた組み合わせはどれも成功しているが、一方「白黒」や「青黒」は全勝者が少なく、そして「黒赤」は最も少ない数に留まった。とはいえ、10種すべての色の組み合わせが少なくとも3人の全勝者を輩出している。
もうひとつ、先日リミテッドで行われたグランプリ・サンノゼ2017とグランプリ・プラハ2017にて話題になったのが、土地の枚数だ。コストを軽減できる「即席」や低コストでカードを引ける「器具」サイクルがあるため、『カラデシュ』3パックのドラフトと比較して土地の枚数を減らせるかもしれないと主張するプレイヤーがいたのだ。中には土地が15枚や14枚のデッキでの成功を見せてくれたプロもいた。では今大会はどうだったか。全勝者のうち4人を除いて、土地の枚数は16枚か17枚だった。平均すると16.4枚だ。
以上のトピックについて、初日ドラフト部門全勝者の中から4人に話を聞いた。早速、最も有名なプレイヤーからご紹介しよう。ジョン・フィンケル/Jon Finkelは今大会「緑青」のデッキをドラフトし、全勝スタートを切った。
「初手は、やや弱いパックから《異端の飛行機械職人》。私は赤が最強の色だと思っている」と、殿堂顕彰者ジョン・フィンケルは言う。「緑はコモンの層が厚いが、見た目より強くないことが多い。それでも、2手目に《霊気風浴び》をピックした。こいつは文字通りバケモノだ。そのパックには《不撓のアジャニ》と《復讐に燃えた反逆者》もあったけれど......」
フィンケルはこの環境にはマナの注ぎ込み先がそれほどなく、キャントリップを持つカードが多いことを指摘する。土地は15枚か16枚が正解であるケースが多いと感じていた。「そこが通常のリミテッド環境と異なる点だ。普通なら17枚が基本で18枚の場合も多いからね」
それでも緑に関しては、《造命物騎兵》やそれからもちろん《霊気風浴び》のように重いコスト帯に強力なクリーチャーを有するため、土地は多めでも構わないと彼は言う。そして事実、フィンケルのデッキは土地が17枚になった。だが彼が言うには、これを鵜呑みにして判断を間違えないように、とのことだ。
9 《森》 8 《島》 -土地(17)- 2 《霊気急襲者》 1 《遵法長、バラル》 1 《霊気流の豹》 1 《博覧会場の吠え象》 1 《内陸のドレイク》 1 《ならず者の精製屋》 1 《ピーマの先導》 2 《造命物騎兵》 1 《水辺の虎》 1 《洗練された鍛刃士》 1 《霊気風浴び》 -クリーチャー(13)- |
1 《獰猛器具》 1 《捕食》 1 《枷はずれな成長》 1 《丈夫な手工品》 1 《否認》 1 《人工物への興味》 3 《置き去り》 1 《弱者狩り》 -呪文(10)- |
同じく殿堂顕彰者のベン・スターク/Ben Starkは、フィンケルの意見に同意した。
「仮にこの環境における最適な土地の枚数をシミュレーションするプログラムを無限に走らせたら、絶対に16枚に限りなく近づいていくと思う」と彼は言う。「16.5枚とか16枚ちょっととかじゃなく、16枚だ。《改革派の地図》は実質的に土地として機能するし、《霊気との調和》もある。『器具』を3枚入れれば土地を1枚減らせる。《改革派の地図》か《霊気との調和》を入れても土地を1枚減らせるね」
そこで初日全勝者たちが採用した平均土地枚数を伝えると、彼は結果だけを見て判断するのは危険だと警鐘を鳴らした。「土地を入れすぎても勝つことはあるからね」
彼自身の成功について尋ねると、スタークは笑顔を見せた。「たぶんジョンより簡単な道だったんじゃないかな。強力なレアとアンコモンだらけのデッキが組めた。ここ最近でこれだけ全勝できそうなデッキが組めた記憶はないな......」
8 《森》 8 《沼》 -土地(16)- 2 《シャイラ専有地の賢者》 1 《霊気毒殺者》 1 《たかり猫猿》 1 《巻きつき蛇》 2 《霊気流の豹》 1 《絹織りの精鋭》 1 《亢進するサイ》 1 《復讐に燃えた反逆者》 2 《霊気運用者》 1 《逆毛ハイドラ》 1 《豪華の王、ゴンティ》 1 《歩行貯蔵器》 1 《起伏鱗の大牙獣》 1 《マリオネットの達人》 -クリーチャー(17)- |
1 《捕食》 1 《改革派の地図》 1 《枷はずれな成長》 1 《高峰の注入》 1 《悪意器具》 1 《残酷な決断》 1 《巨怪の猛攻》 -呪文(7)- |
ダブリンといえば、前回この地で開催されたプロツアー『テーロス』を制したジェレミー・デザーニ/Jeremy Dezaniに話を聞かねばなるまい。今大会でもすでに、木曜日に彼と話す機会があったのだが、そのとき彼はドラフト・ラウンドが楽しみだと言っていた。
「この環境は好きだよ」とデザーニは言う。「グランプリ(先週末のグランプリ・プラハ2017)ではチームメイトの中で最高の勝率をあげて16位以内に入賞できた。今回のドラフトには自信がある」
そして今大会初日のドラフトを全勝したことで、彼の自信はさらに深まったようだ。
「組んだデッキは『白青』だ」とデザーニ。「この環境の白は好ましくないけれど、青は気に入っている。除去として機能するオーラを4枚と多く採用したから、《上級建設官、スラム》が大活躍だった。どの試合も危なげなく2連勝できたよ」
8 《島》 7 《平地》 1 《山》 1 《尖塔断の運河》 -土地(17)- 1 《理論霊気学者》 1 《精緻会の改革派》 1 《航空船の略取者》 1 《上級建設官、スラム》 1 《砦の執行官》 1 《ギラプールのミサゴ》 1 《ヴィダルケンの刃の達人》 2 《尖塔の巡回員》 1 《守護フェリダー》 1 《難破船ウツボ》 1 《暁羽の鷲》 1 《異端の飛行機械職人》 1 《歩行貯蔵器》 -クリーチャー(14)- |
1 《抜き取り検査》 2 《凍り付け》 1 《軽業の妙技》 1 《光に目が眩む》 1 《金属の叱責》 1 《空鯨捕りの一撃》 1 《誤動作》 1 《慮外な押収》 -呪文(9)- |
最後はマーティン・ジュザ/Martin Juza。彼は現時点で、今シーズンのプロツアーにおいてドラフト部門で1度も負けていない唯一のプレイヤーだ。昨年のプロツアー『カラデシュ』に続いて今大会の初日でも全勝を果たしたため、現在9勝0敗で2016-2017年シーズンの「ドラフト・マスター」の有力候補と目されている。
「ちょっと面白い話があるんだけど」とジュザは言う。「プロツアー『カラデシュ』ではチーム『Cabin Crew』の構築合宿とドラフト・キャンプに参加したんだけど、そこで僕は一度も全勝できなかったんだ。全敗もなかったけど、全勝もなかった。25回~30回くらいドラフトをやったのに。それで、プロツアーでは6戦全勝。そして実は、今回も同じなんだ。25回くらいドラフトやって、一度も全勝なし。いざプロツアーを迎えたら、3連勝できた。こういうもんだよね」
この話を補足するように、ジュザは続けた。「僕は練習で負けても気にしない。むしろ学ぶ過程での負けは歓迎するよ。5回連続で0-3したとしても、プロツアーでやるべきでないことを学べたなら受け入れられる」
今回の彼の全勝デッキは「青黒」だが、それは彼の好みの組み合わせではなかった。「7手目と10手目に《テゼレットの手法》が流れてきたから、オーケー、誰もやりたがらないなら僕が『青黒』をやろうと考えた。そして『カラデシュ』で《歯車襲いの海蛇》が欲しいと強く願ったら3枚取れた。1枚は自分で引き当てたんだけど、そのパックには《予言のプリズム》もあった。そこでは《歯車襲いの海蛇》の方が欲しかったからそっちをピックしたら、《予言のプリズム》も戻ってきたんだ。その時点で今日はツイてると確信したね。最終的には、僕らが『《太陽の指輪》』って呼んでる《霊気装置の設計図》と《歯車工の組細工》まで手に入ったし」
8 《島》 8 《沼》 -土地(16)- 1 《増強自動機械》 1 《商人の荷運び》 1 《才気ある霊基体》 1 《光り物集めの鶴》 1 《金属ミミック》 1 《溶接自動機械》 1 《戦利品の魔道士》 1 《警戒自動機械》 1 《武器作り狂》 1 《砦の発明者》 3 《歯車襲いの海蛇》 -クリーチャー(13)- |
2 《悪意器具》 1 《霊気溶融》 1 《歯車工の組細工》 1 《予言のプリズム》 1 《霊気装置の設計図》 2 《テゼレットの手法》 1 《残酷な決断》 1 《果敢な爆破》 1 《当然の結論》 -呪文(11)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
RANKING ランキング
NEWEST 最新の記事
-
2024.11.12観戦記事
The Week That Was: 熱烈な勇者の帰還|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.27観戦記事
第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権 決勝戦|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.26トピック
第30回マジック世界選手権 トップ8プロフィールとデッキリスト|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.26観戦記事
Magic World Championship 30 Day Two Highlights|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.25観戦記事
Magic World Championship 30 Day One Highlights|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.25戦略記事
The Spiciest Decklists of Magic World Championship 30|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権