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マジック25周年記念プロツアー
デッキテク:レガシーにおける「死の影」デッキ
2018年8月4日
《死の影》はモダンであたかも啓示のごとく発見された。『ワールドウェイク』で最初に印刷されたときは「ただ存在する」だけのカードに過ぎなかったが、数年が経過しジョシュ・アター=レイトン/Josh Utter-Leytonによってモダンで革命を起こすに至った(参考:グランプリ・バンクーバー2017決勝・リンク先は英語)。
最近では、《死の影》デッキは環境における有力なアーキタイプのひとつであるが、一方彼がグランプリ・バンクーバー2017で優勝したときには、このフォーマットのあり方に一石を投じるものだと考えられていた。モダンは決して「遅い」環境ではないものの、これほどまでに効率一辺倒で質実剛健なものは他になく、モダンのデッキというよりはレガシーのデッキのようにプレイされていたのだった。
そして、さらに1年ほどを要したものの、レガシーにおいて《死の影》デッキを開花させたのも、当然のごとくアター=レイトンであった。
青黒《死の影》。今回のマジック25周年記念プロツアーに、アンドリュー・ベックストーム/Andrew Baeckstromをはじめとして2日目の上位に残ったプレイヤーを含む9人が持ち込んだデッキは、このアター=レイトンのデッキに着想を得たり、もしくはそれを基準に調整されたものだった。
「《死儀礼のシャーマン》が去ったからやっと可能になったんだ。《死の影》のためにライフを減らすと、最後あれにやられるから非常に危険だったんだ」とベックストームは語る。「死儀礼がいなければ、もうライフを減らすリスクは相当に減ったよ」
それを成し遂げるために、この大会で見出された新たな材料を含むいくつかの進歩があった。
「《再活性》はとてもいいんだ」とベックストームは意味ありげに言う。「普通このカードでは1マナのクリーチャーを戻すんだけど、たまに《通りの悪霊》を戻すこともあるんだ。これは、パワー3のクリーチャーである上に、沼渡りという有用な能力を備えているからね。もちろん、それによって《死の影》が育つことも大事だ」
レガシーがマジック史上最高の脅威によって構成されるフォーマットであるにもかかわらず、なぜ今このタイミングで《死の影》が輝くのだろうか? もちろん《死儀礼のシャーマン》の退場はこのデッキにとって必要な変化だったが、それ以上にまだこの13/13を輝かせるために必要なことがあった。
「《ギタクシア派の調査》は、《死の影》のマジック史上最高の相棒かもしれないから、それが禁止された後に《死の影》デッキを使うのは奇妙に見えるかもしれないね」とベックストームは言う。「ただし、実はレガシーというのは非常に前のめりな環境で、特に《目くらまし》や《不毛の大地》がある中で脅威の展開に2マナ使うというのはコストが高すぎるんだ。その結果、《死の影》は他のクリーチャーと比較しても十分使えるものになるんだ。僕にとっては、《瞬唱の魔道士》や《グルマグのアンコウ》、《タルモゴイフ》よりも優れているね。これに対抗できるのは基本的に《悪意の大梟》だけかな。《死の影》を使うためには自分を傷つける必要があるものの、1マナのカードが増やせることで、特にデルバー系ミラーマッチに有効なんだ」
実際、このデッキはメインデッキ戦において(条件によるが)2マナ以上のカードはプレイしない。《意志の力》、《殺し》、そして《目くらまし》はそれぞれ代替コストがあり、そして《通りの悪霊》は《再活性》なくして戦場に出ることはなく、そして《グルマグのアンコウ》も普段は1マナでのみプレイされるのだ。
もちろん、これほどまでに1マナのカードに依存したデッキをレガシーで使うということはリスクを負うものであり、それはいくらかのメジャーなデッキが1ターン目に《虚空の杯》を展開してくることだ。これと戦うため、このデッキは素晴らしいサイドボード・プランを持っている。
《ゲスの玉座》だ。この奇妙なアーティファクトは、特に他のアーティファクトがないデッキではおかしく見えるかもしれないが、実際には非常に独創的な役割を果たすのだ。自身を生け贄に能力を起動し《虚空の杯》の上のカウンターを増殖すると、その縛りは「2」へと移り、それにより《死の影》デッキの手を解き放つのだ。そしてさらに良いことに、それはその後すべての2マナ呪文を自動的に打ち消すため、もう一度《虚空の杯》をX=1で置き直すことすらできなくするのだ。これは《仕組まれた爆薬》ほど柔軟なカードではないが、爆薬にはできない「その後に出てきうるすべての杯にもまとめて対処する」ということができるのだ。
それ以外にも、可能な限り有効なクリーチャーや打ち消し、そして手札破壊がサイドボードには含まれている。《死儀礼のシャーマン》が去った後のメタゲームの隙間を埋めうる候補がひとつ、ここに見つかったと言えるだろう。
(Tr. Keiichi Kawazoe)
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