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EVENT COVERAGE
マジック25周年記念プロツアー
メタゲームブレイクダウン:モダン
2018年8月3日
モダンは特にここ数年大人気のフォーマットになっており、今年のはじめには久しぶりにプロツアーにも戻ってきた。(「ランタン・コントロール」が優勝し「マルドゥ・パイロマンサー」や「人間」、「虚ろな者」が大活躍を見せた)プロツアーはメタゲームを固める一助にはなったものの、モダンは常に変化を続けるフォーマットであり、それは2018年も例外ではない。『ドミナリア』と『基本セット2019』の登場により再び環境は変動し、変化を繰り返しながら「マジック25周年記念プロツアー」を迎えることになったのだ。
それでは今大会のデッキ分布を見てみよう。
アーキタイプ | 使用者数 | 使用率 |
---|---|---|
人間 | 27 | 16.36% |
白青コントロール | 18 | 10.91% |
アイアンワークス | 17 | 10.30% |
緑単トロン | 17 | 10.30% |
虚ろな者 | 13 | 7.88% |
黒赤「復讐蔦」 | 10 | 6.06% |
バント・スピリット | 6 | 3.64% |
ジェスカイ・コントロール | 6 | 3.64% |
マルドゥ・パイロマンサー | 6 | 3.64% |
ストーム | 5 | 3.03% |
赤白バーン | 4 | 2.42% |
親和 | 3 | 1.82% |
バント・カンパニー | 3 | 1.82% |
グリクシス「死の影」 | 3 | 1.82% |
発掘 | 2 | 1.21% |
接合親和 | 2 | 1.21% |
赤緑「風景の変容」 | 2 | 1.21% |
白青スピリット | 2 | 1.21% |
アブザン | 1 | 0.61% |
むかつき | 1 | 0.61% |
アミュレット・タイタン | 1 | 0.61% |
ブルームーン | 1 | 0.61% |
エルドラージ&タックス | 1 | 0.61% |
エルフ | 1 | 0.61% |
グリショールブランド | 1 | 0.61% |
グリクシス・コントロール | 1 | 0.61% |
緑白呪禁 | 1 | 0.61% |
ジャンド | 1 | 0.61% |
ジャンド「復讐蔦」 | 1 | 0.61% |
死せる生 | 1 | 0.61% |
マルドゥ・スーパーフレンズ | 1 | 0.61% |
ナヤ・バーン | 1 | 0.61% |
赤緑「虚ろな者」 | 1 | 0.61% |
赤緑トロン | 1 | 0.61% |
無限ターン | 1 | 0.61% |
ティムール「風景の変容」 | 1 | 0.61% |
青赤コントロール | 1 | 0.61% |
もはや見慣れた光景だが、「人間」デッキが最も多くの使用者数を集めた。また「トロン」や「虚ろな者」、「アイアンワークス」が上位5デッキに入っているのも驚くことではないだろう。しかし「白青コントロール」が今大会第2位の勢力を築くに至るとは、予想外だったのではないだろうか。
ここ数年のモダンのメタゲームは、コントロール・デッキにとって極めて厳しいものになっていた。存在するデッキの種類があまりに幅広く、数々の脅威と対峙し続けながらコントロールを保つのは至難の業だ。
そこでいくつかのアーキタイプに対して抱えていた問題を解決する助けとなり、状況を一変させたのが《廃墟の地》だった。《墨蛾の生息地》や《変わり谷》といったクリーチャー化する土地を破壊できることはもちろん大きな利点のひとつだが、おそらく最も重要だったのは「トロン」に対する相性の変化だろう。土地を失うことなく「ウルザトロン」コンボを止められるようになったことで、相性は大きく改善した。そのおかげでメイン・デッキもサイドボードも、他のデッキへの対策に力を入れられるようになったのだ。《終末》や《神の怒り》、《至高の評決》と複数採用された全体除去は大抵の盤面を一掃し(それと同時に《翻弄する魔道士》の指定を迷わせ)、《アズカンタの探索》と《ドミナリアの英雄、テフェリー》がひとたび機能し出せば、ゲームを確実に閉幕へ導くことができるだろう。
「白青コントロール」の躍進は、アグロとコンボで溢れかえっていたモダン環境にとって歓迎すべきことだ。こうして今大会は、昔ながらのデッキ分布を見せたのだった。
デッキタイプ | 使用者数 | 使用率 |
---|---|---|
アグロ | 75 | 45.45% |
コントロール | 38 | 23.03% |
コンボ | 34 | 20.61% |
トロン | 18 | 10.91% |
デッキの分類についてはある程度主観も入っているが(例えば「緑白呪禁」をコンボに分類するかアグロに分類するかなど)、上記の表は今大会のモダン環境の概略を示している。「白青コントロール」をはじめとした(そこから大きく離れて「ジェスカイ・コントロール」が続く)コントロール系がメタゲームの23%を占めるというのは、以前からの大きな進歩と言えるだろう。このアーキタイプが成功した理由は、最大勢力の「人間」デッキを仕留められることが大きい。
その他特筆すべき点は以下の通りだ。
- コンボ・デッキの中では「アイアンワークス」が最大勢力となった。マット・ナス/Matt Nassの大活躍(彼はこの極めて複雑なコンボ・デッキでグランプリ・トップ8入賞3回、うち2回優勝を成し遂げたのだ)を受けて、今大会では17人ものプレイヤーがこのデッキを選択した。「アイアンワークス」は無敵のデッキとまでは言えないものの、対策カードへの耐性が極めて強い。《クラーク族の鉄工所》と《屑鉄さらい》が組み合わさると、《外科的摘出》や《根絶》を含めて大抵の対策カードを打ち破ることができるのだ。(その方法はかなり複雑だが、詳しくはこちらをご覧いただきたい:リンク先は英語。)その他の対策カードは《仕組まれた爆薬》で吹き飛ばすことができ、また《石のような静寂》のような典型的な妨害カードの影響を受けずに戦うこともできる「アイアンワークス」が、今週末の一級コンボ・デッキとなったのだった。
- 「トロン」もいつも通りの人気を誇っているが、しかし以前より《廃墟の地》と《減衰球》が増えているため、この週末は苦しい戦いを強いられるかもしれない。
- モダン・フォーマットといえば無数に広がるアーキタイプで有名だが、「マジック25周年記念プロツアー」の舞台でもそれは変わっていない。今大会では37個ものアーキタイプが並び、「無限ターン」や「死せる生」、「マルドゥ・スーパーフレンズ」といったデッキも姿を見せた。
- 今大会で花開く可能性を秘めたデッキもいくつかある。まずは『基本セット2019』で《至高の幻影》を手に入れて一気に強化された「スピリット」系に触れないわけにはいかないだろう。今大会では8人がこのデッキを選択しており、そのうち6人は緑を足して《貴族の教主》と《集合した中隊》を採用している。《呪文捕らえ》などの瞬速持ちが多く、また《鎖鳴らし》によって瞬速を与えることもできるため、それらとの組み合わせは完璧だ。2色にこだわったプレイヤーはより強固なマナ・ベースと《ムーアランドの憑依地》を扱うことができ、また『基本セット2019』の新戦力《悔恨する僧侶》も採用している。
- 《復讐蔦》が帰ってきた。印刷されて以来エターナル・フォーマットでの活躍をたびたび見せてきた『エルドラージ覚醒』の強打者が、モダンでの長い休息を経て復讐に戻ってきたのだ。これを可能にしたのは、やはり『基本セット2019』だった。《縫い師への供給者》が、これまでにないデッキを実現させたのだ。今回の「復讐蔦」デッキは、かつての「ドレッジヴァイン」を思い起こさせる。《縫い師への供給者》と《歩行バリスタ》や《搭載歩行機械》といった0マナ・クリーチャーを駆使すれば、早ければ1ターン目から《復讐蔦》の能力を誘発できるのだ。中には《無謀な奇襲隊》も採用してさらなる爆発力をを求める冒険心の強いプレイヤーもいる。現時点ではこのデッキの力は未知数だが、今週末注目の1作と言えるだろう。
- 《民兵のラッパ手》は「人間」デッキの新たな主力となっているようだ。「人間」デッキは、これまでも《修復の天使》から《つむじ風のならず者》まで序盤のプレッシャーを維持する方法を探ってきた。《民兵のラッパ手》はこのデッキにおける新たな基準となり、こうしてモダンに影響を与えた『基本セット2019』のカードがもう1枚増えることになった。《民兵のラッパ手》が「人間」デッキにもたらすものは、単にカードを引けるというだけではなく、見た目以上に大きい。「人間」デッキには、《スレイベンの守護者、サリア》から《帆凧の掠め盗り》、《翻弄する魔道士》まで妨害クリーチャーが多く採用されているが、《民兵のラッパ手》はそれらすべてを探し出すことができる。コントロール・デッキや除去が豊富なデッキに弱い「人間」デッキだが、《民兵のラッパ手》の加入によってクリーチャーの補充ができるだけでなく、必要なときに必要なクリーチャーを探し出すことができるようになった。その力は、「人間」デッキがメタゲームの最上位を保持できるほどなのだ。
- 「親和」を選択したプレイヤーは5人いるが、その中の2人は王道とも言える構成を避けて《硬化した鱗》や《電結の働き手》、そして《ゲスの玉座》も採用し、クリーチャーに+1/+1カウンターを積み上げていく新しい形に挑んだ。また、ほとんどの「親和」デッキがメイン・デッキあるいはサイドボードに《ウルザの後継、カーン》を採用している。
(Tr. Tetsuya Yabuki)
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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