EVENT COVERAGE

プレイヤーズコンベンション横浜2026

インタビュー

チャンピオンズカップファイナル シーズン5ラウンド1 優勝者 矢嶋 竜明 選手インタビュー

富澤 洋平(撮影者:瀬尾 亜沙子)
 

 フォーマットがモダンへ切り替わった「チャンピオンズカップファイナル シーズン5ラウンド1」(以下、チャンピオンズカップファイナル)。『リアリティ・フラクチャー』発売から間もなく開催されことで、既存のデッキやアップデートされたデッキなど、さまざまな工夫がみられました。

 そんな激動のフォーマットを制したのはドメイン・ズーを使用した矢嶋 竜明選手でした。

 矢嶋選手といえば、2024年の「ジャパンスタンダードカップ:『サンダー・ジャンクションの無法者』」で初栄冠を果たしました。

 また、MO(Magic Online)の強豪プレイヤーとして知られるryuumeiであり、あらゆるフォーマットに精通した競技プレイヤーでもあります。

 チャンピオンズカップファイナルを優勝し、喜びを噛みしめる中、簡単にお話を伺いました。

 

――マジックはいつからやっているのでしょうか?

矢嶋「『テーロス』のころからです」

――では、競技マジックはいつごろから取り組んでいますか?

矢嶋「最初から競技マジックをやろうと始めました。MOから入ったのもありますね」

――MOは弱肉強食、チケット制の厳しい世界ですよね。

矢嶋「元々競技的なプレイが好きなんです。別のカードゲームでも大会参加を中心にしていて、その後マジックを始めました」

――なぜそこまで競技的なプレイを好むのでしょうか。対戦して勝つのがお好きとか?

矢嶋「勝つために練習するのが好きなんです。勝てればなんでもいいわけではりません」

――より強い対戦相手を求めるサ〇ヤ人思考でしょうか。

矢嶋「どちらかというと対戦相手よりも自分との戦いですね。自分がいけると思ったデッキで、大会へ参加して確かめる。デッキ構築をして、大会へ参加して試して、どのくらい勝てたかを確認しています。誰に勝てたかは気にしていません」

――課題をみつけ準備して大会する、さながらテスト対策のようですね。

 

――これまでの戦績を教えていただけますか?

矢嶋「プロツアーへ4回出場しています」

――普段からオンライン中心にマジックをされていると思いますが、今大会に向けてどのように調整されましたか?

矢嶋「基本ずっとMOで、リーグ/Leagueやチャレンジ/Challengeへ参加していました。だいたいそうですね……それしかしてないです」

――今回ドメイン・ズーを選んだ経緯を伺えますか?

矢嶋「モダンは大まかにフェア(非コンボ)デッキとアンフェア(コンボ)デッキがいて、アンフェアデッキが主流です。ですが、根本的に自分はフェアデッキが好きで、好みにあっているのが一番の理由です」

――イゼット果敢もモダンを代表するフェアデッキですが。

矢嶋「実際にイゼット果敢を練習したんですが、ミラーマッチが多そうだと思いやめました。数少ないフェアデッキからドメイン・ズーがいいな、勝てる確率が高いと思い選択しました」

――ドメイン・ズーといえば《ギルドパクトの力線》絡みの動きが強力ですね。

 

矢嶋「その印象が強いと思いますが、《ギルドパクトの力線》を出しただけではダメなんです。カード1枚分損をしていますし。《ドラコの末裔》までプレイしてやっと成立します」

矢嶋「しかもコンボデッキには対した意味がないんです。例えば《ギルドパクトの力線》+《ドラコの末裔》を決めたとしても、ルビー・ストームやリビングエンド、シミック新生化には効果的ではありません。サイドアウトします」

 

矢嶋「基本的にはボロス・エネルギーやイゼット果敢などのフェアデッキ用です。環境の2割くらいですかね。勝利貢献度的には《敏捷なこそ泥、ラガバン》を1ターン目にプレイできるかどうかが大きいです」

――《敏捷なこそ泥、ラガバン》繋がりですと、ボロス・エネルギーも選択肢となりますが。

矢嶋「ボロス・エネルギー、下手なんですよこれが。ボロス・エネルギーを使い慣れた友人に画面共有して、MOのプレイを見てもらったら毎ターンダメ出しされてしまって。1ターン目に出すクリーチャーから違うと突っ込みが入って、その次のターンも違うと。それで向いてないと思いやめました」

矢嶋「ボロス・エネルギーはある程度昔からあるデッキなので、ずっと使い続けている一流プレイヤーには敵わない。同時に、対ボロス・エネルギーのゲームプランは熟知されていて、デッキの強みがでないと考えました。ドメイン・ズーは使い込んでいる人もミラーマッチもあんまりいなそう、流行っていないデッキ特有の強みがある気がします」

――MOのModern Challengeでも優勝されていましたね。

矢嶋「1月ほど前のModern Challengeをドメイン・ズーで優勝しました。はたから見れば同じドメイン・ズーかもしれませんが、自分的には全然違うと思っています」

――構築の変化を教えていただけますか。

ryuumei - 「ドメイン・ズー」
Magic Online Modern Challenge 16 / モダン(2026年9月5日)[MO] [ARENA]
1 《栄光の闘技場》
4 《乾燥台地》
4 《溢れかえる岸辺》
1 《神無き祭殿》
1 《インダサのトライオーム》
1 《草萌ゆる玄関》
1 《霧深い雨林》
1 《山》
1 《平地》
2 《蒸気孔》
1 《寺院の庭》
1 《轟音の滝》
4 《樹木茂る山麓》
-土地(23)-

4 《量子の謎かけ屋》
4 《敏捷なこそ泥、ラガバン》
4 《ドラコの末裔》
4 《縄張り持ちのカヴー》
-クリーチャー(16)-
4 《力線の束縛》
4 《ギルドパクトの力線》
4 《稲妻》
1 《虹色の終焉》
2 《呪文嵌め》
2 《頑固な否認》
4 《部族の炎》
-呪文(21)-
1 《鳴り渡る龍哮の征服者》
4 《記憶への放逐》
2 《真昼の決闘》
2 《神秘の論争》
2 《黒曜石の焦がし口》
1 《安らかなる眠り》
3 《空の怒り》
-サイドボード(15)-

矢嶋「Modern Challenge優勝時は《野生のナカティル》0枚です。クリーチャーは《敏捷なこそ泥、ラガバン》、《ドラコの末裔》、《縄張り持ちのカヴー》、《量子の謎かけ屋》がそれぞれ4枚の計16枚のみ。この内ダメージクロックと呼べるのは《量子の謎かけ屋》を除く12枚のみで、コンボデッキ相手に勝率が落ちてしまっていました」

矢嶋「当時はエスパー・ブリンクやエスパー御霊などがいてよかったんですが、そこからメタゲームが動いて緑単繁殖鱗コンボやイゼット果敢が増加していきます。受けに回ってはばかりでは勝てず、追加のクロックが欲しいなとなり《野生のナカティル》採用へといたりました」

――《野生のナカティル》に着想を得てデッキが完成したわけですか。

 

矢嶋「《部族の炎》が先ですね。結構いいなと思っていて、そこに方向性を合わせる意味で《野生のナカティル》が入りました。カードパワーの観点ではいつでもクビにしてもいいくらい、デッキ内で一番弱い4枚です」

矢嶋「逆に《部族の炎》は最高のカードです。元々《部族の炎》と《量子の謎かけ屋》でバーンみたいにプレイヤーへ火力打ち続けながらドローする動きに手ごたえを感じていました」

――《量子の謎かけ屋》とバーン構成は面白いですね。

矢嶋「準決勝のエスパー・ケトラモーズとのマッチアップはバーンプランを狙っていました。対エスパーはリソースゲームをしても勝てず、クリーチャーは全部除去られてしまうので、基本的にはライフを狙うだけ。これは手ごたえがありましたね」

――なにか、調整の中で特別なカードやテクニックなどをデッキに入れたりしたのでしょうか?

矢嶋「それこそ《部族の炎》ですね。世間的には別の構築のドメイン・ズーが流行っていまして、《野生のナカティル》と《部族の炎》の代わりに、《思考囲い》と《超能力蛙》を4枚ずつ採用しています。でもそれよりは《部族の炎》のほうが強いと信じていたので、そこらへんの意識の差は大きいと思います」

矢嶋「《思考囲い》と《超能力蛙》の利点があまりみえてないんですよね。カードパワーは高いんですよ。猫(《野生のナカティル》)弱そうじゃないっすか、令和に《野生のナカティル》?みたいな。それよりも《思考囲い》と《超能力蛙》のほうが強いんで。強いカードたくさん入れようみたいな思考だと思います。でも、それよりもライフを攻めたほうがいい。自分にはそのプレイスタイルが合っている。ライフを攻めることだけはずっとやってきたので」

――ジャパンスタンダードカップを勝ったのも攻撃的な赤単でした。

 

矢嶋「それと同じノリです。ずっと赤単は使っていて、今のスタンダードでも隙あらば使いたいと考えています。赤単は好きなので。ずっと火力を打ち続けてきたので自分のプレイスタイルに合っています」

――手に馴染んだ戦略を選択されたわけですか。

矢嶋「手に馴染んだドメイン・ズーでね。それと《部族の炎》をクリーチャーへうつゲームは大抵負けます。実際に、イゼット果敢相手に《僧院の速槍》を除去するために使ったんですが、苦しいーってなって負けました」

――大会当日の当たりはどうでしたか。

矢嶋「思ったよりも緑単繁殖鱗コンボが多かったです。せいぜい10%くらいかなと思っていました(実際は16.9%)。逆にボロス・エネルギーは少なくて、10%を越えてもおかしくないと思っていましたから。エスパー系、イゼット果敢は予想通りでした」

矢嶋「実際、緑単繁殖鱗コンボは5回対戦しました。スイスラウンドで4回、決勝ラウンドで1回当たり全勝でした。逆にイゼット果敢はそんなに有利じゃないかなと思っていました。スイスラウンドで2回当たり、1勝1敗。だから決勝も別に有利な認識はなくて、全然負けるなと思いながらプレイしていました。結果的に引きが強すぎて勝ちました」

――運も実力の内といいますから。

 

矢嶋「有利な緑単繁殖鱗コンボに5回当たって、その内準々決勝でも1/8を引けてラッキー。イゼット果敢は不利認識だったので、準決勝はエスパー・ケトラモーズでラッキー。決勝は世界選手権の権利は獲得しているし、気楽にやろうと思っていたらブン回ってラッキーでした」

――準決勝ではフルセットまでもつれ込む死闘でしたが、《敏捷なこそ泥、ラガバン》をプレイしたタイミングについてお聞かせください。

矢嶋「1ターン目は絶対に出しません。初手に《超能力蛙》を対処できるカードが《厳しい説教》のみだったので、絶対に構えないと。《敏捷なこそ泥、ラガバン》を出して、返しに《超能力蛙》は流石にないです」

矢嶋「2ターン目以降はずっと選択肢でありました。実際に2ターン目は考えましたが、疾駆に合わせてピッチの《孤独》をプレイされてしまうと、宝物トークンが出ず、《厳しい説教》が構えられないのでなしに」

矢嶋「3ターン目は1マナ構えて出せるので疾駆で走らせました。結果的に《冥途灯りの行進》されてクロックなくなったな、そんな思考過程でした」

 

――《超能力蛙》をケアしつつ、ゲームを進めていたわけですか。

矢嶋「配られたリソースでうまくゲームを作る必要があるので。その2ターン後に《力線の束縛》を引いたわけですが、初手にはなかったカードですから」

──この2日間で、特に印象的な試合はありますか?

矢嶋「直前に発売されたばかりの『リアリティ・フラクチャー』を使えるのがおもろいなと思いました。スイスラウンドで負けたマッチアップがグルール《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》でした。《ヘクスヘイヴンの活性者》が強すぎて、ブロックしたら《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》が誘発してしまうし、警戒でアタックにもいけず。最後に《縄張り持ちのカヴー》で突っ込み、ルーティングにかけましたが、《力線の束縛》を引けず負けました」

矢嶋「井上 徹さんのイゼット果敢にも負けました。《驕慢な戦闘魔道士》が4枚入っていて、ちょうどそこが強くて。カード1枚で《コーリ鋼の短刀》を誘発させられて、ジャイグロ×2でピッタリ削られました。ゲーム2は《驕慢な戦闘魔道士》のルーティングを上手く使われて殴り負けました」

 

矢嶋「『リアリティ・フラクチャー』のカードに負けた、このエキスパンション強いぞと実感しましたね」

――イゼット果敢は《驕慢な戦闘魔道士》入りのほうが強そうですか。

矢嶋「メタゲーム次第です。ミラーマッチの《溶岩の投げ矢》に弱い。《驕慢な戦闘魔道士》自体は強いですが、ミラーマッチが多いならあんまりです。逆にミラーマッチ以外では《驕慢な戦闘魔道士》を採用したほうが強そうです。メタゲーム次第なので、また一週間後は全然違う結果だと思うんですけどね」

──今回の勝因は何だったんでしょうか。

矢嶋「有利なマッチアップである緑単繁殖鱗コンボに5回当たれたのは大きいですね。モダンはデッキタイプが多いので、特に有利なマッチを多く踏めたのはラッキーでした」

──今回の賞金の使い道は考えていますか?

 

矢嶋「とりあえずプロツアーへ参加するとして半分、さらに世界選手権の権利もとれたので参加するとして残る半分も消えておしまいですかね。基本的に、マジックで得た賞金はマジックに使う。デッキもフォーマットに合わせて新しく組む必要がありますし。2月はプロツアーはモダンだから、ドメイン・ズーかとは思いますが。細部は多少変更しても、アーキタイプは変わらないです」

――また《部族の炎》を打つ姿がみれそうですね。次回のプロツアーの目標を教えてください。

矢嶋「プロツアーの最高成績が8勝8敗なので、チェイン(次回のプロツアーへの権利獲得ライン)といわれる10勝6敗を目指したいです。プロツアーで10勝できるとチェインしていき、それが安定すると自然と世界選手権へ出られるようになると思うので。今回獲得した世界選手権への参加権利は飛び級(上位賞での権利獲得)ですから」

――ステップアップしていく感じですか。

矢嶋「まずはチェイン、次はトップ8、その次で世界選手権みたいなステップかなぁ。直近はプロツアー10勝6敗が目標になります」

──最後にご友人や調整仲間など、お礼があればいただけますか?

矢嶋「一緒に調整する友人とディスコードで通話しながらマジックしています。話しながらプレイするとモチベーションが継続できるなと実感していて。やっぱり友人とワイワイマジックできるのには楽しいなぁと、感謝しています」

――おめでとうございます、どうもお疲れさまでした!

 

 次のチャンピオンズカップファイナルは来年2月6・7日、久しぶりの愛知県で開催されます。その前には11月には28・29日に東京都内でエターナル・ウィークエンドがあります。

 また観戦の目玉としては、まもなく11月13~15日に第32回マジック世界選手権が控えています。

 それではまた次のイベントでお会いしましょう!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

サイト内検索