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プレイヤーズコンベンション横浜2025

スタンダードデッキピックアップ ~『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』~
『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』発売から間もないタイミングで開催されたスタンダードの大型イベント「ジャパンスタンダードカップ:『アバター 伝説の少年アン』 Supported by 楽天ブックス」(以下、ジャパンスタンダードカップ)。こちらはグルール昂揚の優勝で幕を閉じたわけだが、トップ8に新生コンボデッキであるバント・エアベンダーが入賞しており、新たなデッキの萌芽を目の当たりにした大会でもあった。
今大会の参加者は360名にのぼり、シミック・アグロをはじめ、『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』によってアップデートを果たしたデッキに人気が集まっていた。既存のアーキタイプはデッキパワーが担保されており、前述のシミックアグロにしても《アナグマモグラの仔》とわかりやすくパワーアップしているためだ。
対照的に独自の調整を施したデッキを持ち込み、戦果をあげたプレイヤーがいたのもまた事実だ。少ない調整時間で膨大なカードプールの中から新たな原石を発掘し、研磨してきたわけである。これらのデッキは今後のスタンダード環境を大きく揺るがす存在となり得るかもしれない。
本稿ではジャパンスタンダードカップで6勝以上をあげたデッキの内、『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』の影響を受けたデッキを紹介していく。本稿がデッキ構築の参考となれば幸いである。
バント・エアベンダー
| 4 《始まりの町》 2 《フラッドファームの境界》 4 《繁殖池》 4 《マルチバースへの通り道》 4 《ハッシュウッドの境界》 1 《平地》 2 《植物の聖域》 -土地(21)- 1 《孔蹄のビヒモス》 4 《素早き救済者、アン》 4 《ラノワールのエルフ》 4 《アナグマモグラの仔》 4 《遺伝子送粉機》 4 《岐路に立つアン》 4 《木苺の使い魔》 4 《灰毛の天才、オーロック博士》 1 《量子の謎かけ屋》 4 《不動の守護者、アッパ》 -クリーチャー(34)- |
3 《自然の律動》 2 《気のベンダーの位に至る》 -呪文(5)- |
1 《嵐の目、ウギン》 1 《聖戦士の奇襲兵》 2 《縫い目破り》 2 《ティシャーナの潮縛り》 2 《群青の獣縛り》 1 《鋭い目の管理者》 1 《エイヴンの阻む者》 2 《天井に隠れろ》 2 《アバターの怒り》 1 《腹黒茸》 -サイドボード(15)- |
バント・エアベンダーは、《灰毛の天才、オーロック博士》、《素早き救済者、アン》、《不動の守護者、アッパ》の3枚からなる気の技を使ったコンボデッキである。
戦場に《灰毛の天才、オーロック博士》と《素早き救済者、アン》を出し、手札に《不動の守護者、アッパ》があれば準備完了。《不動の守護者、アッパ》をプレイし、《素早き救済者、アン》を対象に気の技を使用。
追放領域から先ほどの《素早き救済者、アン》をプレイすることで、《不動の守護者、アッパ》の能力が誘発し、同盟者トークンが生成される。《素早き救済者、アン》の戦場に出たときの能力で《不動の守護者、アッパ》を気の技の対象にする。
この際のコストは追放領域から唱えているため、《灰毛の天才、オーロック博士》により0マナとなる。
これにより同盟者トークンが1体追加された状況で、最初と同じ戦場になる。以降は《不動の守護者、アッパ》と《素早き救済者、アン》を交互に追放領域と戦場を行き来させるだけで、同盟者トークンが増えていく。無限トークン生成コンボの完成である。
3枚コンボと聞くと、コンボパーツを集めるのも大変そうだが、クリーチャーを探し出せるカードが多く採用されている。《岐路に立つアン》や《自然の律動》は足りないクリーチャーを探し出す助けとなるカードである。
新鋭コンボデッキ、ぜひお試しあれ。
ディミーア・セルフバウンス
| 7 《島》 4 《湿った墓》 4 《不穏な浅瀬》 4 《グルームレイクの境界》 5 《沼》 -土地(24)- 3 《精体の追跡者》 4 《孤立への恐怖》 -クリーチャー(7)- |
3 《不気味なガラクタ》 3 《チビボネの加入》 2 《保安官を撃て》 4 《嵐追いの才能》 3 《食糧補充》 3 《声も出せない》 4 《ブーメランの基礎》 4 《逃げ場なし》 3 《クルクの伝説》 -呪文(29)- |
2 《軽蔑的な一撃》 2 《戦略的裏切り》 1 《保安官を撃て》 2 《魂標ランタン》 3 《腐食の荒馬》 3 《零地点のバラード》 2 《迷いし者の骸》 -サイドボード(15)- |
ディミーア・セルフバウンスは、《チビボネの加入》や《逃げ場なし》などの戦場に出たときに効果を誘発するパーマネントを、《孤立への恐怖》や《ブーメランの基礎》で手札へ戻して使い回す、中速タイプのコントロールデッキである。
手札破壊、クリーチャー除去といった状況に応じたパーマネントを使用し、ゲームをコントロールしていく。それらのパーマネントを《孤立への恐怖》や《ブーメランの基礎》で手札へ戻して、再度プレイすることでアドバンテージを稼いでいく。
全体的に軽いカードが多く、手札の消耗が激しいものの、中盤以降に良質なドローエンジンが揃っている。《精体の追跡者》はデッキにフィットした1枚であり、瞬速と違和感を持ち、対戦相手の隙をついてプレイ可能。着地後はエンチャントとシナジーを形成し、追加のカードを引かせてくれる。
《クルクの伝説》も追加ドローできる英雄譚であるが、変身するとトークン生成付きのフィニッシャーへと早変わり。この2種類のドローカードに加えて《食糧補充》まで採用されており、戦力が途切れず戦えるデッキに仕上がっている。
スゥルタイ・リアニメイト
| 1 《沼》 2 《ウィローラッシュの境界》 1 《森》 3 《地底の遺体安置所》 2 《迷路庭園》 3 《繁殖池》 2 《魂の洞窟》 4 《ウェイストウッドの境界》 1 《地底街の下水道》 3 《湿った墓》 2 《グルームレイクの境界》 -土地(24)- 4 《最後の贈り物の運び手》 4 《スーペリア・スパイダーマン》 3 《簒奪者、アーデン》 4 《繁殖蜘蛛》 2 《マラング川の執政》 2 《破壊の嵐孵り》 2 《ベイルマークの大主》 4 《蒸気核の学者》 -クリーチャー(25)- |
4 《誉れある死者の目覚め》 3 《苦々しい勝利》 4 《幻獣との交わり》 -呪文(11)- |
1 《最深の裏切り、アクロゾズ》 2 《ティシャーナの潮縛り》 1 《乱伐者、ボニー・ポール》 2 《群れの巣人》 2 《逃げ場なし》 2 《漁る軟泥》 1 《災厄の占い師、グラルブ》 2 《死人に口無し》 2 《受け継ぎし地の開墾》 -サイドボード(15)- |
スゥルタイ・リアニメイトは《スーペリア・スパイダーマン》で《最後の贈り物の運び手》を選ぶリアニメイトデッキ。
《スーペリア・スパイダーマン》を唱えることで《最後の贈り物の運び手》の条件を満たし、能力が誘発する。戦場を一掃しつつ、墓地からクリーチャーを出せるわけだ。
ほかにも《簒奪者、アーデン》がリアニメイト候補であり、1枚で脅威を展開し続けてくれる。
コンボの軸が墓地ということで、残るは枠は切削やルーティングなどの墓地を肥やす要素となっている。《ベイルマークの大主》は一度に掘れる枚数が多く、《蒸気核の学者》は手札に来てしまった《最後の贈り物の運び手》を捨てるには適したクリーチャーだ。
《誉れある死者の目覚め》は除去、切削、さらに墓地へ落ちてしまった《スーペリア・スパイダーマン》や前兆を拾う役割を兼ねている。
墓地に依存したコンボであるため墓地対策を苦手としていたが、《アガサの魂の大釜》が減った今、追い風となっている。
イゼット講義
| 1 《轟音の滝》 2 《始まりの町》 1 《山》 4 《島》 4 《マルチバースへの通り道》 4 《リバーパイアーの境界》 4 《尖塔断の運河》 -土地(20)- 4 《ばあば》 -クリーチャー(4)- |
4 《嵐追いの才能》 4 《ブーメランの基礎》 4 《爆裂の技》 1 《アイローの表演》 4 《火の技の修行》 4 《「占星術師」の天球儀》 4 《積み重ねられた叡智》 4 《愛着を捨てる》 4 《飲めば潤う!》 3 《美術家の才能》 -呪文(36)- |
3 《否認》 1 《塔の点火》 2 《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ》 2 《洪水の大口へ》 2 《轟く機知、ラル》 3 《紅蓮地獄》 2 《魂標ランタン》 -サイドボード(15)- |
イゼット講義は非クリーチャー呪文と相性の良い《嵐追いの才能》と《「占星術師」の天球儀》を軸に、大量の講義カードでバックアップしていくデッキ。講義カードを墓地にためることで、ボーナス効果を得られる。
《嵐追いの才能》や《「占星術師」の天球儀》を展開し、攻防の起点とする。特に《「占星術師」の天球儀》はトークンを育てるため、優先的にプレイしたいカードである。
《火の技の修行》や《飲めば潤う!》で対戦相手の脅威を除去していく。
ゲームがスローダウンすれば《美術家の才能》や《愛着を捨てる》で手札の質をあげ、同時に墓地に講義カードをためていくチャンス。
墓地に3枚以上の講義カードがたまればいよいよこのデッキの本領発揮。《積み重ねられた叡智》で圧倒的なアドバンテージを稼ぎ、手札の枚数で優位に立つことができる。2マナで3枚ドローのハイリターンカードへと生まれ変わる。
強力なクリーチャーに対しては《爆裂の技》の出番。講義カード分ダメージがプラスされるため、ほとんどあらゆる脅威へ対処できる。
また、同じ戦略でありながら、フィニッシャーを《トレイリアの恐怖》などのクリーチャーへと変更した構築があったため、併せてご覧いただきたい。
| 3 《轟音の滝》 6 《島》 3 《始まりの町》 4 《リバーパイアーの境界》 4 《尖塔断の運河》 -土地(20)- 4 《渦泥の蟹》 2 《トレイリアの恐怖》 4 《峠の大蛇》 -クリーチャー(10)- |
4 《火の技の修行》 1 《洪水の大口へ》 4 《嵐追いの才能》 4 《積み重ねられた叡智》 4 《愛着を捨てる》 4 《飲めば潤う!》 4 《ブーメランの基礎》 4 《爆裂の技》 1 《アイローの表演》 -呪文(30)- |
1 《洪水の大口へ》 2 《否認》 2 《呪文貫き》 4 《紅蓮地獄》 3 《ティシャーナの潮縛り》 2 《魂標ランタン》 1 《アイローの表演》 -サイドボード(15)- |
アゾリウス・フラッシュ
| 3 《不穏な投錨地》 3 《始まりの町》 4 《フラッドファームの境界》 3 《島》 3 《マルチバースへの通り道》 2 《行き届いた書庫》 1 《放棄された気の寺》 4 《平地》 2 《魂石の聖域》 -土地(25)- 4 《フラッドピットの溺れさせ》 3 《素早き救済者、アン》 4 《エイヴンの阻む者》 4 《勝利の楽士》 4 《永劫の好奇心》 3 《遠眼鏡のセイレーン》 2 《ティシャーナの潮縛り》 -クリーチャー(24)- |
3 《アンの氷山》 2 《アバターの怒り》 3 《失せろ》 3 《喝破》 -呪文(11)- |
2 《軽蔑的な一撃》 4 《縫い目破り》 3 《永劫の無垢》 2 《除霊用掃除機》 1 《スパイダーセンス》 1 《アバターの怒り》 2 《鳴り渡る龍哮の征服者》 -サイドボード(15)- |
アゾリウス・フラッシュは瞬速を持つクリーチャーやインスタントを中心に構築された、妨害と展開を同じタイミングおこなえるトリッキーなデッキである。対戦相手視点では打ち消しや除去を構えているのか、瞬速を持つクリーチャーが出てくるのか判別がつきにくく、適切な対処が難しい強みがある。
《エイヴンの阻む者》と《素早き救済者、アン》はこのデッキの要といえるクリーチャー。3マナで対戦相手の呪文に干渉しつつ、同時にクリーチャーを展開できる。《素早き救済者、アン》は場に出ているクリーチャーも対処でき、汎用性が高い点も見逃せない。
《永劫の好奇心》は展開していたクリーチャーにドロー能力を付与するフィニッシャーであり、追放除去以外では対処できません。場持ちが良く、飛行クリーチャーの多いこのデッキに適している。
軽量クリーチャーデッキに対して後れを取りがちだが、その隙を《アバターの怒り》が補完している。気の技による疑似的な全体除去だが、「次のあなたのターンまで、対戦相手は自分の手札以外から呪文を唱えることはできない」の一文により、追放領域からのプレイを禁止される。
また、《エイヴンの阻む者》は気の技と非常に相性が良く、戦場にいるだけで気の技の対象となったカードをプレイするコストを引き上げられる。《アバターの怒り》とセットで運用したい組み合わせである。
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