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インタビュー

ジャパンスタンダードカップ:『カルロフ邸殺人事件』優勝者 佐藤 啓輔選手インタビュー

Seo Asako

 新セット発売直後の開催となった「ジャパンスタンダードカップ:『カルロフ邸殺人事件』Supported by 楽天ブックス」。1日目は予選ラウンド10回戦ののち、夜遅くまでかけて準々決勝と準決勝を実施。そして2日目の朝8時半から決勝という、変則的なスケジュールで行なわれました。「エスパー・ミッドレンジ」デッキを使用してみごと優勝した佐藤選手に、決勝後簡単にお話をうかがいました。

 

――まずはマジック歴からお聞きしたいと思います。

佐藤「中学のとき、『メルカディアン・マスクス』~『インベイジョン』くらいのころにやっていて、『神河物語』でいったん離れたんですけど、大学で友人がやっていたのをきっかけにまた再開しました。フォーマットとか関係ない、カジュアルな感じでしたけど」

※佐藤さんの経歴などについてはこちらのインタビュー記事もご参照ください。

――そこからどんなふうに競技マジックに入っていくんですか?

佐藤「当時、地元新潟のカードショップによく行っていて、GPT(グランプリ・トライアル)で優勝してbye(不戦勝)をもらったのがきっかけで、2013年のグランプリ北九州に出てみたのが最初でした。呪禁オーラが勝ったときですね。そのときは初日落ちだったんですが、たまたま次のグランプリ静岡ではトップ8に入れて、そこからのめりこみました。 就職で東京に出てきてからどっぷりで、グランプリに毎回出て、権利が取れればプロツアーに行って……。最初にプロツアーの権利が取れたときは、仕事とかぶって行けなかったんですよ。それでもう1回権利を取りたいと思っていて、しばらくかかった気がします」

――そうすると、初プロツアーはいつですか?

佐藤「千葉であった2016年のレガシーのグランプリで勝って、アイルランドで開催されたプロツアー『霊気紛争』(2017年)に行ったのが最初かな?」

――そこからMPL(マジック・プロリーグ)に入り、世界選手権にも参加……と活躍していきます。

佐藤「MPLに入ったのはけっこう、たまたまでしたね。調子のいいときにうまく勝てたのがよかったです」

マジックとの付き合い方

――その後プロリーグの制度がなくなり今に至る流れだと思うのですが、最近はどういうスタンスでマジックと付き合ってらっしゃるんですか?

佐藤「今はまた新潟に戻っていて、MPLとかのころとは全然環境も違いますね。競技マジックを辞めはしないんですけど遠征とかはなかなか難しいですし、ペースは落とそうかなと考えていました。考えていたんですけど……今回勝ったので、またがんばろうかなと(笑)」

――「マジックは放してくれない」的な話、よくありますよね。

佐藤「そうですね。今回、チャンピオンズカップファイナルのほうもできれば出たかったんですけど、エリア予選を毎回まわることはせずに、何回か出てダメだったらいいかなという感じだったんですね。次のプロツアーに絶対出たい!という気持ちは今は正直あんまりなくて……なので無理せず、今回はジャパンスタンダードカップのほうに参加しました」

――じゃあ今はメインはMagic OnlineやMTGアリーナをメインにやっている?

佐藤「アリーナでやっている予選や、店舗予選のフォーマットに合わせてアリーナやMOで調整している感じです」

デッキ調整について

――では、今回のデッキ調整もそんな感じでしたか?

佐藤「ここ1、2週間は仕事がかなり忙しくて時間が取れず、1人で調整しました。エスパー・ミッドレンジを回しながら、せっかく新しいセットが出るのでそのカードも絶対入れよう、と思って探した感じですね。普通だとちょっとおもしろくないので」

――エスパー・ミッドレンジにしようと思っていたのは前からですか?

佐藤「前の環境のスタンダードでもかなり有力だと思ってましたし、自分もミッドレンジが得意なので、中心に練習しました。『カルロフ邸殺人事件』が入るまでは既存のカードで組んでおいて、使えそうなカードをピックアップしておいて、新カードが入ってからは2、3日だけ……正直あんまり試せなかったですけど」

――追加した『カルロフ邸殺人事件』のカードはどうでしたか?

佐藤「《謎めいた外套》は特に活躍しましたね。あれで3マッチくらい取ったレベルです。1枚差しなんですけど、いい感じに来てくれて。にらみ合った盤面であれだけで攻撃が通って決めてくれたりしました」

――とすると、1枚じゃなくてもよかった?

佐藤「いや、難しいですね……。今のスタンダードは3マナ圏に強いカードがそろっていて、ライバルが多いので」

――では、決め手は《謎めいた外套》をいいところで引くことですね。

佐藤「そうですね。ミラーとか、長期戦デッキどうしの場合は戻して出し直してマナフラッド受けにもなるので、そういった面でも強いカードです」

――この大会はデッキ非公開制ですが、公開制と変わってくるような部分ってありますか?

佐藤「エスパー・ミッドレンジの理想の動きは2ターン目にクリーチャーを出して3ターン目に《策謀の予見者、ラフィーン》を出すことなので、2ターン目のアクションを意識してキープするようにします。先手なら、理想の動きができるなら除去がなくても行っちゃえって感じですし、後手でも2、3ターン目動けるならキープですね。相手のデッキにアジャストするのはサイド後で、頑張って合わせていく感じです」

――サイドの話が出ましたが、どういったデッキを意識されてたんでしょうか。

佐藤「直前でボロス召集が出てきて、けっこういるかもと思ったので、少し意識したサイドにしました。でも結局1回しか当たらなかったんですけどね(笑)」

――ボロスの人数はけっこう多かったんですが。昨日はどんなデッキと当たりましたか?

佐藤「だいたいまんべんなく当たって……デッキタイプがかぶったのは1回だけじゃないですかね。8勝1敗で、最後は決勝の相手の方とID(インテンショナル・ドロー、合意による引き分け)しました」

タフなトーナメントの経験

――昨日は12回戦あって、だいぶ皆さんお疲れの様子でしたが、佐藤さんはそんなに疲れが見えなかったですね、ミスらしくミスもなくて。

佐藤「そうですか?疲れてましたよ(笑)。ただまあ、疲れたからミスったというのはあんまりなかったかもしれないですね。でも疲れてはいたので、今朝もまず起きることからで(笑)。ちゃんと起きられてよかったです」

――プロリーグ時代、深夜にハードなトーナメントでずっと戦い続けてたわけですから、その経験がタフさにつながったのではと。

佐藤「そうですね……深夜のイベントは大変なんですよね。それで体力付いたかどうかわかんないですけど、まあ少し耐性はあるかもしれないですね」

――最後に、賞金の使い道をお聞きしていいですか?

佐藤「カードでもらったので、カード買って還元しようかなと。おしゃれカード……拡張アートとかイラスト違いとかが好きなので」

――ああ、いろいろ使ってらっしゃいましたね!

――ワーク・ライフ・バランスを大事にしてマジックと付き合っていくというお話でしたが、今後の目標はどうなりますか?

佐藤「これで次のチャンピオンズカップファイナルの権利は取れたので、そのときは頑張ろうかなと思います。ファイナルの予選を免除されたので、アリーナ予選とかオンラインのほうを頑張りつつ、配信もたまにやって、楽しくマジックを続けていけたらなと思っています」

――長く続けるためにも、無理せず楽しむのは大切ですね! 今日はありがとうございました。


決勝後、友人の皆さんと
 
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