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プレイヤーズコンベンション横浜2023

戦略記事

チャンピオンズカップファイナル サイクル2 初日 メタゲームブレイクダウン

Hiroshi Okubo

 「チャンピオンズカップファイナル サイクル2」開幕! 各地で開催される店舗予選と、店舗予選を勝ち抜いたプレイヤーのみが参加できるエリア予選、あるいはプレミアム予選を突破した猛者の集まる、日韓最強決定戦だ。

 上位18名のプレイヤーは、さらに上位の大会である世界大会、プロツアーへの出場権利を獲得することとなる。世界へと通じる最後の関門といえる本大会は、スタンダードで争われる。

 2月3日に『ファイレクシア:完全なる統一』が追加されてから約1ヶ月。強力なカードが大量に追加されたスタンダードの最新のメタゲームは、現在どのような様相となっているのか? ここでは大会参加者のメタゲームブレイクダウンをお届けしよう。

チャンピオンズカップファイナル サイクル2 初日 メタゲームブレイクダウン

デッキタイプ 使用者数 割合
グリクシス・ミッドレンジ 58 31.7%
エスパー・レジェンズ 26 14.2%
ジャンド・ミッドレンジ 17 9.3%
赤単アグロ 13 7.1%
青単テンポ 10 5.5%
白単ミッドレンジ 9 4.9%
多色ミッドレンジ(4-5色) 9 4.9%
アゾリウス・アグロ 7 3.8%
ラクドス・リアニメイト 6 3.3%
マルドゥ・ミッドレンジ 5 2.7%
セレズニア・ポイズン 4 2.2%
その他 19 10.4%
合計 183 -

※使用者2名以下のデッキは「その他」に計上しています。
※ラストチャンストライアル通過者12名は集計に含まれていません。
※デッキ登録段階の集計のため、数字にズレがある可能性があります。ご了承ください。

グリクシス・ミッドレンジ
Takumi Utsunomiya - 「グリクシス・ミッドレンジ」
チャンピオンズカップファイナル サイクル2 / スタンダード (2023年3月4~5日)[MO] [ARENA]
4 《硫黄泉
2 《憑依された峰
3 《難破船の湿地
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
4 《ザンダーの居室
1 《
3 《闇滑りの岸
2 《地底の大河
3 《嵐削りの海岸
3 《黒割れの崖
-土地(26)-

4 《死体鑑定士
4 《税血の収穫者
1 《剃刀鞭の人体改造機
-クリーチャー(9)-
3 《かき消し
3 《削剥
3 《喉首狙い
4 《鏡割りの寓話
4 《絶望招来
2 《勢団の銀行破り
2 《切り崩し
2 《否認
2 《眼識の収集
-呪文(25)-
2 《眼識の収集
2 《軽蔑的な一撃
2 《切り崩し
1 《抹消する稲妻
2 《兄弟仲の終焉
2 《黙示録、シェオルドレッド
3 《強迫
1 《勢団の銀行破り
-サイドボード(15)-

 今大会で最大勢力となったのは、『ファイレクシア:完全なる統一』リリース前から環境最強候補の一角だったグリクシス・ミッドレンジだ。

 前環境でも強力なアーキタイプだったことからリストの完成度も高い上に、『ファイレクシア:完全なる統一』では新たに友好色のファストランドを獲得。これまでペインランドに依存していた友好色のマナベースがさらに強固となった。

 このデッキの強みは何と言ってもスタンダード屈指のパワーカードを大量に使用できる点だ。デッキリストには《鏡割りの寓話》、《黙示録、シェオルドレッド》、《絶望招来》、《喉首狙い》など、アドバンテージ源やフィニッシャー、除去のいずれも一級品が揃う。

 カードパワーの高さとデッキのバランスの良さから、環境に存在するほとんどのデッキに対して大きな不利がつかないオールラウンダーである。スイスラウンド全12回戦+決勝ラウンド3回戦が行われるこうした長丁場の大会では、安定した強さを発揮できるデッキというのは潜在的にアドバンテージを持っていると言えるだろう。

 今大会ではミラーマッチが多発するであろうことを見越してか、《ギックスの残虐》による同型対決を意識しているであろうリストも散見された。間違いなく今大会の台風の目となるアーキタイプだ。

エスパー・レジェンズ
Atsuki Kihara - 「エスパー・レジェンズ」
チャンピオンズカップファイナル サイクル2 / スタンダード (2023年3月4~5日)[MO] [ARENA]
4 《金属海の沿岸
4 《闇滑りの岸
4 《砕かれた聖域
4 《コイロスの洞窟
3 《皇国の地、永岩城
3 《天上都市、大田原
4 《英雄の公有地
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
-土地(27)-

4 《離反ダニ、スクレルヴ
3 《新ベナリアの守護者
4 《スレイベンの守護者、サリア
2 《ヨーグモスの法務官、ギックス
4 《敬虔な新米、デニック
4 《賢明な車掌、トルーズ
3 《黙示録、シェオルドレッド
4 《策謀の予見者、ラフィーン
1 《先兵の飛行士、ハービン
1 《鴉の男
1 《魅せられた花婿、エドガー
-クリーチャー(31)-
2 《喉首狙い
-呪文(2)-
4 《切り崩し
3 《呪文貫き
2 《第三の道のロラン
2 《軽蔑的な一撃
3 《剃刀鞭の人体改造機
1 《魅せられた花婿、エドガー
-サイドボード(15)-

 次いで人気だったのがエスパー・レジェンズである。アグロ~ミッドレンジの中間ほどのスピード感のデッキで、言わずと知れた白いウィニークリーチャーの代名詞的存在、《スレイベンの守護者、サリア》や、カードパワーの高い《策謀の予見者、ラフィーン》といった伝説のクリーチャーたちを大量に採用しているのが特徴的だ。

 『ファイレクシア:完全なる統一』では強力な1マナクリーチャーである《離反ダニ、スクレルヴ》を獲得し、後続クリーチャーを守れるように。特に《離反ダニ、スクレルヴ》自身がアーティファクトなので、《喉首狙い》によって除去されないのは大きなポイント。

 大量の伝説のクリーチャーが採用されていることから《天上都市、大田原》や《皇国の地、永岩城》の起動型能力を使いやすいのもポイントで、《スレイベンの守護者、サリア》をコントロールしている場合でも行動回数を確保しやすいため、戦略にまとまりがある。

 《黙示録、シェオルドレッド》を採用して少し重めの構成にしたリストも見られる。グリクシス・ミッドレンジへの対抗馬として、こちらのデッキからも目が離せなくなりそうだ。

ジャンド・ミッドレンジ
Yojiro Futamata - 「ジャンド・ミッドレンジ」
チャンピオンズカップファイナル サイクル2 / スタンダード (2023年3月4~5日)[MO] [ARENA]
4 《ラノワールの荒原
1 《憑依された峰
2 《死天狗茸の林間地
4 《落石の谷間
4 《ジアトラの試練場
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
2 《硫黄泉
3 《黒割れの崖
1 《耐え抜くもの、母聖樹
1 《シヴの浅瀬
1 《
1 《戦場の鍛冶場
-土地(25)-

2 《黙示録、シェオルドレッド
4 《税血の収穫者
4 《硬化した屑鉄喰らい
3 《偉大なる統一者、アトラクサ
-クリーチャー(13)-
2 《喉首狙い
4 《鏡割りの寓話
2 《勢団の銀行破り
3 《強迫
3 《削剥
2 《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー
3 《ギックスの残虐
1 《大勝ち
2 《豪火を放て
-呪文(22)-
1 《強迫
3 《切り崩し
3 《剃刀鞭の人体改造機
2 《沈黙を破る者、スラーン
1 《土建組一家の魔除け
2 《兄弟仲の終焉
1 《勢団の銀行破り
1 《未認可霊柩車
1 《ギックスの残虐
-サイドボード(15)-

 最後にご紹介するのがこちらのジャンド・ミッドレンジだ。グリクシスとは2色被っているが異なるアプローチを取っているデッキで、端的にその違いを表現するならさしづめカードパワーのグリクシスに対してシナジーのジャンドと言ったところだろうか。

 『ファイレクシア:完全なる統一』によって追加された《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》はクリーチャーの起動型能力を速攻を持っているかのように使用できる常在型能力を持つ。

 これにより《税血の収穫者》を除去の代わりのように使用したり、《キキジキの鏡像》の能力を即座に起動したり、+1能力によって《硬化した屑鉄喰らい》をアンタップすることでマナ加速を行うことができる。

 《ギックスの残虐》によるリアニメイト戦略を狙うリストも存在する。リアニメイトするのはもっぱら『ファイレクシア:完全なる統一』の新カード《偉大なる統一者、アトラクサ》で、戦場に降り立つと同時に大量のカードアドバンテージを獲得しながら自身も強力なフィニッシャーとなれる。

 ただし、仮想敵であるグリクシス側にも《死体鑑定士》のような墓地対策も兼ねられるクリーチャーがメインボードから採用されていることに鑑みて、リアニメイトを狙わず《グリッサ・サンスレイヤー》や《絶望招来》のようなカードを採用したリストも見られる。

 いずれの形にも共通して言えるのは1対複数の交換ができるカードが多数採用されていることで、クリーチャーやプレインズウォーカー、英雄譚やリアニメイト戦略のいずれも、相手に対処されなければどんどんカードアドバンテージの差を広げることができる。サイドボードには新カードである《沈黙を破る者、スラーン》のような強力なフィニッシャーもおり、ジャンド・ミッドレンジもグリクシスやエスパーに対して有力な選択肢であると言えるだろう。

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 現行スタンダード環境はグリクシス・ミッドレンジを中心として、アグロ戦略を取るエスパー・レジェンズや、高い爆発力をほこるジャンド・ミッドレンジのようなデッキが多く見られた。

 メタゲーム4位以下の赤単アグロ、青単テンポ、白単ミッドレンジもそれぞれ単色デッキながらまったく異なる戦略を取るデッキで、いずれのデッキもやはりグリクシス・ミッドレンジを倒すための強力な選択肢である。一強というほどの偏りもなく、どのデッキにもチャンスがある適度に多様性の保たれた環境と言えるだろう。

 果たしてこの中でトーナメントを勝ち抜くのはどのデッキになるのか。戦いの模様は、カバレージならびに動画にてお届けしていく。ぜひチェックされたし。

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