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プレイヤーズコンベンション静岡2024

インタビュー

チャンピオンズカップファイナル シーズン3ラウンド1 優勝者 小笠原 智明 選手インタビュー

Seo Asako
 

 トップ8プロフィール写真で、謎めいたポーズをとった小笠原選手。それは「チャンピオンズカップファイナル優勝へ向けての挑戦は3回目」という意味でした。

 

 最初の「チャンピオンズカップファイナル サイクル1(プレイヤーズコンベンション愛知2022)」ではトップ16、その2回後の「チャンピオンズカップファイナル サイクル3(プレイヤーズコンベンション千葉2023)」で準優勝。三度目の正直で、今回ついに優勝を果たしました。そのうえ、決勝戦の相手はチームメンバーで、一緒に来年の世界選手権に行けるという素晴らしい結果に。

 終了後、今大会について振り返っていただきました。

――まずはマジック歴から伺えますか?

小笠原「旧『イクサラン』からですね。もともとデジタルカードゲームをやっていたんですが、マジックに興味を持ったのはプロツアー『破滅の刻』のニコ生中継を見たのがきっかけです。マジックの独自要素であるインスタントの応酬がすごく面白いなと思って、始めました。プロツアーに出たいという目標があったので、すぐにPPTQ(当時のプロツアー予備予選)などの予選をめぐるようになったんですが、ずっと1人でした。そんな時、たまたま同じ大学の名前が書かれた服の人と対戦する機会があって、勇気を出して『僕も同じ大学なんです』と声をかけて、そこからコミュニティのつながりができました」

――大学に、マジックをやるサークルがあったということですか?

小笠原「いや、そういうわけではなくて、何かの部活のユニフォームを着ていたんだと思います。その後、3人チーム戦のRPTQ(当時のプロツアー地域予選)に出ることになり、その大学の人と組んで、足りないあと1人を別のコミュニティから紹介してもらい、そこでコミュニティの輪が一気に広がりました。そうやってつながりを増やしていって、今に至るという感じです。今の調整チームは『マスとん』という名前で、昔からあったチームに僕が合流した形ですね」

――決勝の対戦相手の浅野さんも、同じチームメンバーだということですね。

小笠原「そうです。平日はディスコ―ドで通話しながら『MTGアリーナ』や『Magic Online』をやって、土日は店舗予選に行ったりするような、競技的な関東勢のチームです。ネームバリューがあるメンバーは、日本選手権を2回優勝している小林 遼平くんとか、The Last Sun 2018で優勝した岡 洋介さんですね。毎日、夜21時とかになるとディスコ―ドには必ず4,5人いて、いつでもマジックの話ができる場所なのがいいところです」

――そういう場所があるってすごくいいですね。

チーム「マスとん」の皆さんと一緒に

 

――では、今回の調整もそのメンバーで?

小笠原「先週のアメリカの地域CSや国内の直前予選の結果を見て黒単デーモンが強いという認識になり、一部の人が月曜から回し始めたんです。自分はもともとラクドス果敢かラクドス《地獄の樹》あたりで出ようかなと思ってたんですが、ちょっと使ってみたら強くて、デッキ提出直前の水曜に乗り換えることに決めました」

――浅野さんもですか?

小笠原「浅野さんも同じく乗り換え組です。今回、CCFに参加したチームメンバーのうち3人がこの黒単を使っていて、僕と浅野さんは決勝、もう1人も初日抜けて勝ち越していて、逆にこのデッキを使わなかったメンバーはみんな初日抜けなかったんですよ」

――それは本当にデッキが強かったんですね。

小笠原「今回はメタゲームも読みづらかったので、デッキの地力を重視して選びました。黒単デーモンって、カードが全部強くてけっこうメタりにくい構造なんですよね。対抗手段があまりないなら、自分で使う側に回ろうと」

――倒しづらいなら、自分が使っちゃえということですね。黒単デーモン対決の場合はどうなるんですか?

小笠原「ミラーでは《絶望招来》の枚数が重要だと思っていて、初めはかさばるから3枚だったんですけど、僕はミラーのためにしぶしぶ《苦難の影》の2枚目を減らして、《絶望招来》を4枚にしました。決勝はそれで勝ったようなものです」

――そこの選択がうまくいったと。デッキのMVPカードを選ぶとすると、何になりますか?

小笠原「部屋(《不浄な別室 // 祭儀室》)も強かったですけど……《》ですね。僕のリストは《》が多いのが強みだったと思ってます。相手の《廃墟の地》が効かないおかげで勝った試合がありました。たとえば佐藤 レイさんの黒単と当たったとき、向こうは《》3枚と無色土地が並んでて、手札に《絶望招来》があるんだけど黒マナが足りなくて撃てない。こっちは《》の4枚目を引いてきてすぐ撃てた、ということがあったりもしました」

――なるほど。では、今回の勝因はやはりデッキそのものが強かったと。

小笠原「デッキと引きが強かったと思います。あと、けっこう相手が土地2枚で詰まるっていうのが多かったですね。黒単タッチ白の相手に当たったとき、《消失の詩句》が4枚入っていて、こっちのパーマネントが何でも追放されるんでめちゃめちゃきついなと思ったんですけど、相手の土地が2枚で止まって押し切れました。相性が悪くてもあきらめずに突き進んだら、相手が事故って勝てた、みたいなことはけっこうあった気がします」

――黒単の足まわりの良さが強みということですね。

小笠原「はい、マナベースの安定感ですね。こっちは土地引けばだいたいアンタップインですから」

 

――ところで今回、来年の世界選手権の出場権利を獲得しました。1年後の目標はできましたが、その間はどうするか、目標などはありますか?

小笠原「前回世界選手権の権利を獲得したときは3か月後だったのですぐでしたが、1年後となると、正直それまでどうしようというのはありますね。でも、とりあえず浅野さんとは一緒に出られることが決まってるので、ほかの仲間もみんなで世界選手権に行きたいですね。なので、友達のためにコミュニティでできるだけ貢献したいなと」

――素晴らしい。自分だけだったら「あんまりやることないな」と思っても、みんなと一緒ならやれることがたくさんありますね。

小笠原「本当に、もともと1人でマジック始めたので、コミュニティのおかげでここまで来られてすごく感謝しています。最初に大学の人に声をかけなかったら、そのままマジックやめてたかもしれないですし。あと、今回の出場権利のためにずっとエリア予選を連戦してて、5・6回目くらいでようやく抜けたんですけど、その間に3回当たった人がいるんですよ。その人も自分と同じタイミングで予選抜けて、『お互い権利取れてよかったですね』って話してたら、今回プロツアー権利が取れるか取れないかというラインで当たってしまって。『こんなところで当たりますかー』ってなりましたけど、さっき声かけていただいて、『トップ8に残れました』って話したら喜んでくれて」

――その後優勝したと聞いたら、「自分が踏み台になった価値があった」と思ってくれるかもしれませんね。

小笠原「だといいですね。ずっと大会に出てると、そういう出会いってあるんですよ。連絡先とか全然知らないけど、いつも大会で見かけて『あ、今日もお疲れ様です。どうですか最近?』みたいな……。競技大会って敷居が高いと思われがちなんですけど、そういう同じ目標を持ってマジックの話ができる人と出会える機会でもあったりする。なので、楽しいよってみんなに伝えたいですね」

――本当にそうですね! 最高のコメント、どうもありがとうございました。

 

 ジャパンスタンダードカップの優勝者インタビューに引き続き、「仲間との勝利」を強く印象付けるお話でした。皆さんも、大会会場でよく会う人に勇気を出して声をかけてみては?

 もうすぐ10月25~27日には世界選手権が、そして来年2月8~9日に千葉・幕張メッセで次のプレイヤーズコンベンションが開催されます。イベント会場にてまたお会いしましょう!

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