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プレイヤーズコンベンション静岡2024

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第7回戦:熊谷 陸(宮城) vs. 細川 侑也(東京) ~セレズニア流クロックパーミッション~

大久保 寛


 パイオニアで開催されたチャンピオンズカップファイナル。その第7回戦のフィーチャーマッチテーブルで相見えたのは、昨年パイオニアで開催されたチャンピオンズカップファイナル愛知2023で準優勝を果たした細川 侑也と、"kumazemi"のハンドルネームで知られる元MPL(マジック・プロリーグ)プレイヤーの熊谷 陸だ。

 チャンピオンズカップファイナルでは、初日最終ラウンドの1つ手前、第7ラウンドで足切りが存在する。このラウンドの終了時点で上位64位以内に入賞している者だけが8回戦と2日目の戦いへと駒を進めることを許されるのだ。この場に呼ばれた2名はどちらもここまでの戦績が4勝2敗であり、ここで負けてしまうと64位に入るのは絶望的となってしまう。

 ネームバリューも実力も十分な強豪たちによる、負けられない1戦。まずは両者のデッキを紹介していこう。

 熊谷の使用デッキは緑白の2色で組まれたクリーチャー主体のアグロ・ミッドレンジである「セレズニア《集合した中隊》」。クリーチャー主体ながら、《スレイベンの守護者、サリア》や《選定された平和の番人》といったパワー2の軽量クリーチャーによって対戦相手のゲームプランに干渉するヘイトベアー戦略を取ることもできる強力なデッキだ。

 

 『ダスクモーン:戦慄の館』では新戦力の《永劫の無垢》を手に入れ、カードアドバンテージまで獲得できるようになった「セレズニア《集合した中隊》」はこの戦いでも活躍するだろうか?

 対する細川のデッキは「アゾリウス《睡蓮の原野》」だ。パーマネントが戦場に出たとき誘発する能力に追加コストを要求する《厳しい試験官》で《睡蓮の原野》のデメリット能力を打ち消すことで、コントロールデッキでありながらマナ加速が可能となっている。

 

 《厳しい試験官》自体が環境の様々なデッキに刺さることもあり、単純に強い。さらにこのコンボによって戦場に出した《睡蓮の原野》を《ドミナリアの英雄、テフェリー》でアンタップすれば4マナを使える状態でターンを終えることができるようになる、コンボ要素を持ったコントロールデッキである。

 アグロでありながら妨害を得意とする熊谷の「セレズニア《集合した中隊》」と、コントロールでありながらコンボ要素を含む細川の「アゾリウス《睡蓮の原野》」。複数の強みを持ったこれらのデッキがぶつかったとき、最後まで立っているのはどちらになるのか──!?

熊谷 陸(宮城) vs. 細川 侑也(東京)

 
ゲーム1

 先攻の熊谷が第1ターンに《ラノワールのエルフ》、《スレイベンの守護者、サリア》、さらに《永劫の無垢》と並べていき、わずか3ターンにしてテンポ、妨害、アドバンテージの三拍子揃った強力な盤面を築く。

 

 対する細川は淡々と土地を並べ、3枚目の土地を置いて自身のターンを終えると熊谷のターンに《有角の湖鯨》を「物語」でプレイ。

 

 対象は熊谷の《永劫の無垢》だったが、これが解決されることはなかった。熊谷はこれを《エイヴンの阻む者》で追放し、さらに《永劫の無垢》によってカードをドロー。緑白のデッキながらまるで青の入ったクロックパーミッションデッキのように細川の妨害を阻止し、着実にリードを広げていく。

 

 しかし、ならばと細川は《エイヴンの阻む者》によって「計画」された《有角の湖鯨》を2マナ6/6で護法(2)を持った強力な壁としてプレイ。《永劫の無垢》によるドローを止めることはできなかったが、一旦熊谷の地上の戦力を押し留めることに成功する。

 だが、熊谷がライフを詰める展開は変わらない。《エイヴンの阻む者》が《有角の湖鯨》の頭上を通り抜け、細川のライフは14まで減らされる。

熊谷 陸(宮城)

 

 さらに熊谷は《スカイクレイブの亡霊》をプレイ。《厳しい試験官》を追放できれば理想的だったが、細川の盤面に対象はいないため、単なる2/2バニラである。贅沢なプレイにも思えるが、《永劫の無垢》がいるためこの《スカイクレイブの亡霊》も1ドローに繋がり、熊谷は手札を損失することなく盤面をクリーチャーで埋め尽くしていく。

 ボードとカードアドバンテージ両面で押される細川はまずは呪文を唱える妨げになる《スレイベンの守護者、サリア》に対し《冥途灯りの行進》をプレイして追放しにかかるが、熊谷はこれに2枚目の《エイヴンの阻む者》。

 

 思わず苦笑いを浮かべつつ、ならばと細川が《厳しい試験官》をプレイすると、熊谷がさらにそのプレイに待ったをかける。

細川「あります?」

熊谷「あります」

 熊谷が手札からするりとプレイしたのは、さらなる《エイヴンの阻む者》。

熊谷 陸(宮城)

 

細川「3枚目、マジかよ~」

 除去や妨害をことごとく追放させられ、2枚目のブロッカーを立てることすら許されなかった細川。第1ゲームは熊谷が一度もゲームの主導権を渡すことなく完勝した。

熊谷 1‐0 細川

ゲーム2

 先行後攻が入れ替わり、先んじて2枚目の土地をおいた細川はまず《厳しい試験官》をプレイ。

 

 対する熊谷は第1ターンに《ラノワールのエルフ》をプレイすると、第2ターンに《スレイベンの守護者、サリア》と2枚目の《ラノワールのエルフ》。《厳しい試験官》は出されてしまったが、次ターン以降捻出できるマナの量では細川に先んじた形だ。

 

 続くターンを土地を置くのみでターンを終えた細川に対し、熊谷は5マナで《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》をプレイ。これが解決されると、熊谷はその[0]能力によってトークンを生成し着実に細川を追い詰める準備を整えていく。

細川 侑也(東京)

 

 だが、今回は細川も黙って見ているばかりではない。熊谷のターン終了時に追加コストとして手札を追放しながら《冥途灯りの行進》をプレイし、熊谷の《スレイベンの守護者、サリア》を除去。さらに続くターンにはトップデッキした《睡蓮の原野》を戦場に出し、《厳しい試験官》の能力によってそのデメリットを打ち消して熊谷のマナ加速に一気に追いついた。

 

 ならばと返す熊谷は《獣相のシャーマン》を唱え、さらに《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》で追加のトークンを並べる。ただでさえ《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》によって継続的に盤面が強化されていく上に、次から次へと厄介なクリーチャーが追加され、細川は苦悶を浮かべる。

 《スレイベンの守護者、サリア》こそ除去できたものの、次から次へと展開される脅威に細川は対処が追いつかない。返す自身のターンに《記憶の氾濫》をプレイして熊谷への反撃の一手を探る。

 

 そうしている間にも《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》が延々とトークンを供給し続け、トークンの攻撃が《厳しい試験官》の脇をすり抜け始める。さらに返す細川のターン終了時には、《獣相のシャーマン》がその能力で《人狐のボディガード》を探し出し、細川の身を守るブロッカーにしてコンボパーツでもあった《厳しい試験官》を排除する。

 これによって細川の盤面はアンタップ状態の土地が4枚(《睡蓮の原野》があるため使えるマナは6マナ)のみとなり、見た目上はその身を防ぐものはなくなる。チャンピオンズカップファイナルは対戦前にお互いのデッキリストを公開してプレイするため、細川のデッキに《残骸の漂着》がないことも分かっている。熊谷は小考し、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の[‐4]能力を使って紋章を得ると一斉攻撃の号令をかける。

細川 侑也(東京)

 

 この攻撃に対し、細川はまず《有角の湖鯨》を「出来事」として唱えて熊谷の《人狐のボディガード》を除去。さらに《永劫の好奇心》を瞬速でプレイしてブロッカーとし、そのライフを守る。

 

 手痛い一撃をもらってしまい、残りライフは7まで減らされてしまった細川だったが、やっと盤面の《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》もいなくなった。満を持してプレイした《告別》が熊谷のクリーチャーを根こそぎ追放する。

 

 だが、これによってフルタップになってしまった細川。そのターン終了時に、熊谷は《集合した中隊》をプレイする。やはり持っていたか、と苦々しい表情を浮かべる細川は熊谷へと確認する。

細川「7点?」

 「はい」と応じながら熊谷が戦場に並べたのは《復活の声》と《選定された平和の番人》。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の紋章によって+1/+1の修正を受けているこれらのクリーチャーは3/3と4/4になっており、細川の残りライフを削り切るのに十分なパワーを持っている。これらが戦場に降り立つのを見届けると、細川がその右手を熊谷へと差し出した。

熊谷 2‐0 細川

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