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スタンダード情報局 in 静岡 -『ダスクモーン:戦慄の館』-
9月27日に発売されたばかりの最新セット『ダスクモーン:戦慄の館』は、目新しさと懐かしさが同居する奇妙な姿をしたエキスパンションとなっている。その根本にあるのは新メカニズム「部屋」「違和感」「生存」と、既存のメカニズムに近しい「戦慄予示」、ご存知「昂揚」とが同居しているからに他ならない。
また、モダンに強烈なインパクトを残した《ギルドパクトの力線》に代表される初手にあればタダでプレイできる、いわゆる力線の系譜もリデザインされている。事と次第によってはスタンダードのさらなる高速化へ拍車をかけることを意味している。
既存のデッキのアップデートはもとより、『ダスクモーン:戦慄の館』のカードが主役となっている新たなデッキも生まれている。本日開催されるジャパンスタンダードカップ:『ダスクモーン:戦慄の館』 Supported by 楽天ブックス(以下、ジャパンスタンダードカップ)では、そこかしこで新たなテクニックが披露されることだろう。
本稿では、『ダスクモーン:戦慄の館』よりスタンダードへ変化を与えるうるカード5枚を紹介していこう。
『ダスクモーン:戦慄の館』よりスタンダードへ変化を与えるうるカード
《残響の力線》
冒頭でも紹介した力線シリーズの最新作がこの赤き《残響の力線》だ。赤の特徴である呪文のコピー生成能力ではあるものの、コピーできるのは自軍のクリーチャー単体を対象としたインスタントかソーサリーのみと限定的なものとなっている。単に呪文を連鎖させるのではなく、クリーチャーとそれを対象にとれる呪文の両方が必要となるわけだ。
これこそまさに赤い果敢デッキの求めていた最後の1ピースだった。《騒音の悪獣》などのクリーチャーを展開しつつ、《巨怪の怒り》などで瞬間的なダメージを叩き出す戦略に見事にマッチしている。
以前は強化呪文にスタックで除去を打たれることで一方的に不利な交換を強いられてきたが、《残響の力線》下であれば事前にクリーチャーを複数体展開しておくことで、強化呪文本体とコピーの対象を別々にとることができ、リスク分散に繋がる。対応する側も今まで通りの一筋縄ではいかないわけだ。
《忌まわしき眼魔》
青とは思えぬハイスタッツに、メリット付き。プレイに際し追加コストこそ要求されるものの、十分にリターンが見込める青きアタッカーが《忌まわしき眼魔》である。火力に強い高タフネス、保護呪文を構える余裕がある軽量マナ域と、単体でクロックを形成するに値するだけの可能性を秘めている。
《傲慢なジン》と《僧院の導師》を展開し、軽量呪文でバックアップしていくアゾリウス・テンポに、後者と入れ替わるかたちで居場所を見つけている。一見するとアンチシナジーのように思える両者だが、基本的には《救いの手》などのリアニメイト呪文により展開していくため、追加コストもほとんど気にならない。
《傲慢なジン》と並ぶアタッカーの獲得により、安定してクロックを刻めるようになり、今まで以上に中~長期戦を狙うデッキに対して強く出られるようになっている。
《止められぬ斬鬼》
平凡なスタッツに接死というリミテッドレベルを思わせる伏兵の姿がそこにはあった。《止められぬ斬鬼》はそのカラーとスタッツに見合わぬ強力なダメージソースであり、ひとたび戦場に出れば追放しない限り対処に2枚以上のカードを必要とする。つまり、ミッドレンジが求める場持ちが良く、リソースを稼いでくれるカードなわけだ。
単体としても攻守において活躍するが、真価は《アクロゾズの放血者》との組み合わせである。最速4ターン目2種類のクリーチャーが揃えば、双方の能力が噛み合うことで一撃でライフを削りきることが可能となる。
クリーチャー破壊を得意とする黒だけに、ブロッカー排除はお手の物。《止められぬ斬鬼》の除去耐性を考慮すると、《アクロゾズの放血者》を直接対処しない限り、防ぎようがない。
仮にコンボパーツが揃わずとも、《止められぬ斬鬼》は単体で十分なダメージソースとなってくれる。ミッドレンジの中核として、攻守に渡って活躍が期待できる。
《ホーントウッドの大主》
《スパーラの本部》と《装飾庭園を踏み歩くもの》を失って以降、《山積みの収穫》と諜報土地を駆使して版図/Domainを達成してきた版図ランプに朗報がある。
《ホーントウッドの大主》は兆候コストを支払うことで、《装飾庭園を踏み歩くもの》と同じ3マナでマナ加速できる。その際生成される遍在地はすべての基本土地タイプを持つ土地・トークンである。《力線の束縛》との相性の良さはいうに及ばず、1ターン早く、それでいて自身は巻き添えになることなく《太陽降下》をプレイ可能となる。
冒頭で語ってしまったが、基本土地タイプを揃える版図戦略との相性の良さはいうに及ばず、2~3色のランプ戦略でも重宝すること間違いなし。ランプ戦略の夜明けは近いかもしれない。
境界土地
すでに11セットと、つい先日ローテーションが実施されたとは思えぬエキスパンション数が揃っているスタンダードだが、何かしら不足が出ているのも事実。特にマナベースの観点では《スパーラの本部》をはじめとした3色土地、スローランドという中~長期目線で有用な2色土地が脱落しており、ありとあらゆる多色デッキのマナベースの不安定さを加速させている。
『ダスクモーン:戦慄の館』に収録された境界土地はファストランド並の使いやすさを兼ね備えた2色土地である。アンタップインし、色マナを供給し、条件を満たせば2色目の色マナまで供給する。近年高速化が叫ばれるスタンダードにおいてアンタップインはもとより、無条件で色マナを捻出してくれるのもありがたい。
友好色5種類の中でもテンポやアグロといった比較的早い戦略で、タイトな色マナを要求される戦略に合致している。特に《ソーンスパイアの境界》はグルール果敢のためにデザインされたようなカードであり。クリーチャーの展開に使え、《山》さえ出ていれば《蛇皮のヴェール》のための緑マナの供給源となってくれる。
アグロに限らずミッドレンジやコントロールでもアンタップインの2色土地は大歓迎であり、さまざまな戦略に居場所を見つけることだろう。
おわりに
今回は『ダスクモーン:戦慄の館』よりスタンダードで活躍が期待されるカードを紹介してきた。これらのカードを採用した新しい戦略、既存デッキのアップデートが予想される。現在のところ軽量カードの活躍が目立っており、特に《残響の力線》は赤+αの果敢戦略を大きく後押しする必須の1枚になっている。
どのデッキが一歩抜きんでるのか、その答えは本日のジャパンスタンダードカップにて明かされることだろう。
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