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プレイヤーズコンベンション静岡2024
チャンピオンズカップファイナル シーズン3ラウンド1 初日メタゲームブレイクダウン
チャンピオンズカップファイナル シーズン3ラウンド1は、丸一年ぶりとなる国内でのパイオニアの大型トーナメントだ。
昨年と比べると、『カルロフ邸殺人事件』~『ダスクモーン:戦慄の館』の4セットが加わっていることはもちろん、禁止カードの顔ぶれも変わっている。
特筆すべきは《地質鑑定士》と《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》の禁止である。これらのカードは最速で3ターンでゲームを終わらせる強力なコンボデッキのキーカードだった。また、《アマリア・べナヴィデス・アギーレ》は単に強力というだけでなく、引き分けを多く発生させるカードだったこともあって今年8月末に禁止されている。
他にも《大いなる創造者、カーン》の禁止によって「緑単信心」が弱体化を余儀なくされたり、『プロツアー:カルロフ邸殺人事件』によって発見されたパイオニアフォーマットの新たな脅威である《傲慢な血王、ソリン》+《血管切り裂き魔》コンボの立役者、《傲慢な血王、ソリン》が禁止されたり、強すぎる相互作用が均されることでパイオニアというフィールドは着実に整備されてきた。
そんな2024年10月、最新セット『ダスクモーン:戦慄の館』を迎えた直後でもあるこのタイミングで、プレイヤーたちはこの大会にどのようなデッキを持ち込んだのか? ここでは、パイオニアの最新のメタゲームを見ていこう。
メタゲームブレイクダウン
デッキタイプ | 使用者数 | 割合 |
---|---|---|
ラクドス果敢 | 29 | 11.3% |
ラクドス・ミッドレンジ | 28 | 10.9% |
黒単デーモン | 22 | 8.6% |
イゼット・フェニックス | 21 | 8.2% |
セレズニア・カンパニー | 18 | 7.0% |
ラクドス異形化 | 14 | 5.5% |
マルドゥ脂牙 | 14 | 5.5% |
アゾリウス・コントロール | 13 | 5.1% |
奇怪な具現 | 9 | 3.5% |
アゾリウス・ロータス | 9 | 3.5% |
ラクドス大釜 | 5 | 2.0% |
ロータス・コンボ | 5 | 2.0% |
アゾリウス・スピリット | 4 | 1.6% |
アブザン脂牙 | 4 | 1.6% |
赤単アグロ | 3 | 1.2% |
緑単信心 | 3 | 1.2% |
オルゾフ・デーモン | 3 | 1.2% |
ボロス・コントロール | 3 | 1.2% |
ラクドス・ゴブリン | 3 | 1.2% |
アゾリウス人間 | 3 | 1.2% |
(使用者2名以下) | 43 | 16.8% |
合計 | 256 | - |
※使用者2名以下のデッキは「その他」に計上しています。
※ラストチャンストライアル通過者4名は集計に含まれていません。
※デッキ登録段階の集計のため、数字にズレがある可能性があります。ご了承ください。
「ラクドス果敢」29名(11.3%)
今大会では「ラクドス果敢」が最もメジャーなデッキとなったが、それでもシェアは全体の11.3%とそこまで圧倒的な多さというほどでもない。現行のパイオニア環境は多様性のある環境になっていると言えるだろう。
2 《山》 2 《ラムナプの遺跡》 4 《硫黄泉》 4 《血の墓所》 4 《黒割れの崖》 2 《バグベアの居住地》 1 《荒廃踏みの小道》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 -土地(20)- 4 《僧院の速槍》 4 《心火の英雄》 4 《無感情の売剣》 4 《精鋭射手団の目立ちたがり》 4 《熾火心の挑戦者》 -クリーチャー(20)- |
4 《巨怪の怒り》 4 《祖先の怒り》 4 《熊野と渇苛斬の対峙》 4 《裏の裏まで》 1 《無謀な怒り》 2 《致命的な一押し》 1 《立身 // 出世》 -呪文(20)- |
1 《湧き出る源、ジェガンサ》 2 《致命的な一押し》 4 《思考囲い》 3 《ウラブラスクの溶鉱炉》 1 《大群への給餌》 1 《敵対するもの、オブ・ニクシリス》 2 《未認可霊柩車》 1 《無謀な怒り》 -サイドボード(15)- 1 《湧き出る源、ジェガンサ》 -相棒(1)- |
「ラクドス果敢」は『ブルームバロウ』で追加された新たな果敢クリーチャーの《熾火心の挑戦者》と、強力な死亡誘発型能力を持った《心火の英雄》によって強化されたアグロデッキである。
これらのクリーチャーを活かすために、非常に多くのコンバットトリックが採用されているのが特徴だ。その性質上軽量除去を多く擁するデッキに対しては不利を強いられるものの、逆に相手が除去のない手札をキープしていたり、土地をタップインしたりといった隙を見せれば一瞬でゲームを終わらせるだけの攻撃力を持つ、正統派のビートダウンデッキである。
「《地質鑑定士》コンボ」や「探検コンボ」といったアンフェアなデッキのキーカードが軒並み禁止され、フェアデッキが優勢な環境となった中で、鋭角な勝ち筋を擁しつつもあくまでフェアなアグロデッキである「ラクドス果敢」のようなデッキが台頭してきたというのはおもしろいところだ。
「ラクドス果敢」は強力なシナジーと爆発力を擁するデッキではあるものの、弱点もはっきりしたデッキである。今大会ではこれらの「ラクドス果敢」を視野に入れつつ、「アゾリウスコントロール」や「イゼットフェニックス」のようなデッキに対しても無駄にならないカードを採用する必要がある。プレイヤーたちに課せられたこの課題は簡単なものではないが、あらゆる相手を想定すべしというこの状況はある意味パイオニアフォーマットが健全さを取り戻した証左であるとも言えよう。
「ラクドス・ミッドレンジ」28名(10.9%)
王者の帰還……というのは大げさかもしれないが、2022~2023年のパイオニア環境を象徴するフェアデッキである「ラクドス・ミッドレンジ」が帰ってきた。
《黙示録、シェオルドレッド》や《鏡割りの寓話》、《死の飢えのタイタン、クロクサ》などスタンダードでも一線級の活躍をしてきた強力なカードを大量に詰め込んだグッドスタッフデッキだ。
4 《荒廃踏みの小道》 2 《沼》 1 《ロークスワイン城》 1 《バグベアの居住地》 2 《ブレイズマイアの境界》 2 《憑依された峰》 2 《目玉の暴君の住処》 1 《山》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 4 《血の墓所》 4 《黒割れの崖》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(25)- 4 《ドロスの魔神》 4 《税血の収穫者》 2 《砕骨の巨人》 1 《死の飢えのタイタン、クロクサ》 4 《止められぬ斬鬼》 -クリーチャー(15)- |
1 《喉首狙い》 2 《塔の点火》 2 《強迫》 4 《鏡割りの寓話》 2 《勢団の銀行破り》 1 《苦々しい勝利》 4 《致命的な一押し》 4 《思考囲い》 -呪文(20)- |
1 《シェオルドレッドの勅令》 2 《強迫》 1 《絶滅の契機》 2 《碑出告が全てを貪る》 1 《コラガンの命令》 1 《ヴェールのリリアナ》 1 《勢団の銀行破り》 2 《絶望招来》 4 《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
軽量除去の多い赤と黒という色の組み合わせの性質上、トップメタである「ラクドス果敢」に対しても強く、手札破壊、墓地対策、カードアドバンテージなど、サイドボードを含めた器用さは他の追随を許さない。
元々強力なデッキだったが、『ダスクモーン:戦慄の館』では追加の戦力として《止められぬ斬鬼》や《不浄な別室 // 祭儀室》が追加されたリストが多く見られる。3マナ以下でカード・アドバンテージを得ることができる可能性を秘めたこれらのカードは、カードパワーの高さでゴリ押すパイオニアの「ラクドス・ミッドレンジ」でも活躍できそうだ。
また、このうち《不浄な別室 // 祭儀室》+《鬼の刃》を採用した黒単のデッキは「黒単デーモン」に分類されている。さらにこれらのデッキでは《アクロゾズの放血者》+《止められぬ斬鬼》のワンショットキルコンボも搭載されているものが多い。黒系ミッドレンジだけ見てもそのデッキタイプは多種多様であり、それぞれが異なる強みを持っている。
「ラクドス果敢」と同じカラーリングながらもまったく趣を異にする「ラクドス・ミッドレンジ」。このデッキもまた今大会注目のデッキと言えるだろう。
現在のパイオニアは2種類のラクドス系デッキや「黒単デーモン」など、黒を中心に回っていると言える。それぞれのデッキが異なる強みを持っており、かつ純粋にカードパワーが高く、「イゼット・フェニックス」のようなデッキに対してもサイドボード後に《虚空の力線》で対抗できるのが特徴的だ。
だが、パイオニア環境には依然として強力な「アゾリウス・コントロール」のようなコントロールデッキや、「アゾリウス・ロータス」「マルドゥ脂牙」といったコンボデッキもあり、メタゲームは群雄割拠の様相を呈している。
多種多様なデッキが入り乱れる今大会で勝ち抜くのは果たしてどのデッキになるのか? パイオニアの未来を占う今大会の動向に目が離せなくなりそうだ。
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