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プレイヤーズコンベンション千葉2025

スタンダード・ネクステージ ~『霊気走破』からの新鋭!バント・ギアハルク~
スタンダード・ネクステージへようこそ!本稿では先週末に開催された「ジャパンスタンダードカップ:『霊気走破』 Supported by 楽天ブックス」(以下、ジャパンスタンダードカップ)から、最新セット『霊気走破』のカードを採用したスタンダードデッキを紹介していきます。
最新セット『霊気走破』、その活躍を一足先に見ていこうではありませんか。
さあ、次のスタンダード環境へ向けていよいよエンジンはフルスロットル!速度は遂に4へと上昇し、「最高速度」となりました!
本日はいよいよ『霊気走破』の発売日です。ゴール目指して、スタンダード・ネクステージ……スタートです!
最終回である今回はジャパンスタンダードカップから最新アーキタイプ、バント・ギアハルクをご紹介します。
スタンダード・ネクステージ:バント・ギアハルク
3 《平地》 2 《アダーカー荒原》 4 《植物の聖域》 3 《低木林地》 2 《ハッシュウッドの境界》 4 《剃刀境の茂み》 2 《金属海の沿岸》 3 《ヤヴィマヤの沿岸》 -土地(23)- 2 《ミストムーアの大主》 4 《マネドリ》 4 《ラノワールのエルフ》 4 《脚当ての補充兵》 4 《耕作する高原導き》 4 《名もなき都市の歩哨》 2 《温厚な襞背》 4 《輝晶の機械巨人》 -クリーチャー(28)- |
1 《薄暮薔薇の聖遺》 1 《破片魔道士の救出》 3 《幽霊による庇護》 1 《魂の仕切り》 2 《声も出せない》 1 《バジリスクの首輪》 -呪文(9)- |
3 《領事の権限》 1 《薄暮薔薇の聖遺》 2 《邪悪を打ち砕く》 2 《安らかなる眠り》 1 《幽霊による庇護》 1 《第三の道のロラン》 2 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 2 《機能不全ダニ》 -サイドボード(15)- |
バント・ギアハルクとは、その名の通り《輝晶の機械巨人》によるシルバーバレットを利用したミッドレンジタイプのデッキです。バント・ギアハルク自身がネクステージ、つまりは『霊気走破』によって誕生した新しいデッキなのです。デッキの中核を成す《輝晶の機械巨人》から状況に応じてさまざまなカードをサーチして、ゲームプランを構築していきます。
シルバーバレット/Silver Bulletとは、特定の状況下で強力なカード、あるいはそれを組み込んだデッキ構築や戦略の総称であり、俗にシルバーバレット戦略とも呼ばれます。多くの場合、これらのカードをサーチできるギミックを内蔵しています。こうしたデッキは状況に応じて必要な道具(カード)を取り出すことから、ツールボックス/Toolboxとも表現されます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ゲームの中核をなすのは『霊気走破』の《輝晶の機械巨人》です。厳しい色拘束と最近のクリーチャーにしては控えめなスタッツばかりに目がいってしまいますが、真価はその誘発型能力にあります。戦場に出たときの誘発型能力こそ、上記のシルバーバレット戦略そのものを体現したカードなのです。
《輝晶の機械巨人》は戦場にクリーチャーを展開しつつ、状況に応じたカードをサーチし、ゲームを優位に進める手助けをしてくれるクリーチャーです。サーチ対象がマナ総量1以下と侮るなかれ。クリーチャー、エンチャント、アーティファクトと3種類に渡り、さらにマナコストにXを含む一部のカードも対象となります。スタンダードのカードプールとにらめっこすれば、あまりの対象の多さに驚くことでしょう。
問題は用途と選別です。有利なマッチアップ用のカードを採用したり、特定のデッキに対して過剰にサーチ先を用意したりすればすぐにデッキ枚数は60枚を越えてしまいます。シルバーバレット戦略はデッキ枚数を最小限に抑えながら、それでいて効果的なタイミングでカードを使用できる点が優れているのです。
それではこのデッキのサーチ先についてみていきましょう!
《輝晶の機械巨人》のサーチ先として真っ先にあがるのがコピー能力を持つ《マネドリ》です。サーチした次のターンに《輝晶の機械巨人》のコピーとして戦場に出せば再度能力が誘発と、《マネドリ》の数だけこの工程を繰り返すことが可能です。
戦場を《輝晶の機械巨人》で埋め尽くすのもオツなものですが、オーバーキルは良くありません。何事もほどほどが肝心です。その点では《バジリスクの首輪》は優れた装備品です。装備によって付与される接死と絆魂は《輝晶の機械巨人》の持つ先制攻撃と相性抜群。この装備品があれば戦闘で打ち取られることはほとんどありえません。
展開の一例としては《輝晶の機械巨人》から《マネドリ》と《バジリスクの首輪》をサーチし、《マネドリ》でコピーを生成。続くターンにコピーへ《バジリスクの首輪》を装備しアタック、本体へ装備を付け替えてブロックとすればクリーチャー2体と装備品1枚で攻防が完結してしまいます。
対戦相手のデッキ大量の単体除去呪文が採用されているならば《脚当ての補充兵》と《破片魔道士の救出》の出番です。前者は対象にとられることでほかのクリーチャーを強化し、後者は除去そのものに対するカウンターとして機能します。
特に《破片魔道士の救出》は白マナを構えられるターンにサーチし、相手にプレッシャーをかけたいカードです。
《黙示録、シェオルドレッド》のような脅威への対処手段はあるのでしょうか。ご安心を、クリーチャー対策として《声も出せない》と《薄暮薔薇の聖遺》の2種類が用意されています。
《薄暮薔薇の聖遺》は追加コストを必要としますが、《ミストムーアの大主》や新生のクリーチャートークン、《名もなき都市の歩哨》の地図トークン、マナが伸びきった後の《ラノワールのエルフ》など事欠きません。
さて、ここまでは《輝晶の機械巨人》によるシルバーバレット戦略について解説してきました。ここからは脇を固めるカードたちを紹介していきましょう。
1ターンでも早く《輝晶の機械巨人》をプレイしたいため、《ラノワールのエルフ》と《耕作する高原導き》の2種類のマナクリーチャーが採用されています。8枚のマナクリーチャーがいるため、安定して3ターン目にプレイできそうです。
《耕作する高原導き》は新生により土地を引きすぎた際の受け皿にもなります。
サイドボードで目を引くのは手厚く取られたアグロ対策である《領事の権限》。ダメージランドを多く採用しており、《輝晶の機械巨人》着地までの時間稼ぎのためです。
《機能不全ダニ》はサーチ先として優れたユーティリティークリーチャーです。《ウラブラスクの溶鉱炉》や《幽霊による庇護》、《力線の束縛》など現在のスタンダードでは対象に事欠きません。
今回のリストでは不採用ですが、奇襲性を高める装備品《溶岩拍車のブーツ》や墓地対策の《除霊用掃除機》も選択肢にあがります。メタゲームに応じてスロットを数枚入れ替えるだけで、適応できるのがシルバーバレット戦略の優れた点です。
《輝晶の機械巨人》はパッと見て色拘束の厳しくなった《イーオスのレインジャー》ようにも思えました。しかしながら、サーチ範囲がエンチャントとアーティファクトまで広がったことで対応力は段違いの性能となっています。《マネドリ》を筆頭に相性の良いカードに恵まれている点は否めませんが、それでもダメージレース用の装備品にはじまり、保護カード、クリーチャー除去、果ては置物対策とこれ1枚でほとんどの局面に対応できるのは事実です。
今後スタンダードのカードプールが広がるに連れてサーチ先は増え、シルバーバレット戦略はより強力に機能していきます。《輝晶の機械巨人》こそ、スタンダードへ舞い降りた可能性の獣なのです。
新たなアーキタイプ、バント・ギアハルク。ぜひお試しあれ。
おわりに
今回は《輝晶の機械巨人》の加入によって誕生した最新デッキ、バント・ギアハルクをご紹介しました。いつの時代もシルバーバレット戦略はデッキ構築の幅を広げ、メインボードにおける対応力をあげてくれます。1枚挿しの切札を自由自在にサーチできるのですから、一度手に取るとこの万能感はクセになります。
ジャパンスタンダードカップまでの短期間で構築されたとは思えぬ完成度の高さ、素晴らしいの一言に尽きます。新セットが発売されるたびにカードプールの隅から隅まで見渡し、《輝晶の機械巨人》を使い倒しましょう!
さて、今回でスタンダード・ネクステージは一旦終了となります。それではまたいつか!