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プレイヤーズコンベンション千葉2023

観戦記事

第8回戦:宮脇 猛(愛知) vs. 京極 匡将(大阪) 〜全勝者たちのヘッズアップ〜

大久保 寛

 夏至を過ぎてまだ間もない幕張の空は、19時を前にしてもまだ夕暮れに染まっていた。これから夜がやってきて、そしてまた半日後には朝を迎える。やってくる明日がより良いものになるかどうかは、このチャンピオンズカップファイナル サイクル3の初日最終戦の結果に委ねられている。

 みんな仲良く手を繋いでゴールというイベントもできなくはないのかもしれないが、それではドラマは生じ得ない。これが競技イベントである以上、ここにいる誰もが敗北の苦渋をベットして卓に着き、価値ある勝利を手にするための真剣勝負に身を投じる。

 これからフィーチャーするのは、そんな初日最終戦の一幕だ。フィーチャーマッチテーブルに着いたのは「アブザン脂牙」操る宮脇 猛(愛知)と「ラクドス・サクリファイス」操る京極 匡将(大阪)の2名。ここまで全勝で勝ち抜いてきた彼らは実力があることはもちろんのこと、勝負の勢いにも乗っているプレイヤーと言えよう。このまま全勝で初日を終えることができれば、その勢いを維持したまま決勝ラウンド進出へと大きく近づくことができる。

 中部・近畿と地理的に近い競技プレイヤーということで互いに顔見知りの2人は「この前負けたな〜(笑)」などと軽く言葉を交わしながら、しかし和みすぎることもなく、交換した互いのデッキリストをよく吟味して真剣に戦いの方策を立てていた。明日を戦い抜き、栄光の舞台である決勝ラウンドに進出するためには、この戦いもまた負けられないものであることは両者とも十分に理解している。

 最善の明日を手にするために、今、最善のプレイをする。ただそれだけを祈ってスターティングハンドを手にして。

 やがてジャッジから発された開始のコールとともに、戦いの火蓋が切って落とされた。


宮脇 猛(愛知) vs. 京極 匡将(大阪)
 

ゲーム1

 互いにセットランドのみで第1ターンを終えると、宮脇は第2ターンに《ウィザーブルームの命令》。これによって墓地を肥やしつつ土地を手にし、対する京極はダブルマリガンからスタートしながらも2枚の《税血の収穫者》をプレイして快調にクロックを刻み始める。

 宮脇はクロックの対処を後に回すことにし、《忌まわしい回収》をプレイ。これで《黙示録、シェオルドレッド》を手札に加え、続くターンにプレイする。これに対し、京極は解決策を探しに《命取りの論争》で手札を探し、得た宝物・トークンを使って《致命的な一押し》で応じる。


京極 匡将(大阪)
 

 ライフを犠牲にしつつも最速で《黙示録、シェオルドレッド》を処理した京極は、再び《税血の収穫者》たちに攻撃の号令をかけて宮脇に迫る。

 だが、宮脇も攻撃の手を緩めない。ならばと継いだ二の矢は《領事の旗艦、スカイソブリン》!

 

 これによって京極の《税血の収穫者》を1体除去してクロックスピードを落とすことに成功する。

 宮脇の盤面にフィニッシャーが登場したことで、京極も早急に宮脇のライフを削る必要に迫られる。先ほどは《黙示録、シェオルドレッド》の対処にマナをすべて費やすこととなったが、このターンは《鏡割りの寓話》をプレイして失ったクロックを補充する。これまでに宮脇は《マナの合流点》や《コイロスの洞窟》からのペイライフもあって残りライフは7点まで減っており、2/2のゴブリン・シャーマン・トークンといえども脅威となる状況だ。

 依然としてブロッカーを出せていない宮脇だったが、《ウィザーブルームの命令》をドレインと切削のモードで使用し、わずかばかりではあるが命を延ばす。さらに《未練残り》で墓地の《大牙勢団の総長、脂牙》の御霊を戦場へと呼び戻す。

 

 墓地に機体はないが、問題はない。《大牙勢団の総長、脂牙》で《領事の旗艦、スカイソブリン》に搭乗して攻撃を行い、京極の《税血の収穫者》を除去。さらに6点のダメージが通り、盤面も掌握されてイニシアティブを握られてしまった京極だったが、「紛争」を達成したことで、《致命的な一押し》をプレイでき、《大牙勢団の総長、脂牙》を除去することに成功した。

 これまで攻撃は食らっていなかった京極だったが、しかし《黙示録、シェオルドレッド》がいる状況で3枚のカードを引いており、さらに《ウィザーブルームの命令》のドレインも合わせてライフは12まで減っていた。そこにこの《領事の旗艦、スカイソブリン》の攻撃もあって、残すライフは6。すなわち、もはや猶予ターンはない。

 《鏡割りの寓話》のⅡ章で手札をリフレッシュし、《領事の旗艦、スカイソブリン》への解答を探ったが、デッキトップは京極の思いに応えてはくれなかった。宮脇が自分のターンを迎えると、手札から2枚目の《大牙勢団の総長、脂牙》をプレイして《領事の旗艦、スカイソブリン》に搭乗。そのまま攻撃宣言を行い、一気に京極のライフを削り去っていった。

 宮脇 1-0 京極

ゲーム2

 第1ゲーム同様《税血の収穫者》から動き出す京極に、宮脇は《ラフィーンの密通者》をプレイしてブロッカーを用意。さらに「謀議」を行って手札を整える。


宮脇 猛(愛知)
 

 続くターンにアクションが取れなかった京極に対し、宮脇は2枚の《忌まわしい回収》で墓地を肥やす。これによって《領事の旗艦、スカイソブリン》と《パルヘリオンⅡ》を墓地に落とすことに成功した宮脇は、さらに2枚目の《ラフィーンの密通者》をプレイしてじわじわと盤面と墓地にカードを増やしていく。

 京極は《鏡割りの寓話》をプレイしつつ《税血の収穫者》の能力を起動し、宮脇の《ラフィーンの密通者》の片方と交換。ならばと宮脇は《大牙勢団の総長、脂牙》と《グルマグのアンコウ》をプレイし、一気に形勢が宮脇に傾く。

 

 この《大牙勢団の総長、脂牙》は血・トークンを生け贄に捧げて「紛争」を達成した《致命的な一押し》で除去するが、以前宮脇の盤面には《ラフィーンの密通者》と《グルマグのアンコウ》というクロックが残されている。

 京極はここまでに《ラフィーンの密通者》に攻撃され続け、残るライフは12点まで減らされてしまっている。挽回を図るべく、まずは《波乱の悪魔》を出しつつゴブリン・シャーマン・トークンで攻撃し、誘発型能力によって宝物・トークンを得ると《命取りの論争》でゴブリン・シャーマン・トークンを生け贄に。これによって2枚のドローを得ながら宝物・トークンをさらに1つ生け贄に捧げ、合計2回能力が誘発した《波乱の悪魔》が《ラフィーンの密通者》を焼き焦がす。

 

 厄介なシステムクリーチャーである《波乱の悪魔》と続くターンに変身してしまう《鏡割りの寓話》に対処する術のない宮脇だが、依然ライフレースは優位であり、盤面にはサイズも優れる《グルマグのアンコウ》が残っている。このイニシアティブを活かすべく、さらに京極に5点の猛打を加えつつ、《墓地の侵入者》をプレイし、京極の残りターンを1ターンずつ着実に減らしていく。

 いよいよ残すところライフ6となって後がない京極だが、《鏡割りの寓話》を変身させ、2枚目の《波乱の悪魔》を出すのみでターンを終える。いくら《鏡割りの寓話》が変身しているとて、このターンに《グルマグのアンコウ》か《墓地の侵入者》を除去できなければ《波乱の悪魔》を最低でも1体は失うこととなって苦しい状況に追い込まれるはずだ。しかし、除去もドローによる解決策の探索もしてこない。なんとも不敵なプレイだ。

 だが、そんな京極に対し宮脇は無慈悲に《思考囲い》を放つ。その手札から《致命的な一押し》を抜き、京極にブラフをかけることさえ許さない。続く《グルマグのアンコウ》の攻撃には《波乱の悪魔》のダブルブロックで応じるが、その脇を《墓地の侵入者》が通り抜け、攻撃時の誘発型能力と合わせてライフは残り2点まで減らされてしまう。

 そんな京極に向けて宮脇が放ったのは《ウィザーブルームの命令》。これが京極の最後のライフを削りきり、宮脇が見事初日全勝の座を掴み取った。

 宮脇 2-0 京極

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