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神河チャンピオンシップ

観戦記事

神河チャンピオンシップ 王者決定戦

Corbin Hosler

2022年3月13日

 

(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)

 「神河チャンピオンシップ」もいよいよ最終決戦。15回戦にわたり行われたアルケミーとヒストリックの戦いが、世界選手権の6つの席を争ったトップ8の戦いが、そしてこの日曜日に幾度となく行われたダンジョン探索のすべてが、この王者決定戦に収束する。

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イーライ・カシス/Eli Kassis(写真1)、ザック・ダン/Zach Dunn(写真2)
 

 最後の戦いは、ベテランと新顔の対決となった。イーライ・カシス/Eli Kassisは、前シーズンをマジック・プロリーグという最高の舞台で競い合い、チャンピオンシップ・イベントでもプレイテスト・チームの力になってきた。一方のザック・ダン/Zach Dunnがハイレベルな舞台に上がってきたのはここ数年のことだが、「神河チャンピオンシップ」にて自身初のトップ8入賞を果たし、躍進のときを迎えた。

 王者決定戦は「2マッチ先取」で行われる。第1マッチが幕を開けると両者は早いターンにリソースを交換し、やがてカシスはダンが繰り出すクリーチャーの第一陣を捌きつつダンジョン探索を始めた。一方のダンも《鏡割りの寓話》で中期戦を見据えたエンジンを準備し、《エメリアのアルコン》でカシスの動きを鈍らせる。

 両者ともパンチや除去を交わし、有利なポジションを探った。その中で先に強力なトップデッキを見せたのは、カシスの方だった。《無私のパラディン、ナダール》がダンジョン探索を立て続けに行い、その常在型能力で味方を強化すると、ダンのライフは残り7点まで落ち込んだ。

 攻勢を食い止められたダンは守勢に回る。《強迫》に対応して《パワー・ワード・キル》を放ちカシスのクリーチャーを取り去ると、その後の引きが良ければ盤面を立て直せるほどの猶予を得た。

 そこで引き込んだのが、《婚礼の発表》だ。それはブロックでなんとか盤面を維持していたダンにもう1つのエンジンをもたらした。カシスは戦闘で失った1体目に代わり2体目の《無私のパラディン、ナダール》を繰り出したところで、盤面が膠着したことを悟った。

 そしてダンのライブラリー・トップから現れた《蜘蛛の女王、ロルス》が、すべてを一変させた。

 

 切り札たるプレインズウォーカーが状況を覆し、カシスは蜘蛛を払うために攻撃に出ざるを得なくなった。結果として盤面は一掃されたが、《蜘蛛の女王、ロルス》は戦場に残り、再びトークンを増やしていく。数ターン後にはさらに《星界の騙し屋、ティボルト》も加わり、カシスは開幕の1ゲームを譲ることになった。

 

 第2ゲームにカード・アドバンテージを掌握したのは、カシスだった。《勢団の銀行破り》で序盤からカードを引いていく彼に対し、ダンの出足は遅い。《ファンデルヴァーの失われた鉱山》への探索を始めたカシスに、《無私のパラディン、ナダール》と《勝利した冒険者》が続く。

 探索を続けるカシスは《放浪皇》を引き込み、それを戦闘中に介入させダンの《A-勝利した冒険者》を取り去ると、天秤は一気にカシスの方へ傾いた。ダンは直接プレインズウォーカーを除去できるカードを引けず、生き残った《放浪皇》はカシスの盤面をさらに強化する。こうしてアドバンテージ差は圧倒的になり、両者の第1マッチは第3ゲームへと向かうことになった。

 

 第3ゲームはこの王者決定戦の主導権を握るゲームにふさわしい戦いだった。序盤はお決まりのパターンで、両者とも除去とリソースを交換していった。やがて互いにライフは高いものの、手札も盤面も消耗し始める。

 だがマジックのゲームは常にライフを競うものではない。このゲームの場合は、カシスがダンジョンを踏破するレースの様相になった。彼のライフはただちに危険に晒される状況ではなく、また《A-急な落下》がダンの《忘れられた大天使、リーサ》の攻撃力を抑えていた。戦場は再び膠着し、そうなればダンジョン探索で徐々にアドバンテージを得られるよう設計されているカシスのデッキが有利だった。

 マジックのゲームは常にライフを競うものではないが、しかし、常に小さなアドバンテージの積み重ねを競うものでもない。つまり解説のセドリック・フィリップス/Cedric Phillipsが言うように、「ティボルトの起こす大波には永遠に誰も立ち向かえない」。

 

 印象的なプレインズウォーカーがダンにとって印象的な瞬間をもたらした。その後ダンは《星界の騙し屋、ティボルト》の能力を何度か起動し、第1マッチを勝ち取った。自身初のトップ8入賞からマジックの世界の頂へ到達するまで、あと1マッチだ。

 だがその1マッチを勝ち切らなければならない。ベテランのカシスは、危機に直面しても動じないことで知られている。第2マッチ開幕の一番、壁際に追い込まれた彼の初手は、《A-勝利した冒険者》から《エメリアのアルコン》、そして4ターン目には豊富な選択肢という理想的なものだった。

 その勢いに押されたダンだが、《スカイクレイブの亡霊》2体で反撃の糸口を探す。除去を受ければカシスにトークンを与えてしまう不安定な盤面ではあったが、このままいけばダンが勝つ状況だ。カシスが優勝の望みを残すには、何か助けが必要だ。そのとき彼のデッキ・トップから現れたのは、まさに彼が求める1枚――《ハグラの噛み殺し》だった。これがこのゲームの、そして優勝の可能性を残す決定打となった。

 

 スイッチが切り替わり、今度はカシスが主導権を握ることになった。

 「オルゾフ・ダンジョン」は、この週末のアルケミー部門で最も好成績を残したデッキの1つだった。そのデッキを駆るカシスは、ここで珍しい一手を打つ。普段と異なるダンジョンの探索を行ったのだ。

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 第1マッチと同様にサイドボード後のゲームが長期戦になることを想定し、カシスは《狂える魔道士の迷宮》を選択した。この展開は記憶に残る素晴らしいゲームを演出した。

 

 長い旅路だがカシスの歩みは速く、それを《放浪皇》が後押しした。《放浪皇》の忠誠度をめぐりクリーチャーがぶつかり合う中で、ダンのライフは失われていく。その間にもカシスは、ダンジョンを奥深く進んでいった。

 ダンは必死に持ちこたえていたが、カシスはついにプレインズウォーカーと土地も攻勢に加えて攻め立てた。そしてこの攻撃で狂える魔道士を撃破した彼はそのままダンも撃破し、王者決定戦は1勝1敗のイーブンになった。

 つまり、すべては次の1マッチで決まる。

 両者の《A-勝利した冒険者》がダンジョン探索を始めたが、それらは異なるダンジョンへ潜っていった。カシスは再び《狂える魔道士の迷宮》へ向かい、ダンは王道の《ファンデルヴァーの失われた鉱山》へ足を運ぶ。それからカシスは《街追いの鑑定人》でダンの手札を攻め、ダンは《婚礼の発表》で盤面を築いていった。

 そして激しい戦いが始まった。その中で《放浪皇》と除去を抱えるカシスが一気に攻勢に出て、ダンは4体ブロックで応えるという一幕もあった。両者ともライフを十分に残したまま盤面は膠着し、どちらが先に優位に立つかという勝負になった。

 あるいは、どちらが先にダンジョンを踏破するかという勝負だった。カシスは《見捨てられたぬかるみ、竹沼》の「魂力」で《勝利した冒険者》を戻し、ダンはそれに除去を当てられなかった。カシスは再び、狂える魔道士から3枚のカードを得たのだ。

 

 これでカシスが3ゲーム立て続けに取り、「神河チャンピオンシップ」優勝まであと1ゲームに迫った。

 だがそれは簡単な道ではなかった。今度はダンが序盤の盤面を握り、《鏡割りの寓話》を《キキジキの鏡像》へと変身させた。《食肉鉤虐殺事件》でクリーチャーを一掃したカシスだが、それでも苦しい状況に追い込まれた。《婚礼の発表》やクリーチャーでダンは盤面を立て直し、カシスにプレッシャーを与える。カシスもたまらず《星界の騙し屋、ティボルト》を差し出し、盤面の安定を狙った。再び激しい応酬が繰り広げられ、盤面は再び膠着状態になった。

 その膠着は、ダンが《星界の騙し屋、ティボルト》を引き込んで破られた。彼はそれを戦場に繰り出し、ターンを渡した。この強力なプレインズウォーカーを残して再びターンが帰ってくれば、ここで引き離せそうだ。アンタップを迎えた時点で、プレッシャーがかかっているのはカシスの方だった。

 カシスは、最高の1枚で応えた。

 

 一転苦しい戦いになったダンはクリーチャーを《放浪皇》へ差し向け、プレッシャーをかけた。だがクリーチャーによる戦闘とそれにともなう《食肉鉤虐殺事件》の能力の誘発が積み重なり、ダンのライフは残り7点まで追い込まれた。自身も《放浪皇》を送り出したものの、何とか踏みとどまることしかできない。彼の命運は、カシスの次のドローに委ねられた。

 カシスはここでも、最高の1枚で応えた。その瞬間は、《ファンデルヴァーの失われた鉱山》の中の「保管庫」による+1/+1カウンターとともに、忘れられないものになっるだろう。

 

 

 「神河チャンピオンシップ」優勝は、《狂える魔道士の迷宮》の攻略を極めたイーライ・カシス。彼は見事、マジックとアルケミーも極めたことを証明してみせたのだ。

 

イーライ・カシス選手、#NEOChamps優勝おめでとうございます!

輝かしいトップ8の面々を相手にカシス選手は「勝利した冒険者」を導き、優勝という結果をもって「オルゾフ・ダンジョン」デッキをアルケミーの地図に加えました。お見事です!


 
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