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神河チャンピオンシップ
神河チャンピオンシップ メタゲームブレイクダウン
2022年3月11日
いよいよ「神河チャンピオンシップ」だ。3月11日9時(日本時間26時)より始まる今大会では、マジック・プロリーグおよびライバルズ・リーグ所属選手とMTGアリーナやMagic Onlineで開催された予選イベントの通過者たち合計229名が、賞金総額450,000ドルを懸けてヒストリックとアルケミーの2フォーマットで競い合う。大会の模様は、生放送でお届けする(情報記事:日本語・英語)。
メタゲームブレイクダウン(ヒストリック)
今大会では2日間合計で8回戦のヒストリック・ラウンドがある。メタゲームは以下の様相になった。
アーキタイプ | 使用者数 | 使用率 |
---|---|---|
イゼット・フェニックス | 56 | 24.5% |
アゾリウス・コントロール | 21 | 9.2% |
ゴルガリ・フード | 20 | 8.7% |
アゾリウス・オーラ | 15 | 6.6% |
ジェスカイ・コントロール | 15 | 6.6% |
アゾリウス睡蓮の原野 | 13 | 5.7% |
アゾリウス・ヨーリオン | 13 | 5.7% |
ラクドス・アルカニスト | 13 | 5.7% |
オルゾフ・オーラ | 9 | 3.9% |
グルール・アグロ | 6 | 2.6% |
ジャンド・フード | 6 | 2.6% |
マルドゥ脂牙 | 5 | 2.2% |
5色ニヴ=ミゼット | 4 | 1.7% |
エスパー・パクト | 3 | 1.3% |
マルドゥ・ミッドレンジ | 3 | 1.3% |
ラクドス・サクリファイス | 3 | 1.3% |
セレズニア・エンチャントレス | 3 | 1.3% |
アゾリウス親和 | 2 | 0.9% |
エスパー脂牙 | 2 | 0.9% |
ジェスカイ独創力 | 2 | 0.9% |
アブザン人間 | 1 | 0.4% |
ボロス・トークン | 1 | 0.4% |
ディミーア・コントロール | 1 | 0.4% |
ディミーア・パクト | 1 | 0.4% |
エスパー・オーラ | 1 | 0.4% |
ヘリオッド・カンパニー | 1 | 0.4% |
イゼット・アグロ | 1 | 0.4% |
ジェスカイ睡蓮の原野 | 1 | 0.4% |
ジェスカイ・ヨーリオン | 1 | 0.4% |
マルドゥ・リアニメイト | 1 | 0.4% |
ラクドス・アグロ | 1 | 0.4% |
ラクドス・ミッドレンジ | 1 | 0.4% |
セレズニア人間 | 1 | 0.4% |
シミック・マーフォーク | 1 | 0.4% |
シミック・パラドックス装置 | 1 | 0.4% |
「神河チャンピオンシップ」のヒストリック・ラウンドは、青と赤のカードに支配されているようだ。「イゼット・フェニックス」の勢力は全体の4分の1に迫り、さらにメインデッキ採用カード上位7枚が《表現の反復》、《大魔導師の魔除け》、《邪悪な熱気》、《信仰無き物あさり》、《考慮》、《選択》、《ドラゴンの怒りの媒介者》と、青と赤のカードで占められているのだ。
それでも、メタゲームは変化を続けている。3か月前の「イニストラード・チャンピオンシップ」では、「セレズニア人間」と「イゼット・フェニックス」、「ヘリオッド・カンパニー」、「ゴルガリ・フード」が上位4デッキだった。それから「イゼット・フェニックス」と「ゴルガリ・フード」の2デッキが勢力を伸ばし、「セレズニア人間」と「ヘリオッド・カンパニー」の2つはほぼ完全に姿を消すことになった。その動きによって上がってきたのが、『神河:輝ける世界』の新カードに後押しされたアゾリウス系のデッキだ。
『神河:輝ける世界』のメインデッキ/サイドボード採用カード上位7枚(土地を除く)は、新旧さまざまなアーキタイプに力を与えた。
- 《冥途灯りの行進》や《放浪皇》、《告別》は、「アゾリウス・コントロール」や「アゾリウス・ヨーリオン」、「アゾリウス睡蓮の原野」にぴったり収まっている。これら3アーキタイプは同じ2色のコントロールの派生形と見ることもでき、すべて合わせればメタゲーム全体の20.5%を占めることになる。「イニストラード・チャンピオンシップ」のときはアゾリウスのデッキがほぼいなかったことを考えると、大きな変化と言えるだろう。強力な単体除去やプレインズウォーカー、そして全体除去の登場は、白青のコントロール・デッキを使うプレイヤーの助けになったのは間違いない。
- 《碑出告が全てを貪る》は《魔女のかまど》や《金のガチョウ》、《貪欲なるリス》、《大釜の使い魔》を吹き飛ばすことができ、「ゴルガリ・フード」に極めて有効だ。そして続く章能力では墓地の《大釜の使い魔》を追放でき、さらに3/3のクリーチャーまで手に入る。そんな《碑出告が全てを貪る》は、「ラクドス・アルカニスト」や「イゼット・フェニックス」のサイドボードにほぼ必ず搭載されているのだ。なおメインデッキに黒の呪文を採用していない「イゼット・フェニックス」は、このメタゲームブレイクダウン記事において「グリクシス」ではなく「イゼット」に分類している。
- 《大牙勢団の総長、脂牙》は、《パルヘリオンⅡ》との組み合わせでまったく新しいアーキタイプを生み出した。3ターン目に《パルヘリオンⅡ》を墓地から繰り出すのは、まさに必殺コンボとなるだろう。
- 《大釜の使い魔》と《魔女のかまど》が1枚にまとまったような《鬼流の金床》は、「ラクドス・サクリファイス」や「ジャンド・サクリファイス」を強化した。クリーチャー・トークンはあなたのターン中に1回しか生成しないものの、サクリファイス系デッキとの相性は最高だ。
5枚の「魂力」土地が多く見受けられるのは、驚くことではないだろう。これらは大抵のデッキで、1枚の採用なら基本土地の上位として扱える。中でも一番使われているのは、一番使われている基本土地の《島》に対応する《天上都市、大田原》だ。
ヒストリックのアーキタイプ紹介
ヒストリック部門の全デッキリストは、第1回戦開始時にイベントページにて公開となった。以下に各アーキタイプを簡単に紹介しよう。
イゼット・フェニックス(使用者56名):《信仰無き物あさり》や《考慮》で《弧光のフェニックス》を墓地に置きつつ、《ドラゴンの怒りの媒介者》や《スプライトのドラゴン》の能力を誘発させ、さらに《邪悪な熱気》の「昂揚」も達成していくデッキ。
アゾリウス・コントロール(使用者21名):《大魔導師の魔除け》や《ドビンの拒否権》で呪文を否定し、《冥途灯りの行進》や《告別》でパーマネントを否定し、《ドミナリアの英雄、テフェリー》や《放浪皇》といったプレインズウォーカーで勝負を決める、典型的なコントロール・デッキ。
ゴルガリ・フード(使用者15名):《大釜の使い魔》、《魔女のかまど》、《パンくずの道標》のトリオは、ヒストリック創設当初からデッキの強力な核であり続けている。「ゴルガリ・フード」は低マナ域に《貪欲なるリス》や《食肉鉤虐殺事件》を加え、《夢の巣のルールス》を相棒として存分に活かせる2色デッキに仕上がっている。
アゾリウス・オーラ(使用者15名):《歩哨の目》や《秘儀での飛行》といったオーラでクリーチャーを強化しつつ、《コーの精霊の踊り手》や《上級建設官、スラム》の能力を誘発させていく。今大会で「アゾリウス・オーラ」を選択したプレイヤーのおよそ半数が《皇の声、軽脚》を採用しており、それを守るために《ケイヤ式幽体化》を1枚挿しているプレイヤーもいるが、《ケイヤ式幽体化》は《皇の声、軽脚》で持ってくるカードで唱えるものでないため、《ケイヤ式幽体化》を採用している形も「アゾリウス」に分類している。
ジェスカイ・コントロール(使用者15名):《大魔導師の魔除け》と《稲妻のらせん》を備えるこのデッキは対戦相手のいかなる試みにも対応でき、《ドミナリアの英雄、テフェリー》で勝負を決める。今大会で「ジェスカイ・コントロール」を選択したプレイヤーの中には、《奔流の機械巨人》で《マグマ・オパス》を墓地から唱える動きを搭載した者もいる。その他の多くはクリーチャーを採用せず、《孤児護り、カヒーラ》を相棒としている。
アゾリウス睡蓮の原野(使用者13名):《睡蓮の原野》はかなりの犠牲を必要とするが、それは《厳しい試験官》や《もみ消し》で無視できる。これにより早い段階で《サメ台風》から巨大なサメを繰り出すことができるのだ。その他の部分は、白青のコントロール・デッキを踏襲している。
ラクドス・アルカニスト(使用者13名):このデッキが理想とするのは、1ターン目に《思考囲い》や《コジレックの審問》、あるいは除去を放ち、2ターン目に《戦慄衆の秘儀術師》という動きだ。最後には「脱出」した《死の飢えのタイタン、クロクサ》が勝負を決めてくれるだろう。
アゾリウス・ヨーリオン(使用者13名):基本的には80枚になった「アゾリウス・コントロール」と言えるだろう。安定性を少し犠牲にした代わりに、いつでも《空を放浪するもの、ヨーリオン》へアクセスできるようにした形だ。『神河:輝ける世界』で白のコントロール向けカードが新たに追加されたおかげで、デッキを80枚にする負担が軽減された。《海の神のお告げ》のようなカードも、このデッキの相棒と相性抜群だ。
オルゾフ・オーラ(使用者9名):このアーキタイプも《コーの精霊の踊り手》や《上級建設官、スラム》を《皇の声、軽脚》でサポートする。白と黒以外のオーラをタッチした形もあるが、それらは《皇の声、軽脚》で持ってくるカードで唱えるものでないため、同じく「オルゾフ」に分類している。
グルール・アグロ(使用者6名):1ターン目《生皮収集家》、2ターン目には《炎樹族の使者》から《通電の喧嘩屋》、そして3ターン目《エンバレスの宝剣》、これが理想の動きだ。
ジャンド・フード(使用者6名):どれも《金のガチョウ》、《大釜の使い魔》、《パンくずの道標》、《魔女のかまど》、《命取りの論争》を核としながらも、タッチする赤のカードには違いが見受けられる――《波乱の悪魔》を採用する者、《フェイに呪われた王、コルヴォルド》を採用する者、《鬼流の金床》を採用する者とさまざまだ。それらを組み合わせて使う者が多い。
マルドゥ脂牙(使用者5名):2ターン目に《ゴブリンの技師》や《信仰無き物あさり》で《パルヘリオンⅡ》を墓地へ置き、続く3ターン目に《大牙勢団の総長、脂牙》を繰り出し《パルヘリオンⅡ》を戦場に戻して速攻を与える。そして戦闘ステップの開始時に《大牙勢団の総長、脂牙》で《パルヘリオンⅡ》へ「搭乗」すれば、13点ものダメージを一撃で与えることができ、さらに戦場には次のターンに勝負を決められるだけのクリーチャーも残るというわけだ。
5色ニヴ=ミゼット(使用者4名):このデッキではほぼすべての呪文が多色で、《ニヴ=ミゼット再誕》の力を最大限に活用できるようになっている。《ニヴ=ミゼット再誕》を支えるための「トライオーム」重視のマナ・ベースは、《縄張り持ちのカヴー》とも完璧に噛み合う。2ターン目5/5も不可能ではないのだ!
セレズニア・エンチャントレス(使用者3名):《真の木立ち》や《聖域の織り手》のようなエンチャントを唱え《収穫の手、サイシス》の能力を誘発させれば、次から次へとエンチャントを引き込める。『神河:輝ける世界』では《樹海の自然主義者》と《精霊との融和》の2枚を獲得し、爆発力と安定性を増している。
エスパー・パクト(使用者3名):このデッキは《神秘を操る者、ジェイス》2枚と《汚れた契約》2枚を除きすべてシングルトンで構成されている。それら2枚が1枚ずつ手札に揃った状態で《汚れた契約》を唱えれば、最後の1枚を除きライブラリーをすべて追放できる。最後に《神秘を操る者、ジェイス》を唱えれば勝利だ。エスパーの形はリアニメイト要素を取り入れているが、《掘葬の儀式》1枚では安定性の向上にそれほど寄与しないだろう。
ラクドス・サクリファイス(使用者3名):《大釜の使い魔》と《貪欲なるリス》というお決まりのカードに、《鬼流の金床》や《実験統合機》という強力な新戦力が加わった。この2枚のアーティファクト生け贄シナジーは、『神河:輝ける世界』のドラフトだけでなくヒストリックでも強力だということだろう。
マルドゥ・ミッドレンジ(使用者3名):ミッドレンジとコントロールの境目にあるようなアーキタイプだが、これはコントロール・デッキに対してビートダウン戦略が期待できるため、「ミッドレンジ」に分類させてもらった。他のアーキタイプと同様に、「マルドゥ・ミッドレンジ」も最新セットから《勢団の銀行破り》、《碑出告が全てを貪る》、《放浪皇》といった強力なツールを多数獲得した。
エスパー脂牙(使用者2名):「マルドゥ脂牙」をベースとしながらも、手札を捨てる手段として《知識の渇望》や《信仰の繕い》を採用した形。
ジェスカイ独創力(使用者2名):《堅固な証拠》などからX=1の《不屈の独創力》を唱え、《セラの使者》を確実に戦場へ送り出す。多くのクリーチャー・デッキにとって、プロテクション(クリーチャー)を持つ対戦相手を打ち倒すのは容易でないだろう。
アゾリウス親和(使用者2名):モダンの古き良き「親和」ほど超攻撃的なデッキではないものの(ヒストリック版は消耗戦と干渉手段に長けている)、これも「親和」という名を冠するにふさわしいだろう。まさに「親和」メカニズムを持つ《思考の監視者》がデッキの中心にあり、《宝物庫》というアーティファクト・土地も採用されており、そして《頭蓋囲い》と《エーテリウムの達人》を合わせたような《イラクサ嚢胞》もあるのだ。
イゼット・アグロ(使用者1名):速攻クリーチャーと火力呪文で攻めるデッキ。《ギトゥの溶岩走り》で急襲を仕掛け、《スプライトのドラゴン》で攻勢を続けたら、最後は《魔術師の稲妻》で決着だ。
ディミーア・コントロール(使用者1名):「ディミーア・コントロール」には、青と黒が誇る最高の打ち消し呪文や単体除去、ドロー呪文、全体除去、手札破壊が集められている。
シミック・マーフォーク(使用者1名):古典的部族デッキの流れを汲む「シミック・マーフォーク」は、《マーフォークの霧縛り》のような「ロード」でクリーチャーを強化しながら、《海と空のシヴィエルン》や《集合した中隊》でカード・アドバンテージも生み出す。
ヘリオッド・カンパニー(使用者1名):《小走り樫》が戦場に出ると《魂の管理人》がライフをもたらし、それにより《太陽冠のヘリオッド》の能力が誘発し、《小走り樫》に+1/+1カウンターが置かれる。すると《小走り樫》はトークンを1体生成するので、あとは好きなだけこの手順を繰り返せる。
セレズニア人間(使用者1名):このデッキは序盤から《エスパーの歩哨》、《サリアの副官》と展開し、《ベナリアの軍司令》や《集合した中隊》でプレッシャーをかけ続ける。
アブザン人間(使用者1名):「セレズニア人間」に《ドラニスのクードロ将軍》を添えた形。
マルドゥ・リアニメイト(使用者1名):《信仰無き物あさり》や《歴戦の紅蓮術士》で《セラの使者》や《大修道士、エリシュ・ノーン》を墓地へ置き、《不吉な儀式の僧侶》や《掘葬の儀式》でリアニメイトする戦略。
ディミーア・パクト(使用者1名):「エスパー・パクト」から白のタッチを抜いた形。
ボロス・トークン(使用者1名):《軍団の上陸》や《禁じられた友情》で生成されるトークンは《不屈の独創力》の対象となるだけでなく、《無形の美徳》で強化される。このデッキは、まったく異なる2つの方法でトークンを活用するのだ。
ジェスカイ・ヨーリオン(使用者1名):「アゾリウス・ヨーリオン」をベースに赤をタッチし、《稲妻のらせん》などを採用した形。
ラクドス・ミッドレンジ(使用者1名):《戦慄衆の秘儀術師》や《大釜の使い魔》は使っていないが、マナ・カーブを極めて低く保つことで《実験統合機》や《夢の巣のルールス》を活かせるように構築されている。多数の干渉手段を持ち、攻撃的な速攻クリーチャーは持たないため、ミッドレンジ・デッキのように立ち回る。
シミック・パラドックス装置(使用者1名):以前も《湖に潜む者、エムリー》や《眷者の神童、キナン》を用いる《パラドックス装置》デッキは見受けられたが、『神河:輝ける世界』で《現実チップ》や《月罠の試作品》といったカードが加わり、コンボ成立ターンが劇的に向上している。
ジェスカイ睡蓮の原野(使用者1名):「アゾリウス睡蓮の原野」をベースに、《表現の反復》などの微調整を加えた形。
ラクドス・アグロ(使用者1名):「ラクドス・ミッドレンジ」と同様に、《戦慄衆の秘儀術師》や《大釜の使い魔》を採用せずマナ・カーブを極めて低く保つことで《実験統合機》や《夢の巣のルールス》を活かせるように構築されている。こちらには攻撃的な速攻クリーチャーが複数採用されており、直接ダメージを与える呪文もあることから、「アグロ」デッキに分類する。
エスパー・オーラ(使用者1名):「オルゾフ・オーラ」をベースに、《圧倒的洞察》や《秘儀での飛行》といった青の強力な関連呪文をタッチした形。
メタゲームブレイクダウン(アルケミー)
今大会では2日間合計で7回戦のアルケミー・ラウンドがあり、最終日のトップ8ラウンドもアルケミーで行われる。「アルケミーとは?」や「なぜアルケミーがあるのか?」といった質問に解説のマニ・ダヴォーディ/Mani Davoudiが「入門記事」で答えているので、そちらもぜひご覧いただきたい。さて、アルケミーのメタゲームは以下の様相になった。
アーキタイプ | 使用者数 | 使用率 |
---|---|---|
白単アグロ | 53 | 23.1% |
ナヤ・ルーン | 42 | 18.3% |
オルゾフ・ダンジョン | 17 | 7.4% |
マルドゥ・ミッドレンジ | 16 | 7.0% |
アゾリウス・コントロール | 15 | 6.6% |
ラクドス・サクリファイス | 12 | 5.2% |
ジェスカイ日向 | 9 | 3.9% |
ラクドス・ミッドレンジ | 8 | 3.5% |
グリクシス・ミッドレンジ | 7 | 3.1% |
グルール狼男 | 6 | 2.6% |
マルドゥ・サクリファイス | 6 | 2.6% |
オルゾフ・ミッドレンジ | 6 | 2.6% |
セレズニア・ランプ | 6 | 2.6% |
バント・コントロール | 3 | 1.3% |
エスパー・コントロール | 3 | 1.3% |
ゴルガリ・ミッドレンジ | 3 | 1.3% |
イゼット・カラミティ | 3 | 1.3% |
イゼット・コントロール | 3 | 1.3% |
ボロス・アグロ | 2 | 0.9% |
エスパー・クレリック | 2 | 0.9% |
ラクドス・アグロ | 2 | 0.9% |
バント・ランプ | 1 | 0.4% |
イゼット・アグロ | 1 | 0.4% |
イゼット・ミル | 1 | 0.4% |
赤単アグロ | 1 | 0.4% |
セレズニア・トークン | 1 | 0.4% |
今大会がチャンピオンシップ・デビューとなるアルケミーは、攻撃的なクリーチャー・デッキに支配されている。「白単アグロ」とエンチャント中心の「ナヤ・ルーン」はスタンダードでも使用でき人気を集めるアーキタイプだが、アルケミーならではのマナ・ベース(「白単アグロ」には《不詳の安息地》、「ナヤ・ルーン」には《見捨てられた交差路》)によってさらに良いものになっている。
使用率上位5アーキタイプにすべて白が含まれているのだから、今大会のアルケミー部門におけるメインデッキ/サイドボード採用カード上位5枚(土地を除く)もすべて白であることに驚きはないだろう。
その5枚を簡単に紹介しよう。《スカイクレイブの亡霊》はアグロ・デッキやミッドレンジ・デッキ向けの優れたクリーチャーだ。《エメリアのアルコン》は1ターン中に複数の「ルーン」を重ねていく動きを止めてくれる。《放浪皇》はコントロール・デッキで使っても強く、『神河:輝ける世界』の中でも特に傑出した1枚だ。《ポータブル・ホール》は効率的な除去。そして《精鋭呪文縛り》は、アグロ・デッキやミッドレンジ・デッキにぴったり収まる。今大会のアルケミー・ラウンドでは、白のカードを多く目にすることになるだろう。
それから、直近でアルケミーに追加された2セットにも注目してみよう。
『アルケミー:イニストラード』での採用率上位5枚(土地を除く)のうち4枚は、強力な「戦場に出たとき」の能力を持つクリーチャーだった。《街追いの鑑定人》、《審問官の隊長》、《シガルダ教の福音者》、《街裂きの暴君》の4枚だ。これらの能力は対戦相手がクリーチャー除去を持っていても効果を発揮し、いずれも4マナを使うプレイの成功の鍵を握っている。
残る1枚は《神聖な粛清》。コントロール・デッキがゲームを決めるために必要な時間をもたらす、優れた全体除去だ。
『神河:輝ける世界』での採用率上位5枚では、まずは先述した通り《放浪皇》を挙げるべきだろう。続く3枚は「ナヤ・ルーン」に欠かせないカードで、中でも《樹海の自然主義者》はこのデッキの成功に最も寄与したと言って間違いないだろう。
最後の1枚は《鏡割りの寓話》。ミッドレンジ・デッキではどの章能力も一貫してバリューを生み出す。最終的に繰り出せる《キキジキの鏡像》も特筆すべきカードで、とりわけ《街追いの鑑定人》をコピーし始めたときの力は圧巻だ。
もちろんこれらとは別に、5枚の「魂力」土地も多く見受けられる。白が支配する環境なら《皇国の地、永岩城》が一番使われているのではないかと予想した方は、正解だ。
アルケミーのアーキタイプ紹介
アルケミー部門の全デッキリストは、第1回戦開始時にイベントページにて公開予定だ。それに先駆けて、以下に各アーキタイプを簡単に紹介しよう。
白単アグロ(使用者53名):多くの形で理想とされるのが、1ターン目《有望な信徒》から2ターン目《スレイベンの守護者、サリア》、3ターン目《エメリアのアルコン》、そして4ターン目にアルケミーならではの脅威である《審問官の隊長》や《シガルダ教の福音者》を繰り出すという動きだ。この動きはどんな相手に対しても安定して強く、特に「ナヤ・ルーン」にはヘイトベアー能力を持つクリーチャーが驚くほど効く。《スレイベンの守護者、サリア》と《エメリアのアルコン》は、「ナヤ・ルーン」が幅を利かせる現在のメタゲームに効果的に見える。
ナヤ・ルーン(使用者42名):《ルーン鍛えの勇者》と《樹海の自然主義者》が戦場に揃うと、《速度のルーン》のような「ルーン」をコストなしで唱えられるようになる。《気前のいい訪問者》もコントロールしている状態で大量のルーンを重ねていけば、一気に対戦相手を打ち倒せるのだ。
オルゾフ・ダンジョン(使用者17名):最近行われたアルケミーの再調整により「ダンジョン探索をする」カードが強化され、「オルゾフ・ダンジョン(ベンチャー)」デッキが競技の舞台へ上がる推進力となった。ミッドレンジ・デッキのような動きを見せる「オルゾフ・ダンジョン」だが、《A-勝利した冒険者》や《無私のパラディン、ナダール》に加え、《A-急な落下》などの「ダンジョン探索をする」カードが採用されているのが特徴的だ。
マルドゥ・ミッドレンジ(使用者16名):かなりの数の除去を搭載し、《鏡割りの寓話》の第2面で《街追いの鑑定人》をコピーする動きを取り入れているのがこのデッキだ。また、多くのリストで《スカイクレイブの亡霊》もコピーできるようになっており、《消失の詩句》も採用されている。
アゾリウス・コントロール(使用者15名):皆さんが「コントロール・デッキ」と聞いて思い浮かぶ通りに、このデッキには《ジュワー島の撹乱》のような打ち消し呪文、《冥途灯りの行進》のような単体除去、《神聖な粛清》のような全体除去、《公式発見》のようなドロー呪文、そして《放浪皇》のようなプレインズウォーカーが採用されている。カード選択の点はさまざまだが、柱となる部分は共通している。
ラクドス・サクリファイス(使用者12名):《命取りの論争》や《血塗られた刷毛》は以前から見受けられたが、このデッキは『神河:輝ける世界』で新たに《鬼流の金床》という生け贄テーマの1枚を得た。《ヴォルダーレンの美食家》や《税血の収穫者》が小さなマナでアーティファクトをもたらし、生け贄エンジンを起動させる。それと素晴らしいシナジーを持つのが、《電圧のうねり》だ。
ジェスカイ日向(使用者9名):《予想外の授かり物》や《ジュワー島の撹乱》といったコントロール御用達のカードを軸にするこのアーキタイプだが、実はその中心となっているのは《暁冠の日向》だ。これが戦場にいる状態で6つの異なるパーマネントを対象に取ることで、《マグマ・オパス》をわずか2マナで唱えるという夢を実現させるのだ。
ラクドス・ミッドレンジ(使用者8名):「マルドゥ・ミッドレンジ」の項で述べた内容から白の要素を抜けばこの形になる。白のカードの代わりに採用されるものとしては、《街裂きの暴君》や《冥府の掌握》が人気だ。また、2色にしたことでマナ・ベースもより安定している。
グリクシス・ミッドレンジ(使用者7名):えーと……「マルドゥ・ミッドレンジ」の項で述べた内容と同じだが、白の代わりに青が使われている。このデッキの使用者全員が《漆月魁渡》を75枚のどこかに採用していることは特筆すべきだろう。
グルール狼男(使用者6名):このアーキタイプは、私がアルケミーで行われたアリーナ・オープンや予選ウィークエンドでそれぞれ最大勝利数を達成し広く普及した形とまったく同じであり、個人的に愛しく思うものだ。これのおかげで私も「神河チャンピオンシップ」への参加権利を手にしたが、いつものメタゲームブレイクダウン記事を書く仕事の方を選んだのだ。このデッキの理想的な動きは、1ターン目《執拗な仔狼》、2ターン目《群れ率いの人狼》、3ターン目《不吉な首領、トヴォラー》、そして4ターン目《街裂きの暴君》だ。
マルドゥ・サクリファイス(使用者6名):《鬼流の金床》を駆使するデッキに《エメリアのアルコン》をタッチした形。あるいは《鏡割りの寓話》を駆使するデッキに《血塗られた刷毛》や《忘却の儀式》を添えた形。
オルゾフ・ミッドレンジ(使用者6名):《A-勝利した冒険者》を採用するリストもあるが、こちらは「オルゾフ・ダンジョン」ほどダンジョン・メカニズムに寄せていない。代わりに《婚礼の発表》や《街追いの鑑定人》、《消失の詩句》のようなカードを採用し、より典型的なミッドレンジの形に仕上がっている。
セレズニア・ランプ(使用者6名):新カード《梓の幾多の旅》は《収穫祭の襲撃》を素早く唱えるためのマナ加速に一役買い、こちらも新カードの《夜明けの空、猗旺》はライブラリーから脅威を繰り出せる強力な1枚だ。
バント・コントロール(使用者3名):《樹海の幻想家、しげ樹》によるマナ加速で《告別》を放ち戦場を一掃したら、《巨大な空亀》でゲームを勝ち取る。大型の飛行クリーチャーとして戦場に出してもよし、《樹海の幻想家、しげ樹》と組み合わせて墓地回収のループを決めてもよしだ。
イゼット・カラミティ(使用者3名):このアーキタイプは《研究体》と《カズールの憤怒》による見事な必殺コンボを軸にしたものだ。コンボ自体は『神河:輝ける世界』以前にも存在していたが、適切なマナ・ベースを組むのが難しく、また競技の舞台ではコンボ成立が遅すぎる問題を抱えていた。このアーキタイプを実現させた立役者は、最新セットで登場した《災厄招来》だ。これにより《研究体》を早ければ5ターン目に墓地や手札から唱えることができ、強力な「イゼット・コントロール」にコンボを搭載できるようになったのだ。
エスパー・コントロール(使用者3名):基本的には「アゾリウス・コントロール」の項で述べた内容と同じだが、黒をタッチして《消失の詩句》のようなカードを採用している。
ゴルガリ・ミッドレンジ(使用者3名):バリューを生み出す脅威や手堅い干渉手段を要するフェア・デッキ「ゴルガリ・ミッドレンジ」は、《勢団の銀行破り》から《墓地の侵入者》、《古き神々への拘束》という動きを持っている。
イゼット・コントロール(使用者3名):《表現の反復》や《予想外の授かり物》、《ジュワー島の撹乱》といった核の部分は残っているものの、いくつかの再調整を受けて勝ち手段は変わった。最近は《くすぶる卵》や《燃え立つ空、軋賜》が使われている。
エスパー・クレリック(使用者2名):理想とするのは1ターン目《月皇の古参兵》、2ターン目《生命の絆の僧侶》、3ターン目《正義の戦乙女》、そして4ターン目《審問官の隊長》という動きだ。《玻璃池のミミック》で《審問官の隊長》をコピーしてさらなるアドバンテージを得ることはできなくなったが、依然として《正義の戦乙女》をコピーする動きは強力だ。
ボロス・アグロ(使用者2名):このアーキタイプでは、白と赤それぞれの最高に攻撃的な1マナ域を組み合わせることができる。特に《熊野と渇苛斬の対峙》と《有望な信徒》を両方使えるのは魅力だ。また、ゲーム中盤には《スカルドの決戦》も有効に使えるだろう。
ラクドス・アグロ(使用者2名):1ターン目《熊野と渇苛斬の対峙》から2ターン目《蜥蜴丸》、そして3ターン目《噛掌の忍者》と展開できれば、夢のような動きになるだろう。「忍術」で英雄譚を手札に戻せれば、なお理想的だ。
イゼット・アグロ(使用者1名):火力呪文を大量に採用することで力を発揮する《秘密を掘り下げる者》や《炎の媒介者》という攻撃的なクリーチャーと《静電破》が、アグロ戦略と完璧に噛み合ったデッキだ。
セレズニア・トークン(使用者1名):《陽光尾の戦隊》を駆使して同じ名前を持つクリーチャーを大量に展開し、それらを《鏡の箱》で強化する美しいデッキだ。
赤単アグロ(使用者1名):このリストは「赤単ミッドレンジ」に分類しようかと考えたが、《熊野と渇苛斬の対峙》から《指名手配の殺し屋、ラヒルダ》、《無謀な嵐探し》、《街裂きの暴君》というアグレッシブな動きを持つため、「アグロ」とする。
バント・ランプ(使用者1名):《霊媒者》で《収穫祭の襲撃》や《エメリアの呼び声》のコストを軽減できれば、夢のような動きを実現できる。
イゼット・ミル(使用者1名):ある勇敢な殿堂顕彰者が、《ターシャズ・ヒディアス・ラフター》を軸にした「イゼット・ミル」デッキを今大会に登録した。(もちろん私が試算した)数字を絡めてお話しすると、「神河チャンピオンシップ」に登録されたアルケミーのデッキを無作為に抽出したところ、《ターシャズ・ヒディアス・ラフター》で追放できるカードの期待値は13.3枚となった(ばらつきは大きい)。もちろん分布はマッチアップに影響され、アグロ系やルーン系、サクリファイス系などのマナ域が低いデッキに対しては期待値が16枚以上になることもある。つまり、《ターシャズ・ヒディアス・ラフター》1回だけではゲームに勝つには至らないが、2回撃てれば運良く勝つこともあり、3回や4回撃てれば基本的に勝てるというわけだ。そして《感電の反復》や《災厄招来》のおかげで、1ゲーム中に《ターシャズ・ヒディアス・ラフター》を複数回唱えられる可能性はかなり高い。
戦いを見届けよう!
3月11~13日に各日とも9時からtwitch.tv/magic(英語)にて行われる生放送をお見逃しなく!
「神河チャンピオンシップ」 日本語版放送ページ・放送日程
日本語版放送出演者
- 実況:石川朋彦(@katuobusi717)
- 実況:ブルナー実久(@mksnake007)
- 実況:海老江邦敬(@kuroebi_games)
- 解説:黒田正城(@masashiro41236)
- 解説:森山真秀(@SakeIzumo)
- and more...
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