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ミシックインビテーショナル

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ミシックインビテーショナル・初日の注目の出来事

Corbin Hosler

2019年3月28日

 

(編訳より:埋め込み動画は英語実況となります。)

 100万ドルの賞金。64名の選手たち。マジック史上最高額の優勝賞金250,000ドルを懸けて、「PAX East」を舞台に繰り広げられるビッグネームたちによるeスポーツの祭典。

 「ミシックインビテーショナル」へようこそ。

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 マジック・プロリーグ選手31名と(「NumotTheNummy」ことケンジ・エガシラ/Kenji Egashiraや「Amazonian」ことエイミー・デミッコ/Amy Demicco、「CalebDMTG」ことカレブ・ダーワード/Caleb Durwardなどの人気配信者に、ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019王者のオータム・バーチェット/Autumn Burchett、プロツアー『ラヴニカのギルド』王者のアンドリュー・エレンボーゲン/Andrew Elenbogen、そしてルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasとガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassifという2人の殿堂顕彰者を擁する)33名の「挑戦者」たちによるミシックインビテーショナルは、「MTGアリーナ」のプロシーンを世界に披露する最初の機会だ。16名ずつ4つのグループに分けられた出場選手たちは新フォーマット「デュオ・スタンダード」で競い合い、グループ突破を目指している。

 ここでは、本大会初日に起きた注目の出来事を振り返ろう。

「MTGアリーナ」がプロシーンへ

 今大会はただの個人戦トーナメントではない。マジックのプロシーンを彩る新たな戦いが幕を開けたのだ。マジック・プロリーグの創設と「MTGアリーナ」の成功により、マジックは新分野たるeスポーツへの進出を果たした。しかしプロ・プレイヤーたちが新たなプログラムへ果敢に挑戦する一方で、実際に「MTGアリーナ」を用いたハイレベルなイベントは行われていなかった。

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 だがそれも、この週末を迎えるまでのことだ。ついに「MTGアリーナ」の大舞台が用意され、マジック・プロリーグ選手たちはもちろん、マジック・コミュニティで大人気の配信者たちをはじめeスポーツ界隈中から有名人たちが集まったのだ。(実況解説席には、ブライアン・キブラー/Brian Kiblerと「Day9」ことショーン・プロット/Sean Plottの姿もある。)

 マジックの競技シーンは、これほどの大舞台を立ち上げるほどに大きくなった。マジックにおける競技性の意義は、長年を経ても失われることはなかったのだ。

すごいステージ。やるじゃんWotC。eスポーツに進出したマジックの未来が超楽しみだ。 #MythicInvitational #PAXEast

#MythicInvitationalの放送とコメントを見てる。私たちが長年にわたって愛してきたゲームの観戦を新しい人がたくさん楽しんでくれているのは最高の気分。@MTG_Arenaと、それによるマジックの進化に心から感謝♡

8人がトップ16へ進出

 この日は注目の試合がいくつも繰り広げられ、信じられない出来事がいくつも起きたが、中でも特筆すべき2つの出来事をここでご紹介しよう。1つは、「MTGNerdGirl」ことブリタニー・ハミルトン/Brittany Hamiltonの輝かしい前進だ。彼女は配信者のジェイミー・リガッティ/Jamie Rigatti(Topples)とミシックチャンピオンシップ王者オータム・バーチェット、プロツアー『ドミナリア』王者ワイアット・ダービー/Wyatt Darbyの3人を打ち破り、会場を驚愕させたのだ。

#MythicInvitationalは3戦全勝でグループ突破確定。お腹空いて死にそうだから、この後の2回戦やらなくて済むのは助かる! 皆さん応援ありがとう♡

 ハミルトンの戦いぶりは、まさにダークホースと言うべきものだった。彼女は初日の活躍で他の選手たちと渡り合えることを存分に示し、注目を集めたのだ。本日トップ16に進出した8名に明確な傾向はなく、プロ、配信者、挑戦者のどのグループからも輩出されている。

  • ブリタニー・ハミルトン(配信者)
  • マット・ナス/Matt Nass(MPL選手)
  • ジェシカ・ステファン/Jessica Estephan(挑戦者)
  • オンドレイ・ストラスキー/Ondřej Stráský(MTGアリーナ権利獲得者)
  • "Quicksort" エドアルド・アヌンツィアータ/Edoardo Annunziata(MTGアリーナ権利獲得者)
  • アンドレア・メングッチ/Andrea Mengucci(MPL選手)
  • ルイス・サルヴァット/Luis Salvatto(MPL選手)
  • "Amazonian" エイミー・デミッコ(配信者)

 今大会の出場選手を数えてみると、およそ半分がMPL選手でもう半分が挑戦者という構図だった。そしてMPL選手からは3人がトップ16へ進出し、挑戦者からは5人(うち2人はMTGアリーナで先月のミシック・ランキング上位8名に残り、今大会への参加権利を手に入れた者)が進出という形だ。

 もう1つの注目すべき出来事は、ストラスキーが最も厳しい道のりを乗り越えてトップ16進出を果たしたことだ。マット・ナスとの初戦を惜しくも1勝2敗で落とし、後がなくなったストラスキーの前に続くラウンドで立ちはだかったのは、殿堂顕彰者たる渡辺 雄也だった。

 それでもストラスキーは生き残った。だがそれで彼の道のりが平坦なものになることはなかった――次の相手は、ミシックチャンピオンシップ王者、オータム・バーチェットだ。

 ストラスキーは再び生き残った。さらに次の相手は、プロツアー・トップ8入賞4回を誇る行弘 賢。

 信じられないことに、ストラスキーはここでも生き残ってみせた。そして迎えたのが、アレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayneとのトップ16進出を懸けた一騎打ちだった。

 ストラスキー自身も認めるように、感情を激しく揺さぶられる1日だった。では、彼は一体どのようにして激戦を乗り越えたのだろうか?

 厳しい状況でも冷静さを失わなかったことが勝因だと言って差し支えないだろう。

 運や技術、あるいはその両方をもって、ストラスキーは初日で目覚ましい活躍を見せた。ミシックインビテーショナルでは何が起きてもおかしくないということを証明したのだ。

Amazonianのトップ16進出

 「MTGアリーナ」の配信を初期から行ってきた先駆者が「ミシックインビテーショナル」でトップ16に進出するのは、この上なくふさわしい出来事だろう。「Amazonian」ことエイミー・デミッコは、まさにその「ふさわしい」1人であった。

 試合後、デミッコは本日トップ16進出を決めた3人の女性プレイヤーのうちの1人であることを誇りに思うと語った。配信者として人気を集める彼女は、きっと土曜日の試合でもダークホースとしての立ち回りを心から楽しんでくれるに違いない。

グループBのトップ16進出者たちと。Bは「Best」のB。

最注目のゲーム――ジェリーがハビエルを退ける

 ミシックインビテーショナル初日に繰り広げられた熱戦の中から最注目のゲームを選ぶのは難しいが、個人的にはジェリー・トンプソン/Gerry Thompsonと現世界王者たるハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguezとの一戦をおすすめしたい。それはグループAの敗者復活枠で行われた試合であり、トンプソンが2勝1敗で次のラウンドへ進む決定打となるゲームだった。

 ドミンゲスが使用したのは「白ウィニー」。今大会で人気を集めた戦略だ(「エスパー・コントロール」に続いて第2位)。一方のトンプソンは革新的な「ラクドス・ミッドレンジ」を使用した。緊張感あふれる攻撃ステップに、《リックス・マーディの歓楽者》の「絢爛」、そして至高の《ショック》。ここですべてを語り聞かせることもできるが――5分だけお時間をいただいて、ぜひその目で観ていただきたい。信じてほしい。それだけの価値は間違いなくある。

 

実験の狂乱》の冒険

 このカードを使うと本当に何でも起こりうる――観戦して面白くないわけがない。世界は《実験の狂乱》を中心に動いており、私たちはただその世界に生きるだけだ。

 
 

BDMが戦いの舞台へ

 プロといえば、長年にわたりカバレージを支えてきたブライアン・デヴィッド=マーシャル/Brian David-Marshallは、つい先日カバレージを引退した。しかしインビテーショナルへの出場という予期せぬ機会が訪れ、少なくともこの週末はBDMが戻ってきたのだ。

#MythicInvitationalの出場選手たちが繰り広げる最高レベルの戦いを見るのに、過去17年で最も近い席に座ることになった。とてつもない上り坂を登ることになるが、勝っても負けても、タイブレーカーで突然決着しても、この舞台で過ごす一分一秒に感謝してベストを尽くそうと思う。

 ここボストンの地で、マジックの未来と豊かな歴史が出会った。マジック・コミュニティにとって、これほど記念碑的な出来事はないだろう。結果こそ奮わなかったものの、長年のときを経て競技者としてのBDMの姿を目にすることができたのは、特別な楽しみであった。

そして戦いは続く――待ち受けるは「死のグループ」

 2日目も引き続き、現地時間午前10時(日本時間23時)よりtwitch.tv/magicにて大会の模様をお届けする。最も注目すべきは、(「死のグループ」として知られる)グループCの戦いだ。16人の中には6人もの殿堂顕彰者がおり、グループ全員のプロツアー/ミシックチャンピオンシップのトップ8入賞回数合計は実に50回を超えているのだ。

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 さらなる熱戦が予想される。お楽しみに!

(Tr. Tetsuya Yabuki)

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