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第31回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権

第31回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権 決勝戦
2025年12月8日
ワシントン州ベルビューで「第31回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」が開幕。2日にわたる計16回戦の末、マジック史上3人目となる世界王者2期を目指すセス・マンフィールド/Seth Manfieldと、地域チャンピオンシップ突破から絶好調な快進撃を続ける芝田輝良が、お互いのキャリアの最高点を目指して激突した。
芝田輝良/Akira Shibata
芝田は5月に日本の地域チャンピオンシップでファイナリストとなり、「プロツアー『久遠の終端』」への出場権利を獲得した。プロツアー初出場ながらも、初日のドラフトで3-0という完璧なスタートを切り、その勢いのまま最終成績上位40位以内で大会を終えた。地域チャンピオンシップのファイナリストという実績は世界選手権での破竹の勢いにも繋がり、2日目には5-2という素晴らしい戦績を築いた。特に第14回戦では、プレイヤー・オブ・ザ・イヤー候補のトニ・ポルトラン/Toni Portolanを打ち負かし、決勝トーナメント進出を果たした。
セス・マンフィールド/Seth Manfield
セスにとって、この決勝戦は迎えられない可能性が高かったテーブルであった。世界選手権初日のドラフトは0-2スタートで、トップ8の目が限りなく薄くなるようなドラフト結果だった。しかしプロツアー殿堂入りを果たしているセスは、20年以上も競技『マジック』に身を置き続けている。10年前の世界選手権2015優勝に加え、2024年の「プロツアー『カルロフ邸殺人事件』」、「2020ミシックインビテーショナル」、2017年の「プロツアー『イクサラン』」でも優勝している。セスは0-2の後、連勝街道を突き進み、スイスラウンドを10勝2敗で突破しトップ8進出を決めたのである。
この2人がプレイする講義デッキは一体何なのか? 講義デッキはこの週末で圧倒的な活躍を見せたデッキだ。『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』で登場した大量の新しい講義カードと、《ばあば》、《積み重ねられた叡智》、《美術家の才能》といった強力なサポート役を組み合わせている。
ゲーム展開
1ゲーム目は、毎ゲーム参考にされるであろう基本的なパターンを示していた。プレイヤーは最初の数ターンを《嵐追いの才能》と《美術家の才能》で戦場を整えるのに費やしつつ、対戦相手のカワウソ・トークンを可能なかぎり捌いていくゲーム展開だ。つまり、どのゲームも一方的な展開にはなりにくく、自身のリストを長期的なアドバンテージ獲得に繋げられるよう最大限活かせるかが勝敗を分けるのである。
そしてその役割を担ったのは、一貫してセスであった。才能カードによるアドバンテージによって、序盤に僅かなリードをもぎ取った。その後はお互いに似たようなプレイを続ける展開になったものの、マナとテンポのアドバンテージがセスを勝利へと導き、1ゲーム目を先取した。
第2ゲームも同様のペースで進行し、両者ともこのゲームが長く粘り強い戦いになることを見越しながら、慎重にプレイの順番を組み立てていった。芝田が後に2つ目の部屋を解放できれば長期的なカード・アドバンテージ源となる《咆哮する焼炉 // 蒸気サウナ》を早いターンに展開したのに対し、セスはこのトーナメントを象徴することになる理想的なカーブを描いてみせたのである。
1マナ:《嵐追いの才能》
2マナ:《美術家の才能》
3マナ:《忍耐の記念碑》
「Team TCGplayer」がイゼット講義デッキを組み上げた土台となったレシピが、まさにこれである。そして今回もまた、錚々たる実力者たちが再びフォーマットを解き明かしてみせたと言ってよいだろう。イゼット講義デッキ自体、このトーナメントでもともと好成績を収めていたアーキタイプであったが、チームが持ち込んだリストはそれ以上に支配的であり、大会を通して勝率60%を大きく超える成績を叩き出した。そのレシピは決勝でもセスをしっかりと支え続けた。彼は今回も「呪文を唱え、講義以外のデッキの強力な3種類のパーマネントから追加のアドバンテージを得る」という、シンプルでありながら強力なゲームプランを淡々と遂行していったのである。
そしてその「勝ちパターン」は、ここでも揺るがなかった。
サイドボード前の2ゲームを終えた時点で、スコアはセスの2勝。サイドボード後のゲームであと1勝を挙げれば、史上3人目の世界王者2期が誕生するところであった。
しかし、第3ゲームはそう簡単にはいかなかった。最初の2ゲームとは異なり、このゲームでは4ターン目までに戦場に残っている土地でないパーマネントがどちらにも存在しなかった。打ち消し呪文が本格的に機能し始めたためである。2人は序盤から呪文を唱え、それを打ち消し合う展開となり、ゲームはペースダウンした。そんな中、セスが4ターン目に《美術家の才能》を唱えて仕掛けることを決断する。それは打ち消されることなく解決し、続けて《嵐追いの才能》も戦場に加わった。瞬く間に、ほぼ互角だった盤面はセス側のエンジンが本格稼働した状態へと変貌し、元世界王者が《量子の謎かけ屋》を最後に追加すると、芝田はトップデッキからの一手で大逆転を狙う必要に迫られた。
芝田はデッキトップに望みを託してカードを引いた――しかし、そこに求めていた助けはなかった。代わりにそこにあったのは、穏やかな笑みであった。芝田は微笑みを浮かべながら手を差し出し、セス・マンフィールドに、再び世界王者となったことを祝福したのである。
セス・マンフィールド、「第31回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」優勝、おめでとう!
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