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第27回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
第27回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権 メタゲームブレイクダウン
2021年10月7日
プレミア・プレイの頂点たる「マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」。優勝者は「将来のマジック:ザ・ギャザリングのカードにその姿が描かれる」というこの大会が、いよいよ10月8日の9時(日本時間25時)に幕を開ける。大会の模様は twitch.tv/magic にて生放送でお届けする。(編訳注:日本語放送情報は下記「観戦ガイド」、または記事末尾をご覧ください。)
実況/解説者のご紹介など詳しい放送情報は、「『第27回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権』観戦ガイド」をご覧いただきたい。
さて、今回2020-2021シーズンにおける選ばれし16名が挑むは、ローテーションからわずか3週間後に迎えることになった、まったく新しいスタンダード環境だ。
スタンダード・メタゲームブレイクダウン
「第27回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」は『イニストラード:真夜中の狩り』ドラフトから始まるが、初日の残り2回戦と2日目の5回戦はすべて(BO3の)スタンダードで行われる。そして最終日のトップ4による決勝ラウンドもスタンダードだ。今回のスタンダードの様相は、以下のようになった。
アーキタイプ | 使用者数 | 使用率 |
---|---|---|
イゼット天啓 | 4 | 25.0% |
グリクシス天啓 | 4 | 25.0% |
緑単アグロ | 3 | 18.8% |
白単アグロ | 2 | 12.5% |
ティムール・トレジャー | 1 | 6.3% |
アゾリウス・テンポ | 1 | 6.3% |
イゼット・ドラゴン | 1 | 6.3% |
全体で最も多く採用されたカードは、現環境における一級品のゲームエンド呪文《アールンドの天啓》だった。そして《表現の反復》と《アールンドの天啓》を使わない出場者たちは、緑か白のアグロ・デッキを選択した。突き詰めると、今回のメタゲームは以下のように見ることができるだろう。
- 《アールンドの天啓》デッキ(「イゼット天啓」、「グリクシス天啓」、「イゼット・ドラゴン」)9人
- 《エシカの戦車》デッキ(「緑単アグロ」、「ティムール・トレジャー」)4人
- 《光輝王の野心家》デッキ(「白単アグロ」、「アゾリウス・テンポ」)3人
マニ・ダヴォーディ/Mani Davoudiによる分析(リンク先は英語)からここ数週間のメタゲーム展開を見るに、《アールンドの天啓》、《エシカの戦車》、《光輝王の野心家》が今大会を占めていることに大きな驚きはないだろう。
《アールンドの天啓》デッキがはびこる環境においては、ランプ系やコントロール系のデッキの活躍は難しい。《収穫祭の襲撃》や《食肉鉤虐殺事件》の使用者がいないのは、そういうことだろう。それらを使うデッキを獲物にしようとしていた「天啓」使いたちは肩透かしを食らった形だが、他のデッキとのマッチアップが試される機会になるのは間違いない。
バージョン違いのデッキを見ていくと、いくつかサプライズも見受けられる。「イゼット天啓」や「緑単アグロ」、「白単アグロ」、「イゼット・ドラゴン」はよく知られているが、「グリクシス天啓」や「ティムール・トレジャー」、「アゾリウス・テンポ」は新鮮で、この世界選手権に狙いを定めて調整されたリストになっている。どれも現在のメタゲームに合わせて選択されたカードが含まれており、それらの活躍ぶりを見るのが楽しみだ。
出場16選手の全デッキリストも公開された。ここでは各アーキタイプの概要を、サンプルリストを添えて1つずつご紹介しよう。
イゼット天啓――使用者4名
アルネ・ハッシェンビス/Arne Huschenbeth、オンドレイ・ストラスキー/Ondřej Stráský、スタニスラフ・ツィフカ/Stanislav Cifka、そして佐藤 啓輔が選択したデッキが、「イゼット天啓」だ。ともにプレイテストを行ったストラスキーとツィフカのチェコ勢2人の構築は以下のように定まり、ハッシェンビスのリストも細かな違いはあるものの非常に似通った形になっている。
7 《山》 5 《島》 3 《凍沸の交錯》 4 《河川滑りの小道》 2 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 2 《廃墟の地》 -土地(23)- -クリーチャー(0)- |
3 《消えゆく希望》 1 《棘平原の危険》 4 《感電の反復》 3 《表現の反復》 3 《ジュワー島の撹乱》 2 《才能の試験》 4 《ゼロ除算》 2 《悪魔の稲妻》 4 《予想外の授かり物》 2 《記憶の氾濫》 3 《家の焼き払い》 4 《アールンドの天啓》 2 《髑髏砕きの一撃》 -呪文(37)- |
3 《くすぶる卵》 2 《心悪しき隠遁者》 2 《黄金架のドラゴン》 1 《棘平原の危険》 3 《バーニング・ハンズ》 1 《環境科学》 1 《才能の試験》 1 《アルカイックの教え》 1 《マスコット展示会》 -サイドボード(15)- |
「イゼット天啓」は、序盤の脅威をバウンスや打ち消し、破壊でしのぐ「コンボ・コントロール」だ。その後はカードを引き増してギアを上げ、決着まで加速していく。最終的な目標は《感電の反復》で《アールンドの天啓》をコピーすること。1つ目の追加ターンでさらにカードを引いて《アールンドの天啓》をもう1枚手に入れ、2つ目の追加ターンで再び《アールンドの天啓》をコピーする。ここまでいけば5ターン連続で行動できるため、《アールンドの天啓》による鳥・トークンの攻撃でゲームを勝ち取れるのだ。
ほとんどの形でメインデッキにクリーチャーの採用はない(佐藤 啓輔のリストには《くすぶる卵》が4枚採用されている)。主な勝ち手段は《アールンドの天啓》や《家の焼き払い》、そして(《ゼロ除算》経由で手に入れる)《マスコット展示会》から生成されるトークンだ。これにより単体除去や《レンと七番》のツリーフォーク・トークンは問題にならないが、その一方で重いソーサリーに頼った構成であるため《心悪しき隠遁者》や《否認》、《才能の試験》、《一枚岩の防衛》といった打ち消し呪文での妨害が効くだろう。
このアーキタイプはここ数週間にわたり注目度が高まっていき、世界選手権の舞台で四分の一の勢力を占めるに至った。カード選択に着目してみるとハッシェンビスとツィフカ、ストラスキーのリストには《予想外の授かり物》が採用されており、《アールンドの天啓》に向かうマナ加速だけでなく《感電の反復》のコピー先にもなる。よりコンボ感が高まり、このアーキタイプに適していると言えるだろう。
「イゼット天啓」はプレイの難しさもさることながら、サイドボーディングが頭を悩ませるところだ。第2、第3ゲームで対戦相手が単体除去を抜いてくるなら、《くすぶる卵》でその隙を突くことができるだろう。しかしそれを予想して除去を残してくるならどうする? この変形サイドボードをめぐる心理戦に注目するのも面白いだろう。
グリクシス天啓――使用者4名
イーライ・カシス/Eli Kassis、ガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassif、ヤン・メルケル/Jan Merkel、マット・スパーリング/Matt Sperlingの4名がチームとして取り組み仕上げたのが、刺激的な「グリクシス」の形だ。
1 《島》 2 《山》 4 《河川滑りの小道》 3 《難破船の湿地》 3 《清水の小道》 4 《憑依された峰》 4 《荒廃踏みの小道》 2 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 -土地(23)- 1 《くすぶる卵》 3 《溺神の信奉者、リーア》 -クリーチャー(4)- |
4 《消えゆく希望》 2 《強迫》 2 《棘平原の危険》 1 《血の長の渇き》 4 《表現の反復》 2 《感電の反復》 2 《ジュワー島の撹乱》 1 《安堵の火葬》 1 《燃えがら地獄》 1 《パワー・ワード・キル》 3 《セレスタス》 1 《悪魔の稲妻》 1 《プリズマリの命令》 3 《記憶の氾濫》 1 《家の焼き払い》 4 《アールンドの天啓》 -呪文(33)- |
4 《心悪しき隠遁者》 2 《マインド・フレイヤー》 3 《竜巻の召喚士》 1 《強迫》 1 《パワー・ワード・キル》 2 《真っ白》 1 《魂の粉砕》 1 《予想外の授かり物》 -サイドボード(15)- |
この「グリクシス天啓」、核となる部分は「イゼット天啓」と同じだが、黒のカードが少量タッチされている。中でも鍵を握るのが、《強迫》だ。これは「天啓」の同系戦において効果的な1枚となり、緑のデッキに対しても《レンジャー・クラス》や《エシカの戦車》など選択肢には困らない。他にも《真っ白》と《パワー・ワード・キル》が採用されているが、「小道」と《セレスタス》のおかげで黒のタッチが容易になっている。
今大会に登録された「グリクシス天啓」で目を惹く部分は、《溺神の信奉者、リーア》の採用だろう。これは《アールンドの天啓》が打ち消されるのを防ぐだけでなく、軽い呪文にフラッシュバックを与えられる。対戦相手の単体除去に対象を用意することにはなるが、《表現の反復》や《強迫》、《消えゆく希望》などをすぐにフラッシュバックできれば、十分に得を取れるだろう。
「グリクシス天啓」はこの戦略の中でも特に素晴らしい形で、カードの選択も多くのマッチアップで優位を取れるよう緻密に計算されている。しかしそれでも、「予顕」された《アールンドの天啓》に《強迫》は当てられないし、《溺神の信奉者、リーア》の能力も《ゼロ除算》は防げない。繊細なやり取りが発生するであろう「イゼット天啓」と「グリクシス天啓」の対戦が実際にどのような展開になるのか、非常に興味深い。それらを操るのが世界最高のプレイヤーであるならなおさらだ。
緑単アグロ――使用者3名
今回「緑単アグロ」を選択したのは3名だった。1人はセス・マンフィールド/Seth Manfield、そこに現在の世界王者パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosaとサム・パーディー/Sam Pardeeが加わり、以下のようなリストを組み上げた。
19 《冠雪の森》 4 《不詳の安息地》 -土地(23)- 4 《冬を彫る者》 4 《群れ率いの人狼》 2 《絡みつく花面晶体》 4 《カザンドゥのマンモス》 4 《老樹林のトロール》 1 《原初の敵対者》 -クリーチャー(19)- |
4 《吹雪の乱闘》 1 《蛇皮のヴェール》 4 《レンジャー・クラス》 3 《豊穣の碑文》 4 《エシカの戦車》 2 《レンと七番》 -呪文(18)- |
2 《タジュールの荒廃刃》 2 《辺境地の罠外し》 3 《フロギーモス》 1 《トヴォラーの猟匠》 3 《蛇皮のヴェール》 1 《貪る触手》 1 《豊穣の碑文》 1 《武器を選択せよ》 1 《レンと七番》 -サイドボード(15)- |
「緑単アグロ」は現環境で特に優れたクリーチャーを次々と繰り出し、コストに対して並外れた戦力を戦場に展開する。その上、単色のデッキであるため《不詳の安息地》まで活かせる。
新環境を迎えてから開催された「MTGMelee」の大型イベントにおいて、「緑単アグロ」は「イゼット天啓」に対しわずかに有利な結果を示した。しかし《アールンドの天啓》側がそれに合わせて調整を加え、世界最高のプレイヤーによって操られたらどうなるだろうか? 「緑単アグロ」が持つ干渉手段(《吹雪の乱闘》や《豊穣の碑文》)は他のクリーチャー・デッキには有効かもしれないが、「イゼット天啓」に対して適切とは言い難い。その結果を見守ろう。
面白いカード選択としては、《冬を彫る者》を取り挙げたい。あまり見受けられない2マナ域だが、攻撃もマナ加速もできて、とりわけ死亡した《老樹林のトロール》が《冠雪の森》にエンチャントされた後は輝きを放つだろう。マンフィールドはその枠に《水蓮のコブラ》を残したが、ダモ・ダ・ロサとパーディーは《冬を彫る者》に変更している。
白単アグロ――使用者2名
佐藤 レイと井川 良彦がともに取り組み、今大会に登録したのが以下のリストだ。
19 《冠雪の平地》 4 《不詳の安息地》 1 《フロスト・ドラゴンの洞窟》 -土地(24)- 4 《堕ちたる者の案内者》 3 《石縛りの使い魔》 4 《剛胆な敵対者》 4 《光輝王の野心家》 4 《日金の歩哨》 4 《精鋭呪文縛り》 3 《輝かしい聖戦士、エーデリン》 3 《傑士の神、レーデイン》 -クリーチャー(29)- |
2 《ポータブル・ホール》 3 《運命的不在》 2 《スカイクレイブの大鎚》 -呪文(7)- |
4 《スカイクレイブの亡霊》 3 《ガーディアン・オヴ・フェイス》 2 《粗暴な聖戦士》 2 《静寂の呪い》 2 《君は道で待ち伏せに遭遇した》 1 《ポータブル・ホール》 1 《運命的不在》 -サイドボード(15)- |
スタンダードで《不詳の安息地》を活かせるデッキといえば、もう1つ「白単アグロ」が挙げられる。こちらは「緑単アグロ」よりさらに速く、クリーチャーの展開が1マナから始まる。
このリストでは、《石縛りの使い魔》の採用が目を惹く。これまではあまり姿を見受けられなかったが、追放する効果の多いデッキにおいては素晴らしい1枚に見える。特に《日金の歩哨》とのタッグが強力で、《石縛りの使い魔》を3/3以上に変えるのも難しいことではないだろう。
これまでのスタンダードの大会結果を見るに、「白単アグロ」は《アールンドの天啓》デッキだけでなく「緑単アグロ」にも優位を記録している。このデッキは他のデッキより素早く動き、《アールンドの天啓》を撃たれる前に20点のダメージを与え、飛行クリーチャーや強化効果で《エシカの戦車》を乗り越える。しかも伝統的に「白単アグロ」が苦手とする全体除去満載のコントロール・デッキは不在だ。以上のことから、「白単アグロ」は今回の世界選手権のメタゲーム上、良い位置にいると言えるだろう。
ティムール・トレジャー――使用者1名
グルールやティムールの構築はさまざまなものが登場してきたが、ジャン=エマニュエル・ドゥプラ/Jean-Emmanuel Deprazが今大会に登録したのは以下のようなリストだった。赤緑のアグロ・デッキを核としながら、青をタッチして打ち消し呪文を加えた形だ。
5 《森》 1 《山》 4 《岩山被りの小道》 4 《樹皮路の小道》 4 《河川滑りの小道》 2 《ハイドラの巣》 2 《バグベアの居住地》 -土地(22)- 4 《ヤスペラの歩哨》 4 《厚顔の無法者、マグダ》 4 《裕福な亭主》 2 《無謀な嵐探し》 3 《月の帳の執政》 4 《黄金架のドラゴン》 -クリーチャー(21)- |
4 《レンジャー・クラス》 3 《ドラゴンの火》 2 《否認》 4 《髑髏砕きの一撃》 4 《エシカの戦車》 -呪文(17)- |
2 《ケッシグの自然主義者》 2 《茨橋の追跡者》 2 《無謀な嵐探し》 4 《バーニング・ハンズ》 3 《絡み罠》 2 《軽蔑的な一撃》 -サイドボード(15)- |
《裕福な亭主》や《厚顔の無法者、マグダ》、そして《黄金架のドラゴン》を擁するこのデッキは「宝物」テーマを重視しているため、《厚顔の無法者、マグダ》の宝物5つを生け贄に捧げる能力も問題なく使える。あるいは宝物を単にマナ加速として使い、3ターン目《エシカの戦車》や《月の帳の執政》につなげるのも決して悪くないだろう。《裕福な亭主》や《月の帳の執政》といった一風変わったカード選択に、《否認》のメイン採用。以前までのグルールやティムールとは明確に異なるリストになっている。
着地した《レンと七番》には手を焼くかもしれないが、優れたクリーチャーと青の打ち消し呪文を組み合わせた「ティムール・トレジャー」は《アールンドの天啓》デッキに対して十分に勝てるチャンスがあるだろう。
アゾリウス・テンポ――使用者1名
茂里 憲之は今年を通してデッキ構築の腕前を示し、ユニークな「グルール・フード」や「イゼット・コントロール」で成功を収めてきたが、この世界選手権の大舞台でも再びその構築技術の高さを見せてくれた。
9 《島》 5 《平地》 2 《さびれた浜》 4 《連門の小道》 3 《フロスト・ドラゴンの洞窟》 1 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 -土地(24)- 4 《剛胆な敵対者》 4 《光輝王の野心家》 4 《幽体の敵対者》 2 《心悪しき隠遁者》 1 《忠実な軍用犬》 4 《精鋭呪文縛り》 3 《傑士の神、レーデイン》 1 《粗暴な聖戦士》 2 《軍団の天使》 -クリーチャー(25)- |
4 《消えゆく希望》 3 《一枚岩の防衛》 2 《ジュワー島の撹乱》 1 《運命的不在》 1 《アールンドの天啓》 -呪文(11)- |
2 《忠実な軍用犬》 2 《心悪しき隠遁者》 3 《粗暴な聖戦士》 2 《軍団の天使》 1 《一枚岩の防衛》 1 《ポータブル・ホール》 2 《運命的不在》 1 《レイ・オヴ・フロスト》 1 《アールンドの天啓》 -サイドボード(15)- |
この「アゾリウス・テンポ」は、新たなスタンダード環境でこれまで見てきたどのデッキとも異なる。あえて言うならば、「白単アグロ」の1マナ域を減らして《消えゆく希望》や《一枚岩の防衛》、《心悪しき隠遁者》といった青の干渉手段をタッチした形と言えるだろうか。
《消えゆく希望》は現環境の優れたテンポ・カードの一角だ。「緑単アグロ」に対しては《レンと七番》のツリーフォーク・トークンをバウンスで排除でき、「イゼット天啓」に対しては《精鋭呪文縛り》を除去呪文から守ることができる。
《心悪しき隠遁者》と《一枚岩の防衛》は《アールンドの天啓》を1マナで打ち消し、大きくテンポ差をつけられる。《エシカの戦車》や《レンと七番》を打ち消せるのも悪くないだろう。青をタッチしたことで、今回の世界選手権のメタゲーム上で優位を取れると予想される。「アゾリウス・テンポ」はこれからその実力を証明しなければならない新たなアーキタイプだが、良い位置につけているように見える。
イゼット・ドラゴン――使用者1名
そして高橋 優太が今大会に登録したのは、「イゼット・ドラゴン」だった。
7 《島》 4 《山》 3 《凍沸の交錯》 4 《河川滑りの小道》 2 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 -土地(20)- 4 《くすぶる卵》 4 《黄金架のドラゴン》 -クリーチャー(8)- |
1 《消えゆく希望》 1 《棘平原の危険》 4 《ドラゴンの火》 4 《表現の反復》 3 《ジュワー島の撹乱》 2 《轟く叱責》 1 《否認》 2 《ゼロ除算》 1 《雲散霧消》 1 《プリズマリの命令》 1 《襲来の予測》 4 《記憶の氾濫》 3 《アールンドの天啓》 4 《髑髏砕きの一撃》 -呪文(32)- |
4 《心悪しき隠遁者》 1 《消えゆく希望》 3 《バーニング・ハンズ》 2 《燃えがら地獄》 1 《プリズマリの命令》 1 《環境科学》 1 《才能の試験》 1 《白熱する議論》 1 《マスコット展示会》 -サイドボード(15)- |
最後に紹介するこのアーキタイプは、「以前の形のイゼット」と見なせるだろう。《アールンドの天啓》は採用されているものの、ゲームプランはそのカードを中心にしたものではない。「イゼット天啓」と異なり、《感電の反復》も採用されていないのだ。
「イゼット・ドラゴン」ではその代わりに、《黄金架のドラゴン》や《くすぶる卵》でライフレースをしかけ、さらに《ドラゴンの火》で部族シナジーも活かす。4/4の飛行クリーチャーを主力とするため単体除去や《レンと七番》のツリーフォーク・トークンには弱くなっているものの、《才能の試験》や《否認》、《一枚岩の防衛》のようなカードのおかげで《黄金架のドラゴン》を安心して攻撃に向かわせられるだろう。
今回の世界選手権のメタゲームでは、打ち消し呪文が増加傾向にある。このようなメタゲームの動きを見るのは楽しいものだが、「イゼット・ドラゴン」が「イゼット天啓」にまさりメタゲームの上位に戻ってきたのかと問われれば、確信は持てない。
まとめ
トップ・プレイヤーたちが世界選手権に持ちこんだデッキを見るに、新たなスタンダードは《アールンドの天啓》の支配下にあると言えるだろう。だが環境初期に行われた「MTGMelee」のイベント結果が示唆する通り、緑や白のアグロ・デッキがそれに対して有利なのかもしれない。今回のベスト・ポジションを得たのは「白単アグロ」と「アゾリウス・テンポ」であると私は見る。実際の試合がどう展開するのか楽しみだ。
今シーズン最後のイベントが間もなく開幕する。10月8~10日に各日9時(日本時間25時)より twitch.tv/magic にて生放送でお届けする、「第27回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」をお見逃しなく!
「第27回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」日本語版放送ページ・放送日程
日本語版放送出演者
- 実況:石川朋彦(@katuobusi717) 担当:DAY1、DAY3
- 実況:ブルナー実久(@mksnake007) 担当:DAY2、DAY3
- 実況:海老江邦敬(@kuroebi_games) 担当:DAY1、DAY2
- 解説:八十岡翔太(@yaya3_) 担当:DAY1、DAY2、DAY3
- 解説:行弘賢(@death_snow) 担当:DAY2、DAY3
- 解説:原根健太(@jspd_) 担当:DAY1
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