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マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2019
世界選手権2019 トップ8ハイライト
2020年2月15日
トップ8の物語は、心と技術の物語だ。世界選手権2019のトップ4が懸かった状況においては、実際のプレイと同じぐらいメンタルを管理することが重要になるのだ。はたしてトップ8はどのような結末を迎えたのだろうか。
ダモ・ダ・ロサが一歩前進
今大会は形式が独自のものであり、4名のプレイヤー――パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor damo da Rosa、マルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalho、イーライ・ラヴマン/Eli Loveman、セス・マンフィールド/Seth Manfieldはトップ8ブラケットの上部に位置づけられ、あと1マッチ勝利すれば一足先にトップ4の座を確保できる。
まず舞台に上がったのはマンフィールドとダモ・ダ・ロサだ。両者は互いに殿堂プレイヤーであり、長年に渡って最前線で成功を収めてきた。マンフィールドは世界選手権2015を制し、ダモ・ダ・ロサは60枚のデッキを握らせたら(少なくとも)世界で3本の指に入る選手である。
その1ゲーム目、遅めの初手をキープしたマンフィールドに対し、ダモ・ダ・ロサは自身のアゾリウス・コントロールが高速スタートをさばける力があることを証明して見せた。《時を解す者、テフェリー》、《エルズペス、死に打ち勝つ》、度重なる《空の粉砕》、《払拭の光》を駆使し、マンフィールドが繰り出すあらゆる脅威を封じたのだ。そして《夢さらい》を着地させ、すぐさまゲームに蓋をした。
2ゲーム目のダモ・ダ・ロサに優位な状況を作り出したのは、さらなるイノベーションであった。マンフィールドは《炎の侍祭、チャンドラ》に支えられた強力な初動を決めるも、ダモ・ダ・ロサのライフを12ほどにするのが限界だった。ペガサスの群れを率いた《太陽の恵みの執政官》が可能性の扉を閉ざし、「Tempo Storm」のメンバーをトップ4へと進出させた。
Beat Seth to advance to the upper semifinals of #MTGWorlds ! Now playing Marcio on Jeskai Fires tomorrow— [Tempo] PVDDR (@PVDDR) February 15, 2020
セスに勝って#MTGWorldsの勝者側ブラケット準決勝に進出! 明日はジェスカイ・ファイアーズを使うマルシオと対戦だ。
これでダモ・ダ・ロサは、彼が唯一手にしたことがないマジックのトロフィーを掲げるまであと2試合を勝つのみとなった。しかし、敗北したセスももう一度負けるまでは倒れない。
トップ4への意気込みを語るダモ・ダ・ロサ |
I really wanted to win that one vs @PVDDR but he played great and congrats to him. Time to regroup because I’m not out yet #MTGWorlds— Seth Manfield(Envy) (@SethManfield) February 15, 2020
@PVDDRとの試合は絶対に勝ちたかったけど、彼のプレイングは素晴らしかったし、おめでとうと言いたい。まだ#MTGWorldsの敗退が決まったわけじゃないから敗者側ブラケットで頑張るよ。
カルヴァリョの快進撃
さて、お次はカルヴァリョの出番だ。彼は大会前に大胆な発言をしていた。「優勝かそれ以外か」であると。今大会で怒涛のスタートを切ったことからも、彼の実現に向けた自信の高さが伺える。ラヴマンの赤単アグロと対峙した彼はジェスカイ・ファイアーズの強みを最大限に引き出した。一気に強固な盤面を構築したのだ。ラヴマンの英雄譚を退場させることに成功すると、マッチの勝敗を懸けたゲームに決着をつける大ダメージをたたき出し、トップ4へと駒を進めた。
試合後、無敗のカルヴァリョとトップ4で対戦することになるダモ・ダ・ロサ(彼が負けたのはカルヴァリョのみ)はともに笑っていた――彼らが求めるのはさらなる成功だ。
「多少ラッキーだったと思うよ。全部が自分の都合の良いように進んだ」とこのHareruya Proは言う。「赤単は特に相性が良い相手だから、ぜひ対戦したいデッキだ。すでに2回も当たっているのは最高だね。」
一方のダモ・ダ・ロサはトップ4進出を喜んでいたが、視線はさらに先を見据えていた。
「大会前は『勝つかそれ以外か』なんて思っていなかったけど、ここまで来たからには勝つしかないね」彼は笑いながら言った。「今回選択したデッキはフィールドのほとんどのデッキと相性が良いと思っている。その通りに機能してて嬉しいね。」
won the last WMC.
won the second to last Worlds.
and are both waiting for over 10 years for another World title. Sorry Seth and Gab, but now its our time, the world will speak portuguese again.
GL @PVDDR and @KbolMagic tomorrow.
Vamos caralhoooooooo!!!! #MTGWorlds— Willy Edel (@bazardebagda) February 16, 2020
前回のワールド・マジック・カップはフランスが優勝。
前々回の世界選手権はアメリカ人が優勝。
ブラジルとポルトガルは10年以上世界タイトルを待ち続けてきた。セスとガブには申し訳ないけど、今度こそ俺たちの時代だ。再びポルトガル語の大合唱がやって来る。
@PVDDR、@KbolMagic、明日は頑張ってくれ。
相手をやっつけろおおおお!!! #MTGWorlds
これで2つの枠が埋まり、残る6名のプレイヤーたちがトップ4に向けて戦うこととなった。
出揃ったトップ4
2つの枠が確約されると、敗者側ブラケットの6名は2マッチ先取の段階へと移行した。最初に始まったのはオータム・バーチェット/Autumn Burchettとガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassifの試合だ。ここまでの敗北で瀬戸際まで追い詰められたナシフだったが、彼のジェスカイ・ファイアーズはバーチェットのティムール・《荒野の再生》との最初のマッチを制した。繰り広げられる長く熱い戦いのなかでは、エキサイティングな瞬間が幾度もあった。バーチェットが唱えた《丸焼き》は両者が一度ずつ唱えた《発展》で2度もコピーされた。
しかし、勝者を決める第3マッチは殿堂プレイヤーが主役となった。ナシフのジェスカイ・ファイアーズは完璧な出だしだった。《時を解す者、テフェリー》でインスタントタイミングの呪文――さらには《荒野の再生》がもたらすアドバンテージをも封じ、《義賊》で奪った《発破》でマッチの決着をつけて次ラウンドへの進出を決めた。
他方、セバスティアン・ポッツォはトップ8に進出した2人目のフランス人プレイヤー、ジャン=エマニュエル・ドゥプラ/Jean-Emmanuel Deprazと対峙していた。ドゥプラはティムール・《荒野の再生》を操っており、赤単との厳しい戦いに勝利しなければならない。事実、今週末を通して赤単のプレイヤーたちはこのマッチアップで圧倒的な成績を出している。だが、ドゥプラを倒すのは一筋縄ではいかなかった。彼は《鍛冶で鍛えられしアナックス》を追放できる貴重な《焦熱の竜火》を引き込み、マッチを勝利するチャンスを掴んだのだ。追放できれば《嵐の怒り》で残るクリーチャーを一掃したとしても、《鍛冶で鍛えられしアナックス》が1/1トークンを残すこともない。
しかし、ポッツォはそれに対抗する完璧な解答を用意していたのだった。
これで勝ち進んだポッツォは、勝利者側ブラケットで敗北してトップ4への望みを残すマンフィールドと対決することになった。
だがその前にナシフとラヴマンの戦いがある。ラヴマンが金曜日にナシフに黒星をつけた雪辱を果たすときだ。そしてここ一番の大勝負で、ナシフのジェスカイ・ファイアーズは調整段階で何百と赤単と戦ってきたときのように彼の期待に応えた。
「彼は何度もマリガンしていたね――全体を通して5~6回はしていた」とナシフは言う。「何度も3ターン目に《轟音のクラリオン》を唱えられたし、先手のときは《鍛冶で鍛えられしアナックス》が出る前に最初の2体のクリーチャーを一掃することができた。調整では非常に相性が良いっていう結論だったね。ランク戦で練習していたときは赤単ばかりに当たって、勝率は80%近かったよ。今回の試合も期待通りの展開に持ち込めてよかったと思う」
ナシフが世界王者になるには、もう一度リベンジを果たさなければならない。
「PV(ダモ・ダ・ロサ)とはできれば対戦したくないけど、優勝するには避けて通れないね」そして彼は認める。「昨日はコテンパンにされたよ」
トップ4の残る1枠は、ミラーマッチに委ねられた――この試合はポッツォとマンフィールドによる名勝負となった。赤単のエキスパートである2人がほとんどのゲームで予断を許さない展開を見せたのだ。
赤単の最新の構成の強さを見せつけて1ゲーム目をとったのはマンフィールドであった。《鍛冶で鍛えられしアナックス》に《エンバレスの宝剣》を装備させたのだ。マッチ全体を通して鍵となったのは、いかに「宝剣を貢献」させるかであった。
しかしポッツォはHareruya Proであり、かつてのスタンダード・マスターであり、世界選手権の舞台に上がったことのある選手でもある。彼は1本先取されたが、まだあきらめない。《遁走する蒸気族》が生成したマナを《エンバレス城》に注ぎ込むと、1/1の軍団を致命的な軍団へと早変わりさせ、次のマッチを取り返し、最終マッチにもつれ込ませた。
とうとう3マッチ目の3ゲーム目、つまり最終マッチの最終ゲームまで決着はつかなかった。マンフィールドはチーム「Envy」と契約したばかりであるが、今週末に新たな道を切り開いた。もともと彼は典型的なマジックプレイヤー像に近しい存在だった。勝利にストイックで寡黙なプレイヤーだ。しかし、彼は新時代のマジックを受け入れ、今大会でも大胆なインタビューを見せてくれた。それで一気に彼のファンになった人は今週末にいたことだろう。
この1ゲームを勝った方がトップ4に進める。マンフィールドの心は落ち着いていた。プレイも淀みがなかった。そして彼はここでもまた「宝剣を貢献」させ続けた。
Watch out, he has his eyes on another #MTGWorlds title! @SethManfield joins the Top 4 in Hawaii. Congratulations! pic.twitter.com/D2WoNTzWSi— Magic Esports ✈️ #MTGWorlds (@MagicEsports) February 16, 2020
さぁ、再び#MTGWorldsのタイトルが彼の視野に入ってきました! @SethManfieldはハワイの地でトップ4入り! おめでとうございます!
これで、トップ4の舞台は整った。
I'm finally out of #MTGWorlds, I'm super happy with my result and overall play. I have a ton of room for improvement and that's amazing! What a great game! Thanks everyone for the support. Tomorrow I will be rooting for @KbolMagic to finally hold a well deserved trophy.— Sebastián Pozzo (@sebastianpozzo) February 16, 2020
とうとう#MTGWorldsから敗退。でも結果にも全体的なプレイングにもとても満足している。まだまだ成長できる予感があるから最高さ! なんて最高のゲームなんだろう! サポートしてくれた人たち、ありがとう。明日は@KbolMagicを応援して、やっと彼がふさわしいトロフィーを掲げられることを期待しよう。
TOP 4!!!!! #MTGWORLDS— Seth Manfield(Envy) (@SethManfield) February 16, 2020
トップ4!!!!!
そして言うまでもなく、マンフィールドはここでも印象的なインタビューの受け答えをしている。
トップ4の4名は日曜日に再び顔を合わせる。一体誰が優勝賞金300,000ドルを獲得するのか――そしてマジックで最も名誉あるトロフィーは誰の手に。
(Tr. Nobukazu Kato)
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