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マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2019
世界選手権2019 メタゲームブレイクダウン
2020年2月12日
開幕まであとわずか! 世界選手権2019はマジックの1年の中で最もエキサイティングなイベントです。今週末ほどマジック・ファンとして喜ばしいときはないでしょう。
私は今年は出場しませんが、ここ7年のうちの6年は世界選手権で戦ってきました。そんな私が参加者16名に言えることは、世界選手権は忘れがたい経験になるということです。おのおのが日夜研鑽に励み、今大会で持てる最大限の力を発揮することを夢見ています。もっと正確に言うなら――最大限の力を発揮しなければならない場なのです。
世界選手権に向けた調整は、グランプリやプレイヤーズツアー、その他のイベントのものとは異なります。参加人数はいつになく少なく、参加者の技術は人並外れ、懸かっているものが桁外れなのです。デッキリストを見ていく前に、ここ数週間の舞台裏で物事がどのように進んでいったのか、そして参加者たちがどのように今大会にアプローチしているのかを探ってみることにしましょう。
競技の頂点
世界選手権はマジックの大会の中でも最も名誉ある、挑戦しがいのあるものです。弱いプレイヤーなど1人としておらず、簡単な試合など一切存在しません。
準備に際し、プレイヤーたちは腕の立つ練習相手を探し、本番と同じ条件下で練習する必要があります。MTGアリーナのランク戦をやり込むことも優れた学習方法ですが、ミシック・ランクでの対戦でさえ世界選手権のものとは比べ物になりません。オンライン上の相手から学べる技術や集中力のレベルは、ハビエル・ドミンゲス/JavierDominguezとホノルルのフィーチャーマッチで対戦したときに感じるものには匹敵しないのです。
あなたは《エンバレスの宝剣》を手札に握っているときに相手が間違ったブロックをすることに慣れてしまっているでしょうか? いつも《吸収》で相手の切り札を打ち消せると思っていますか? ですが今回ほど大きい大会ともなれば、ミスの数は少なく、相手は常にこちらが嫌がるプレイをする方法を探してきます。
そのような大会に向けてできるひとつのことは、本質的にデッキパワーが高いものを選ぶことです。「デッキパワー」というのは曖昧な概念ですが、私が求める条件をいくつか挙げてみましょう。対処されなかったときに単体でゲームに勝てるカードがあること。ポテンシャルの高い強烈な手札を引いたときに、相手が対処困難であること。そして、自分の初手を見たときにこのゲームは勝てるという確信が得られること。これからデッキリストをご紹介する際に、各デッキの「デッキパワー試験」の合否をお伝えしていきます。
敵を知る
たいていの場合、参加者たちは知り合いであり、以前に対戦した経験を持っています。グランプリの準備をするときはこんな風に自問自答するかもしれません。「最大勢力のデッキはなんだろう?」と。しかし世界選手権においてはこの言い方の方が適切でしょう。「オータム・バーチェット/Autumn Burchettは何を持ち込むだろうか?」
他の参加者の動向を予測することと情報を集めることの価値は計り知れません。
ガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassifはコントロールデッキをこよなく愛している。彼は今大会もコントロールを持ち込むのだろうか?
イーライ・ラヴマン/Eli Lovemanはモダンの人間デッキで今回の権利を獲得している。彼はクリーチャーで攻撃することが性に合っているのだろうか?
年を追うごとにマジックプレイヤーたちは大会に向けた準備を公開するようになってきています。ほとんどのプロプレイヤーがひとつの収入源として動画配信、執筆、その他のコンテンツ作成を行っているのです。「kanister」ことピオトル・グロゴウスキ/Piotr Glogowskiは大会に先駆けて自身のデッキリストを発信することでますます有名になっています――もちろんその上で優勝してしまうのですが。セス・マンフィールド/Seth Manfieldは今大会の調整を事細かに記事にしています。ちなみに、彼が提出したデッキリストは1週間前に公開した記事に掲載されたデッキリストと数枚しか違いませんでした!
参加者たちが事前にお互いの何を知り、どんな可能性を考えていたのかは非常に気になるところです。
小さなフィールド、小さなチーム
一般的なイベントとは異なり、世界選手権においては大規模なグループで調整することが一切合理的でありません。5~6名のチームを構成してしまうと、会場全体の3分の1を占めることになってしまいます。これでは自分が持ち込んだデッキが相手に推測され、弱点になってしまう可能性があります。さらに言えば、参加者たちは世界王者の座を狙っているわけです。毎試合チームメイトとミラーマッチをしていては、その達成までの道のりが平坦ではなくなってしまうでしょう。
そのため、参加者たちは2~3人のグループに分かれることになるでしょう(もちろん一匹狼の人もいますが)。ときには出場資格がない各所のプレイヤーたちに助力を求めることもあります。それではデッキリストへと目を移し、いくつかの小型のチームに会いにいきましょう。
今大会のメタゲーム
ティムール・《荒野の再生》
4 《繁殖池》 4 《蒸気孔》 4 《踏み鳴らされる地》 3 《天啓の神殿》 2 《ヴァントレス城》 2 《寓話の小道》 2 《森》 2 《島》 2 《神秘の神殿》 1 《山》 1 《奔放の神殿》 -土地(27)- 4 《厚かましい借り手》 3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 2 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(9)- |
4 《発展 // 発破》 2 《選択》 4 《成長のらせん》 2 《海の神のお告げ》 1 《焦熱の竜火》 4 《タッサの介入》 4 《荒野の再生》 3 《嵐の怒り》 -呪文(24)- |
3 《霊気の疾風》 3 《焦熱の竜火》 2 《丸焼き》 2 《否認》 3 《神秘の論争》 2 《夜群れの伏兵》 -サイドボード(15)- |
4 《繁殖池》 4 《蒸気孔》 4 《踏み鳴らされる地》 2 《ヴァントレス城》 2 《寓話の小道》 2 《島》 2 《山》 2 《奔放の神殿》 2 《天啓の神殿》 2 《神秘の神殿》 1 《森》 -土地(27)- 4 《厚かましい借り手》 3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 -クリーチャー(7)- |
4 《発展 // 発破》 4 《選択》 4 《成長のらせん》 1 《否認》 2 《神秘の論争》 1 《タッサの介入》 4 《嵐の怒り》 4 《荒野の再生》 2 《薬術師の眼識》 -呪文(26)- |
4 《焦熱の竜火》 3 《霊気の疾風》 2 《否認》 1 《チャンドラの螺旋炎》 1 《丸焼き》 2 《神秘の論争》 1 《軍勢の戦親分》 1 《パルン、ニヴ=ミゼット》 -サイドボード(15)- |
4 《繁殖池》 4 《蒸気孔》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《神秘の神殿》 2 《ヴァントレス城》 2 《寓話の小道》 2 《森》 2 《島》 2 《天啓の神殿》 1 《山》 -土地(27)- 4 《厚かましい借り手》 3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 2 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(9)- |
4 《発展 // 発破》 4 《成長のらせん》 4 《海の神のお告げ》 4 《タッサの介入》 4 《荒野の再生》 4 《世界を揺るがす者、ニッサ》 -呪文(24)- |
4 《霊気の疾風》 4 《焦熱の竜火》 2 《否認》 1 《丸焼き》 4 《神秘の論争》 -サイドボード(15)- |
4 《繁殖池》 4 《蒸気孔》 4 《踏み鳴らされる地》 3 《天啓の神殿》 2 《ヴァントレス城》 2 《寓話の小道》 2 《島》 2 《山》 2 《神秘の神殿》 1 《森》 1 《奔放の神殿》 -土地(27)- 4 《厚かましい借り手》 3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 1 《老いたる者、ガドウィック》 1 《パルン、ニヴ=ミゼット》 -クリーチャー(9)- |
4 《発展 // 発破》 2 《選択》 4 《成長のらせん》 3 《海の神のお告げ》 3 《タッサの介入》 4 《嵐の怒り》 4 《荒野の再生》 -呪文(24)- |
3 《霊気の疾風》 3 《焦熱の竜火》 2 《丸焼き》 2 《否認》 3 《神秘の論争》 2 《変容するケラトプス》 -サイドボード(15)- |
「ティムール・《荒野の再生》」はこの1年間で成功したデッキである上に、『テーロス還魂記』の新たなカードから大きな収穫を得たデッキでもあります。《嵐の怒り》、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》、《タッサの介入》はティムールの動きをさらに多角化させただけでなく、全体のデッキパワーを底上げしました。
ティムール・《荒野の再生》ほど終盤戦に強いデッキはスタンダードに存在しないかもしれません。よって、「デッキパワー試験」は余裕を持っての合格となります。しかし、他の低速デッキに滅法強い代わりに、《時を解す者、テフェリー》に弱くなっています。高速のアグロデッキにも苦戦を強いられるでしょう。
赤単アグロ
17 《山》 4 《エンバレス城》 -土地(21)- 4 《熱烈な勇者》 4 《焦がし吐き》 1 《ブリキ通りの身かわし》 4 《義賊》 4 《遁走する蒸気族》 4 《鍛冶で鍛えられしアナックス》 4 《砕骨の巨人》 3 《朱地洞の族長、トーブラン》 -クリーチャー(28)- |
3 《ショック》 1 《立腹》 3 《舞台照らし》 4 《エンバレスの宝剣》 -呪文(11)- |
3 《レッドキャップの乱闘》 3 《溶岩コイル》 3 《解き放たれた狂戦士》 1 《魔術遠眼鏡》 1 《舞台照らし》 3 《実験の狂乱》 1 《アクロス戦争》 -サイドボード(15)- |
18 《山》 4 《エンバレス城》 -土地(22)- 4 《熱烈な勇者》 4 《焦がし吐き》 4 《リムロックの騎士》 4 《義賊》 4 《遁走する蒸気族》 4 《鍛冶で鍛えられしアナックス》 4 《砕骨の巨人》 3 《朱地洞の族長、トーブラン》 -クリーチャー(31)- |
4 《舞台照らし》 3 《エンバレスの宝剣》 -呪文(7)- |
3 《レッドキャップの乱闘》 4 《溶岩コイル》 4 《解き放たれた狂戦士》 2 《炎の侍祭、チャンドラ》 1 《無頼な扇動者、ティボルト》 1 《実験の狂乱》 -サイドボード(15)- |
18 《山》 4 《エンバレス城》 -土地(22)- 4 《熱烈な勇者》 4 《焦がし吐き》 4 《リムロックの騎士》 4 《義賊》 4 《遁走する蒸気族》 4 《鍛冶で鍛えられしアナックス》 4 《砕骨の巨人》 3 《朱地洞の族長、トーブラン》 -クリーチャー(31)- |
4 《舞台照らし》 3 《エンバレスの宝剣》 -呪文(7)- |
3 《レッドキャップの乱闘》 4 《溶岩コイル》 4 《解き放たれた狂戦士》 2 《炎の侍祭、チャンドラ》 1 《無頼な扇動者、ティボルト》 1 《実験の狂乱》 -サイドボード(15)- |
18 《山》 4 《エンバレス城》 -土地(22)- 4 《熱烈な勇者》 4 《焦がし吐き》 2 《不気味な修練者》 4 《リムロックの騎士》 4 《義賊》 4 《遁走する蒸気族》 4 《鍛冶で鍛えられしアナックス》 2 《朱地洞の族長、トーブラン》 -クリーチャー(28)- |
2 《立腹》 4 《舞台照らし》 4 《エンバレスの宝剣》 -呪文(10)- |
4 《レッドキャップの乱闘》 2 《初子さらい》 4 《解き放たれた狂戦士》 1 《焦熱の竜火》 1 《魔術遠眼鏡》 2 《砕骨の巨人》 1 《灰のフェニックス》 -サイドボード(15)- |
高速のアグロデッキといえば、4名のプレイヤーが「赤単アグロ」を選択しています。マナベースが単色であり、数枚の土地でデッキが回ることから、環境で屈指の速度と安定性を兼ね備えたデッキです。さらに重要なのは、《エンバレスの宝剣》、《朱地洞の族長、トーブラン》、《実験の狂乱》といった強力なカードで後押しできることでしょう。イージーウィンができる間違いなく強力なデッキです!
赤単アグロのプレイヤーたちはティムール・《荒野の再生》を食い物にしたいと思っていることでしょう。ティムールは《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を筆頭としてアグロデッキに有効な新たな武器をいくつか手に入れましたが、解決できていない問題がひとつあります。3色のマナベースであるがゆえにショックランドと「神殿」を多く採用しているのです。世界最強の呪文を抱えていたとしても、ライフの損失なく期待通りのターンに唱えられなければ赤単の攻撃をしのぐのは難しいでしょう! ティムール側から見て赤単戦は決して勝てない試合ではありません。とはいえ、参加者の4分の1が《焦がし吐き》と《熱烈な勇者》を採用している状況をティムールのプレイヤーたちは喜ばしくは思わないでしょう。
セス・マンフィールドとアンドレア・メングッチ/Andrea Mengucciの強力なチームが特別仕様の赤単を持ち込んでいることから、小規模なフィールドの特性を大きく考慮したことが伺い知れます。もしかしたら、他の参加者が持参するデッキをある程度正確に予想できていたのかもしれません。4枚採用された《義賊》は、早急に手札を空にできない遅い相手を咎めることでしょう。ここでも相手がタップイン土地を採用していることが効いてきます!
サイドボードの《解き放たれた狂戦士》は白のデッキ全般に有効で、個別のカードとしては《時を解す者、テフェリー》や《轟音のクラリオン》に耐性があります。最後に注目したいのは、《ショック》を完全に排している点です。多様性のあるメタゲームにおいては安定して採用されやすいカードですが、クリーチャーの数が多くないコンボやコントロールに対しては明らかに価値が下がります。このような大胆なギャンブルは世界選手権だからこそできることでしょう!
ジェスカイ・ファイアーズ
4 《神聖なる泉》 4 《蒸気孔》 3 《寓話の小道》 3 《聖なる鋳造所》 3 《天啓の神殿》 3 《凱旋の神殿》 2 《ヴァントレス城》 2 《島》 2 《山》 1 《平地》 -土地(27)- 4 《砕骨の巨人》 4 《予見のスフィンクス》 4 《炎の騎兵》 3 《帰還した王、ケンリス》 2 《風の騎兵》 2 《夢さらい》 -クリーチャー(19)- |
2 《霊気の疾風》 1 《可能性の揺らぎ》 4 《時を解す者、テフェリー》 3 《轟音のクラリオン》 4 《創案の火》 -呪文(14)- |
1 《霊気の疾風》 1 《敬虔な命令》 1 《解呪》 1 《裁きの一撃》 1 《徴税人》 4 《神秘の論争》 3 《軍勢の戦親分》 1 《轟音のクラリオン》 1 《空の粉砕》 1 《エルズペス、死に打ち勝つ》 -サイドボード(15)- |
4 《神聖なる泉》 4 《蒸気孔》 3 《寓話の小道》 3 《聖なる鋳造所》 3 《天啓の神殿》 3 《凱旋の神殿》 2 《ヴァントレス城》 2 《島》 2 《山》 1 《平地》 -土地(27)- 4 《砕骨の巨人》 4 《予見のスフィンクス》 4 《炎の騎兵》 3 《帰還した王、ケンリス》 2 《風の騎兵》 2 《夢さらい》 -クリーチャー(19)- |
2 《霊気の疾風》 1 《可能性の揺らぎ》 4 《時を解す者、テフェリー》 3 《轟音のクラリオン》 4 《創案の火》 -呪文(14)- |
1 《霊気の疾風》 1 《敬虔な命令》 1 《解呪》 1 《裁きの一撃》 1 《徴税人》 4 《神秘の論争》 3 《軍勢の戦親分》 1 《轟音のクラリオン》 1 《空の粉砕》 1 《エルズペス、死に打ち勝つ》 -サイドボード(15)- |
4 《寓話の小道》 4 《蒸気孔》 4 《凱旋の神殿》 3 《神聖なる泉》 3 《聖なる鋳造所》 2 《ヴァントレス城》 2 《島》 2 《山》 2 《平地》 2 《天啓の神殿》 -土地(28)- 4 《砕骨の巨人》 3 《厚かましい借り手》 4 《予見のスフィンクス》 4 《炎の騎兵》 3 《帰還した王、ケンリス》 -クリーチャー(18)- |
2 《海の神のお告げ》 4 《轟音のクラリオン》 4 《時を解す者、テフェリー》 4 《創案の火》 -呪文(14)- |
1 《巨人落とし》 4 《義賊》 2 《チャンドラの螺旋炎》 1 《敬虔な命令》 1 《解呪》 1 《ドビンの拒否権》 1 《焦熱の竜火》 3 《神秘の論争》 1 《エルズペス、死に打ち勝つ》 -サイドボード(15)- |
4 《寓話の小道》 4 《蒸気孔》 4 《凱旋の神殿》 3 《神聖なる泉》 3 《聖なる鋳造所》 2 《ヴァントレス城》 2 《島》 2 《山》 2 《平地》 2 《天啓の神殿》 -土地(28)- 4 《砕骨の巨人》 3 《厚かましい借り手》 4 《予見のスフィンクス》 4 《炎の騎兵》 3 《帰還した王、ケンリス》 -クリーチャー(18)- |
2 《海の神のお告げ》 4 《轟音のクラリオン》 4 《時を解す者、テフェリー》 4 《創案の火》 -呪文(14)- |
1 《巨人落とし》 4 《義賊》 2 《チャンドラの螺旋炎》 1 《敬虔な命令》 1 《解呪》 1 《ドビンの拒否権》 1 《焦熱の竜火》 3 《神秘の論争》 1 《エルズペス、死に打ち勝つ》 -サイドボード(15)- |
「ジェスカイ・ファイアーズ」は強力なコンボを内蔵し、全体としてパワフルなデッキであるという点でティムール・《荒野の再生》と類似しています。ですが、《轟音のクラリオン》が存在するなど、赤単と対峙したときはジェスカイ・ファイアーズの方が多少は戦いやすいはずです。
ジェスカイ・ファイアーズとティムール・《荒野の再生》の直接対決でどちらが勝つのかは意見が分かれるところでしょう。今週末が終わってみないと明確な答えは出せません。私の予想では、ティムールを選択したプレイヤーはジェスカイに対するゲームプランに自信があり、ジェスカイ側のプレイヤーも同じように自信を持っているはずです。
ハビエル・ドミンゲスとマルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalhoはサイドボードに《軍勢の戦親分》を搭載した伝統的な構成を維持していますが、フランスの殿堂プレイヤーであるガブリエル・ナシフとラファエル・レヴィ/Raphaël Lévyはティムール・《荒野の再生》とコントロールデッキへの対策として《義賊》を入れた構成を共同開発しています。今大会を代表するカードを選ぶとすれば、この射手・ならず者になるでしょう!
アゾリウス・コントロール
7 《島》 4 《神聖なる泉》 4 《啓蒙の神殿》 3 《アーデンベイル城》 3 《平地》 2 《寓話の小道》 1 《ヴァントレス城》 1 《廃墟の地》 -土地(25)- 1 《太陽の恵みの執政官》 1 《夢さらい》 -クリーチャー(2)- |
3 《Elspeth Conquers Deat》 4 《海の神のお告げ》 3 《ドビンの拒否権》 3 《メレティス誕生》 4 《吸収》 4 《時を解す者、テフェリー》 3 《意味の渇望》 2 《払拭の光》 2 《神秘の論争》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 3 《空の粉砕》 -呪文(33)- |
4 《霊気の疾風》 2 《紺碧のドレイク》 1 《ドビンの拒否権》 1 《ガラスの棺》 2 《神秘の論争》 1 《覆いを割く者、ナーセット》 2 《太陽の恵みの執政官》 2 《終局の始まり》 -サイドボード(15)- |
7 《島》 4 《神聖なる泉》 4 《啓蒙の神殿》 3 《アーデンベイル城》 3 《平地》 2 《寓話の小道》 1 《ヴァントレス城》 1 《廃墟の地》 -土地(25)- 1 《太陽の恵みの執政官》 1 《夢さらい》 -クリーチャー(2)- |
4 《海の神のお告げ》 3 《ドビンの拒否権》 3 《メレティス誕生》 4 《吸収》 4 《時を解す者、テフェリー》 3 《意味の渇望》 2 《払拭の光》 2 《神秘の論争》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 3 《空の粉砕》 3 《エルズペス、死に打ち勝つ》 -呪文(33)- |
4 《霊気の疾風》 2 《紺碧のドレイク》 1 《ドビンの拒否権》 1 《ガラスの棺》 2 《神秘の論争》 1 《覆いを割く者、ナーセット》 2 《太陽の恵みの執政官》 2 《終局の始まり》 -サイドボード(15)- |
6 《島》 6 《平地》 4 《神聖なる泉》 4 《啓蒙の神殿》 2 《アーデンベイル城》 2 《ヴァントレス城》 1 《廃墟の地》 -土地(25)- 4 《夢さらい》 -クリーチャー(4)- |
4 《Elspeth Conquers Deat》 4 《海の神のお告げ》 4 《メレティス誕生》 3 《ドビンの拒否権》 4 《覆いを割く者、ナーセット》 4 《時を解す者、テフェリー》 3 《吸収》 1 《神秘の論争》 4 《空の粉砕》 -呪文(31)- |
2 《幽体の船乗り》 3 《霊気の疾風》 2 《敬虔な命令》 1 《魔術遠眼鏡》 3 《神秘の論争》 1 《ヘリオッドの介入》 1 《太陽の恵みの執政官》 1 《放浪者》 1 《有事の力》 -サイドボード(15)- |
「アゾリウス・コントロール」は今大会で必要なものを全て揃えているように思います。《時を解す者、テフェリー》はおそらくティムール・《荒野の再生》対策として環境で最も優れていますし、ライフ回復とクリーチャー除去は赤単と戦う際に必要とされるものです。
このコントロールデッキにひとつ不安があるとすれば、私の「デッキパワー試験」の点数がやや低く、私なら本大会で選ぶには気が引けていただろうと思います。選択したプレイヤーたちは勝つために毎回骨が折れることでしょう。とはいえ、アゾリウス・コントロールを選択したプレイヤーがゲームプランとサイドボード戦略を研ぎ澄ませているならば、勝利への労力はまさに彼らが覚悟していることなのかもしれません。
パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor damo da Rosaにマジックのカードを握らせたら右に出るものは中々いません。彼がこのデッキで偉業を成し遂げてもなんら驚きではないでしょう。オンドレイ・ストラスキー/Ondrej Straskyとトラルフ・セヴラン/Thoralf Severinは長きに渡って偉大なプレイヤーであることを証明してきた選手で、昨年は両者とも歴史に残るシーズンを過ごしました。精鋭が集まる今週末のフィールドをアゾリウス・コントロールで駆け抜けた暁には、私は彼らの技術への畏敬の念をさらに強めることになるでしょう。
ジャンド・サクリファイス
4 《血の墓所》 4 《寓話の小道》 4 《森》 4 《草むした墓》 4 《踏み鳴らされる地》 3 《沼》 1 《ロークスワイン城》 1 《山》 -土地(25)- 4 《大釜の使い魔》 4 《金のガチョウ》 4 《波乱の悪魔》 3 《打ち壊すブロントドン》 1 《残忍な騎士》 3 《フェイに呪われた王、コルヴォルド》 2 《虐殺少女》 1 《永遠神バントゥ》 -クリーチャー(22)- |
4 《魔女のかまど》 4 《苦悶の悔恨》 4 《パンくずの道標》 1 《戦慄衆の将軍、リリアナ》 -呪文(13)- |
2 《見栄え損ない》 2 《強迫》 2 《壮大な破滅》 2 《害悪な掌握》 1 《死の飢えのタイタン、クロクサ》 2 《恋煩いの野獣》 2 《変容するケラトプス》 1 《戦争の犠牲》 1 《戦慄衆の将軍、リリアナ》 -サイドボード(15)- |
このデッキを「ローグ」な選択だと呼ぶのは奇妙なものです。「ジャンド・サクリファイス」は実績のあるデッキで、他ならぬピオトル・グロゴウスキの手によって直近のミシック・チャンピオンシップを制したほどですからね。しかし、ときに有力視されているデッキがごくわずかしかいないことがあります。これは世界選手権のような小さなフィールドの大会の特質です。
ジャンド・サクリファイスの相対的な強みは、フェアな中速のクリーチャーデッキを叩けることにありますが、そのデッキタイプは世界選手権2019では全く姿を見せていません。この状況を参加者たちが事前に予想していたとすれば、グロゴウスキしかジャンドに惹かれなかったのも納得できます。
ですが、選択したプレイヤーがグロゴウスキであることを忘れてはなりません。彼は「2019ミシック・チャンピオンシップⅦ」を圧巻の無敗で優勝した男です! ジャンド・サクリファイスは使い手の技量と経験が大きくものをいう素晴らしいデッキですが、グロゴウスキはそのどちらにおいても不足はありません。
私の予想
そろそろ分析するのはやめにして、あとは参加者たちに委ねようと思います。ですが、大会に先立って私の個人的な予想を書き残しておきましょう。
- 私が最も有力視しているのは、マンフィールドとメングッチのチームです。独自の調整を施した赤単を偉大なプレイヤーたちが使います。
- アゾリウス・コントロールを選択したチームにも要注目です。特に伝説的プレイヤーであるパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサに期待がかかります。
- 明るみになったメタゲームから判断すると、ティムール《荒野の再生》とジャンド・サクリファイスは少々苦戦すると予想しています。
- ジェスカイ・ファイアーズは多方面のデッキと戦える力があります。今回のメタゲームは良くも悪くもないでしょう。
念のためお伝えしておきますが、初日は『テーロス還魂記』のドラフトから始まります! つまり、スタンダードのデッキ選択だけでは勝利者予想はできないということです。ブースター・ドラフトは新人よりも経験豊かなプレイヤーに有利に働く傾向にあります。とりわけマルシオ・カルヴァリョはドラフト・ラウンド終了時の立ち位置を有利なものにしたいと願っていることでしょう。
最後にスケジュールを整理しておきましょう。決戦の火蓋が切られるのは(日本時間)土曜午前4時です! ぜひ世界選手権2019を楽しみましょう!
(Tr. Nobukazu Kato)
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