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マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2018

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世界選手権2018・注目の出来事

Corbin Hosler and Marc Calderaro

2018年9月23日

 

撮影:ドリュー・ドゥジュネロ/Drew DeGennaro


 世界選手権2018にはあらゆるものがありました。世界最高のプレイヤーたち、最新セットの『ラヴニカのギルド』、最高額の賞金、そして最高の物語。ここで、この週末特に目についた出来事をご紹介します。

新人大流行

 世界選手権は1年で一番厳しい大会で、シーズン中に行われるどの大会も、どのラウンドでも世界最強の対戦相手が待っている世界選手権とは比べ物になりません。

 この週末に話した選手たちの間でも繰り返し上るテーマですが、そういった場所での度胸以上に重要なものはそうありません。セス・マンフィールド/Seth Manfieldのような元世界王者でさえ、重圧と戦っているのです。ましてこの大会での新人にとって、どれほど厳しいかは想像できることでしょう。

 しかし、新人には新人のいいところもあります。重圧がないのです。評論家からの期待は、世界選手権初参加のアレン・ウー/Allen Wu、ワイアット・ダービー/Wyatt Darby、ベン・ハル/Ben Hull、ジョン・ロルフ/John Rolfにはかけられませんが、この4人はその成績で下馬評を覆しました。4人ともに上位半分に入り、世界選手権で立派な成績を残しました。ウーとダービーはあと一歩でトップ4に入れるところだったのです。

「やあ、僕はもう予想を超えたよ」 ダービーはこの大会の初日の序盤で3勝したときに笑って言いました。「僕が初めて高レベルなマジックを見たのは、世界選手権決勝のリード・デューク/Reid Dukeだったんだ。彼や彼の業績を本当に尊敬しているし、この経験は本当に信じられないよ。これが大好きで、できる限りここで続けていたいよ。僕がマジックを始めて以来、ずっと追い続けている夢なんだ」

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大会序盤でブラッド・ネルソン/Brad Nelsonを打ち破るワイアット・ダービー(写真左)
 

 世界選手権2018が何かの兆しだとしたら、これから数か月数年の間に彼ら新人たちをずっと多く見かけることになるでしょう。

シェンハーの実力

 シャハール・シェンハー/Shahar Shenharが前回世界選手権に出場し、2013年・2014年と世界選手権を連覇した史上初にして唯一のプレイヤーとなったとき、「ラッキー・シェンハー」だと思われていたかもしれません。

 

 彼自身の言葉を借りれば、シェンハーは成功を招いたところに戻る必要がありましたが、登攀のようなものでした。しかしながら、(2回目の)突破点がプロツアー『イクサラン』でのトップ16入賞で訪れ、激しいシーズンの後期には世界選手権にたどり着いていたのです。

 そしてシェンハーが世界選手権に来ると、何が起こったかはご存知の通りです。そう、勝利です。多くの勝利です。「白青《王神の贈り物》」デッキを使っていたただ2人のうちの1人であったシェンハーは、理詰めで自分の道を進んでいきました――ちなみに服装にも非の打ち所はありませんでした――そしてトップ4でハビエル・ドミンゲス/Javier Domingezと対戦するために座るまでには、彼が運だけでないことが明らかになっていたのです。

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 彼は決勝に戻ることはできなかったかもしれませんが、彼がドミンゲスと対戦した5ゲームはこの週末最高のマジックのいくつかを演じてくれました。2018~19年シーズンのプロ・ポイントで幸先の良いスタートを切っているので、この世界選手権はシャハール・シェンハーが舞い戻るマジック世界への報せになりました。

チーム・シリーズ・チャンピオンシップ

 チーム・シリーズ・チャンピオンシップへの素晴らしき遠い道のりを経て、「Ultimate Guard Pro Team」が『ラヴニカのギルド』の大会デビューとともに栄冠を手にしました。ジョン・フィンケル/Jon Finkel、ウィリアム・ジェンセン/William Jensen、オーウェン・ターテンワルド/Owen Turtenwald、アンドリュー・クネオ/Andrew Cuneo、ポール・リーツェル/Paul Rietzl、リード・デューク/Reid Dukeといった数々の殿堂を含む面々が、カルロス・ロマオ/Carlos Romão、マルシオ・カルヴァリョ/Márcio Carvalho、ティアゴ・サポリート/Thiago Saporito、セバスティアン・ポッツォ/Sebastian Pozzo、ルーカス・エスペル・ベルサウド/Lucas Esper Berthoud、ルイス・サルヴァット/Luis Salvattoの「Hareruya Latin」を2セットストレートで破り、1年を締めくくりました。

 「Ultimate Guard Pro Team」は今シーズン2つ目と3つ目のプロツアーの後の順位でトップに立っており、他のチームに対して圧倒的なリードを保っていました。1位の座を譲ったのは、皮肉にもチーム戦プロツアーであった、マジック25周年記念プロツアーです。そこでの結果がひどかったため、6人ともが上位入賞して100点近いプロ・ポイントを稼いだ「Hareruya Latin」に追い越されたのです。

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2017-18年チーム・シリーズの最高峰で、「Ultimate Guard Pro Team」と対峙する「Hareruya Latin」
 

 しかし、「Ultimate Guard Pro Team」の最新のテスト方法は、完全に新しいカードでプレイするにあたって有意義でした。彼らは、強化型のサイドボード戦略を会場に持ち込みました。彼らのチームは、『ラヴニカのギルド』のギルド構造によってアーキタイプのメタゲームが他のフォーマットよりも予想できるようになっていることから、効率的にサイドボード・カードを配分することが各マッチの第2、第3ゲームでの勝利の鍵になると気づきました。この戦略は第2セットで、「Peach Garden Oath」が0-3して、その後1マッチを失ったあと、ジェンセンとターテンワルドがその後の4ゲームを連取してマッチで「Hareruya Latin」相手に逆転勝利を果たしたときには、確実に有意義でした。

 発売前のセット――『ラヴニカのギルド』――を使ってチーム・シリーズの1年を締めくくるのは、偉大なマジック・チームを作るために必要なあらゆる能力を試すために最適な方法です。協力して新しいカードを評価し、協力してデッキを作り、うまくいく戦略いかない戦略を試し、必要ならそれらの戦略を強化し、そして重圧にさらされた時間的制約の中で6つのデッキを組み上げるのです。

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 「Ultimate Guard Pro Team」のメンバーは、常に世界最高のプレイヤーと世界最高のチームメイトのエリート集団にいました。この勝利は価値あるもので、高い名声です。しかし、「Hareruya Latin」はこの敗北を忘れることなく、来年また頂上を目指す中で雪辱を期することでしょう。

ハビエルが一歩上へ

 この大会の中で、前年優勝者の次に世界選手権で優勝することの難しさを知っていたのはハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguezがかもしれません。彼は昨年の大会で信じられないほどの結果を残し、王座にあと一歩というところまで上り詰めながら、殿堂顕彰者のウィリアム「ヒューイ」ジェンセンに決勝で敗れました。

 再び世界選手権に出場しただけでも驚くべき実績ですが、ドミンゲスはそれでは満足せず、この週末を強い決意で戦い抜きました。彼は1位でトップ4に残り、すぐに準備を整えて、最後まで心情をあからさまにしていました。彼は何度も視線を落とし、間違いない不安を見せていました。信じられない準決勝でシャハール・シェンハーと当たったときに負けていたかもしれません。そして、彼にとってグジェゴジェ・コワルスキ/Grzegorz Kowalski相手の決勝戦で5ゲームマッチを制して王座を手に入れたことがどれほどの意味を持つのかは言うまでもありません。

 

 これは1年前に始まった旅の成就で、ドミンゲスがこれほどの信じられない瞬間を生み出すのにどれだけの積み重ねがあったかは想像するのも困難です。おめでとう2018年マジック世界王者、ハビエル・ドミンゲス!

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(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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