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マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2018
世界選手権への道:セス・マンフィールド編
2018年9月22日
世界最高のプレイヤーという話をすると常に出てくる名前がいくつかある。技術的な完璧さで知られるプレイヤー、常に最善のデッキを持ってくると言われるプレイヤー、チームメイトとして最高の評価を受けているプレイヤー、といった具合だ。彼らについて話し合ったとき、下の立場から身構えるのが普通になってしまうような相手がいる。
そうした話の中で道を見失ったとき、逆の立場ではどのようなことを感じるのだろうか? 殿堂にちょうど選ばれたばかりのセス・マンフィールド/Seth Manfieldがどうプレッシャーをコントロールしているのかを見てみよう。
彼はプロツアー(『イクサラン』の)勝者だ。そして、彼は2015年の世界選手権でも優勝している。16回ものグランプリでトップ8に入り、そのうち5回は優勝までしている。数年前にはプレイヤー・オブ・ザ・イヤー・レースで2位に入り、そして今年はついにルイス・サルヴァット/Luis Salvattoとのプレイオフで、さらなるタイトルを経歴に追加しようとさえしている。
しかし、それは単なる数字でしかない。記録や統計は、セス・マンフィールドが世界王者であると示すだけだ。彼が毎週何をプレイし、そこからどう大きな目標を達成し、そして世界王者として期待される他の誰よりも優れたパフォーマンスをどう示しているかということは、数字だけではわからないのだ。
「僕はいつも『常に良い結果を残せ』というプレッシャーを感じているし、マッチの前にはいつも緊張するんだ」と、世界選手権のラウンド間に彼はそう語ってくれた。「マッチの間はいつも歩き回ってるね。何かを気にし始めると神経質なエネルギーにとらわれるし、そういう感情を処理するのは難しいんだ」
プロツアー『イクサラン』で彼が勝利を収めた瞬間を見れば、世界有数のプレイヤーですら緊張するということを実感できるだろう。プロツアーのトップ8やグランプリ優勝といったタイトルも、緊張を排除する役には立たないのだ。そして、決勝の対戦相手であるパスカル・メイナード/Pascal Maynardが立ち上がったとき、やっと彼はプロツアーの勝者になったことを実感できたのだった。
そしてこの勝利が、彼がよく知った大会である世界選手権への参加資格となった。
「これはその年の最高のイベントで、一番権威があるからこそ、皆が出場資格を目指すんだ。そして、僕にとっても一番好きなイベントなんだ。そこにいるプレイヤーたちとは幾度となく対戦しているし、多くはきっと皆の友人であると同時に尊敬の対象でもあるはずだ。ただ、今年は自分の頭の中に殿堂入りとプレイヤー・オブ・ザー・イヤー争いのことがあったから、少しいつもとは違ったね」
マンフィールドがこなしていることが少ないと非難する人はどこにもいないだろう。今週末、彼は殿堂入りの発表を受け、またサルヴァットとのプレイヤー・オブ・ザ・イヤー・プレイオフを待ち望んでいる。彼は他の人と同じく、多くのイベントのために旅行している。そして、毎週のごとくいろいろなコンテンツを発信している。そして何よりも、彼の家では幼い子供が帰りを待っているのだ。
では、世界トップクラスのプレイヤーはどうやってこれだけのことを管理しているのだろうか。
「実際ね、大変だよ」と彼は、最後の言葉をあまり強調しすぎないように認めた。「僕の娘はまだ幼稚園に通っているし、旅行のスケジュールはガールフレンドが管理してくれているからね。プロツアーは特に(プレイテストも含めて)日程が長くなるから難しいんだ。事前に予定しているとはいえ大変だよ」
マンフィールドの経歴について最も印象的なことは、その一貫性・継続性にあるだろう。多くのプロはその活動の水準をあげ、結果をある程度残すと、数年間の休養をとってしまう。
しかしマンフィールドは違う。彼はこの4年間プロ・ポイント・ランキングの上位に居続け、さらなる優位に向けて成長し続けた。もし彼が――ストックホルムで行われたシーズン最後のイベントでサルヴァットが奇跡的なトップ8を取り追いつくまでは確実視されていた――プレイヤー・オブ・ザ・イヤーのタイトルも獲ることができたなら、まさにマジックのすべてを成し遂げたことになるだろう。そして、間違いなくそれは彼が目指しているものだ。
「とんでもない結末だったね」と、彼はシーズン最後の週末を振り返る。「ルイスが8-0しているのを見たとき、これは同着からのプレイオフになるかもしれないと思ったんだ。それは、少なくとももう1試合やらなければいけなくなるってことを意味してるんだけどね。あまり期待しすぎないようにはしていたけど、それでも最後に捕まえられるのは気分の良いものじゃないね。勝つことは本当に大事さ。まだ持ってないタイトルのひとつなんだから」
プレイオフのフォーマットはまだ決まっていないが、マンフィールドはウィンストン・ドラフトを提案していた。
かつての世界王者、そして殿堂入りの決まった彼はどこから来て、そしてどこに向かうのだろうか。今のところ、彼は歩みを止めるつもりはないし、まずプレイヤー・オブ・ザ・イヤーのタイトルが目の前にある。
「実際、ここ4~5年で悪い年なんてなかったからね。もし悪い年を迎えて、世界選手権の椅子やプラチナを取りそこねたら、自分の技量やスタミナの衰えについて考えるのかもしれない。でも、少なくともそうなるまでの間はずっとプレイを続けるさ」
(Tr. Keiichi Kawazoe)
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