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EVENT COVERAGE
マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2015
「PAX Prime2015」特派員記事:知っているようで、知らないマーク・ローズウォーターの仕事とは?
by 堀川優一(文・写真)、水鳥あひる(イラスト)
10月2日(金)発売の新セット『戦乱のゼンティカー』でも初期コンセプトおよびゲーム・デザインのリーダーを務めるマーク・ローズウォーターさん。彼がマジックの「主席デザイナー」として実際どのような仕事をしているのかインタビューを行いました!
――私がマジックに触れたのが『第4版』の日本語セットで、『テンペスト』は私がマジックを始めて最も興奮したエキスパンションでした。今回この様にインタビューできることをとても嬉しく思っています。
マーク:そう言ってもらえると、とても嬉しいよ。『テンペスト』は初めて主席デザイナーを務めたエキスパンションで、僕もとても思い入れのあるセットだよ。今日は何でも聞いてよ、答えられる限りは答えさせてもらうよ。
――ありがとうございます。では、まずはじめに、マーク・ローズウォーターさんのデザインの役割が、主席デザイナーと書かれている内容を目にしますが、どのような仕事をされているのでしょうか?
マーク:主席デザイナーは、そのセットについての全部を指揮する感じだね。新しいエキスパンションセットを作る時は、多くのスタッフが参加するんだけど、みんなが同じ方向を向いて作業が進むように方針を示すのが第一の仕事だよ。
他にも重要なのが、「デザイン骨格」を制作することだね。デザイン骨格とは、そのセットが、どういったメカニズムを使うのか、そのセットがどういうイメージになるかなどの大まかな骨組みとなる中心的な部分のことなんだよ。このデザイン骨格を最初につくって、全員がそこに肉付けして行く作業を行ってセットが完成するんだ。
また、全員が同じ方向を向いて制作できるように、セットごとにスタイルガイドと呼ばれるセットの指針を書いた説明書を作って、セットに関わる全員で共有できるようにしているよ。
――なるほど。セットのコアとなる部分を制作し、全体を導く役割なのですね。新たなエキスパンションをつくる場合、はじめはどこからつくるのでしょうか? ストーリーからですか? それともメカニズムからですか?
マーク:そうだね。そのときどきによってそれは変わってくるかな。例えばストーリーが先のときもあるし、メカニズムが先のときもあるよ。今回の『戦乱のゼンティカー』の場合は「土地をメカニズムとして使う」ことを最初に決めたね。
――先ほど、全部を指揮されると言っていましたが、イラストやストーリーも担当されるのですか?
マーク:いや、今の僕のデザインの役割は基本的には、カードのメカニズムのデザインなんだよ。イラストやストーリーに関しては、別の部署が担当してくれるよ。もちろん、主席デザイナーとして、それがイメージに合っているかのチェックはするけどね。『テンペスト』では、ストーリーの担当もしていたこともあったけどね。
――マジックをデザインする上で、どのようなことを重視していますか?
マーク:そうだね、まず第一に、色の役割を重視することだね。全てのセットにおいて重要視していることだけど、どれかの色だけが強いってことは好ましくない。だから、全ての色ができる限り平等な強さになるよう調節しているよ。
また、色ごとに役割がはっきりとしていて、それぞれのメカニズムがその色に実際に合っているのかをよく吟味しているよ。すべてのカードに、それぞれデザインのコンセプトがあるけれど、それは色の役割の考え方の中から逸脱すべきではないと考えている。ただカードのデザインやメカニズムは常によりおもしろいものを、そしてプレイして楽しいものをとも考えているよ。
――常によりおもしろいものをとありましたが、それを作るためにどのようなことをされていますか?
マーク:実際にプレイするのが一番の近道だと考えているよ。新しいエキスパンションが実際にプレイできるようになるのは、セットが完成する1年ぐらい前になるんだ。プレイできるようになってからは、最初は「3週間ごと」、次に「2週間ごと」、次に「1週間ごと」と実際にデザイナー同士でプレイする期間をどんどん短くしていって、プレイして楽しくないカードや、思いのほか使われなかったカードをどんどん調整していくことにしているよ。マジックは「まず遊んで楽しいか」どうかが大切だと思っているんだよ。
――そういった過程があって、私たちのもとにカードが届いているのですね。マーク・ローズウォーターさん自身はマジックに関わる仕事のなかで一番好きなことは何ですか?
マーク:僕が一番好きなのはプレビュー・ショーの仕事だよ。僕たちが作ったカードたちが実際にプレイヤーの目に触れ、どのような反応を見せてくれるのか? そのリアクションを見ることができるのが最高の瞬間なんだよ。
――確かに、モノをつくる者としてその瞬間はとても嬉しいものですね。では、カードデザインの仕事の中ではどの部分の仕事が一番楽しいですか?
マーク:そうだね、僕が一番好きなのは、0から1を作る時だね。昨日までこの世界に存在しなかったカードを考え出して、それが産まれる瞬間が一番エキサイティングだね。
――ちなみに、今まで作ったカードの中で一番好きなカードは何ですか?
マーク:そりゃ、《マロー》だよ(笑)だって、あれは、まさに僕のカードだからね。
っと、そういうことじゃないよね?(笑)「2倍にする」効果のあるカードが、僕は特に好きだね。その中でも、《倍増の季節》が一番気に入っているよ。
――なぜ、そのカードが特に好きなんですか?
マーク:この効果が2倍になるエンチャントのサイクルは、僕がはじめに考えたんだよ。効果が2倍になるエンチャントを考えたとき、こんなカードがあったらおもしろいんじゃないかなぁ?っと漠然と考えていて、その話を他のデザイナーたちと話してみると、思った以上に反響があって、実際に開発することにしたんだ。そして、発売後も多くのプレイヤーからも良い反応があった。僕だけが求めていたカードじゃなかったんだなって思えたのがとても嬉しくて、このカードが特に好きなんだよ。
――「2倍になる」サイクルは、確かに熱狂的なファンが多いカードの一つですね。では最後に、今後はマジックをどのようにしていきたいと考えていますか?
マーク:ストーリーとの関わりをより密にしていくということは既に話した通りなんだけれど、僕は、ストーリーをもっとおもしろく、良くしていきたいと思っているよ。マジックのカードがプレイして楽しく、そしてストーリーもそれと同じぐらいエキサイティングなものにしていきたいというのが、今後のマジックに求めることだね。
――おぉ、それはストーリーが好きな私としても大変嬉しい話です。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!
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