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マジックフェスト・横浜2019

戦略記事

デッキテク:石附 拓也の「青赤ウィザード」~デルバーとともに歩んだ6年間の集大成~

Moriyasu Genki

(このインタビューは1日目第7回戦終了後に行われました。)

 グランプリ・横浜2019。参加者数2400人超とはいえ、7回戦終了地点で7勝0敗と全勝街道を走っているのは既に限られた者たちだけだ。

 そのなかに1人、昨日から続いて「15勝0敗1分」という超人的なスコアを記録しているプレイヤーがいた。

 金曜日開催のミシックチャンピオンシップ予選を優勝した石附 拓也は、グランプリにおいても負けなしの最前線を走り続けている。

 特徴的なカードを多く採用した彼のデッキに注目が集まっている。

 筆者が試合を終えたばかりの石附にデッキについての話を伺いたいと伝えると、笑顔で受けてくれた。

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「青赤ウィザード」デッキリスト
石附 拓也 - 「青赤ウィザード」
グランプリ・横浜2019 / モダン (2019年4月20~21日)[MO]
2 《
2 《
3 《蒸気孔
4 《沸騰する小湖
3 《溢れかえる岸辺
1 《血染めのぬかるみ
4 《尖塔断の運河
2 《変わり谷
-土地(21)-

4 《秘密を掘り下げる者
3 《損魂魔道士
2 《渋面の溶岩使い
4 《瞬唱の魔道士
1 《呪文づまりのスプライト
2 《敏捷な妨害術師
1 《ヴェンディリオン三人衆
-クリーチャー(17)-
4 《稲妻
1 《噴出の稲妻
1 《炎の斬りつけ
4 《選択
2 《呪文嵌め
1 《呪文貫き
1 《蒸気の絡みつき
4 《差し戻し
4 《魔術師の稲妻
-呪文(22)-
2 《イゼットの静電術師
1 《外科的摘出
2 《払拭
1 《呪文貫き
1 《呪文嵌め
1 《儀礼的拒否
2 《高山の月
1 《引き裂く流弾
1 《軽蔑的な一撃
1 《削剥
1 《四肢切断
1 《魔術師の反駁
-サイドボード(15)-
デッキの勝ち方

石附「『青赤ウィザード』はクロック・パーミッションですね。序盤にクリーチャーのクロックを用意しつつ、相手の展開をごまかして火力で勝つという形です。10点クリーチャーで削って、10点火力を撃って勝つというような戦略をイメージしています」

青赤ウィザードを選んだ理由

石附「《秘密を掘り下げる者》を使いたいと考えていて、それが一番上手く使えるのが今回の『青赤ウィザード』だと考えました。

秘密を掘り下げる者》自体はもう6年以上使い続けていて、これからも使いたいと考えているというのが一番にあります。

モダンの他にもレガシー、ヴィンテージでも青赤デルバー(《秘密を掘り下げる者》デッキ)を使っています。

マジックをするにあたって、いろんな人に名前を憶えてほしいなという思いもあって、ずっと同じデッキを使い続けたいなという気持ちもあります。そのなかで知り合えた人も多くいますね」

秘密を掘り下げる者》以外のカードの選択理由
損魂魔道士

石附「クリーチャー戦において直接の打点や除去になるわけではないんですけど、ウィザードである点と果敢の性能を評価しています。

ダメージをカウンターに置換する能力が重要で、火力はもちろんサイドボードの《イゼットの静電術師》がカウンターをばらまけるようになるという強いシナジーがありますね。

よく見る、似たクリーチャーの《僧院の速槍》が持つ速攻分よりも、《損魂魔道士》が持つ置換能力の方がロングゲームを見据える上で大切です。

どのマッチでも基本抜かない重要なカードです」

敏捷な妨害術師

石附「相手のフェッチランドや《廃墟の地》、《反射魔道士》を咎められるという理由で採用しています。

もちろんそれだけじゃなく、クリーチャー性能としての3マナ3/1瞬速・飛行という部分も最後の押し込みで重要になってきます。1回入れば3点1枚分ですからね。

デッキに合っています。実際、このカードを知らない相手から3ターン目《廃墟の地》を起動されて、それをサイクリングして打ち消してそのまま勝つというのはそれなりにありますね。

まだ多くの方に知られてないカードでもあるので、本当にレガシーの《もみ消し》のように振る舞えます」

呪文づまりのスプライト

石附「《敏捷な妨害術師》をもっと多く積んでいたんですが、負けパターンのいくつかが《敏捷な妨害術師》を引きすぎて、展開できないというもので。

もっと軽いところにしてみようと思いましたね。『トロン』の2ターン目の1マナ・1マナという動きや、『シャドウ』の《死の影》などを打ち消せるので、強かったです。

ゲーム後半の1マナを弾けるともっと楽になると思っていたので、直前での選択だったんですが良い採用だと思いました」

(先ほどの対「アミュレット・タイタン」との試合でも《召喚士の契約》を打ち消すなど面目躍如の活躍でしたね)

差し戻し

石附「使い方が難しいカードですね。かなりのキーカードです。カウンター的に使うだけではなく、相手の《謎めいた命令》で対象になっている呪文を回収しつつドローもさせないとか、果敢を誘発させるために積極的に自分の呪文に打つとか、細かいテクニックが多くて、《差し戻し》をうまく使うことで勝率が上がるようになりますね。

レガシーの『青赤デルバー』は3点火力を積んだバーン戦略が中心でアドバンテージ勝負するデッキではないんですけど、モダンの『青赤ウィザード』はロングゲームを意識してアドバンテージ戦略を採用できるのが特徴であって強みですね」

引き裂く流弾

石附「《外科的摘出》を減らして、最後に決めた1枚として採用しています。終盤の調整で『人間ビートダウン』に対して4連敗していて、比較的相性の良い相手だと想定していたのでサイドボードを追加せざるを得ないと思いました。

そうしたら想定していなかった『スピリット』に対して非常に効果的に機能して、今回も2回当たって2回勝てました。」

高山の月

石附「『トロン』の専用サイドとして用意しています。《血染めの月》を採用していたんですが、重さや自分への影響も含めてトロンに対しての勝率が逆に維持できなくなってしまって。

『アミュレット・タイタン』への耐性は下がるんですが、それならよりデッキに合う《高山の月》を採用した方が良いよねという結論になりました」

呪文嵌め

石附「『イゼット・フェニックス』に対して《氷の中の存在》と《紅蓮術士の昇天》をカウンターしないと確実に勝てないので、構え続けるという戦略のために3枚目を採用するということだったんです。

ただ思いのほか『スピリット』や『BG(緑黒)』、『人間』など2マナ域を多く使うデッキに多く当たって活躍してくれています。

レガシーの対『青白奇跡』がプレイする同じ2マナの《相殺》に対しても同じ戦法で、絶対にカウンターするために構え続ける。(後手)1ターン目にクロックは出さない。という戦略を採用していて信頼していたので、《呪文嵌め》の評価は会場の誰よりも高いかもしれないですね」

サイドボード・メタゲームについて

石附「『イゼット・フェニックス』と『ドレッジ』は切っています。何枚サイドを割いても勝率が4割を超えられなかったので、切っています。

『アミュレット・タイタン』も相性の良い相手ではないんですが、先ほどは勝てましたね。

サイドボードを厚く取れるようになったこともあって、基本的には『イゼット・フェニックス』と『ドレッジ』以外には取りこぼすことなく、勝率6割~7割という数字でしっかり勝てるようにしてきました。

ただ『イゼット・フェニックス』と『ドレッジ』には当たった瞬間に投了レベルで相性が悪いので、(メタの上位デッキが集中することになる)2日目への進出という目標で組みました。優勝するデッキではないと思っています。

ただ直近のメタゲームで言うと、海外モダングランプリ3回分の集計もしているんですが、『イゼット・フェニックス』と『ドレッジ』が減っていたので、メタゲームが良くなってきたという実感もありました」

今日のデッキの自己評価

石附「現地点までで変えたいところとかはないです。満点ですね! 薄く広くではなく、特定のマッチに対して強いサイドボードを採用した結果、想定よりもより広く対応できるようになりました」


 ここまで使い手である石附の気持ちに応え続けてきた、「青赤ウィザード」。

 石附のデルバーへの想いを汲むのであれば、「ウィザードの要素を持つ『青赤デルバー』」という表現の方がより正しいようだ。

 古き良き相棒とともに歩きつつも精進を決して怠らず、カードへの気持ちと勝利への想いを両立させていく。特定のカード、あるいは特定のデッキタイプを好むプレイヤーはトップ・プロにもいる。たとえば高橋 優太とフェアリーの関係のように。たとえばクレイグ・ウェスコーが自在に操る白単ビートダウンのように。

 たゆまぬ努力によって継続すること。そして勝利すること。この2つで、次第に人びとに認知されていく。

 「石附といえばデルバー」という認識を、マジック・プレイヤーたちが持つようになる日も遠くなさそうだ。

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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