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マジックフェスト・京都2019

戦略記事

デッキテク:竹元 光の「タコは増やすもの」

Hiroshi Okubo

(この記事は第13回戦終了時に取材したものです)

 およそ5億年前。地球上では急速に動植物が進化し、種の多様化が進んだ。この現象はカンブリア爆発と呼ばれ、現代に生息する動物たちの祖とでも呼ぶべき生命体が数多く生まれた。

 『ラヴニカのギルド』および『ラヴニカの献身』のリリースは、スタンダードというフォーマットにおけるカンブリア爆発を誘引した出来事だったと言っても過言ではないだろう。今やアグロに始まりミッドレンジ、コントロールに至るまで多種多様なデッキが存在しており、それらはぐるぐると目まぐるしく環境トップの座を奪い合っている。

 そして、そうした環境なればこそ輝く存在がいる。デッキビルダーだ。

 混沌としたメタゲームに自らが楔を打ち込まんと日々その創造性を磨き上げ、世界を塗り替える日を夢想してデッキリストを調整し続ける。得てして孤独なその作業は、しかし報われるかどうかは分からない。なんと過酷なことか。ああ、人はなぜ山に登るのか……。

 さて、ここではそんな過酷と真摯に向き合う一人の男、竹元 光のデッキをご紹介しよう。彼のデッキに含まれるカードたちは、この雑多な環境においても異形である。端的に言えば、タコが増える。みなさんのご家庭にあるタコは増えますか?(いいえ、増えないでしょう)

 おそらくこのグランプリ会場においてもタコを増やしている人間は彼しかいないに違いない。何が彼を駆り立て、そしてタコを増やそうと思い至ったのか。その真相に迫るべく、早速話を伺った。

takemoto1.jpg

――「こちらは《眩惑する水底種》を《模写》で増やすデッキ……で合ってるでしょうか? 他にも《つぶやく神秘家》や《悪魔王ベルゼンロック》などが入っているようですが、このデッキが生まれた経緯を教えてください」

竹元「元々《思考消去》というカードがすごく強いと感じていて、グランプリ・静岡2018(スタンダード)で『青黒ミッドレンジ』を使用していたんです。当時は《正気泥棒》を採用していたんですが、アグロに弱いことや除去耐性のなさが気になったこと、あとは自分の《煤の儀式》に巻き込まれることなどがネックだと感じていたんです」

竹元「『ラヴニカの献身』で《眩惑する水底種》が出ましたが、これらの弱点を全てクリアしていたのですんなりと枠が入れ替わって、それから《模写》などを足しました」

――「《模写》を足すまでの飛躍がすごい」

竹元「単純に《眩惑する水底種》自体がコピートークンを生み出すカードと相性がいいのと、《模写》も《つぶやく神秘家》と相性がいいので。これによって白単や赤単のようなデッキとの相性が飛躍的に改善され、デッキが数段階強化されました」

――「なるほど。クリーチャー以外の部分だと《虚報活動》エンジンも入っているようですね」

竹元「現在の環境でミッドレンジを組むには能動的にアクションを取っていく必要があると考えていて、《虚報活動》はそこにぴったり噛み合っています。クリーチャーをクリーチャーで止めながらアドバンテージ対決もできる、といった感じです。その分メインの妨害の枠は減らしていて、打ち消しなどは1枚も採っていません」

――「能動的というのがポイントなんですね。《悪魔王ベルゼンロック》などは珍しいカードですが、感触はいかがでしょうか?」

竹元「実は《悪魔王ベルゼンロック》はこのデッキの前からずっと使用していて、気に入っているんです。ハイドロイド混成体》よりも強いと思ってますよ。分割カードなどと相性が良いので、このデッキならそこそこの確率で手札が増えます」

――「なるほど、たしかに。かつ先ほど仰っていた通り能動的に攻めるアクションとも合致すると……環境の各デッキとの相性はいかがでしょうか?」

竹元「赤単や白単には有利で、青単には微有利。あとはスゥルタイにはアドバンテージ戦略が有効なので、とても有利です。ただしコントロールにはサイドボード込みでもよくて五分程度で、《荒野の再生》を使用するデッキには極めて不利ですね。なので、もしこれからデッキを調整していくとしたらティムールとの相性を改善していきたいところです」

――「ありがとうございます。この後も頑張ってください!」


 インタビューを終えると、仲間たちが笑顔で竹元を迎えていた。聞けば彼は仲間内でも「自分の世界観を大切にするタイプ」らしく、いつも変わったデッキを使用しては友人たちを驚かせており、海外でデッキが取り上げられたこともあるそうだ。

 「みなさんも竹元さんのデッキを参考にされたりするのしょうか?」と筆者が問うと、彼らは笑いながら「無理ですよ。使いこなせないですから」と即答していたのが印象的だ。また、竹元の逸話についてまるで自分のことのように誇らしげに語る姿からも、竹元がコミュニティで愛されていることがわかる。

takemoto2.jpg

 そんな中だからこそ、竹元はのびのびとタコを増やすことができたのかもしれない。みなさんもぜひ、仲間たちとタコを増やしてみてはいかがだろうか?

竹元 光 - 「タコは増やすもの」
グランプリ・京都2019 / スタンダード (2019年3月23~24日)[MO]
7 《
7 《
4 《湿った墓
4 《水没した地下墓地
2 《ディミーアのギルド門
1 《オラーズカの拱門
-土地(25)-

4 《つぶやく神秘家
3 《眩惑する水底種
2 《悪魔王ベルゼンロック
-クリーチャー(9)-
4 《思考消去
2 《喪心
2 《渇望の時
4 《虚報活動
2 《模写
3 《煤の儀式
2 《ヴラスカの侮辱
4 《発見+発散
2 《詭謀+奇策
1 《集団強制
-呪文(26)-
4 《正気泥棒
2 《疫病造り師
2 《黄昏の預言者
3 《強迫
2 《否認
1 《渇望の時
1 《集団強制
-サイドボード(15)-
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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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