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『カルドハイム』チャンピオンシップ
『カルドハイム』チャンピオンシップ メタゲームブレイクダウン
2021年3月24日
マジック・プロリーグ(MPL)およびマジック・ライバルズ・リーグ所属選手の他、MTGアリーナやMagic Onlineで開催された予選を勝ち抜いた精鋭たちが一堂に会する『カルドハイム』チャンピオンシップが、3月26日(金)9時(日本時間26日25時)より開幕する。
総勢211名がスタンダード、ヒストリックの2フォーマットで戦いを繰り広げる本イベント。彼らがどのようなデッキを選択したのか、早速ご覧いただこう。
メタゲームブレイクダウン(スタンダード)
イベント初日と2日目で合計7ラウンド(2ゲーム先取)、そして最終日に行われるトップ8プレイオフの採用フォーマットであるスタンダード構築戦のメタゲームはこのようになっている。
上図で「ナヤ・アドベンチャー」と分類されているものは、《クラリオンのスピリット》、《フェリダーの撤退》、《秘密を知るもの、トスキ》を採用した「ナヤ・トークン」が8名と、《黄金架のドラゴン》、《憤激解放》、《セジーリの防護》を採用した「ナヤ・フューリー」3名と、戦略が異なる2種のデッキが含まれている。このように、さらに細かくアーキタイプを分類したのが以下の表だ。
アーキタイプ | 使用者数 | 使用率 |
---|---|---|
スゥルタイ根本原理 | 47 | 22.3% |
ティムール・アドベンチャー | 37 | 17.5% |
赤単アグロ | 35 | 16.6% |
サイクリング | 22 | 10.4% |
ディミーア・ローグ | 17 | 8.1% |
白単アグロ | 15 | 7.1% |
ナヤ・トークン | 8 | 3.8% |
グルール・アドベンチャー | 7 | 3.3% |
4色予言された壊滅 | 5 | 2.4% |
グルール・フード | 4 | 1.9% |
ナヤ・フューリー | 3 | 1.4% |
エスパー予言された壊滅 | 2 | 0.9% |
バント・アドベンチャー | 2 | 0.9% |
スゥルタイ・コントロール | 2 | 0.9% |
ラクドス・サクリファイス | 1 | 0.5% |
ジェスカイ変容 | 1 | 0.5% |
セレズニア・アドベンチャー | 1 | 0.5% |
4色ジャイルーダ | 1 | 0.5% |
アブザン・ミッドレンジ | 1 | 0.5% |
『カルドハイム』リーグ・ウィークエンド(2月)の時点では、異なる色、戦術を武器にしたアグロデッキがトップ争いを繰り広げており、メタゲームもまだ変化の途中、と言った様相を呈していた。しかしながら、『カルドハイム』チャンピオンシップにおいては「赤単アグロ」、「サイクリング」、「白単アグロ」、また「ナヤ・アドベンチャー」と大分類されるデッキが未だ人気であるものの、「スゥルタイ根本原理」と「ティムール・アドベンチャー」が使用率において2トップとなっている。
公式放送で解説を担当しているマニ・ダヴォーディ/Mani Davoudiがこちらの記事(英語)でも紹介しているが、これらのデッキは非常に堅い構築となっており、いわゆる「サプライズ」要素は見当たらなかった。「ティムール・アドベンチャー」を選択したプレイヤーのうち20名が《獲物貫き、オボシュ》を相棒として採用する一方で、16名は《軽蔑的な一撃》のようなカードをメインデッキに入れることを選択したようだ。いずれにせよ、大半の「ティムール・アドベンチャー」デッキはリストの内容が非常に似ている。正直なところ、ここ数週間でスタンダードのメタゲームはほぼ私の予想通りの形となった。大半のデッキが非常によく調整されており、平衡状態に落ち着く寸前と言ったところだ。
そんな中、いくつかのアーキタイプがとりわけ良い立ち位置についているようだ。私が1つのデッキを選択しないといけない立場にあれば、MTGMeleeでの勝率を参照し、「サイクリング」が良い選択である、と言うだろう。このデッキは「スゥルタイ根本原理」や「ティムール・アドベンチャー」、「赤単アグロ」に対して有利に立ち回ることができ、他のデッキに対しても大きく不利を取らないはずだ。しかしながら、私の評価が正しいものであるならば、これらの有利/不利の幅もさほど大きいものではないだろう。対戦相手が皆世界トップクラスの実力者であるならなおさらだ。
結論としては、スタンダード構築戦において勝敗を分けるのはデッキ選択ではなく、プレイスキルやサイドボードの熟練度や、各マッチアップの経験値になるのではないかと予測している。スタンダードで行われるトップ8プレイオフは非常見応えのあるものとなるだろう。
最も採用率の高い土地以外のカード(スタンダード)
《砕骨の巨人》と《神秘の論争》はそれぞれメインデッキとサイドボードを合わせ、前者が380枚、そして後者が307枚の採用となり、土地を除いて最も採用率の高いカードとなった。その少し後ろには《恋煩いの野獣》と《エッジウォールの亭主》が4位、5位と続いている。これら4枚のカードは『エルドレインの王権』が発売されて以来、常にトップに近い人気を誇るカードであり、この結果にも何ら驚きはない。
興味深いのは、《アールンドの天啓》が『カルドハイム』収録カードのうち、土地を除くと最も採用率の高いカードとなったことだ。実に220枚もの採用が見られたこのカードは、「予顕」を非常に上手く利用できる1枚であり、《出現の根本原理》を擁するデッキでも必要不可欠となっており、さらに「ティムール・アドベンチャー」においても優位に立っている際に唱えたい呪文の中で最も強力なカードの1枚なのだ。
興味深い切り口のデッキ(スタンダード)
スタンダードのメタゲーム上位を占めるデッキについてはマニ・ダヴォーディがこちらの記事(英語)で解説したとおりであり、ことさら驚く要素はない。しかしながら、いわゆる「ローグ」と呼ばれる「サプライズ」満載の、鋭い切り口を持ったデッキもいくつかあるのだ。例えば「グルール・フード」。基本的には「緑単フード」と変わらないが、そこに《砕骨の巨人》や《エンバレスの宝剣》が加わっている。興味深いデッキまだまだこんなものではない。スタンダードの全デッキリストは初日の第1ラウンド開始時にこちらのページで公開されるが、それに先行して、私が特に気に入った3つの「ローグ」デッキを手短に紹介しよう。
《灯の分身》や《楽園のドルイド》がローテーションにスタンダードを去って以来、あまり姿を見かけなくなっていた《深海の破滅、ジャイルーダ》。しかし、『カルドハイム』チャンピオンシップに「4色ジャイルーダ」で挑もうとしているプレイヤーが1人いる。そして私はそれがたまらなく好きだ。《魅力的な王子》や《深海住まいのタッサ》は健在で、そこに『カルドハイム』からも《星界の番人》と《カーフェルの港》を用いたコンボも加わった。これらのカードはジャイルーダの能力を連鎖させることができ、さらに《秘密を知るもの、トスキ》に対して非常に強力な《悪意に満ちた者、ケアヴェク》も搭載している。なんとも期待の高まるデッキだ。
「ジェスカイ変容」を提出したプレイヤーも1名いる。《両生共生体》《雷の頂点、ヴァドロック》《領界路の開放》や、その他数枚の呪文を含む完璧なドローをすることができれば、理論上3ターン目での勝利も可能なのがこのデッキの特徴だ。その強烈すぎる動きを一度目撃すれば、《夢尾の鷲》や《戦利品奪取》のようなカードに対して、これまでと同じ見方をするのは困難になるだろう。安定性には欠けるものの、マナを生み出したりカードを引くことができる呪文は、他の呪文によるサポート次第で「壊れた」強さになり得るということを示したデッキだ。
そして最後に紹介するのは2名のプレイヤーが選択した「バント・アドベンチャー」。「ナヤ・トークン」に似ているが、さらに尖っているのがこのデッキ。《スカルドの決戦》や《秘密を知るもの、トスキ》で数枚のカードをドローできれば素晴らしいと感じるかもしれないが、《伝承の語り部、チュレイン》でライブラリ内のカードをすべて引くことができればさらに良いだろう。そこに《水蓮のコブラ》や《フェリダーの撤退》も加わり、「上陸」の能力を幾度となく誘発できれば最高だ。本イベントでどのような活躍を見せるのかは予測不能だが、非常にパンチの効いたデッキであることは間違いない。
メタゲームブレイクダウン(ヒストリック)
ヒストリックは初日、そして2日目に各4回戦ずつ行われる。メタゲームは以下の通りだ。
「ジャンド・サクリファイス」に大分類されているデッキには、《パンくずの道標》や《金のガチョウ》を採用した「ジャンド・フード」が56名、《集合した中隊》や《戦慄衆の解体者》を採用した「ジャンド・カンパニー」が10名含まれている。このように、さらに細かくアーキタイプを分類したのが以下の表だ。
アーキタイプ | 使用者数 | 使用率 |
---|---|---|
ジャンド・フード | 56 | 26.5% |
オルゾフ・オーラ | 31 | 14.7% |
アゾリウス・コントロール | 18 | 8.5% |
グルール・アグロ | 11 | 5.2% |
ジャンド・カンパニー | 10 | 4.7% |
スゥルタイ根本原理 | 8 | 3.8% |
ゴブリン | 8 | 3.8% |
アブザン・ミッドレンジ | 8 | 3.8% |
バント・ミッドレンジ | 8 | 3.8% |
エルフ | 6 | 2.8% |
ボロス・サイクリング | 5 | 2.4% |
赤単バーン | 5 | 2.4% |
バント天使 | 3 | 1.4% |
5色ニヴ=ミゼット | 3 | 1.4% |
セレズニア・カンパニー | 2 | 0.9% |
ネオストーム | 2 | 0.9% |
黒単コントロール | 2 | 0.9% |
セレズニア・アグロ | 2 | 0.9% |
4色ミッドレンジ | 2 | 0.9% |
ティムール・アドベンチャー | 2 | 0.9% |
パラドックス装置 | 2 | 0.9% |
セレズニア・ミッドレンジ | 2 | 0.9% |
九つの命 | 1 | 0.5% |
ラクドス・ミッドレンジ | 1 | 0.5% |
バント・スピリット | 1 | 0.5% |
ラクドス・サクリファイス | 1 | 0.5% |
ディミーア・ギフト | 1 | 0.5% |
青単テンポ | 1 | 0.5% |
オルゾフ・ギフト | 1 | 0.5% |
セレズニア天使 | 1 | 0.5% |
ディミーア・コントロール | 1 | 0.5% |
グリクシス秘儀術師 | 1 | 0.5% |
ケシス・コンボ | 1 | 0.5% |
ボロス・バーン | 1 | 0.5% |
奇怪な具現 | 1 | 0.5% |
ゴルガリ・ミッドレンジ | 1 | 0.5% |
ラクドス秘儀術師 | 1 | 0.5% |
1月に行われた『カルドハイム』リーグ・ウィークエンドにおいては、「スゥルタイ・ミッドレンジ」がトップに君臨しており、そのすぐ後ろに「ジャンド・サクリファイス」が位置していた。しかしながら、『カルドハイム』の発売、『ヒストリック・アンソロジー4』の実装、そして《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が禁止されたことにより、ヒストリック環境は大きく動くこととなる。
新セットの登場により、エルフや天使など、いくつかの新たな戦術が日の目を見ることとなったが、ウーロの禁止はそれよりも大きな衝撃をもたらした。「スゥルタイ・ミッドレンジ」は競技シーンから姿を消し、それまで2番手につけていた「ジャンド・サクリファイス」にトップの座を明け渡すこととなったのだ。
『カルドハイム』チャンピオンシップ参加者の多くにとって、これは想定の範囲内であっただろう。正確な使用率まで予測することは困難だが、「ジャンド・サクリファイス」が最も高い利用率となることは大半の者が期待をしていたはずだ。しかし、これが採用カードの選択に影響を与えたようだ。例えば、《波乱の悪魔》を使いたいプレイヤーはミラーマッチに備える必要があった。これは、「ジャンド・フード」が「ジャンド・カンパニー」よりも高い使用率となっている要因の1つと言えるだろう。以前は後者の方がより人気のあるアーキタイプであったが、長期戦において《パンくずの道標》がもたらす優位性が「ジャンド・サクリファイス」の他の型に対して有効であるため、次第に前者の人気が勝る形となった。
さらに見ていこう。「オルゾフ・オーラ」が使用率において2番手であることは、私にとって衝撃的だった。確かに、《コーの精霊の踊り手》は強力なカードだ。そしてウーロが去ったことにより、相対的にデッキも強くなっただろう。しかしながら、「オルゾフ・オーラ」が「ジャンド・サクリファイス」に対して有効なデッキだとは思えない。《波乱の悪魔》や《初子さらい》を武器に、は細々としたクリーチャーを展開するデッキを葬ってきたのが「ジャンド・サクリファイス」だ。
「アゾリウス・コントロール」が3番人気であることは私の予想通りだが、このデッキに関しても「ジャンド・サクリファイス」に対して有効とは言いがたい。緑の呪文からもたらされるアドバンテージにより、基本的に攻め手が尽きることのないジャンドは、カウンターや全体除去などの呪文の隙を搔い潜り、ライフへのプレッシャーを与え続けることができるのだ。
一方で、「ジャンド・サクリファイス」に、特に「ジャンド・フード」に対して非常に有効な対抗手段である《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》を採用したデッキを選んだプレイヤーが、今回最も良い読みをしたと言っても良いだろう。この「猪」は、《魔女のかまど》や《波乱の悪魔》だけでなく、《パンくずの道標》や《金のガチョウ》の強みも封じてしまうのだ。「アブザン・ミッドレンジ」や「バント・ミッドレンジ」など、良質な棲処も豊富なヤシャーン。『カルドハイム』チャンピオンシップではその活躍に期待がかかる1枚だ。
ランプに寄せた「スゥルタイ根本原理」を含めたコンボデッキ側も、「ジャンド・サクリファイス」に対して有効な角度から攻めを展開できるデッキの1つだ。ヒストリックでは、スタンダードよりも強力に《出現の根本原理》を運用することができる。《女王スズメバチ》+《終末の祟りの先陣》+《孔蹄のビヒモス》、あるいは《失われた宝物庫の学者》+《最後の別れ》+《圧倒的輝き》のように、どのような選択がなされてもゲームに勝利にできるような、創意的な組み合わせを見る機会もあるかもしれない。
結論としては、「スゥルタイ・ミッドレンジ」が去り、その痕跡から這い上がったデッキ群に関しては活躍が期待できる。また、超高速のアグロデッキもいくつか見てとれる。「ジャンド・サクリファイス」への対抗手段を構築に練り込んでいれば、1番人気のこのデッキとの対面に歓喜することができるだろう。
最も採用率の高い土地以外のカード(ヒストリック)
ヒストリックにおいて、メインデッキ、サイドボードを合わせて最も高い採用枚数となったのは《思考囲い》で、実に458枚も使われることとなった。これは私も予想した通りであったが、2番目に多く採用されているカードは全く持って予想外で、非常に驚かされた。もし、今から2か月前に『カルドハイム』収録カードをすべて確認し終えた私に、誰かが《古き神々への拘束》がヒストリックにおいて2番目に多く使われるカードになる、と伝えたとしても私はそれを信じなかっただろう。しかし、現にそうなったのである。《出現の根本原理》へ繋ぐマナ加速の手段としても使われ、《波乱の悪魔》に接死を付与し、《空を放浪するもの、ヨーリオン》とのシナジーも強力。あらゆるデッキにフィットするこのカードは、272枚採用された。
この後に続くのは《波乱の悪魔》と《魔女のかまど》で、いずれも268枚の採用で3位。そのすぐ後ろには「ジャンド・フード」のキーパーツ6枚が並んでおり、圧倒的人気を誇るアーキタイプであることを改めて認識させられる。
「ジャンド・フード」関連のカードのすぐ下には、いくつか2マナ除去呪文が並んでいる。《削剥》が190枚、《不可解な終焉》が152枚、《害悪な掌握》が147枚だが、大半はサイドボードに採用されている。
その次に来るのは1つの戦略を完全に封じることのできるカードだ。《墓堀り檻》が141枚、そして《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》は135枚。大半がサイドボードに採用されている《墓堀りの檻》は「ジャンド・カンパニー」に対して有効であるが、一方でより人気のあるアーキタイプである「ジャンド・フード」に対しては特段有効とは言えない。ほとんどがメインデッキに採用されているヤシャーンについては、「ジャンド・フード」に対しても非常に有効であるため、現環境における決定的な回答の1つであると言えるだろう。
採用率の高いカードを確認はここまでにし、新たに加わった2つのセットに焦点を当てよう。
『カルドハイム』の発売はヒストリックに大きな影響を与えた。《古き神々への拘束》や両面土地以外にも、《襲来の予測》、《多元宇宙の警告》、そして《ドゥームスカール》がそれぞれ40枚ほど、コントロールデッキを強化するカードとして採用された。
加えて、以下の『カルドハイム』収録のカードも15~25枚ほどヒストリックのデッキで使われることとなった。
- 《霜噛み》は「ゴブリン」のサイドボードに採用するカードとして人気。
- 《ヤスペラの歩哨》と《エルフの戦練者》は「エルフ」デッキを強力なものに変化させた。
- 《傑士の神、レーデイン》は「白単アグロ」に加える新たな1枚として有用だ。
- 《アールンドの天啓》は多くの《出現の根本原理》を軸としたデッキのキーパーツになっている。
- 《正義の戦乙女》と《若年の戦乙女》は天使を強力な部族にした。
『ヒストリック・アンソロジー4』は、『カルドハイム』チャンピオンシップのメタゲームにはあまり影響を及ぼさなかったようだ。収録カードのうち最も多い採用数となったのは《石の宣告》で22枚。他にも《炎刃の達人》や《死の影》、《冷鉄の心臓》を採用したデッキがいくつかあるが、『ヒストリック・アンソロジー4』全体を見るとこれが環境に変化をもたらしたとは言えないだろう――今はまだ。
興味深い切り口のデッキ(ヒストリック)
ヒストリックの全デッキリストは初日の第1ラウンド開始時にこちらのページで公開される。ヒストリックに新たに登場したデッキのうち「エルフ」や「天使」、《奇怪な具現》デッキについてはマニ・ダヴォーディがこちらの記事(英語)で紹介済みだ。しかし、「サプライズ」というものは常に用意されているものだ。ここでは、マニ・ダヴォーディが彼の記事で紹介していない3つのアーキタイプを手短に紹介しよう。
2名のプレイヤーが「黒単コントロール」での参戦を決めたようだ。《陰謀団の要塞》はこのようなデッキとは非常に相性の良いカードであるが、「黒単コントロール」は長らく強力なフィニッシュ手段を欠いていた。『カルドハイム』から《不屈の巡礼者、ゴロス》とのシナジーを持つ《雪上の血痕》と《世界樹》が加わり、このデッキは一気にその鋭さを増した。ゴロスの能力を起動するにあたり、《世界樹》は《大瀑布》よりも優れている上、《雪上の血痕》で盤面をリセットし、ゴロスを墓地から戦場に戻すことまで可能だ。《陰謀団の要塞》を2枚以上コントロールしていれば、同一ターンに複数回ゴロスの能力を起動することも可能となり、そうなるともはや負けることが困難になる。
ヤシャーンの棲処として私が気に入っているデッキの1つが、今回3名のプレイヤーが使用する「5色ニヴ=ミゼット」だ。ヒストリックにはこれまで、安定性があり、非クリーチャー呪文で、マナ加速手段であり、色の偏りも修正できる2マナの呪文が存在しなかった。『ヒストリック・アンソロジー4』に収録された《冷鉄の心臓》こそニヴ=ミゼット待望の1枚だ。しかしながら、私が求めているのは数学だ。だから私は計算をしたのだ――『カルドハイム』チャンピオンシップに登録された「5色ニヴ=ミゼット」デッキが、《にヴ・ミゼット再誕》の能力で得られる呪文の期待値は約2.7枚――素晴らしい数値だ!
スタンダードの「サイクリング」デッキは好きだが、ヒストリックで戦うにはさらなる武器が必要となる。『アモンケットリマスター』で追加された《虚ろな者》はまさにその1枚となったが、それでも十分ではなかった。しかしながら、『ヒストリック・アンソロジー4』は「サイクリング」デッキがヒストリックで戦うために必要な1マナのクリーチャー、《炎刃の達人》という強力な武器をこのデッキに与えのだ。「ボロス・サイクリング」という名称の通り、メインデッキはすべて赤、白、または無色のカードで構成されているが、ジャンド使いを突き返すため《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》も数枚サイドボードに取られている。
まとめ
マニ・ダヴォーディはいずれのフォーマットにおいても、20%を超える使用率のデッキが現れないことを願っていた。しかしすでにご覧いただいた通り、それは叶わぬ願いとなってしまった。しかしながら、多様性には富んでいるし、面白いデッキも多く存在している。2フォーマットでの戦いを経て、最終日に行われるトップ8プレイオフはすべてスタンダードで行われる。どのデッキが頂点に立つのか、この週末が待ち遠しい。
3月26~28日の9時(日本時間25時)からtwitch.tv/magic(英語)で行われる生放送をお見逃しなく!
『カルドハイム』チャンピオンシップ 日本語版放送ページ・放送日程
日本語版放送出演者
- 1~3日目 実況:石川朋彦(@katuobusi717)
- 1日目 実況:須田泰生(@kaicho_beda)
- 2・3日目 実況:ブルナー実久(@mksnake007)
- 1・2日目 解説:市川ユウキ(@serra2020)
- 1・2日目 解説:中村修平(@Nakashu_)
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RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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