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高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」より
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第27回:日本レガシー選手権直前!最新レガシーデッキ事情
高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」より
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高橋優太の「このフォーマットを極めろ!」
2011.07.15
第27回:日本レガシー選手権直前!最新レガシーデッキ事情
いよいよ明日から、日本選手権が開幕します。
年に一度日本で最も強いプレイヤーは誰かを決める、スタンダードの集大成ともいえるこの大会。予選制度の変更により参加者も増え、より一層盛り上がりを見せています。
そして、盛り上がるのはスタンダードだけじゃない!
17日(日) ・18日(月)には「日本レガシー選手権」が開催され、優勝者には、エルドラージ覚醒収録の《引き裂かれし永劫、エムラクール》の原画が贈呈されます。
今回は選手権直前特集として、レガシーのデッキをいくつか紹介していきます。
まずは、つい最近までスタンダードを席巻していたこのデッキから。
本命・・・青白《石鍛冶の神秘家》
3 《島》 1 《平地》 4 《Tundra》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 4 《ミシュラの工廠》 4 《不毛の大地》 -土地(24)- 4 《石鍛冶の神秘家》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(6)- |
4 《祖先の幻視》 4 《精神的つまづき》 4 《渦まく知識》 3 《呪文嵌め》 4 《剣を鍬に》 1 《世界のるつぼ》 4 《Force of Will》 4 《精神を刻む者、ジェイス》 1 《肉体と精神の剣》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(30)- |
3 《翻弄する魔道士》 4 《大祖始の遺産》 2 《流刑への道》 1 《世界のるつぼ》 2 《神の怒り》 1 《万力鎖》 1 《梅澤の十手》 1 《遍歴の騎士、エルズペス》 -サイドボード(15)- |
2 《島》 1 《平地》 1 《Karakas》 4 《Tundra》 1 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 3 《沸騰する小湖》 1 《乾燥台地》 4 《ミシュラの工廠》 3 《不毛の大地》 -土地(24)- 4 《石鍛冶の神秘家》 3 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(7)- |
4 《祖先の幻視》 4 《精神的つまづき》 4 《渦まく知識》 3 《呪文嵌め》 4 《剣を鍬に》 1 《世界のるつぼ》 3 《Force of Will》 1 《饗宴と飢餓の剣》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(29)- |
2 《大祖始の遺産》 3 《紅蓮破》 3 《赤霊破》 3 《炎渦竜巻》 1 《神の怒り》 1 《万力鎖》 1 《梅澤の十手》 1 《山》 -サイドボード(15)- |
7月1日付けで、スタンダード禁止カードに指定された《石鍛冶の神秘家》《精神を刻む者、ジェイス》。
禁止されるということはつまり、それほどの強さを持つカードということ。コストが軽くて強力な呪文がひしめき合うレガシーでも、この2枚は十分通用する性能を持っています。
《石鍛冶の神秘家》
このカードがここまで強力になった理由。それは《殴打頭蓋》の加入によるものが大きいです。
インスタントタイミングで出てくる4/4絆魂は対処しづらく、一度起動されてしまうと除去では間に合いません。《野生の雑種犬》→《尊大なワーム》の時代からマジックをやっていた自分からすると、《石鍛冶の神秘家》→《殴打頭蓋》の動きは「最近のカードがいかに強力であるか」を実感しますね、
それに加えて、レガシーでは《梅澤の十手》《火と氷の剣》といった過去の強力な装備品もサーチ出来ることもあり、いつ引いても嬉しい万能クリーチャーです。
これまでのレガシーの2マナ域と言えば、緑なら《タルモゴイフ》黒なら《闇の腹心》といったように「定番」がありましたが、《石鍛冶の神秘家》も白の「定番」になってきていますね。
《精神を刻む者、ジェイス》
《Hymn to Tourach》や《剣を鍬に》など、軽くて強力な呪文が多いレガシーでは序盤の攻防が重要であり、2マナ以下のカードを多めにデッキを構成する傾向あります。
そのようにマナ域の軽いレガシーでは4マナは重く、どうしても枚数を絞らなければいけません。
そういった前提があるにも関わらず、多くの青デッキで3枚以上採用されている《精神を刻む者、ジェイス》。
やはりこのカードは数ある4マナの中でも別格の強さで、一度戦場に出れば延々とアドバンテージを取り続けます。フェッチランドとの相性も良く、ジェイスを守るための0マナカウンター《Force of Will》という存在もありますからね。火力を持たないビートダウン、特にバント等にはバウンス能力も良く刺さります。
スタンダードに限らずレガシーまで活躍の場を広げた《石鍛冶の神秘家》。トーナメントの結果を見ても、青白石鍛冶を上位に見かけることは多く、レガシー選手権でもTier1のデッキになることが予想されます。
最近のMOの結果を見ると、アドバンテージエンジンとして《祖先の幻視》を積んだデッキが多いですね。
もともとこのスロットは《行き詰まり》が入っていた部分なのですが、有利が確定している場面でないと出しにくく、後手だとどうしても弱いカードでした。
青白石鍛冶は1マナのアクションが少ないデッキなので、《祖先の幻視》はピッタリ当てはまりますね。
一般的なレシピはSamwise_GeeGeeさんのような青白2色ですが、osmanozguneyさんのようなタッチ赤バージョンも存在します。
タッチ赤の理由はサイドボードにあり、《紅蓮破》《赤霊破》は、《精神を刻む者、ジェイス》を巡るカウンター合戦で有利に戦えますし、また戦場に出たあとの《精神を刻む者、ジェイス》も対処しやすい。後述する《集団意識》対策としても優秀です。
青白2色では序盤の除去が《剣を鍬に》しかなく、《石鍛冶の神秘家》を除去されるとビートダウン相手に苦しくなることが多かったですが、《炎渦竜巻》を加えることで「序盤が弱い」というこのデッキの弱点を補っています。
osmanozguneyのレシピは完成度が高く、僕自身もMOでコピーしてそのまま使用しています。
レガシーで色を増やすことは《不毛の大地》耐性が下がるというデメリットがあるものの、このデッキの場合は赤を足すことで苦手な部分を克服しているので、メリットの方が大きいですね。
対抗・・・ビートダウン
Zoo
1 《冠雪の森》 1 《冠雪の山》 1 《冠雪の平地》 1 《ドライアドの東屋》 1 《Karakas》 2 《Taiga》 2 《Plateau》 2 《Savannah》 4 《樹木茂る山麓》 3 《吹きさらしの荒野》 2 《乾燥台地》 1 《不毛の大地》 -土地(21)- 4 《野生のナカティル》 3 《渋面の溶岩使い》 1 《貴族の教主》 4 《石鍛冶の神秘家》 3 《タルモゴイフ》 4 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《ガドック・ティーグ》 3 《聖遺の騎士》 -クリーチャー(23)- |
4 《稲妻》 4 《剣を鍬に》 1 《稲妻のらせん》 1 《森の知恵》 3 《緑の太陽の頂点》 1 《梅澤の十手》 1 《肉体と精神の剣》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(16)- |
1 《渋面の溶岩使い》 1 《ガドック・ティーグ》 1 《最後のトロール、スラーン》 3 《トーモッドの墓所》 2 《紅蓮破》 2 《赤霊破》 1 《流刑への道》 2 《古えの遺恨》 1 《稲妻のらせん》 1 《遍歴の騎士、エルズペス》 -サイドボード(15)- |
アラーラブロックで《野生のナカティル》《クァーサルの群れ魔道士》《聖遺の騎士》といった低マナ強クリーチャーが加入して以来、常にメタゲームに存在し続けるデッキ「Zoo」。
もともとZooというデッキ名の由来は《密林の猿人》《サバンナ・ライオン》といった入っていた時代のクリーチャータイプ「猿」「猫」によるものなのですが、最近のクリーチャーは「人間」「工匠」「騎士」など優雅な感じで、動物園とはかけ離れていますね。
Zoo最大の利点として、青白石鍛冶に有利がつくことが挙げられます。青白石鍛冶はもともとクリーチャーのサイズが小さいので《渋面の溶岩使い》でほぼ全てを対処することができて、戦場に出た装備品は《クァーサルの群れ魔道士》で対処が可能。
基本的なサイズはこちらが上で、ほとんどのクリーチャーが「マスト除去」のものばかりです。
特にHigdurさんのZooは、ビートダウンでありながら長期戦でも粘り強く戦える構成になっています。
アドバンテージを取れる《森の知恵》、序盤から後半まで役立つ《緑の太陽の頂点》に加えて、ついに動物を押しのけて採用された4枚の《石鍛冶の神秘家》。
かつては鉄板だった《タルモゴイフ》を押しのけて4枚投入されるほど、序盤も後半も強いカードですね。
緑単エルフ
9 《森》 3 《ガイアの揺籃の地》 1 《ドライアドの東屋》 4 《樹木茂る山麓》 -土地(17)- 3 《ラノワールのエルフ》 3 《Fyndhorn Elves》 4 《遺産のドルイド》 4 《イラクサの歩哨》 2 《クウィリーオン・レインジャー》 4 《ワイアウッドの共生虫》 2 《樺の知識のレインジャー》 4 《エルフの幻想家》 2 《ティタニアの僧侶》 1 《ヴィリジアンのシャーマン》 2 《威厳の魔力》 1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(32)- |
3 《召喚士の契約》 4 《垣間見る自然》 4 《緑の太陽の頂点》 -呪文(11)- |
1 《ヴィリジアンのシャーマン》 4 《復讐蔦》 2 《トーモッドの墓所》 2 《大祖始の遺産》 4 《アメジストのとげ》 1 《クローサの掌握》 1 《迫撃鞘》 -サイドボード(15)- |
多くのデッキが搭載している《石鍛冶の神秘家》。いかに強力と言え能力を起動するのは3ターン目。ならばその前に優位を築いてしまえば良い。そんな理念のもと組まれたのがこの緑単エルフ。
とにかく早いのがこのデッキの長所で、レガシーでは《ガイアの揺籃の地》という強力なマナブーストがあることもあり、2ターン目に《垣間見る自然》で戦場をクリーチャーで埋め尽くすことも可能。
リプレイを見ても序盤で手札のエルフを全展開し、《殴打頭蓋》の絆魂は《ワイアウッドの共生虫》で無効化して勝つというパターンが多かったですね。圧倒的展開力、これこそが緑単エルフの武器です。
先ほど紹介したZooもそうなのですが、最近の緑のビートダウンの特徴として《緑の太陽の頂点》が挙げられます。
X=0で《ドライアドの東屋》、X=1で《イラクサの歩哨》《ラノワールのエルフ》といったように、序盤の動きを支えながら、後半は(Zooなら)《聖遺の騎士》、エルフなら《威厳の魔力》にもなり得る。
初手のキープ基準でもあり、後半は状況に合わせてサーチしてこられる便利カードで、石鍛冶同様いつ引いても嬉しいですね。
伏兵・・・コンボデッキ
ANT
2 《島》 1 《沼》 2 《Underground Sea》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 1 《新緑の地下墓地》 -土地(14)- -クリーチャー(0)- |
4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 4 《水蓮の花びら》 1 《金属モックス》 4 《暗黒の儀式》 4 《陰謀団の儀式》 1 《むかつき》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 3 《定業》 4 《強迫》 3 《思考囲い》 4 《冥府の教示者》 1 《不正利得》 1 《苦悶の触手》 呪文(46)- |
4 《ザンティッドの大群》 1 《殺戮の契約》 3 《蒸気の連鎖》 2 《残響する真実》 2 《クローサの掌握》 1 《法務官の掌握》 1 《再建》 1 《Tropical Island》 -呪文(15)- |
《精神的つまづき》がレガシー界に与えた影響は大きい。どれくらい大きいかと言うと、それまでTier1だったANTが衰退してしまうほどの影響力でした。
もともとANTは《Force of Will》を苦手とするデッキなので、コンボを決める前には《強迫》《思考囲い》《沈黙》といった「安全確認」を挟むことが多かった。
しかし《精神的つまづき》が登場したことによりその「安全確認」を打ち消されて、本命の《むかつき》《冥府の教示者》→《Force of Will》→敗北という図式が出来上がりました。
どちらもマナを払わない呪文であるため相手の隙を突くこともできず、《精神的つまづき》こそがANT衰退の理由ですね。
しかしメタゲームは常に回るもの。《精神的つまづき》が流行ると、今度は1枚打ち消されることをものともしない、単体のカードパワーで戦うデッキが増えてきます。
そうなると2対1交換である《Force of Will》は価値が下がってくる。実際、先月開催されたグランプリ・プロヴィデンス(リンク先は英語カバレージ)では、《Force of Will》0枚で、単体で強いカードを詰め込んだ「バント」が優勝という結果を残しています。
この傾向はコンボデッキにとっては追い風で、上記の「Zoo」「緑単エルフ」のような妨害手段に乏しいデッキが流行するようなら、ANTはそれを喰いものとするでしょう。ここらへんのメタ読みこそ、マジックの醍醐味の一つですね。
《集団意識》
4 《島》 1 《Underground Sea》 1 《Volcanic Island》 4 《古えの墳墓》 2 《裏切り者の都》 4 《沸騰する小湖》 3 《霧深い雨林》 -土地(19)- 3 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(3)- |
3 《厳かなモノリス》 4 《タイタンの契約》 2 《否定の契約》 1 《召喚士の契約》 1 《殺戮の契約》 3 《精神的つまづき》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 2 《呪文貫き》 4 《実物提示教育》 3 《直観》 3 《Force of Will》 4 《集団意識》 -呪文(38)- |
2 《呪文貫き》 3 《仕組まれた疫病》 3 《炎渦竜巻》 4 《神聖の力線》 3 《貪欲な罠》 -サイドボード(15)- |
《集団意識》から各種「契約」を押し付けて、強制的に「パクト死」に陥れるコンボデッキです。
その動きについては、鍛冶友浩の週刊連載・第20回『Thomas Maの「Hive Mind」をリプレイ!』をご参照ください。
勝つために必要なカードは2種類であり、これは他のコンボデッキに比べると少ない。そのため相手への妨害に多くのスロットを裂くことが出来るのが、《集団意識》の利点ですね。
ANTは《むかつき》を使う関係で《Force of Will》を採用することができませんが、《集団意識》はコンボデッキの場合は「通せば勝ち」のカードを妨害から守る役割があるので、他のビートダウンやコンボよりも《Force of Will》の価値が高い。それに加えて《精神的つまづき》も、相手の手札破壊やサイド後の《紅蓮破》《赤霊破》対策を兼ねています。
ネックとなるのは6マナと言う重さですが、それも《実物提示教育》を使えば問題なし。相手がどんなに強力なパーマネントを出そうが、アップキープには「敗北」させることができます。
《集団意識》のコンボパーツが揃わない場合でも、《実物提示教育》→《引き裂かれし永劫、エムラクール》と言うセカンド・プランも用意してあります。
このデッキの弱点は《目くらまし》《呪い捕らえ》のような「マナ払え」系カウンターと、《もみ消し》。
前者はコピーした契約を対象にして「払わない」ことを選択されてしまいますし、後者は「アップキープに支払わなければゲームに敗北する」という誘発型能力を打ち消されてしまいます。
《もみ消し》と同等の理由で、M12から加入した《無限の日時計》も苦手なカードですね。アップキープの誘発型能力に対応して「ターンを終了」されると無効化されてしまい、今度は自分の契約が首を絞めてきます。《集団意識》を使う方は、このあたりを意識してデッキを組んでみてください。
毎年行われる「日本選手権」。やはり「日本チャンピオン」という肩書きは特別ですし、グランプリでは味わえない緊張感があると、自分は考えています。
プレミアイベントに出るなら、誰だってチャンピオンになりたいですからね。
本戦イベントだけではなく、併催イベントも充実しています。
過去のチャンピオンたちが最新『基本セット2012』を舞台に腕を競う『バトル・オブ・チャンピオン』をはじめとして、会場に居るだけでも十分楽しめる内容になっています。是非、足を運んでみてください。
では、また来週。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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