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マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2025

観戦記事

準決勝:矢田 和樹 vs. 浅井 貴道 ~最強育成~

伊藤 敦

 

 ジャパンオープン2025も、あとは準決勝と決勝を残すのみとなった。

 そこで勝ち残っていたデッキは、「ワンショットティファ」「ワンショットティファ」「青単テンポ」「黒単セフィロス」の4つ。意外にも単色デッキのみが勝ち上がるという結果となっていた。

 矢田 和樹は3度のグランプリトップ8入賞経験や豊富なプロツアー出場経験を持つ、競技シーンに身を置く強豪。「ワンショットティファ」を使用し、第6回戦では配信卓で後攻3ターン目40点ワンショットを決めるなど、調子も良さそうだ。

 一方対する浅井 貴道は「青単テンポ」を使用。決勝大会における最多アーキタイプだったが、ここにきて唯一の生き残りとなってしまった。だがそれは、浅井こそが最強の青単使いであるということ。一押しカードだというサイドボードの《大嵐のジン》とともに、大嵐を巻き起こせるか。

 互いに単色アグロというのもそうだが、「ワンショットティファ」は《サッズのヒナチョコボ》や《苔生まれのハイドラ》を、「青単テンポ」は《「占星術師」の天球儀》のトークンや《ドレイクの孵卵者》を、どちらも育成するという点において共通点がある。ならば勝敗を分けるのは、どちらのプレイヤーがより育成に長けているか。

 単色アグロデッキ同士の、一触即発の準決勝が幕を開けた。

ゲーム 1

 先攻の浅井が後攻1ターン目に矢田が送り出したラノワールのエルフ》に《送還を当てる立ち上がり。普通なら拙速に過ぎるかもしれないが、2ターン目と3ターン目のアクションが固定されているため唱える暇がないということなのだろう。そのまま2ターン目にドレイクの孵卵者を送り出すが、矢田はサッズのヒナチョコボ》から《》を置いて《ラノワールのエルフ》を再召喚し、結果的に《送還》の影響がほとんどない展開となる。

 それでも浅井は3ターン目に狡猾な侵入者、魁渡を送り出し、「+1」で《ドレイクの孵卵者》をブロック不可としつつの2点アタックで、抱卵カウンターを貯めて先んじて育成ゲーを開始しにいく。

 だが、返す矢田のアクションが圧巻だった。冒険者の装具を置いて《サッズのヒナチョコボ》へと装備からセット《進化する未開地》、そのまま即座に起動。続けて薮打ちで7/8となった《サッズのヒナチョコボ》と《ドレイクの孵卵者》とを格闘させ、なおも忠誠度5の《狡猾な侵入者、魁渡》をも攻撃で粉砕と、浅井の先攻3ターン目までのアクションを完璧な応手で無に帰したのだ!

 

 どうにか「占星術師」の天球儀》《悪戯な神秘家と展開して盤面の再構築を図る浅井だったが、既に残り手札は1枚。そして返す矢田がセットランドして《サッズのヒナチョコボ》の6点アタック後にサッズ・カッツロイ》から《旅するチョコボ》をサーチしたところで、続くドローも土地なのを見届けると、早々にアバターを爆発させたのだった。

矢田 1-0 浅井

ゲーム 2

 《》《選択》《送還》《航路の作成》《瞬間凍結》《大嵐のジン》《論破》という7枚をキープした浅井に対し、後攻の矢田がワンマリガンからサイドインしたカビのマムシを送り出すと、当然矢田はスタック選択。だが占術下からのドロー、そして通常ドローを合わせても、2枚目の土地が引けない!

 一方の矢田はさらに2体目の《カビのマムシを召喚。浅井のデッキが「青単テンポ」である以上、矢田が何もしなくても事態を打開しようとする浅井のありとあらゆるアクションに反応して矢田のマムシが育つ悪夢の逆育成ゲーが始まってしまう。

 

 それでもすぐに土地が引ければリカバリーのしようもあるところなのだが、なおも浅井は土地が引けない。これを尻目に矢田は2体の1/1の《カビのマムシ》でビートダウンを開始する。

 他方、浅井はまだ土地が引けない!しかもここで矢田がエンド前に魂石の聖域を起動したところで送還を合わせるのだが、3/3が手札に戻った代わりについに餌が来たかとばかりに《カビのマムシ》2体が2/2に成長し、時間稼ぎにしかならない。

 そしてついに浅井はその次のターンでも土地を引けず、睡眠魔法「スリプル」》に対して《蛇皮のヴェールが合わさったところでやむなく投了。攻めの土地1《選択》キープが裏目となり、高速でゲームが決着したのだった。

矢田 2-0 浅井

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