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マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2024
決勝:卯月 祐至 vs. Soohan Yoon ~勝利への5枚のカード~
462名の参加者も、ついに残すところ2名となった。
この決勝の舞台にはメタゲームを牽引したゴルガリ・ミッドレンジや版図ランプ、
愛らしく野を駆けまわる兎の姿、
群れを成して攻めるトカゲの様子は見られない。
ローテーション後の未知の環境。その言葉に偽りはなく、決勝まで勝ち進んできたのは2つのローグデッキだった。
まずは愛機であるアゾリウス・メンターを手に、チャンピオンズカップファイナル シーズン2ラウンド3に引き続き勝ち進んできたSoohan Yoon。グランプリの入賞歴もある古豪にして強豪である。
ゲームプランニングと脅威への嗅覚に優れ、手札から最善手を模索しながら相手を自分の土俵へと引きずり込む強引さも有している。彼のデッキとプレイからは経験と練習に裏打ちされた確かな自信が伺える。
対するはマジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン 2022の王者であり、ミッドレンジの名手である卯月 祐至。前々回はトップメタであったエスパー・ミッドレンジに独自のチューンを加え、見事制してみせた。
今大会には大会直前に彗星のごとくMOへと現れたボロス・ミッドレンジを持ち込んでいる。決勝ラウンドでは相性の悪いと思われたランプマッチを連続して覆してきた。前回同様に、スケールとリソースで競うゲームを有利に運ぶための仕掛けが施されていたようだ。
2つのローグデッキはあれど、栄光を手にするのはどちらかひとつのデッキ、いや一人のみだ。勝者はいずれか。
この2日間、繰り返し配信画面に映し出されたマジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン 2024のロゴへと切り替わる。
決勝の、幕が開く。
ゲーム 1
先手Yoonはマリガンスタート。《フェイの解放》でドローを進めながら、墓地も肥やしていく。しかし、《傲慢なジン》は落ちず。
このマッチアップでは《傲慢なジン》と《僧院の導師》には明確な差がある。卯月の主力除去は《稲妻のらせん》などの3点火力であり、1枚では前者を対処することはできない。《太陽降下》のような全体除去は《幻影の干渉》など打ち消し呪文の良い的となってしまうため、いかに早いターンに《傲慢なジン》を着地させるかが焦点であるのだ。
相手の火力を警戒し、《僧院の導師》は出さず。対して卯月は《世話人の才能》を着地させ、《ウラブラスクの溶鉱炉》まで追加し、ダメージソースとドローを同時に用意し、クラスのレベルもあげてファイレクシアン・トークンを複製する。
一方のYoonは《救いの手》で《僧院の導師》を戦場へ戻すと、3枚の土地をアンタップ状態でターンを返す。手札には《幻影の干渉》、《魂の仕切り》、《救済の波濤》を抱える。
卯月は5マナを置くも動かず。慎重にターンを終える。そして、相手のアップキープに《稲妻のらせん》からしかけていく。
Yoonは《救済の波濤》、スタックして《失せろ》、《幻影の干渉》と2枚ずつカードを切った先、卯月は3枚目として《塔の点火》をプレイした。残った1マナからプレイできる唯一の呪文《下支え》はYoonの手になく、この応酬は卯月へと軍配が上がる。忘れ形見のモンク・トークンが2体生成されたのはせめてもの救いか。
さらに間の悪いことに、Yoonは土地を引けず一切の呪文をプレイできずにターンを返す。そこへ2枚目、3枚目の《ウラブラスクの溶鉱炉》がプレイされると、攻勢は一方的なものとなる。
ターン経過とともに増える油カウンターを前に、Yoonはたまらずアバターを爆発させた。
卯月 1-0 Yoon
ゲーム 2
Yoonは軽量ドローやクロックのある手札をキープ。対する卯月はマリガン。
《手練》から《決定的瞬間》へと繋げ、3ターン目にして落とした《傲慢なジン》を釣りあげる。しかも《否認》と《救済の波濤》のバックアップの上からだ。
対して卯月は《跳ねる春、ベーザ》で1枚引きながら、殴り合う姿勢でボードへプレッシャーをかけていく。Yoonは《魂の仕切り》でジンのサイズをあげつつ、卯月のクロックを減速させる。
《選定された平和の番人》で《骨集めのドラコサウルス》を指定した返し、Yoonに試練が訪れる。卯月のドローは《安らかなる眠り》であり、たまらず《否認》するも、これにより《太陽降下》へのガードが下がってしまったのだ。
祈りながら引くもドローは応えず、《僧院の導師》。今求めているカードではない。
そして、無情にもジンの頭上へと《太陽降下》が降り注ぎ、ボードがリセットされる。
Yoonは《傲慢なジン》再召喚から《航路の作成》でドローを進めるも、再度《太陽降下》。さらに培養トークンが4点を刻みだす。
何とか《否認》を引き込み、《救済の波濤》と構えながら《僧院の導師》を出すも、すでに卯月の手に呪文はない。今度は攻めるべく《骨集めのドラコサウルス》を送り出す。
卯月がマナを多く使ったタイミングで《決定的瞬間》を引き込みプレイ、スタックしての《塔の点火》には《救済の波濤》を合わせ、デッキを回転させながらダメージを増加させていく。土地からのダメージを受けていたため、気が付けばライフは卯月7-8Yoon。
しかし、この《骨集めのドラコサウルス》はマナ総量に違わず、ゲームを決定付けるに十分なパワーを持っていた。アップキープに追放されたのは《失せろ》と《稲妻のらせん》の2枚。
攻撃によりYoonのライフが3へと落ち込むと、《稲妻のらせん》へ《否認》を打たざるを得ない。続く《失せろ》により《僧院の導師》本体を失い、残るはモンク・トークン2体のみとなってしまう。
それでもなお、Yoonにもチャンスは残っていた。《決定的瞬間》が《フェイの解放》をもたらしたことでブロッカーをどかすカードさえ引き込めれば、3度の果敢が誘発し8点のダメージが入るのだ。
期待を込めて4枚切削した先。そこに選択肢はなく、MTGアリーナ特有の自動判断により《手練》が手札へと加わった。
攻撃へと送り出し、ブロックを見届けると、Yoonは投了のボタンを押した。わずか3回しか開催されていないマジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープンで、2度目のチャンピオンが誕生した瞬間だった。
卯月 2-0 Yoon
ローグデッキであったボロス・ミッドレンジは、今大会での優勝をきっかけにスタンダードへと食い込み、メタゲームの中心として回りだすことになるはずだ。名実ともに、新しいスタンダード環境の幕開けとなったのだ。
卯月視点では決して相性が良い相手ではない。どちらか一方に極端なブン回りや事故があったわけでもない。想定通りの干渉手段も持たれており、互いに見透かしたようなインスタントの構え合い、紙一重の居合切りの間合いであった。
特に卯月がゲーム 1において動いたターン、Yoonのアップキープに仕掛けたことで、相手の動きを封じた上で《僧院の導師》を対処した場面は熟練のなせるものだった。決勝を通じて我慢と適切なタイミングの動き、割り切りと正確な判断は随所にみてとれた。
そこには強者の、そして王者に相応しいのプレイがあった。
マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン 2024、優勝は卯月 祐至!おめでとう!!
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