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マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2023

インタビュー

優勝者インタビュー:スタンダードへの忠義 中道 大輔

伊藤 敦

 

 『エルドレインの森』からの新カードを存分に生かした意識外からの「白単アグロ」が、類まれなる実力を持った使用者のプレイスタイルとも合致して見事なパフォーマンスを示した。

 マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン 2023王者、中道 大輔。今大会の優勝者に、早速インタビューをお願いした(ちなみに中道とマジックとの出会いなどについて興味がある方は過去のインタビューをご参照いただけると幸いだ)。

トーナメントへの準備

--「まずは優勝おめでとうございます」

中道「ありがとうございます、運が良かったです。相手が事故るのも、これがマジックだなぁと。全体的にツイてて、相手のマリガンも多かったです」

--「今回の大会に向けては、どのような準備をされましたか?」

中道「調整という段階で言うと、参加するために調整しようと思ったのは2週間前、実際に新環境になってからで。何か良いデッキないかなーと取り組んで、1週間前に蒼紅杯という大会で、その時点ではゴルガリ・ミッドレンジが強そうだったのでそれをベースにジャンド・ミッドレンジを試してみたんですが、あまり性に合わないなと。結果もボロ負けしてミッドレンジはやめよう!となりました。それにジャパンオープンは長丁場の大会なので、体力的な意味で長期戦を戦い抜けるデッキが良いということで、アグロに絞ろうと思いました」

中道「そこからアグロを色々試してみた結果、グルールや赤単も試したんですけど、そこそこという感じで。強さは感じましたけどイマイチで、次に白単に手をつけたんですけど、良いカードないかなーと探したところで、そういえば忠義の徳目、リミテッドでも強かったし強そうだなーと試したら、結構強いなーという感想でした。中盤以降も戦えるようになりますし、序盤も最低限2/2が出せるのでまあ良いだろうと。《スレイベンの守護者、サリア》との噛みあいだけ悪いんですけど、1枚でゲームをまくれるパワーカードなので採用することにしました」

中道「あと他にないかなーと『エルドレインの森』のリストを見ていたら呪文書売りがあって。使ったことなかったんですけど、半信半疑で試したら意外と強かったです。最初は3枚とかで試したんですけど、引くたびに思ったより強かったんで4枚でいいやと。結局これが活躍したんで、採用して良かったです。で、デッキができあがったのがほぼ1日前という形だったんで、一旦はこれでいいやと置いておいて。で、結局そのまま出たという感じです」

--「《呪文書売り》は以前の環境の《光輝王の野心家》を彷彿とさせる活躍ぶりでしたね」

中道「そうですね。《光輝王の野心家》と違ってマナがかかるからどうなんだろうとは思いましたが、普通に強いですね。本体のサイズもそうですし、警戒もありがたい。あと占術が思ったよりも強くて、攻めてるときに占術しながら殴ってるとほぼ好きなドローができるんです。マナ払って強化するだけの価値がある2マナクリーチャーでしたね。これだけですごい勝てるというわけではないけど、いぶし銀なカードでした」

中道「何より、相手が対処しなくちゃいけないカードが追加されたのも大きいですね。除去しなくちゃいけないけど、除去したら救出専門家で拾えますし。白単は《救出専門家》と相性が良い、殴れなくても働くクリーチャーが多いのが特徴的です。《徴兵士官》も《離反ダニ、スクレルヴ》もそうで、デッキ全体的に噛みあいがあるのが強みなんです」

中道「赤単と白単の違いはそこかなーと。赤単は攻めっ気はもちろん強いけど、中盤ダレちゃうと2/2や3/3が棒立ちするだけで継続力がない。白単は止まってもアドバンテージが取れたりして中盤以降も戦いやすいカードがある。そういった部分が赤単より優れていると思っています」

印象的だった対戦

--「2日間を通じて、印象的だった対戦はありますか?」

中道「負けた試合はどれも特に印象深いんですけど、初日最終戦で当たったローリー(殿堂プレイヤーの藤田剛史)さんの緑単が印象的でした。え、こんなデッキあるんだって感じの。《柳の霊》がそんなにでかくなるんだっていうのがすごくて、手も足も出なくて負けたけど良いデッキだなーと。負けて爽快感がありましたね。優勝して欲しいなーとは思ったんですけど、やはり緑単なんで限界はあるんでしょうね。《アラーラへの侵攻》などのコンボ相手は辛そうですし」

中道「ほかは新環境始まって2週間なんで色んなデッキと当たって楽しかったなーという印象です。アグロもミッドレンジもコンボもいて。コントロールだけは鳴りを潜めてるかなーというのはあるんですけど、トップ8もアーキタイプが散ってたと思うんで面白かったです。コントロールはミシュラランドが増えたのがきついんでしょうね。眠らずの小屋とかも、サイズもでかいのに墓地追放にライフゲインとあんなに能力つけなくてもとは思いますね。ちょっとは他の色の小屋にも分けて欲しいくらいです(笑)」

中道「ミシュラランドといえば、開花の亀もここまで使われるとは予想してませんでしたね。アグロ相手だと間に合ってない感はあるんですけど、最低限のサイズとミシュラランドとの相性もあって、今後も状況次第で使われることになるでしょうね」

優勝賞金の使い道

--「賞金の使い道は決まっていますか?」

中道「手に入ると思ってなかったんですけど、空気清浄機が壊れたんでちょうどいいから買いに行こうかなと。あとは、これからモダンのシーズンなんでモダンのカードを集めるのにも使おうかな(笑) 他は無難に家計にあてようかなと思います」

スタンダードの魅力とは

--「スタンダードの魅力はどういった部分にあると思いますか?」

中道「カードプールが限定されているおかげで、すごい1ターン目に決まるみたいなデッキが少ないので、腕の差が出やすいのが良いですね。7枚キープ、揃ったんで勝ちましたー……という感じにはあまりならない。4~5ターン目くらいの攻防でゲームが決まるのが魅力ですね」

--「最後に、何か伝えたいことなどありましたらお聞かせください」

中道「今回のイベントみたいなちょっとした大きな大会が、無料で定期的に開いてくれるとありがたいですね。大型セットに合わせてでもありがたいですけど、できれば頻度が上がってくれると盛り上がるかなーと。スタンダードが盛り上がると新セットの魅力も増えますし、何よりスタンダードのことはみんな好きですからね」

--「ありがとうございました」


 思えば、草の根大会で活躍していた時代から中道ほどスタンダードをやり込んでいたプレイヤーはいなかった。

 それもまた、中道のスタンダードへの忠義のなせる業なのかもしれない。

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