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マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2022

インタビュー

優勝者インタビュー:友と掴み取った栄光 卯月 祐至

伊藤 敦

 

 4枚ずつ搭載された《ファイレクシアの宣教師》と《邪悪を打ち砕く》が、黒一色に染まった環境に風穴を開ける突破口となった。

 解説者を驚嘆させたほどの斬新なデッキ構成に加え、The Finals 2019トップ4の実績が示すとおりの確かなプレイングで、687名の頂点に立ったプレイヤー。

 マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2022王者、卯月 祐至。今大会の優勝者に、早速インタビューをお願いした。

マジックとの出会い

――卯月さんはどのようにしてマジックを始められたのでしょうか?

卯月「触ったこと自体は前からもちょいちょいあったんですが、本格的に始めたのは2017年の『イクサラン』の頃、大学に入った年からですね」

卯月「もともとやる気はあって、ただ紙でやるとなると一緒にやってくれる人がいないとなかなか……という障壁があったんですけれども、ちょうど大学にサークルを作ってくれた先輩がいたことで、仲間たちとともにのめり込むことができました」

トーナメントへの準備

――今回の大会に向けては、どのような準備をされましたか?

卯月友達2人と協力して、3人で調整しました」

――そのおふたりも同じデッキですか? 結果はどうだったんでしょうか。

卯月「全員細部はちょっとずつ違いましたけれども、基盤は同じリストで出場して、3人ともトップ64には残っていましたね。最終的にはトップ64とトップ32だったかな。運が良かったです」

エスパー・ミッドレンジというデッキ選択

――4枚ずつ搭載された《ファイレクシアの宣教師》と《邪悪を打ち砕く》が特徴的なリストですが、一般的なエスパー・ミッドレンジから離れた構成に至った経緯を教えてください。

卯月「実は元ネタがあって、MTGアリーナで『団結のドミナリア』が実装されてから行われた大会での結果を見て、頭一つ抜けた結果を出していたエスパー・ミッドレンジがあったんです。そのリストから3人で細部を調整してこの形になりました」

――《ファイレクシアの宣教師》と《邪悪を打ち砕く》の使用感は実際どうだったんでしょうか?

卯月「《ファイレクシアの宣教師》はどの対戦でも概ね強かったです。《邪悪を打ち砕く》は《婚礼の発表》に対して綺麗に対応できるカードとして採用しているので、相手が使っていないとサイド後は枚数が減る形になりますね」

――大会を通じて一番印象に残っている対戦はありますか?

卯月「やっぱり準決勝のジャンド・ミッドレンジ戦がかなりタフで印象に残ってますね。ジャンド相手は大会を通じてタフなことが多かったです」

――コンバット含めて何度も際どい判断があった末に《邪悪を打ち砕く》を引き込んだプレイにはしびれました。

卯月「ありがとうございます。持ち時間も少なかった中でいろいろ考えながら精いっぱいやったプレイでしたが、勝つことができて良かったです」

尊敬しているプレイヤーと優勝賞金の使い道

――尊敬しているプレイヤーはいますか?

卯月八十岡 翔太さんですね。長きにわたってプロのトップ層で戦っていて、本当にすごいなと思います。どんなプレイヤーにも勝てる時と勝てない時の波があるかと思うんですけど、ずっと勝っているのですごいです」

――優勝賞金50万円の使い道は決まっていますか?

卯月「今回何回かフィーチャーマッチに呼んでいただいたのですが、パソコンのスペックが非常に弱いものを使っていたせいでご迷惑をおかけした部分もあったと思うので、良いパソコンを買おうかなと思います」

――最後に、これからマジックを始めたいと思っている人に向けてメッセージをお願いします。

卯月「自分は昔で言うプロツアーにつながる大会とかあればと思って楽しみにしてるプレイヤーなので、そのためにも紙の大会にももっと盛り上がって欲しいですね。今だとMTGアリーナから始める人が多いと思うのですが、いずれ皆さんも紙の大会に出てみてください! 楽しいですよ!!


 若い世代の活躍を見るとMTGアリーナ世代とひとくくりにしがちだが、紙のマジックから、それもおそらく競技を見据えて始めたとのことで、MTGアリーナ以前の最後の紙の世代ということになるのかもしれない。

 話を聞く限り、卯月の勝因は仲間と力を合わせた情報収集の成果というのが大きそうで、やはり持つべき者は友ということなのだろう。

 各種イベントも徐々に復活してきている。卯月の活躍に触発されたという方は、これを機に友人を誘ってぜひマジック(の沼)に飛び込んでみてほしい。

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