- HOME
- >
- EVENT COVERAGE
- >
- グランプリ・シドニー2016
- >
- 魔の2番ポッド:山本 賢太郎のピック
EVENT COVERAGE
グランプリ・シドニー2016
魔の2番ポッド:山本 賢太郎のピック
By 伊藤 敦
第7回戦のカバレージでも書いたように、このグランプリの上位は屈指の強豪揃いとなっている。
そして2日目のドラフトはスタンディングの上位から8人ずつドラフトポッドに割り振られていく......ということはつまり、テーブルによっては8人中6人以上がプロなんていう恐ろしいドラフト卓が誕生するのだ。
それがこの「魔の2番ポッド」......殿堂プレイヤーBen Stark、プロツアーチャンピオンCraig Wescoe、プラチナ・プロ山本 賢太郎、ゴールド・プロHuang Hao-Shan、シルバー・プロ高尾 翔太、チェコのプラチナ・プロPetr Sochurek、プラチナ・プロMichael Majorsという超ハイレベル卓である。
ここではそんな「魔の2番ポッド」の中から、ドラフト巧者として知られるプラチナ・プロ、山本 賢太郎のピックの模様をお届けしよう。
1パック目
(以下、カッコ内は他の候補)
- 1-1 《折れた刃、ギセラ》 (《集団的努力》/《シガルダ教の僧侶》)
- 1-2 《夜明けのグリフ》 (《猛々しい狼》/《生命の危機》)
- 1-3 《流電砲撃》 (《信仰持ちの聖騎士》/《ヴィルディン群れの除けもの》/《生命の危機》)
- 1-4 《猛々しい狼》 (《巡礼者の守護霊》/《気紛れな霊》/《生命の危機》)
- 1-5 《不動の聖戦士》 (《不憫なグリフ》)
- 1-6 《夜明けのグリフ》 (《ぼろぼろの憑依者》/《墓ネズミ》)
- 1-7 《月皇の外套》 (《遥かなる旅路》)
- 1-8 《ファルケンラスの肉裂き》
- 1-9 《信者の杖》
- 1-10 《ファルケンラスの肉裂き》 (《悟った狂人》)
- 1-11 《信者の杖》
- 1-12 《大胆な刺突者》
- 1-13 《血に飢えた斧》
- 1-14 《有事対策》
いきなり爆弾級神話レア、《折れた刃、ギセラ》を開封!......したは良かったものの、横には《集団的努力》もあり、下家とは確実に白が被ってしまいそうなのが残念だ。
その後は可能な限り白を主張していきたいというところで、上家のBen Starkから《流電砲撃》《猛々しい狼》と赤のシグナルを渡される。
転機となったのは5手目、《不動の聖戦士》と《不憫なグリフ》との2択。カードパワー的には《不憫なグリフ》一択だが、《折れた刃、ギセラ》を生かしたいことを考えると、《不動の聖戦士》をピックして白を絞り、下家には代わりに青の道を開けてあげることで《集団的努力》をあわよくば切ってもらいたい、また仮にそうならなくても3パック目で上家優位の流れがもらえれば良い、と考えたのか、山本のチョイスは《不動の聖戦士》。
直後の6手目に《ぼろぼろの憑依者》が流れてきているのが不穏だったが、その後は赤の流れを感じさせるカードの余り方だけ見て1パック目が終了。
2パック目
(以下、カッコ内は他の候補)
- 2-1 《サリアの槍騎兵》
- 2-2 《粗暴な協力》 (《焼夷流》/《信仰持ちの聖騎士》/《捨て身の歩哨》)
- 2-3 《敵意借用》
- 2-4 《信仰持ちの聖騎士》 (《恩寵借用》)
- 2-5 《ステンシアの亭主》 (《首絞め》/《ウルヴェンワルドに囚われしもの》/《書庫の霊》)
- 2-6 《狂乱した仔》 (《不動の聖戦士》)
- 2-7 《生命の危機》 (《絡み草の闇潜み》)
- 2-8 《錬金術師の挨拶》
- 2-9 《恩寵借用》 (《敵意借用》)
- 2-10 《一所懸命》
- 2-11 《収穫の印章》
- 2-12 《墓の収穫》
- 2-13 《聖戦士の盾》
- 2-14 《大胆な刺突者》
《折れた刃、ギセラ》と噛み合う《サリアの槍騎兵》を引いたことで、山本は白と心中する覚悟を固めたようだ。
しかし2手目以降、有望な白のカードはほとんど流れてこない。結果からすると、下家のMichael Majorsはもちろん、下下家の「ミスター・ホワイト」Craig Wescoeも白を始めてしまっており、毎パック毎パックほぼ白が2枚抜けた状態で山本にパックが回ってくる状態となってしまっていた。
さらに赤のカードの出がそれほど良くなかったことで、山本にとっては厳しい2パック目となってしまった。
3パック目
(以下、カッコ内は他の候補)
- 3-1 《吠え群れの狼》 (《狂気の預言者》/《天使の粛清》)
- 3-2 《グリフの加護》 (《倒し霊》/《血狂いの吸血鬼》/《収穫の手》)
- 3-3 《戦争に向かう者、オリヴィア》 (《手に負えない若輩》)
- 3-4 《内面の葛藤》 (《信条の香炉》)
- 3-5 《眠れぬ者の使者》
- 3-6 《腕っぷし》 (《刺し込む光》/《放たれた怒り》)
- 3-7 《ガツタフの放火魔》 (《偏執的な教区刃》/《霊体の羊飼い》)
- 3-8 《腕っぷし》 (《枝細工の魔女》)
- 3-9 《薬剤師の霊》 (《枝細工の魔女》)
- 3-10 《収穫の手》 (《血狂いの吸血鬼》/《腕っぷし》)
- 3-11 《ウルリッチの同族》
- 3-12 《隠れるホムンクルス》
- 3-13 《蟻走感》
- 3-14 略
それでも3パック目は順流れなので、豊潤な白のカードを受け取れるはず......と思いきや、いまいち流れてくるカードの質が悪い。
それもそのはず、実は上家のBen Starkも白をやっており、白赤の山本にとって喉から手が出るほど欲しい良質の白いクリーチャーはすべて堰き止められてしまっていた。
やむなく後手に回った際のテンポ返し用のカードとして《腕っぷし》を集める山本だが、爆弾級と言えるカードが《グリフの加護》くらいしか確保できなかったのは辛いところ。
山本「デッキはまあまあです。ポジション的には青赤だったかな......1-5で《折れた刃、ギセラ》を切って《不憫なグリフ》が取れたら行けたかも。でも、《折れた刃、ギセラ》を切る判断はなかなかできないね」
やはり強者ばかりのドラフトポッドとなると一筋縄ではいかない。
しかし山本がトップ8に入るためにはここで最低2勝以上を挙げる必要がある。また本人が最低目標として掲げていた「プロポイント2点上乗せ」のためには、2日目の成績は3勝3敗でいいとはいえ、セカンドドラフトを楽にするためにもこのファーストドラフトで可能な限り勝ち星を稼いでおきたいところだ。
はたしてこの「魔の2番ポッド」を山本は切り抜けることができるのか。山本の戦いぶりに注目だ。
8 《山》 8 《平地》 -土地(16)- 2 《ファルケンラスの肉裂き》 1 《狂乱した仔》 1 《不動の聖戦士》 2 《夜明けのグリフ》 1 《猛々しい狼》 1 《収穫の手》 1 《吠え群れの狼》 1 《薬剤師の霊》 1 《折れた刃、ギセラ》 1 《ステンシアの亭主》 1 《眠れぬ者の使者》 1 《ガツタフの放火魔》 1 《サリアの槍騎兵》 -クリーチャー(15)- |
2 《腕っぷし》 1 《敵意借用》 1 《流電砲撃》 1 《グリフの加護》 1 《信者の杖》 1 《月皇の外套》 1 《粗暴な協力》 1 《内面の葛藤》 -呪文(9)- |
RANKING ランキング
NEWEST 最新の記事
-
2024.11.12観戦記事
The Week That Was: 熱烈な勇者の帰還|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.27観戦記事
第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権 決勝戦|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.26トピック
第30回マジック世界選手権 トップ8プロフィールとデッキリスト|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.26観戦記事
Magic World Championship 30 Day Two Highlights|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.25観戦記事
Magic World Championship 30 Day One Highlights|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.25戦略記事
The Spiciest Decklists of Magic World Championship 30|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権