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グランプリ・シンガポール2015

観戦記事

第11回戦:Napassawat Chinnkam(タイ) vs. 金川 俊哉(山梨)

By Masashi Koyama

 いよいよ2日目が始まり、トップ8入賞の目ひとつの安である2敗ラインのテーブルでは、いたるところで死闘が繰り広げられている。

 本ラウンドでご紹介するのは、カードショップ「はま屋」のオーナーであり、ワールド・マジック・カップ2014日本代表の金川 俊哉(山梨)とナパサワット・チンナカム/Napassawat Chinnkam(タイ)の対戦だ。

 金川のデッキは後ほど戦略記事にてご紹介する独自の黒緑デッキで、ナパサワットは赤緑白カラーのビートダウンデッキを使用している。

 お互いにとって負ければトップ8争いから後退してしまう背水の戦いが静かに開始された。


ナパサワット・チンナカム/Napassawat Chinnkam(タイ) vs. 金川 俊哉
ゲーム1

 先手金川が即決でキープ。内容は

 という、《冒涜の悪魔》や《漁る軟泥》までの道筋がしっかり見える上々の手札。

 一方の後手ナパサワットは手札を5枚まで減らしてしまいゲームがスタート。そして、数少ないナパサワットの手札を金川の《思考囲い》が攻め立てる。

 上記の手札から《ゴーア族の暴行者》を抜き去り、《密林の猿人》の攻撃をもくろみ通り《桜族の長老》でいなしつつマナを伸ばしていく。

 ナパサワットはなんとか白マナを引き込み《ドライアドの闘士》を戦場に降り立たせ、2体の《苛立たしい小悪魔》(金川は両方4点の支払いを選択)で金川のライフを5まで落としこみはするものの、ここで満を持して送り込まれたのはバーンデッキにとって致命的とも言える《漁る軟泥》!

 この緑のウーズは2点のライフを得たところで、ナパサワットがトップデッキした《流刑への道》で追放されるが、続く《タルモゴイフ》《冒涜の悪魔》に対処できないナパサワットは少考の後にカードを畳んだのだった。

ナパサワット 0-1 金川


不運に見舞われたナパサワット

 トップ8に向けて負けられない戦いが続いており、サイドボードの間も重苦しい雰囲気が2人を包む。

ゲーム2

 お互い7枚キープでゲームが始まり、先手ナパサワットは《密林の猿人》から2ターン目に《ドライアドの闘士》《苛立たしい小悪魔》という流れるような展開を見せる。

 金川はナパサワットの《苛立たしい小悪魔》に4点を支払い、《ドライアドの闘士》を《見栄え損ない》しライフを払いながらも盤上のクロック増加を抑え、《台所の嫌がらせ屋》召喚までこぎつける。

 なんとかダメージを稼いていきたいナパサワットではあるが、追加のクリーチャーは《ドライアドの闘士》で、《台所の嫌がらせ屋》を前に立ち往生せざるを得ない。

 そうこうしている間に金川は2体目の《台所の嫌がらせ屋》と《漁る軟泥》を追加し、ライフを原点近くまで引き上げていく。

 手札に2枚の《ボロスの魔除け》を抱えているナパサワットはこれらを逆転への布石としたいところだが、ブロックしたクリーチャーたちを守るため、と防御的に使わざるを得ない。

 一方、金川は度重なるライフゲインのおかげでライフは初期値を超える22まで回復しており、《変わり谷》も含めて悠々と全軍で突撃を仕掛ける。

 一度は《ボロスの魔除け》で凌ぎ、引いてきた《流刑への道》で巨大に成長した《漁る軟泥》を葬り去るが、金川の19点ものライフを削り取るには時間もリソースも全てが足りないのだった。

ナパサワット 0-2 金川


金川は力強く完勝した
金川 俊哉 Wins!

「初めて《桜族の長老》が活躍した!」と金川は試合後嬉しそうに笑い、筆者があと4ラウンドですね、と尋ねると「先のことは考えるようなデッキではないので...」と謙虚なコメントが返ってきた。

 はたしてひとつひとつのラウンドを積み重ねて、彼はどの順位に位置することになるのだろうか。彼の活躍に期待したい。

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