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EVENT COVERAGE
グランプリ・シンガポール2015
デッキテク:金川 俊哉の「黒緑マルカデス」
by 伊藤 敦
2日目に突入したグランプリ・シンガポール15。多くのプレイヤーがトップ8進出という野望に燃える中で、7勝2敗で初日を突破したにも関わらず、自らのデッキについて嘆いている日本人プレイヤーがいた。
??「やばい、デッキ弱すぎる......みんなモダンのデッキ使ってるのに一人だけリミテッドのデッキみたいなんですけど」
金川俊哉。
2014年のワールド・マジック・カップ日本代表として有名だが、それ以外にも山梨〜長野圏に店舗を構えるカードショップ「はま屋」のオーナーでありながら自らもマジックのプレイに精を出し、特にアジア圏のグランプリに積極的に遠征してグランプリ・上海2012とグランプリ・北京2013ではトップ8に入賞経験を持つという強豪だ。
最近では「ラブルバーン」や「ドラゴン・メガモーフ」など、デッキビルダーとしての活躍もめざましい。
そんな金川がしかし、今回も順調に初日を突破しているにもかかわらず、自分のデッキに自信が全くないという。
しかし日本人プレイヤーが使用しているデッキの中では、行弘のデッキに次いで個性的なものだったので、金川自身の評価はともかくデッキについて金川にインタビューしてみることにした。
――このデッキは何をするデッキなんですか?
金川「戦略的には、手札破壊をして、クリーチャーを除去してフィニッシャーで殴るだけの、オーソドックスな黒緑ジャンクですよ。ただちょっとそのフィニッシャーがね......」
――え、何がフィニッシャーなんですか?
金川「《冒涜の悪魔》と《世界を目覚めさせる者、ニッサ》なんですよ」
――ちょっと前のスタンダードのデッキみたいですね。でもなぜこれらを選んだんでしょうか?
金川「ジャンドを調整していたんですが、先週グランプリ・コペンハーゲンでマーフォークが優勝してしまったんですよね。それで《波使い》が厳しかったので、いっそ赤を抜いてしまおうと思ったんです」
――ジャンドだと《稲妻》《突然の衰微》《終止》のいずれでも触れませんからね
金川「そのときは《ファイレクシアの抹消者》をフィニッシャーに据えていたんですが、最近《四肢切断》が色々なデッキに採用されるようになっていて、フィニッシャーとして頼りなさを感じていたんです」
――確かにこれだけ重いシンボルを払っておきながら1マナで処理されたらたまったもんじゃないですね
金川「そこで考えたわけです。5/5がダメなら6/6にすればいい、と」
――(笑)
金川「ただ今度は動きがもっさりしすぎてしまったんですよね。で、ちょうど《闇の腹心》が環境的に弱いなと感じていたので、代わりに《苦花》や《群れネズミ》を試したんですが、どれも弱くて。そこで《桜族の長老》にたどりついたんです」
――《風景の変容》のような明確なゴールがないと、ちょっと強い《不屈の自然》というくらいの印象のカードですが......
金川「ところが意外にデッキと噛み合うんですよね。《漁る軟泥》の餌にもなりますし、《黄金牙、タシグル》の『探査』にも使える。さらにマナブーストから3ターン目に《冒涜の悪魔》を降臨させると、意外とコンボデッキにも勝てたりするんですよ」
――モダンだと概ね3回殴ったらKOですからね
金川「あとは基本土地をサーチするので、《大爆発の魔道士》と《血染めの月》に強くなったのも嬉しい副次効果でした」
――《世界を目覚めさせる者、ニッサ》はどうして入っているんでしょうか?
金川「最初は《野生語りのガラク》と《墓所のタイタン》が入っていたんですが、前者は土地をアンタップしてつなげる先がないと弱く、かといって後者は普通に使うには重すぎたので、『攻めっ気がある』という条件で何かないかと探したところ《世界を目覚めさせる者、ニッサ》がいるじゃないか、と」
――ここまで聞くと理に適っていそうなデッキですが......
金川「いや、脳内ではもちろん強いつもりで作ったんですが、如何せん練習が足りていなくて。実際に昨日の初日で回してみたら動きが弱くて弱くて(笑) ただ事故った相手に《冒涜の悪魔》が強いだけでしたね」
――話を聞く限りでは結構強そうなんですけどね、《冒涜の悪魔》。ところでこのデッキの名前はどうしましょうか?
金川「じゃあ、『マルカデス』でお願いします。同じ6/6ですし、《冒涜の悪魔》が《魂売り》ということで。《破滅的な行為》は入ってませんけどね(笑)」
最後まで自信なさげに語る金川だったが、それとは裏腹に2日目は開幕10回戦・11回戦と勝利し、9勝2敗まで漕ぎつけている。
新時代の《魂売り》こと《冒涜の悪魔》が、モダン環境のメタゲームを塗り替える日も近いかもしれない。
3 《沼》 2 《森》 2 《草むした墓》 2 《黄昏のぬかるみ》 4 《新緑の地下墓地》 2 《湿地の干潟》 4 《樹上の村》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 2 《幽霊街》 2 《変わり谷》 -土地(24)- 4 《桜族の長老》 4 《タルモゴイフ》 3 《漁る軟泥》 4 《冒涜の悪魔》 2 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(17)- |
3 《コジレックの審問》 3 《思考囲い》 2 《見栄え損ない》 3 《突然の衰微》 1 《喉首狙い》 2 《四肢切断》 1 《大渦の脈動》 1 《残忍な切断》 1 《ヴェールのリリアナ》 2 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 -呪文(19)- |
3 《大爆発の魔道士》 3 《台所の嫌がらせ屋》 1 《殺戮の契約》 2 《墓掘りの檻》 1 《虚無の呪文爆弾》 1 《思考囲い》 1 《ゴルガリの魔除け》 1 《悲哀まみれ》 1 《滅び》 1 《魂の裏切りの夜》 -サイドボード(15)- |
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