EVENT COVERAGE

グランプリ・静岡2018(スタンダード)

観戦記事

第4回戦:吉田 健一郎(神奈川) vs. 行弘 賢(東京)

伊藤 敦

 3不戦勝を持つプレイヤーも含めて全参加者が出そろう第4回戦。フィーチャーマッチに選ばれたのは、2週間後にワールド・マジック・カップで日本代表を率いる予定の代表キャプテン・行弘 賢だ。

 プロツアー『ラヴニカのギルド』で経験したスタンダード環境だけに、行弘には一日の長がある。今日持ち込んでいるのも、プロツアーで使用し、自身の成績はふるわなかったもののチームの戦績は好調だったセレズニアアグロを、今の環境に合わせてアップデートしたもののようだ。

 そんな行弘に対し、2不戦勝スタートからの勝利で波に乗る対戦相手の吉田が積極的に話しかける。

吉田「実は、前回の京都のチーム戦で当たってるんですよ。行弘さんのところと」

行弘「え、そうなんですか。僕と直接当たりました?」

吉田「いえ、僕はやまけん(山本 賢太郎)さんと。実はあの京都のとき、行弘さんチームの前にナベ(渡辺 雄也)さんのチームとも当たってて、一日に2回も武蔵と当たるっていう。それで今日もって、もうどんだけ踏むんだって感じです(笑)」

行弘「まあでも今回はスタンダードなんであまり関係ないですよ(笑) レガシーだと、相手が強いプレイヤーだと絶望感ありますけどね」

吉田「いやでも、プロプレイヤーと当たるよりは普通のプレイヤーと当たった方がありがたいですよやっぱり(笑)」

 プロプレイヤーとのフィーチャーマッチで緊張している様子が隠せない吉田だが、史上初のダブルグランプリの影響でプロプレイヤーたちの参加状況は分散しているとはいえ、勝ち続ければ結局どこかでプロプレイヤーと当たることに違いはない。吉田にとって行弘はさながら、トップ8に入るために越えなければならない最初の試練と言えるだろう。

 はたして吉田は、不戦勝明けの大事な初戦を勝利して弾みを付けたい行弘に最初の土を付けることができるか。

 
吉田 健一郎(写真左) vs. 行弘 賢(写真右)
ゲーム1

 後攻の行弘がマリガンののちゲームが開始。開幕を飾った土地は、《湿った墓》に対し《寺院の庭》。ゴルガリ/イゼット/ボロスがメタゲーム上位の多数を占めるスタンダードにおいて、マイナー寄りな2つのギルドの土地が置かれる珍しいスタートとなる。

 続けて行弘の《アダントの先兵》を《渇望の時》で対処した吉田が《蒸気孔》ショックインからプレイしたのは《虚報活動》。どうやら吉田のデッキは、プロツアーで八十岡 翔太が使用していたグリクシスコントロールの亜種のようだ。

 だが返す刀で《ベナリア史》を設置してギアを緩めない行弘に対し、自ターンでカードを引いた吉田が1拍止まる。そして4枚目の土地が置けないまま《アズカンタの探索》を設置してゴー。

 すると行弘はこれを勝機と見たか、《茨の副官》《協約の魂、イマーラ》と展開してから、それらを「召集」でタップしてエルフ・トークンを生成しつつの《議事会の裁き》!

 4ターン目に手札をゼロにしつつの一挙3アクションというぶん回りを見ては、吉田も苦笑で返すしかない。やむなく4マナ4/4飛行というスペックだけのブロッカーとして《破滅の龍、ニコル・ボーラス》を出すものの、返すターンに《ベナリア史》のⅢ章が誘発してのフルアタックは吉田のライフを一気に11点も削り、残りライフ7点にまで追い込まれる。

 一方、なおも戦闘後に《アダントの先兵》を追加した行弘は、続けて出てきた吉田の《破滅を囁くもの》にも構わず再びフルアタック。もはや《アダントの先兵》の攻撃を通せない吉田は、騎士・トークン1枚を打ち取るものの既に残りライフは1点。

 
行弘 賢

 だが、吉田がマナをフルオープンでターンを返したところで行弘は、勢いに任せて攻撃することはせず、慎重に立ち止まって考える。ライフ1の相手への5体のアタッカーに対して2体のブロッカーという状況は十分致死量に思えるが、もしもフルアタックして仮に吉田が《渇望の時》か《ヴラスカの侮辱》を持っていたなら、ライフ1点のまましのがれてしまう。次のターンに《開花+華麗》をトップデッキしたときに有効ドローにしたい行弘は、勝ち急いで自ら頭数を減らしかねないアタックはせずに、後詰を待つ選択をする。……と、吉田の手からはやはり《ヴラスカの侮辱》が! 行弘の読みが冴える。

 とはいえ、リソースを使いきった行弘に対し吉田の手札はまだ豊潤で、行弘の側は何かしらのトップデッキが要求される状況に変わりはない。《破滅の龍、ニコル・ボーラス》アタックからの《破滅の龍、ニコル・ボーラス》おかわりでブロッカーの数を揃えつつ行弘のライフを詰めた吉田に対し、行弘はドローゴー。そして今度は《破滅を囁くもの》が攻撃して、次のターンには10点アタックで行弘のライフが削りきられてしまうという状況。

 ゆっくりとカードを引いた行弘が公開したのは……これを待っていた、《開花+華麗》!

 だがそこに、しっかりと構えられた吉田の《悪意ある妨害》が突き刺さる!

 一応盤面だけで1点通りそうに見えるため、わずかな希望に縋って最後にフルアタックをしてみる行弘だったが、盤面で死ぬアタックをしている以上、当然そこにも《喪心》が待ち受けている。《開花+華麗》があと1ターン早ければ……という際どいゲームを制し、吉田がまずは1本先取。

吉田 1-0 行弘

ゲーム2

 《軍団の上陸》→《アダントの先兵》→《茨の副官》と展開した行弘に対し、吉田は《渇望の時》で《アダントの先兵》を対処してから《思考消去》で行弘の手札を攻め立てる。

 《暴君への敵対者、アジャニ》《不和のトロスターニ》《》というラインナップから次のターンに着地予定だった《暴君への敵対者、アジャニ》を抜き去り、行弘のテンポを崩すことに成功する。

 しかし4ターン目はお互いアクションがなく、しかも5ターン目に行弘はカウンターを警戒して《不和のトロスターニ》を出さずに3点アタックだけでターンを返す。このまま待っていても3点ずつライフが削られるだけの吉田は《煤の儀式》で一旦盤面をリセットするのだが、その返しで更地に《不和のトロスターニ》が降臨する。

 兵士・トークンは《黄金の死》で流す吉田だが、なおも《ベナリア史》が着地。これに対して吉田は《正気泥棒》をブロッカーに立て、返す《議事会の裁き》は《悪意ある妨害》でキャッチするも、なおも行弘は「召集」で2枚目の《議事会の裁き》をプレイして吉田のペースに持ち込ませない。

 やむなく《破滅を囁くもの》を送り出す吉田だったが、《ベナリア史》がⅢ章となる返しのターンに行弘が《暴君への敵対者、アジャニ》をプレイしようとするのを見るなり、「負けました」と宣言した。

吉田 1-1 行弘

ゲーム3

 2ターン目に吉田の《思考消去》で、《茨の副官》《無効皮のフェロックス》《無効皮のフェロックス》《不和のトロスターニ》《議事会の裁き》から初動となる《茨の副官》が抜かれる立ち上がり。しかし行弘は《アダントの先兵》をトップデッキして意に介さない。

 そして続く《正気泥棒》も《議事会の裁き》で追放した行弘は、4ターン目に必殺のサイドボードカードである《無効皮のフェロックス》を降臨させる。

 脇の《アダントの先兵》には《ヴラスカの侮辱》を当てるが、6点という重い一撃が吉田を襲う。それでも続く2体目の《無効皮のフェロックス》は、どうにか《悪意ある妨害》で着地を許さない。

 そして返すターン、吉田は《破滅の龍、ニコル・ボーラス》をプレイ。ここで土地、《イクサランの束縛》、《不和のトロスターニ》というラインナップから土地を捨てた行弘だったが、すぐさま続いた《強迫》で《イクサランの束縛》をも失ってしまう。

 《無効皮のフェロックス》の2度目の攻撃が吉田を襲い、残りライフは7点。吉田は返しで《破滅の龍、ニコル・ボーラス》を攻撃させつつ、ついに意を決して《無効皮のフェロックス》と同じサイズの《破滅を囁くもの》を送り出す。

 
吉田 健一郎

行弘「手札が1枚?」

吉田「1枚です」

 5枚目の土地が引ければイージーだった行弘だが、引けない。ここで《無効皮のフェロックス》で攻撃して《破滅を囁くもの》と相打ちをとってもジリ貧と判断し、やむなく《アダントの先兵》だけ出して殴らずにターンを返す。

 他方、何を引かれたとしても即詰みだけはなくなった吉田は、安心して《破滅を囁くもの》による6点アタックで行弘のライフを10以下に落とし込みつつ、《黄金の死》で《アダントの先兵》に冷静に対処する。

 今度こそ。

 ここで土地を引けなければ負けという行弘のドローは、土地……ではない。

 やがて、《不和のトロスターニ》が出せない状態で《無効皮のフェロックス》だけでアタックしたとしても6点スルーされるだけに終わるという盤面状況を確認した行弘は、「負けました、ありがとうございました」と右手を差し出したのだった。

吉田 2-1 行弘

吉田「入れるものがなくて、《無効皮のフェロックス》が入ってくるから残したくない《破滅の龍、ニコル・ボーラス》が1枚残ってしまっていたんですが、危ないところでした」

行弘「5ターン目、《悪意ある妨害》に差し出すのを《不和のトロスターニ》にすれば良かったな。こっちには《無効皮のフェロックス》があるから2ゲーム目の段階で《破滅の龍、ニコル・ボーラス》は減らしてる感じの気配があったけど、残ってるかもしれないから2枚目の《無効皮のフェロックス》を手札に溜めておけば、相手は《破滅の龍、ニコル・ボーラス》出せなくて勝ってた。……完全にミスだな、勝ってたゲーム落としたなぁ」

 相手の盤面に触る手段の少ないセレズニアだからこそ、何気ない展開順が敗着になりうる。行弘の緩手の隙を突いた形で見事に大金星をあげた吉田は、2日目、そしてトップ8進出に向けて大きな一歩を踏み出した結果となった。

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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