EVENT COVERAGE

グランプリ・静岡2017春

戦略記事

デッキテク:細川 侑也の「Wrath Dredge」

By 宮川 貴浩

(この記事はグランプリ本戦1日目に取材したものです)

hosokawa_01.jpg

 「ドレッジ・マスター」として名高い細川が、猫や飛行機の跋扈するこのスタンダード環境にドレッジデッキを持ち込んできた。少し前のスタンダード環境では見かけることもあったが、ドレッジというとやはり下の環境での印象が強い。細川はいかなる調整過程をへて今回のデッキをチョイスしたのか。そして、デッキに搭載された秘策とは?

 これが、細川のデッキリストだ。

細川 侑也 - 「Wrath Dredge」
グランプリ・静岡2017春 / スタンダード (2017年3月18~19日)[MO] [ARENA]
6 《
6 《
4 《さまよう噴気孔
4 《尖塔断の運河
1 《高地の湖
2 《ウギンの聖域

-土地(23)-

4 《秘蔵の縫合体
4 《縫い翼のスカーブ
4 《改良された縫い翼
4 《老いたる深海鬼
2 《騒乱の歓楽者

-クリーチャー(18)-
4 《稲妻の斧
4 《安堵の再会
4 《苦しめる声
4 《ナヒリの怒り
3 《コジレックの帰還

-呪文(19)-
3 《儀礼的拒否
4 《否認
4 《熱病の幻視
3 《グレムリン解放
1 《癇しゃく

-サイドボード(15)-
What's "Wrath Dredge"?

 単にドレッジに思い入れがあるから、という理由でこのデッキを選んだわけではない。《ナヒリの怒り》を使いたいというところから、細川のこのデッキの構想が始まった。「Wrath Dredge」というデッキ名からも、このカードがデッキの主役であることがうかがえる。

 現在のスタンダードでは、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》、《サヒーリ・ライ》、《反逆の先導者、チャンドラ》といったプレインズウォーカー陣が幅を利かせている。特に、有利な状況を築いた後、それに蓋をするように登場する《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は、対処できなければ即負けてしまうカードだ。

 最初はコントロールデッキを使っていた細川だが、怒濤のプレインズウォーカー群を捌ききるのは至難の業だったという。そこで目をつけたのが、4ターン目に《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を倒すことが可能な《ナヒリの怒り》だ。このカードであれば、先に展開されたクリーチャーと《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》、並んだプレインズウォーカーたちといった厄介な面子をまとめて流せる。

 《ナヒリの怒り》を使うのであれば、当然《縫い翼のスカーブ》、《改良された縫い翼》といった相性のいいクリーチャーたちに白羽の矢が立つ。そして、それらは8枚の「ルーター」呪文、《秘蔵の縫合体》、《老いたる深海鬼》などのカードと手を組み、まさにシナジーの塊と言えるこのデッキが完成した。

hosokawa_02.jpg

 《稲妻の斧》は、細川が《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》と並んで警戒する《キランの真意号》を撃ち落とすことができ、赤1マナを立てておくだけで《守護フェリダー》をどけられるのもポイントが高い。

 《騒乱の歓楽者》は、トップデックして強いカードがほしいという観点からの採用だ。

デッキ相性

 気になる他のデッキとの相性だが、サヒーリデッキにはかなり有利で、ソーサリータイミングのアクションが多い《霊気池の驚異》デッキにも有利とのことだ。機体デッキには必要なカードをしっかり引かないと負けるので、気合が必要と語ってくれた。特に《大天使アヴァシン》は、きっちり火力に合わせられた場合は厳しい戦いを強いられる。

サイドボーディング
hosokawa_03.jpg

 対戦相手の《否認》にルータースペルを打ち消されると致命的なので、サイドボードには《熱病の幻視》、《否認》がそれぞれ4枚と、コントロール用のカードが多めに取られている。対コントロールでは火力が抜けるので、入れ替え先には困らない。手札が増える《熱病の幻視》はディスカードとも相性がいい。

 《儀礼的拒否》は《霊気池の驚異》デッキに、《グレムリン解放》は機体デッキにと、その他のカードもしっかりとターゲットを絞って採用されている。対機体デッキでは、《騒乱の歓楽者》2枚と《縫い翼のスカーブ》1枚あたりを抜いて《グレムリン解放》を入れる形になる。

 《癇しゃく》は、対サヒーリデッキなどのための追加の火力だ。

プレイング

 プレイングはちょっと難しいかもしれません、と細川はこのデッキを使う上でのポイントを教えてくれた。例えば対機体デッキの場合、先手番では積極的に《改良された縫い翼》を墓地から戦場に戻していくのだが、後手番の場合は相手の《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の返しの《ナヒリの怒り》を最大限に生かすため、《改良された縫い翼》を手札に取っておくといったプランの変更が必要になる。

 また、手札を捨てる必要があるというデッキの性質上、裏目を引くこともあり、その点もこのデッキの扱いを難しくしている。しかし、このデッキのもつ爆発力と奇襲性は、それらのリスクを補って余りあるものだ。

 非常に整理された思考でデッキについて語ってくれた細川。新しいデッキの考案に行き詰っている方や猫アレルギーの方は、ぜひ参考にしてみてほしい。

  • この記事をシェアする

RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

RANKING

NEWEST

サイト内検索