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グランプリ・静岡2015

観戦記事

第14回戦:和田 寛也(東京) vs. 鹿島 彰浩(埼玉)

By 矢吹 哲也

 今大会も第14回戦を迎えると、いよいよ終盤に向けてギャラリーが数を増し、フィーチャー・マッチ・エリアに注がれる多くの視線が生み出すプレッシャーもまた相応に大きくなる。

 その中でも、和田 寛也と鹿島 彰浩のシャッフルの手つきに澱みはない。手早くシャッフルをしながら短く言葉を交わす両者とも、全勝がいなくなり混戦極まった今大会でトップ8の舞台に上がるために、ここで負けるわけにはいかないのだ。

 その想いに応えるかのように、両者のデッキはどちらも躍動した。和田のアブザン・デッキと鹿島のスゥルタイ・デッキは序盤から激しくぶつかり合い、にらみ合い、勝利への道を争った。戦乱に包まれた「タルキール」の世界に相応しい戦いを見せた両者のゆくえは――

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和田 寛也 vs. 鹿島 彰浩

ゲーム展開

 ダイス・ロールに勝った鹿島が「後攻」を選択。和田は初手を見てすこし悩み、それでもキープを宣言。

 第1ゲームは互いに1ターン目からクリーチャーを繰り出す高速展開。1ターン目に《血に染まりし勇者》、3ターン目に《ケルゥの吸血者》と展開する鹿島に対し、和田は1ターン目《マルドゥの悪刃》、そして4ターン目に《アブザンの戦僧侶》。

 《アブザンの戦僧侶》を《消耗する負傷》で除去して攻勢をかける鹿島。和田は《マー=エクの夜刃》を盤面に追加するが、続けて鹿島の盤面に現れた《吠える鞍暴れ》を前に動きが止まる。少考した和田が下したのは《マルドゥの悪刃》1体での攻撃。続けて《消耗する負傷》で《ケルゥの吸血者》を除去し、ターンを渡す。

 軽量クリーチャーの速攻から一転、盤面に《射手の胸壁》が追加され、堅い守りを見せる鹿島。対して和田はなおも軽量クリーチャーで攻め続ける。鹿島の「変異」クリーチャーに《マー=エクの夜刃》をぶつけた和田は、表になった《氷河の忍び寄り》を《強大化》でしのぐ。

 速い展開の中で互いに手札を高速で消費したが、しかし鹿島は手札が切れたベスト・タイミングで《宝船の巡航》を放ち、リソースを補充した。さらに戦線を固めた鹿島を前に、ライフが心許ない和田は攻め込むことができない。

 この状況を打開するカードは引き込めないまま、残りライフ4点まで追い詰められた和田。鹿島の総攻撃に対してブロックを吟味し、さらに除去を駆使して攻撃をしのぐ。

 すると、和田のもとに助けが駆けつけた。絆魂をもつ《アブザンの先達》が和田のライフを少量取り戻した。

 だがその後が続かない。土地を引き続ける和田は《アブザンの先達》を攻撃に向かわせ、ひとまずライフを確保。しかし、《隠道の神秘家》が鹿島の側に与すると、取り戻したライフが再びゼロに向かうのを、和田は止められなかった。

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序盤のクリーチャー戦にも対応し、盤面を固めたのちに勝利を掴む鹿島のスゥルタイ。

 第2ゲーム、鹿島は初手を見て「マリガンします」と小さくつぶやいた。6枚スタートとなった鹿島に対し、和田は2ターン目《鱗の隊長》。続く3ターン目の攻撃に鹿島が《ティムールの軍馬》をブロックに向かわせると、和田は《アブザンの魔除け》で+1/+1カウンターを載せて攻め立てる。

 《射手の胸壁》で守る鹿島だが、《アブザンの戦僧侶》を盤面に加えた和田の《鱗の隊長》は絆魂を持ち、ライフ差を広げていく。さらに「変異」クリーチャーを繰り出した次のターン、攻撃を吟味した和田は《鱗の隊長》と「変異」クリーチャーを戦闘へ送り出し、《アイノクの盟族》と2体目の「変異」クリーチャーを投入した。

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軽量クリーチャーを中心にしたアグレッシブな戦略で、電撃戦を仕掛ける和田。

 《遠射兵団》を加え、守勢に回る鹿島。続く和田の攻撃に対して、ブロック指定に頭を悩ます。《アイノクの盟族》により先制攻撃まで持った《鱗の隊長》と《アブザンの戦僧侶》が膨大なライフ差を生み出し、最後に和田の戦場に置かれた《タルキールの龍の玉座》が和田の軍勢に莫大な力を与えると、鹿島は投了を示す他になかった。


 両者ともプレイ速度は早かったが、激戦をふたつ経て残り時間は10分を切っていた。

 第3ゲーム、和田は初手をじっと見つめ、マリガンを選択。再び2ターン目からクリーチャーを展開する両者だが、和田の展開が速い。鹿島が繰り出した《吠える鞍暴れ》を《アブザンの魔除け》で除去し、2点×3体で攻撃を続ける。

 《スゥルタイの占い屋》を繰り出し、防御を固める鹿島。続けて和田が繰り出した《アブザンの戦僧侶》も《消耗する負傷》で対処。残り手札が2枚になったところで《ラクシャーサの秘密》が差し向けられた鹿島だが、その返しに《ラクシャーサの大臣》を引き込み、これで戦線を止めにかかった。それでも和田はそこへ《絞首》を撃ち込み、こちらも譲らない。

 しかし、鹿島の防御は堅かった。《アブザンの先達》、《マー=エクの夜刃》と展開を続ける和田だが、鹿島の軍勢を突破することは能わず。気づけば戦場は再び膠着していた。

 制限時間は過ぎ、やがて追加の3分も底をつく。勝負はエクストラ・ターンに委ねられ――

――その1ターン目だった。和田は力の限りに《挑発の咆哮》を放つ。

 引き分けるかと思われたこの試合は、劇的なトップ・デッキによって幕を下ろしたのだった。

和田 2-1 鹿島

 鹿島の投了の声を聞くなり、和田は喜びを爆発させた。

「2ゲーム目の《タルキールの龍の玉座》も、最後の《挑発の咆哮》も、サイドボードから入れたものでした。その2枚がうまくいったんです!」と興奮気味に語る。

 長時間にわたる勝負を制したのは、和田 寛也!

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