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グランプリ・上海2017

戦略記事

ふたつの軸で攻め立てる! 細川侑也の「スゥルタイ打撃体」

by Masashi Koyama

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(この記事は1日目の進行中に取材した内容を掲載しています)

 アジアグランプリの常連であり、構築グランプリの度にオリジナリティ溢れるデッキを持ち込んでくる男、細川侑也。

 そんな彼はこのグランプリ・上海2017では友人の意欲作だという「スゥルタイ打撃体」を持ち込んでいる。

 プロツアー『イクサラン』で活躍を見せた「緑青打撃体」の亜種か......と思いきや、むしろ黒緑にタッチ青の構成だという。細川にデッキの紹介をお願いした。

細川侑也が使用する「スゥルタイ打撃体」

細川 侑也 - 「スゥルタイ打撃体」
グランプリ・上海2017 / スタンダード (2017年11月11~12日)[MO]
2 《
2 《
1 《
4 《花盛りの湿地
4 《植物の聖域
4 《霊気拠点
4 《ハシェプのオアシス

-土地(21)-

4 《光袖会の収集者
4 《牙長獣の仔
4 《静電気式打撃体
4 《ならず者の精製屋
1 《不屈の神ロナス
4 《逆毛ハイドラ

-クリーチャー(21)-
4 《霊気との調和
4 《顕在的防御
4 《致命的な一押し
4 《気宇壮大
2 《知識のカルトーシュ

-呪文(18)-
3 《緑地帯の暴れ者
3 《強迫
2 《心臓露呈
3 《野望のカルトーシュ
1 《ヴラスカの侮辱
1 《霊気圏の収集艇
1 《領事の旗艦、スカイソブリン
1 《生命の力、ニッサ

-サイドボード(15)-

 細川によれば、このデッキの基本的な動き方には2種類あるという。

 ひとつはプロツアーを制した「スゥルタイ・エネルギー」のように《光袖会の収集者》《牙長獣の仔》という優秀な2マナ圏から《逆毛ハイドラ》の流れを軸にしたミッドレンジ調の動きだ。

 プロツアーを制した「スゥルタイ・エネルギー」の強さは折り紙つきであり、それだけでも対戦相手の脅威となるだろうことは間違いないが、もうひとつの《静電気式打撃体》を軸にした動きこそがこのデッキの真髄と言うべきだろう。

 じわじわとアドバンテージを取りつつ勝ちに向かう「スゥルタイ・エネルギー」にはない一撃必殺技だ。

 大量のエネルギーがあればそれだけで20点を速やかに刈り取ることができるこのカードは、細川いわく「《つむじ風の巨匠》がいないためエネルギーが余りがちになることがある」このカラーにぴったりだと言う。

 《静電気式打撃体》は平たく言えば「パワーが倍々になっていく」カードであり、もとのパワーを底上げするカードももちろん採用されている。

 「打撃体」デッキの定番とも言える《気宇壮大》はチャンプブロッカーを貫くトランプルを与えてくれるだけでなく、エネルギーが6個あればそれだけで一撃で20点(5×2×2=20)を叩き出すことができる良き相棒だ。

 《顕在的防御》は《静電気式打撃体》をパワーを上げつつ相手の除去から守る役割も兼ねており、対戦相手にはこのカードが常にちらつくこととなるだろう。

 プロツアー『イクサラン』を制したセス・マンフィールド/Seth Manfieldのデッキと比べればエネルギーを使用する用途に幅があり、対戦相手に2つの軸の対策を迫るデッキとなっている。

他のデッキへの相性&サイドボード

対「ラムナプ・レッド」――有利

細川「《致命的な一押し》が取れるから、『ラムナプ・レッド』に対しては結構有利ですね」

 序盤を捌きつつ《逆毛ハイドラ》に繋げることができる動きが取れ、基本的に有利だという。

 「ラムナプ・レッド」は《静電気式打撃体》の一撃をかわしづらく、対戦相手が《熱烈の神ハゾレト》を召喚した返しで勝つこともあるとのことで、スピード勝負でも大幅に遅れを取ることがない。

 さらにサイドボード後は《野望のカルトーシュ》があるため、勝率はメインデッキ戦よりも良さそうだ。

 なお、《緑地帯の暴れ者》は「ラムナプ・レッド」に対しタフネスが4あり除去されづらいため、すべて投入するとのことだ。

対「ティムール・エネルギー」――有利

細川「このデッキは《歩行バリスタ》が入ってなければミッドレンジ系には有利だね」

 《静電気式打撃体》《光袖会の収集者》がいい的になってしまう《歩行バリスタ》はこのデッキに対し非常に強力だが、そうでなければ「横並び系」のデッキには有利だと強調する。

 《気宇壮大》があればティムール側は《つむじ風の巨匠》のトークンによるチャンプブロックをすることができず、《逆毛ハイドラ》の並べ合いになったとしてもやはり《静電気式打撃体》が状況を打破できる。

 ただ《栄光をもたらすもの》が唯一厳しいカードとのことで、サイドボードの《心臓露呈》がこれに対する対策だという。

 さらに「ティムール・エネルギー」は(標準的な構成で)土地22枚、《霊気との調和》4枚、《導路の召使い》4枚、と実質30枚がマナ関係の構成であり、手札破壊が非常に有効だと細川は分析している。

対「スゥルタイ・エネルギー」――不利

 天敵《歩行バリスタ》が採用されている「スゥルタイ・エネルギー」はメインデッキがかなり苦手だという。

 《光袖会の収集者》と《静電気式打撃体》がともにタフネス1のため、《歩行バリスタ》は確かに致命的だ。

対コントロール――メインデッキ戦は不利、サイドボード後有利

 最近は数を減らしているが、一時期よく見かけた「青黒アズカンタ」などコントロールデッキに対しては「メインデッキは不利だけど、サイドボード後は《強迫》などハンデスを取れるため有利」とのことだ。

 打ち消し呪文で対応するより裏目が少なく、相手の状況を確認しながらゲームを進めることができるのも黒の手札破壊の魅力だろう。

 《生命の力、ニッサ》も対コントロールでは強く、サイドボード後のゲームを取り切れるかが勝負の鍵となりそうだ。


 細川が持ち込んだ「スゥルタイ打撃体」はいかがだっただろうか。

 どこか見たことがあるカードが並びながらも、ふたつの軸を持つ魅力的なデッキだ。

 一撃必殺を決めたい人はぜひ一度イベントで使ってみてはいかがだろうか。

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