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グランプリ・名古屋2014

観戦記事

準々決勝:朴 高志(愛知) vs. Sim, Chapman(シンガポール)

By Masashi Koyama

 見事トップ8に残り無事にプロツアーの権利を得たプレイヤーたちにとって、プロフィール写真の撮影は一息つけるわずかな時間だ。だが、その数分が終わると、最後の正念場に突入する。時刻は間もなく20時を過ぎようとしている。2日間に渡り、15ラウンドを戦い抜いてきた彼らの疲労はどれほどのものだろうか。

 その疲労をものともせず、グランプリタイトルだけを見つめている男がいる。それが8位でスイスラウンドを通過したシム・チャップマン/Sim, Chapman(シンガポール)だ。一度グランプリの決勝で涙を飲んでいる彼にとって、この大人数のグランプリでトップ8に残れたことは取り逃したタイトルを手に入れる千載一遇のビッグチャンスだ。

 そのシムに立ち塞がるのが、愛知の朴 高志だ。スイスラウンド1位通過の勢いそのままに地元での戴冠を目指す。

 準決勝に勝ち上がるのは海外からの刺客か、それとも地元・愛知の番人か。グランプリ王者を決める最後の3ラウンドが幕を開ける。

QF_boku_sim.jpg

ゲーム1

 スイスラウンドを堂々1位突破の朴が先手。お互いの仲間が見守る中ゲームがスタートする。先手朴が即座にキープを宣言すると、シムは顔をしかめる。仕方なさそうにキープをするが、その顔は晴れないまま。ゲームがスタートした。

 先手朴が《肉餓えの馬》に《エレボスの試練》というスタートを切る。シムは《蒸気の精》で対抗するが、ここで先ほど渋い顔をした理由が判明する。土地が《》2枚でストップしてしまうのだ。

 ターンを重ねてもシムの表情が変わることはなかった。朴の《肉餓えの馬》にカウンターが3つ乗り、さらなる《肉餓えの馬》を展開している間に3枚目の土地が引けないシム。朴に殴りきられるまでもなく、シムは速やかに土地を畳んだのだった。


朴 高志(愛知)

ゲーム2

 先手のシムは7枚を取ると苦笑する。よほど悩ましい内容なのか、頬杖をついて思索にふける。結局キープをするが、先ほどの悪夢がよみがえる。

 7枚でキープした朴の、先ほどと同じ《肉餓えの馬》から《エレボスの試練》という動きでキックオフ。そして、これまた先ほどと同じようにシムの表情が一気に曇る。

 とりあえず《予言》で手札を整えてはみるが、続くターンも土地を置き、ため息をつきターンを返すのみだ。一度、《突然の嵐》で《肉餓えの馬》を足止めし《不機嫌なサイクロプス》を召喚。

 表情が晴れないシムを尻目に朴のビートは止まらない。召喚していた《悪魔の皮のミノタウルス》に《責め苦の伝令》を授与して5/6、これがシムに襲い掛かる。次のターンには4/4となって攻撃してくる《肉餓えの馬》と合わせて、両方のクリーチャーを止めなければならないのがシムにとってはひたすらに辛い。

 だが、勢いに乗る朴がミスを犯す。《肉餓えの馬》に2枚目となる《エレボスの試練》を纏わせ、《悪魔の皮のミノタウルス》とともにアタックを敢行したのだ。シムには《不機嫌なサイクロプス》には怪物化するマナがあり、5/5の《肉餓えの馬》が一方的に討ち取られたのだ。

 だが、ライフで押されているシムはそれでもまだ耐えなければいけない。《層雲歩み》を《不機嫌なサイクロプス》にエンチャントし、巨大化した《悪魔の皮のミノタウルス》を止めにかかる。だが、そうは問屋が卸さないと、朴は《悪魔の皮のミノタウルス》に《悪意の幻霊》を授与し、《不機嫌なサイクロプス》を乗り越えアタックを継続する。これでシムのライフは残り7だ。


シム・チャップマン/Sim, Chapman(シンガポール)

 この悪魔のようなミノタウルスは止められないと悟ると、冷静に別のプランを構築する。まず、《蒸気の精》をチャンプブロッカーとして差し出し、召喚していた《深海の催眠術師》と《不機嫌なサイクロプス》でアタック。これで地味に《責め苦の伝令》で減っていた朴のライフは9。もう一度攻撃が通ればアップキープに勝利できるところまで朴に肉薄する。

 だが、シムは盤面で追いついても、朴の勢いまで止めることはできなかった。朴は6点のダメージを与え、シムのライフを1とする。そして、第2メインフェイズにキャストしたのは......

 最後は《血集りのハーピー》が残るシムの1ライフを吸い取ったのだった。

朴 2-0 シム

 朴 高志が準決勝進出!

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