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EVENT COVERAGE
グランプリ・京都2017
準々決勝:Martin Muller(デンマーク) vs. 矢田 和樹(千葉)
By Yohei Tomizawa
7枚。
たった7枚のカードに、プレインズウォーカーであるプレイヤーは、全てを託す。
勝利を掴むため、7枚のカードを手に取り、苦悩し、決断する。
このマッチを落としたからといって、人生が終わりを告げるわけではない。
それでもプレイヤーは、マッチ一つ一つに、ゲーム一つ一つに、手札の1枚1枚に全てを懸ける。
自分が、勝利するために。
だから時には、手札を1枚減らすことを決断しなければならない。
例え表面上は不利であっても、勝利の二文字を掴むために必要なことだから。
マーティン・ミュラー/Martin Muller vs. 矢田 和樹 |
ゲーム1
準々決勝で先手を得たのは、マーティン・ミュラー。予選ラウンドで12勝以上を挙げたことで、見事来期のプラチナ・レベルを決めている。
プラチナ・レベルの祝いか、《ネフ一門の鉄球戦士》《地揺すりのケンラ》と《激情のカルトーシュ》、土地4枚というなかなかの手札をキープしたミュラー。これらのクリーチャーを続けて召喚し、一気に4点ダメージを与える。
対するは矢田 和樹。グランプリ・東京2016でトップ8に入賞した経験もあり、地元千葉のイエローサブマリン、LMCといったコミュニティーで研鑽を積み、ドラフト練習に主眼を置くことで、不戦勝なしから勝ち残ってきている。
矢田のファーストアクションは、《孤高のラクダ》。
ミュラーは、4枚目の土地を置くと《レト一門の槍の達人》を召喚し、すぐさま《激情のカルトーシュ》をエンチャント、速攻を付与しながらブロッカーをどけ、8点のダメージを叩き出す。
矢田は、残りのライフを8としながらも、《色彩の断崖》をセットし、《孤高のラクダ》が絆魂を得たことで、ダメージレースの形を取り3点ライフを回復し11としながら、現状の最適解である《魂刺し》を召喚する。
ミュラーは、悩む。
手札に打開策はなく、《熱烈の砂漠》をサイクリングするが、望んだカードは手に入らない。
ここで立ち止まるべきか、否か。
軽めのデッキにもかかわらず、手札と合わせると引いている土地は5枚。時間をかけることで好転は望めないと判断し、3体のクリーチャーを攻撃に送り出す。
矢田は《魂刺し》で《レト一門の槍の達人》をブロックし、5点のダメージと引き換えに、この厄介な先制攻撃持ちクリーチャーの除去に成功する。
ミュラーは、《オナガトカゲ》は追加したが、矢田が召喚したのは《尽きぬ希望のエイヴン》。ブロッカーと同時に貴重な3点のライフを得て、9まで回復。
近づいては離れる矢田のライフに、ダメージレースこそリードしているが、ミュラーは徐々に厳しい局面となってしまう。
それでもミュラーには攻撃しかない。
《山》を握り締め、第1メイン・フェイズで《棘モロク》を召喚し、《オナガトカゲ》のサイズを4/4とし、攻撃する。
矢田は、ライフに余裕ができたため、自分のターンでの行動と照らし合わせ、ブロックはせず。4点のダメージを受けライフは5まで減少してしまうが、《ナクタムンの侍臣、テムメト》、《束縛のミイラ》を召喚し、クリーチャーの頭数を増やし、厚い防御網を構築することに成功する。
ミュラーがドローすると、それは《尽きぬ希望のエイヴン》。このカードを生かすべく、考えをめぐらす。
具体的には、矢田がコントロールする《尽きぬ希望のエイヴン》をブロックに誘い出し相打つことで、飛行クリーチャーが戦場にいない状態で自身の《尽きぬ希望のエイヴン》を召喚したいのだ。
考えた末、ミュラーは土地をセットし、《ネフ一門の鉄球戦士》を督励で、《オナガトカゲ》とともにレッドゾーンへ送り出す。
矢田は、ミュラーの術中に嵌ってしまう。
《オナガトカゲ》は、《ナクタムンの侍臣、テムメト》と《束縛のミイラ》で、《ネフ一門の鉄球戦士》は《尽きぬ希望のエイヴン》で、それぞれブロックを割り振ってしまう。
これらが相打つと、ミュラーは予定調和的に《尽きぬ希望のエイヴン》を召喚する。
こうして勝負を決めると思われた《尽きぬ希望のエイヴン》だが、矢田の《砂爆破》であっさり除去され、《ナクタムンの侍臣、テムメト》が「不朽」されたことで、戦場の再構築が図られてしまう。
ミュラーの手札には、土地しかない。《地揺すりのケンラ》で攻撃し、《孤高のラクダ》と相打つことで、次のターンに「永遠」で戦場に戻し、《棘モロク》と一緒の攻撃で、ダメージを稼ごうとする。
当然矢田も理解しており、《棘モロク》を《強制的永眠》し、《屍肉の金切り声上げ》を召喚する。
ミュラーは《地揺すりのケンラ》を「永遠」し、《ナクタムンの侍臣、テムメト》を対象とすることで、《屍肉の金切り声上げ》をブロックに釣り出す。
矢田は、《スカラベの責め苦》で耐えようするが、ちっぽけな《束縛のミイラ》が《道拓きの修練者》の支援を得て攻撃に参加すると、3ターン後に矢田のライフは0となった。
ミュラー 1-0 矢田
ゲーム2
ゲーム開始時の矢田の手札は、4枚。
《森》《沼》《沼》とセットするが、4枚目の土地が、メインカラーの《平地》が戦場に出ない。
土地事故につけ込むことにかけては、ミュラーのデッキがトップ8の中で一番優れているであろう。
すなわち《地揺すりのケンラ》《レト一門の槍の達人》で5点を刻み、ダメ押しとばかりに《尽きぬ希望のエイヴン》。
最後まで《平地》にめぐり合えず、矢田は、悔しそうに右手を差し出した。
ミュラー 2-0 矢田
3度のマリガン。矢田にとっては、不運であり、苦しい決断であった。
1枚、2枚と減り、3度目の手札をライブラリーに戻した時、矢田はどう思ったろうか。自分の不運を嘆きたくなっても当然だ。
それでも矢田は、マリガンすることを決断した。
自分の不幸をただ嘆くのではなく、可能性がある限り勝利を自分の手で掴むために。
意味のない7枚よりも、意志の込められた4枚の方が、勝つ可能性が高いと信じて。
だから今日の敗北も、次のステージへと繋がっていく。なぜなら、道を切り開くのは、いつでもプレイヤーの意志と決断だから。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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