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グランプリ・京都2017
黒船来航!? フィンケルの第2ドラフト
By Yohei Tomizawa
「ドラフトってよくわからない。」
そんな気持ちになったことはないだろうか。
14枚のカードの中から1枚をピックし、それを繰り返して42枚の束を集め、基本土地を加えて40枚のデッキを構築する。単純なルールながらも、やってみると非常に難しい。
パック内のカード単体を比較し続け、より点数の高いカードを取り続けても、それが勝てるデッキにならないのは、なぜだろうか。
マナ・カーブを重視し続けても、押し切れず逆転されてしまうのは、なぜだろうか。
ただ1枚ずつピックするだけではない。プロプレイヤーと呼ばれる人は、いろいろな情報を取捨選択しながら、デッキの完成系を描きながら、ピックを行っているはずだ。
前置きが長くなってしまったが、今回ドラフトピックを見るのは、ここまで11勝1敗、第1ポッドで第2ドラフトへ挑むジョン・フィンケル/Jon Finkelである。
そしてフィンケルがプレイするこの第1ポッドに、日本人の姿は、ない。
翌週のプロツアー『破滅の刻』のため、黒船がごとく来日した外国勢に、ここグランプリ・京都2017は、踏み荒らされてしまった。
日本人プレイヤーたちよ、強くなれ。
そのためにも、「白黒は避けたい、ゾンビはやりたくない。黒は、最弱色だろう。」と語ってくれた彼のデッキを見てみよう。
7 《平地》 7 《沼》 2 《信義の砂漠》 1 《栄光の砂漠》 1 《イフニルの死界》 -土地(18)- 1 《束縛のミイラ》 1 《栄光半ばの修練者》 1 《結束に仕える者》 1 《瘴気ミイラ》 1 《不憫なラクダ》 3 《不屈のエイヴン》 2 《孤高のラクダ》 1 《忌まわしい生き残り》 1 《猶予の侍臣》 1 《不毛地の蠍》 1 《屍肉の金切り声上げ》 1 《よろけ腐り獣》 1 《冷酷な侍臣》 1 《イフニルの魔神》 1 《有翼の番人》 -クリーチャー(18)- |
1 《砂爆破》 1 《荷降ろし》 1 《ラザケシュの儀式》 1 《霰炎の責め苦》 -呪文(4)- |
(※当初の記録が誤っていたため修正いたしました。誤:《不動の歩哨》→正:《結束に仕える者》 7/27 編集)
なんと! フィンケルが組み上げたデッキは、最弱色のためやりたくなかったはずの白黒。なぜこの色になってしまったのか。
フィンケルがファーストピックしたカードは、このデッキに採用されているが、わかるだろうか。
ファーストピックしたカードを想像しながら、一体どうやってフィンケルがこのデッキを作り上げたのか見てみよう。
1パック目(『破滅の刻』)
1-1:《不屈のエイヴン》
1-2:《結束に仕える者》
(※当初の記録が誤っていたため修正いたしました。誤:《不動の歩哨》→正:《結束に仕える者》 7/27 編集)
1-3:《砂爆破》
1-4:《不屈のエイヴン》
他候補:《空からの導き手》、《無法の斬骨鬼》、《栄光の砂漠》
1-5:《周到の砂漠》
他候補:《大義 // 名分》
1-6:《信義の砂漠》
1-7:《栄光の砂漠》
他候補:《目を開いた者、デジェル》
1-8:《イフニルの死界》
1-9:《忌まわしい生き残り》
他候補:《実績ある戦闘員》
1-10:《横這ナーガ》
他候補:《忌まわしい生き残り》
1-11:《砂の下から》
1-12:《屍肉の金切り声上げ》
1-13:《最後の明日の予見者》
1-14:《立身 // 出世》
なんと初手はコモン。
続く2手目はアンコモン。
(※当初の記録が誤っていたため修正いたしました。誤:《不動の歩哨》→正:《結束に仕える者》 7/27 編集)
そして、5~8手目が砂漠。これが本当にデッキになるのか心配になるが、2パック目も見てみよう。
2パック目(『破滅の刻』)
2-1:《霰炎の責め苦》
2-2:《孤高のラクダ》
他候補:《尽きぬ希望のエイヴン》、《オアシスの祭儀師》、《信義の砂漠》、《抑え難い渇き》
2-3:《燃え拳のミノタウルス》
2-4:《信義の砂漠》
2-5:《不屈のエイヴン》
他候補:《農場 // 市場》
2-6:《孤高のラクダ》
他候補:《栄光の砂漠》
2-7:《不憫なラクダ》
2-8:《ラザケシュの儀式》
他候補:《金色のセロドン》
2-9:《魂のたかり屋》
2-10:《よろけ腐り獣》
2-11:《廃墟ネズミ》
2-12:《呻きの壁》
2-13:《猛り狂うカバ》
2-14:《忌まわしい生き残り》
強力なレアカード、《霰炎の責め苦》を2パック目初手でピックし、このまま勢いに乗れるかと思った矢先、2手目では再びコモン。
その後も黒、赤と迷いながらのピックが続いている。
「1、2パック目がとても弱くて、どうしようもなかった。そもそも黒自体が弱い色なのでやりたくなかったが、2パック目のレア、カードの流れから白黒に行かざるをえなくなってしまった。」
誰であっても座った場所によって他の色へ逃げることができなくなってしまう場合がある。それは、例えフィンケルであってもだ。
極力他の色に手を出さず、取れるカードがなければ、砂漠を確保し、我慢に我慢を重ねたピック。
そして、その我慢が、3パック目で実を結ぶ。
3パック目(『アモンケット』)
3-1:《栄光半ばの修練者》
3-2:《有翼の番人》
他候補:《象形の守り手》、《絶妙なタイミング》、《知識のカルトーシュ》、《不毛地の蠍》
3-3:《不毛地の蠍》
他候補:《微光鱗のドレイク》、《巨大百足》、《潰滅甲虫》、《進化する未開地》
3-4:《イフニルの魔神》
3-5:《猶予の侍臣》
3-6:《冷酷な侍臣》
3-7:《束縛のミイラ》
他候補:《荷降ろし》
3-8:《痛ましい教訓》
3-9:《同期した一撃》
他候補:《天導 // 先導》
3-10:《荷降ろし》
3-11:《巨大百足》
3-12:《瘴気ミイラ》
3-13:《大水》
3-14:《オケチラの名のもとに》
初手に《栄光半ばの修練者》。
4手目に《イフニルの魔神》。
『アモンケット』の3強(残る1枚は《栄光をもたらすもの》)のうち2枚を手に入れると、その後もデッキのカードをどんどんピックしていく。
「3パック目で恵まれたね。初手は素晴らしいが、なんと言っても4手目の《イフニルの魔神》。一気にデッキが強化されたね。それでも弱いには違いないけれど、まぁ50点くらいの評価だね。」
フィンケルの理想は高い。3枚のレアを擁しながらも50点の評価。
「ドラフトを上手くなるコツは、練習しかない。今回は30~40回くらいは練習したし、繰り返し取り組まなければ上達は見込めない。『アモンケット』(ブロック)では、督励という攻撃面に特化した能力もあり、戦闘に慣れなければ、適切なブロックは行えない。」
上達するためには、練習するしかない。
いつでも未来を切り開くのは、内へ内へと進む思考ではなく、外から情報を吸収し、発展させる貪欲さと一歩を踏み出す意志である。
ゴールは遠い。それでも、一歩一歩、ドラフト強者への道を駆け上がろう。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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