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グランプリ・京都2017

戦略記事

若きプラチナレベル・プロ、マーティン・ミュラーのドラフト視点

By Yohei Tomizawa

 本日のグランプリ・京都2017の2日目、そして1週間後に控えるプロツアー『破滅の刻』。両大会を勝ち抜く上で、決して避けては通れないフォーマットがある。

 それが『破滅の刻』『アモンケット』ドラフトだ。既存の督励や不朽カードの減少、そして新キーワード能力である永遠や加虐の加入は、『アモンケット』のみの時よりもドラフトというフォーマットをより複雑たらしめている。

 今回ドラフトピックを見ていくのは、今期プラチナレベル・プロ、マーティン・ミュラー/Martin Mullerである。

muller_draft1.jpg

 いきなりだが、彼が作成したデッキをご覧いただきたい。

Martin Muller
グランプリ・京都2017 2日目第1ドラフト / 『破滅の刻』『アモンケット』ブースタードラフト (2017年7月23日)[MO] [ARENA]
7 《
7 《平地
1 《周到の砂漠
1 《シェフェトの砂丘
1 《色彩の断崖

-土地(17)-

1 《扇持ち
1 《実績ある戦闘員
3 《忘れられた王族の壁
1 《オケチラの報復者
1 《呪文織りの永遠衆
1 《エイヴンの思考検閲者
1 《敏捷な妨害術師
1 《孤高のラクダ
1 《風案内のエイヴン
1 《ナーガの神託者
1 《演習ミイラ
1 《多面相の侍臣
1 《選定の侍臣
1 《尽きぬ希望のエイヴン
1 《川蛇

-クリーチャー(17)-
2 《抑え難い渇き
1 《巧みな軍略
1 《突風撃
1 《悲劇的教訓
1 《排斥

-呪文(6)-

 青白の2色デッキであり、3枚投入された《忘れられた王族の壁》と4枚の飛行クリーチャーによる、「地上を止めつつ、飛行クリーチャーによるビートダウン」という伝統的戦略が取られている。

 この戦略を後押しするように対戦相手が召喚した到達持ちクリーチャーや巨大クリーチャーに対処するため、《抑え難い渇き》と《排斥》といった除去呪文もピックされている。

 そしてこのリミテッド環境のキーワード能力である不朽永遠持ちクリーチャーが多数採用され、それらと強烈なシナジーを形成する《選定の侍臣》も入っている。

 強力なデッキであることは、間違いない。

 では、どうやってこのデッキを作り上げたのか。ミュラーのピックと、思考を追いかけてみよう。

muller_draft2.jpg

1パック目(『破滅の刻』)

1-1:《尽きぬ希望のエイヴン

他候補:《立て直しのケンラ》、《血水の化身》、《超克

 レア、アンコモン数枚を手に取りながらも、悩んだ末にピックされたコモンクリーチャー。候補にはならないが、《信義の砂漠》をかなり気にしているようであった。

1-2:《霰炎の責め苦

他候補:《ほころびミイラ》、《王神の天使》、《待ち伏せ

 フィニッシュブローにもなり得る強力レアをピック。初手と合わせて白いカードでも悩むがここでは、カードパワーに軍配が上がる。

 ここでも《周到の砂漠》、《熱烈の砂漠》と2枚の砂漠の枚数を確認していた。

1-3:《敏捷な妨害術師

他候補:《選別ワーム》、《忘れられた王族の壁》、《毒の責め苦

 ここで選択を迫られる。カードパワーの高いファッティ、序盤から終盤まで活躍する壁クリーチャー、除去カードを見送ってピックしたのは、青のレアクリーチャーであった。 このピックを分岐として、ミュラーの方向性がだんだんと見えてくる。

1-4:《謎変化
1-5:《周到の砂漠

他候補:《徙家 // 忘妻

1-6:《シェフェトの砂丘

他候補:《致死の一刺し》、《栄光の砂漠

1-7:《忘れられた王族の壁

他候補:《謎変化

1-8:《実績ある戦闘員
1-9:《孤高のラクダ

他候補:《エイヴンの葦原忍び

1-10:《実績ある戦闘員
1-11:《最後の明日の予見者
1-12:《狡猾な生き残り
1-13:《巧みな軍略
1-14:《ニッサの敗北

 1パック目終了時点でのピックのうち、メインデッキに採用されたカードを見てみよう。

 8枚のカードがデッキに採用されているが、うち2枚は土地であるため、実質6枚となっている。

 ミュラーはピックする際、パック内の砂漠を意識しており、砂漠を上手く運用することが、環境の鍵と見ているようだ。事実、砂漠カードとシナジーを形成する《孤高のラクダ》、《忘れられた王族の壁》をピックしている。

 ミュラーを挟んだ上下の2人の色選択は、上から順に青赤・赤緑、下2人は白黒・赤緑と、絶妙な配置となっている。


2パック目(『破滅の刻』)

2-1:《オケチラの報復者

他候補:《削剥》、《強靭な狩り手

2-2:《抑え難い渇き

他候補:《血水の化身》、《超克》、《不屈のエイヴン》、《信義の砂漠

 ここでミュラーの1パック目での砂漠への意識が解き明かされる。砂漠をコントロールすることで、完全な除去呪文となる《抑え難い渇き》をピックし、砂漠を絡めた戦略であると分かる。

2-3:《選定の侍臣
2-4:《呪文織りの永遠衆

他候補:《救済の恩寵

2-5:《抑え難い渇き
2-6:《忘れられた王族の壁
2-7:《忘れられた王族の壁
2-8:《彫像の忌まわしき者
2-9:《不屈の砂漠

他候補:《熱烈の砂漠

2-10:《悲劇的教訓
2-11:《巧みな軍略
2-12:《不動の歩哨
2-13:《不動の歩哨
2-14:《人生は続く

 2パック目を終えた時点でのピックはどうなったのだろうか。

 14枚の呪文と2枚の土地。枚数こそ少ないが、《忘れられた王族の壁》、《抑え難い渇き》といった砂漠とシナジーを形成するカードを複数枚ピックし、デッキを強化している。

 地上を止めるためのカードは複数揃えることはできた。後は勝つためのカードが必要となりそうだ。


3パック目(『アモンケット』)

3-1:《排斥

他候補:《扇持ち》、《エイヴンの修練者

3-2:《多面相の侍臣

他候補:《本質の散乱

 3パック2手目、ここで不朽持ち《クローン》である《多面相の侍臣》をピック。カードパワー面でも申し分なく、勝ちカードとなり得る。

 何より、《選定の司祭》のサーチ先として最高のカードをピックすることができた。

3-3:《エイヴンの思考検閲者
3-4:《突風撃

他候補:《本質の散乱》、《有翼の番人

3-5:《川蛇
3-6:《演習ミイラ
3-7:《風案内のエイヴン
3-8:《扇持ち
3-9:《色彩の断崖
3-10:《選定の司祭
3-11:《デジェルの決意
3-12:《ナーガの神託者
3-13:《ハパチラの刻印
3-14:《スカラベの饗宴

ミュラーのドラフト思考

 環境のベストカラーとしてあげたのは、組み上げた青白。地上を止め、飛行で殴りきる戦略を後押ししているのは、《抑え難い渇き》という新しい除去呪文。だからこそ常に砂漠の枚数を気にかけていたのだ。

 『破滅の刻』『アモンケット』を合わせると、飛行クリーチャーも十分用意されており、強力な戦略であると語ってくれた。

 自身が認める最強色である青白デッキを手に、どこまで勝ち進むのか。

muller_interview2.jpg
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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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